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EAGLYSAdvent Calendar 2021

Day 1

Yahooハッカソンから本開発し、iOSアプリをリリースするまでの軌跡と、エンジニア人生について考えたこと。

Last updated at Posted at 2021-11-26

@kenmaroです。
普段は主に秘密計算、準同型暗号などの記事について投稿しています
秘密計算に関連するまとめの記事に関しては以下をご覧ください。

概要と注意

今回は、秘密計算の話ではなく、個人的に友達と取り組んだプロダクト開発について
ポエム的に書いていきたいと思います。

注意
書いているうちにこの記事は完全にポエム化しました。
特に技術のことに関しては書かないのでご注意ください。

参加したヤフーハッカソンについて

今年参加したイベントはいくつかありましたが、
その中で二つほど記事として公開しました。

上の秘密計算コンペも、YAHOO! JAPANさんのハッカソンも自分で出場することを決め、チーム作りから行いました。
どちらも賞などを取るには至りませんでしたが、友達のみんなと開発を共にし、
一緒に過ごした時間はとてもいい思い出になったように思います。

今回は、その中でも「チームあぐりメタル」としてプロダクト「Yorimichi」というiOSアプリをハッカソンで作成したのち、本開発を始め、11/24に正式にApp Store へとリリースした話をしようと思います。

もし興味がある人がいらっしゃいましたら、
下のツイートからApp Store に飛べますのでぜひよろしくお願いします。

サービスの概要

Yorimichi は、誰もが行なったことのあるであろう「寄り道」をそのままアプリのタイトルにしています。
テーマは「誰かの寄り道を『再現性のあるもの』にし、他のユーザと共有できるサービス」です。

言葉にすると当たり前ですが、あなたが今日訪れたどこかの場所には、次の日には他の人が訪れています。
あなたが明日訪れる場所は、誰かが今日訪れた場所です。

Yorimichiアプリを経由することで、あなたの訪れた場所をフォロワーと共有し、
フォロワーはいいなと思った場所をお気に入りに登録したり、寄り道先に直接登録することで、ナビゲーションをしてもらうことが可能になります。

ユーザからの投稿はマップ上に画像と共に表示されるので、最近流行っている場所や、たくさんの人が訪れた場所は投稿で埋め尽くされます。
地図上いろいろな場所が検索でき、ユーザのコメント共に行き先をナビゲーションしてもらうのはなかなか楽しいのではないでしょうか。
また、ユーザのよくいく行き先や、よく通る道、お気に入りに登録した場所のジャンルなどをもとに、アプリ側からおすすめの場所をレコメンドするプッシュ機能などもあると面白そうだなと思っています。

このような具体的なサービス概要はハッカソンに向けたチームメンバーとのオンラインミーティングの中で次第に固まっていきました。
他にもたくさんの意見や、あったらいいと思われる機能のアイディアは尽きず、このアイディア出しの期間もなかなか楽しい期間であったと思います。

使うことに決まった技術

ハッカソンのテーマに、「誰も取り残さない」デジタル化
などの文言があり、わたしたちのチームはその文言をUIがなるべく直感的で誰でも簡単に使えるもの、
というふうな解釈をしました。
インターフェースを限定的にしないために、なるべく汎用的なアプリや既に多くの人が使っているアプリを経由して(例えばLINEを使ってなど)わたしたちのアプリを操作できるようにしたいと考えましたが、
結局のところiOSアプリから開発に着手することになりました。

ハッカソンに技術提供をしていたMapBox社のマップSDKなどを使い、コアとなる地図上に表示されるおすすめの場所を実装することとなったため、開発に必要な技術スタックは

  • Swift での開発技術
  • MapBox SDKを組み込む技術

ということになりました。
その段階で私はどちらもほとんど開発経験がなかったため、ゼロからのスタートとなりました。

ハッカソン当日の様子

実際にオンラインで参加したハッカソンでしたが、近くに住んでいるメンバーはオフラインで集まり、オフラインで開発を行いました。24時間という限られた中で、ほとんどの技術が使ったことのない技術であったため開発は難航しました。その時の様子は

YAHOO! JAPAN Digital Hack Day 2021 参加レポート(チーム「あぐりメタル」)

この記事にまとめています。
あまり興味のある人はいないと思いますが、Yahooハッカソンに次出てみようかなと思っている人がいたらみてみるとイメージは湧くと思いますのでぜひご覧ください。

ハッカソンを終えて

ハッカソンが終了し、我々チームあぐりメタルは賞などをいただくには至りませんでした。
周りのチームの開発能力はとても高く、面白いアイディアも多かったため、ある意味納得の結果とはなりましたが、(たぶんハッカソンに参加したことのある方であれば分かると思いますが、)やりきったという高揚感を寝不足の中感じながらその日は終わりました。
その後私は事情があり実家の九州に一週間ほど滞在することになり、手持ち無沙汰の中、気づくとプロダクト開発を続けていました。
決勝に残れたわけではなかったですし、やらなくても誰も気にしないという状況ではあったのですが、
何かもっと良くできないか、覚えたてのSwift知識を駆使し、もう少しUIを良くしてみよう、というような気持ちで開発していました。
UIもさることながら、おすすめの場所を提供するアプリでありながらデータベースはユーザが増えないと空っぽのため、APIの使用ができるような機能を追加しようと思い立ち、
調べたところホットペッパーは無料のレストラン情報APIを提供していること、
Googleは基本的には無料(多くクエリすれば従量課金へ移行)でGoogle Place API を使用可能ということを知り、この二つのAPIをデータベースとしても参照できるようにバックエンドも作り替えていきました。

この辺りまではSwiftに対しての理解がかなり浅く、非同期的な処理などもなんとなくで実装しており、
なぜここにnullが入っているのか、などあまり理解できない状態でとりあえず動くことだけを考え実装していきました。

ハッカソン決勝戦

今回のヤフーハッカソンは前半後半の2日間開催で、前半で決勝に進んだチームが二週間の追加開発期間ののち、決勝ステージに臨むという流れとなっていました。
決勝ステージに残ったのは10チームで、その中の優勝チームに賞金300万円が贈られるという、とても太っ腹な大会でした。

私たちは決勝に残ることはできなかったものの、決勝戦の内容については気になっていたため、
観れる人たちで視聴し、グループチャットで感想などを言い合っていました。
優勝した作品は会話をリアルタイムで可視化するプロダクトで、審査員の方のコメントにあったように、
今すぐにでも飲み会の場で使ってみたいような、とても完成度の高い作品に仕上がっており、とても感動したのを覚えています。

特に見せる相手もいなかったのですが、決勝戦をみる前日に少しだけ前よりかっこいいUIのアプリになっており、それをチームメンバーに見せたところ、よくなったね!というような反応をもらい、少しだけ自己満足しました。笑
決勝戦も終わったタイミングでしたし、少しだけ開発に一区切りついたところだったので、ここで終わってもいいな、あまり続けるモチベーションもないしなーと思っていました。

MapBoxからのインタビューのお誘い

ハッカソン決勝戦とほぼ同じタイミングで、チームのメンバーがMapBoxからDiscordにどうやらメッセージが来ているようだ、
ということを知らされました。確認してみると、どうやらMapboxを使った面白いアイディアだったため、賞などはもらえなかったものの、ハッカソンでMapBoxを使ってみたレポート、という形でインタビューさせてくれないか?
というような内容を広報の方からメッセージいただいていました。

直接賞などとは関係がなかったですが、私としてはメンバーを集めて24時間(準備期間も含めるともっと長い時間)拘束し、結果が出せなかったため申し訳なかったなあと思っていた矢先のメッセージであり、
何か認知されるようなイベントに繋がり本当によかった!ととても嬉しかったのを覚えています。
メンバーには学生もおり、彼らの名前がインタビュー記事に載ることで少しは参加してくれた恩返しになるのではないか、と思い、思い切って誘ってよかったなあと思った瞬間でした。

偶然私が実家で開発を少しだけ継続していたため、その良くなったUIをスクリーンショットで載せてもらおうか、と考え、チームメンバーの写真やインタビューの中身を用意し
MapBoxの方に返信することとなりました。

開発をまた再開し始めた、インタビュー後

インタビュー記事もやりとりが終わり、一旦節目かなという雰囲気が出ていました。
終わろうと思えば終われましたし、また来年ハッカソンでたいなーくらいの感覚でした。

ただ、1、2日過ごすうちに、なぜリリースまで持っていく努力ができないのか、
と変に考えるようになり、もやもやしてきました。
気づけば、もう一度きちんとアプリ開発に向き合ってみてはどうか、という思いが湧いてきました。
決勝戦の日あたりまでに開発した追加開発には、デバイス間でレイアウトが崩れてしまうという問題があり、
汎用的に人に見せれるものではなく、そこが解決していないままでしたし、Storyboardを使わずにコードベースでレイアウトを記述し汎用化させるようなことをググっていたものの、実践できていなかったところに今一度真摯に向き合うことにしました。

試行錯誤の中出会ったiOSアカデミー

結局のところ足りなかったのはベースとなるSwiftへの理解であることは根底ではわかっていたので、
もしアプリをこれ以上良くしようとした場合、自分より圧倒的に経験のある人のコーディングを参考にするしかない、というのは感覚として理解していました。
そこで出会ったのがYoutubeに投稿されていた、iOSでInstagramのクローンを作る動画でした。
全15話くらいで各動画が30分程度でInstagramをフルスクラッチであまりライブラリをヘビーに使わず、
基本的にはUIKitを用いて実装するという動画でした。

Build Instagram App: Part 1 (Swift 5) - 2021 - Xcode 11 - iOS Development

この動画を1から視聴しながら手元でコーディングを行い、1から勉強し直すことを決意しました。
幸いなことにReactなどもYoutubeのライブコーディングベースで学習をやった経験があり、
最初は大変ですが絶対にプラスになることはわかっていたので、食らいついて開発することに決めました。
一つ自分が得意なことといえば英語なのですが、基本的に優秀なライブコーダーは海外のディベロッパーが多く、その人たちから吸収するという点についてはとても英語力は役に立ちました。

そんなこんなで15話程度のライブコーディングをやりとげました。動画時間にすると7、8時間程度なのですが、コーディングを実際に行い、ビルドなどを試したり、よくわからないところを何だかんだデバッグする時間が加味されるため、多分トータル30から40時間くらいはかかったと思います。
先程レスポンシブなデザイン(デバイス依存がない)ようなデザインについて言及しましたが、
このディベロッパーは最初の動画でいきなりmain.storyboardを削除するところから動画をスタートしており、それがとても衝撃的でした。(これが普通なのかもしれないですが、その時は衝撃に感じ、これは学ぶべきだ、と感じた瞬間でした。)

恥ずかしながら、この動画を通してDelegateや、クロージャーがなぜこのように使われなければならないのか、
なぜ if let とか guard let みたいにしてわざわざオプションを使ったり、オプションを剥がしたりするのかなど、
Swiftの基礎的なことがやっとわかりました。それと同時に、ハッカソンの前後ではその辺が全くわからない状態でもなんとなく動く物が作れていたこともある意味勉強にはなっていたという反面、
リリースをするなどというレベルからはとてもほど遠いことをやっていたんだな、と感じました。

ここまでで基礎的なところがようやくわかり始めた一方、
まだそれが定着していたわけではなく、そのYoutuberのコーディングお作法の範疇では(例えばこの人はMVCとMVVMの複合型を使っていたので、自分も自然とその方式に従うようになりました。)
なんとなくなにをやっているのかわかるようになった、という程度でした。

15話まで実装し終わって気づいたのですが、この動画は完結しておらず、まだ未実装なところが多々残っている状態で動画の更新が終了していました。
ただ、この未実装分を自分で全て実装できるくらいの実力には至っていなかったため、達成感半ばのままとてもモヤモヤな気持ちになりました。
そこから続きはないのか、、といろいろ検索していたところ、どうやらそのYoutuberの方はマイクロソフトのiOSディベロッパーで、個人的にiOSアカデミーというサイトを立ち上げ、そこにいろいろなコンテンツを提供していることがわかりました。

iOS Academy

中身を見てみると、instagram の実装コンテンツがあり、それは完結しているようでした。
彼のコンテンツの質の高さはもうわかっていましたし、クローンアプリがある程度完結するまでやってみたかったので、サブスクリプションを受講することになりました。
今考えると、このいい教材で一旦集中して勉強できたことがとてもよかったです。

結局のところ、iOSアカデミーで実装されているコードは、Youtubeであげられていたものとは異なって(ベースとしては一緒でしたが、コーディング自体は別時期にとられたものであり、課金ユーザ用に少し整理されたものになっていたようです)いたため、1からまたクローンを作ることになり、結局クローンを2周したような形になりましたが、今回は20時間くらいでおそらく実装でき、
前よりわかるようになったなあという感覚を持てるようになりました。

Swiftについてどこまで勉強すればいいか悩み始める

結局クローンまでやったのが功を奏し、もともと作りたかったアプリを再度実装し直すことにしました。
もともとの課題だった、どうやってユーザに寄り道情報をアップロードしてもらうか、というところはSNS的要素を組み込むことによって促進できるのではないかと考え、
SNS機能を入れることを考えました。
元来のMap機能は場所とポストを紐つけて表示する中で必要な機能だったため、UIはInstagramとスナップチャットのいいとこ取りになるのではないかとうっすら考え始めていました。
とりあえずマップ機能のところは参考にできるものがドキュメントくらいしかなかったため、そこを一旦重点的に実装し始めました。
クローンで培われたベース知識により以前よりは高い理解力で実装が進みましたが、つまる場所も多く大変な作業でした。

マップ機能がなんとなく出来上がってきた時、一旦メンバーのK君にUIについてアドバイスをもらうことにしました。
この時点ではUIなどのレベルがハッカソンの時とは1段階違うものになっていたため、驚いた様子で、
とてもよくなった、と言ってくれました。
ただ、実際に使ってみるととてもまた使いたいと思えないものであることもなんとなくわかりました。
細部の作り込み(たとえば画像投稿時のキャプション入力や場所入力が使いづらいと投稿する気が起きなくなる)は、自分の中でそもそも使いやすいと思えるレベルでないととても他の人に使ってもらうことなど不可能だな、と感じました。あたりまえなのですが、エンジニアからすると些細な変更でも大変なことが多いので妥協点を探しやすくなることは全く普通なことだと思います。

また、SNSでのホームとなるフィード画面は、最近のTikTokみたいな、非連続なブロック的なスクロールの方がいいのではないか、という意見をもらいました。
この辺を加味し、自分は70%くらい実装終了したのではないかと思っていたのは幻想であり、実際は30%、もしくはそれ以下くらいの完成度でしかない、ということに気づきました。

ここから、ベース知識がないとまたごそっとコード全体を作り替えなくてはならなくなる未来が待っているかもしれない、と気づき、
まだSwift自体を勉強する必要があるなと思いました。また、フィード画面の実装に関してはiOSアカデミーのTikTokクローン講座が最適で最短だと思い、もう一つクローンを作る覚悟をしました。

Swift自体の勉強では、iOSアカデミー以外の教材が必要であり、どうやらこの教材での書き方は古くはないですが、もっと新しい要素もiOS14などで登場している、というiOSのバージョンアップによる実装の歴史みたいなものも勉強し始めました。
例えばアカデミーではCollectionViewのCompositional Layout というV13のものは多用していましたが、CollectionViewList など、V14で実装されたものや、V13でのDefiableDataSource などの知識は得られていないことがわかり、そのあたりを推していたり解説していたりする他の文献もたくさん見つかったため、その辺をうまいとこ取り入れていないとダメだ、と思うようになり、どういう書き方が新しいのか、というような勉強をしました。
基本的に使っていたのは

raywenderlich.com

でした。
これを続けて数日経った後、この勉強の仕方だとSwiftのバージョンとか新しい書き方には精通する可能性はあるものの、本質のアプリをデリバリーする、というところにどうしても収束していかない泥沼化するな、と感じ始め、ここの線引きを行い、アカデミー的な実装と、今時の実装を組み合わせ、無理に全てを今時の実装の仕方に置き換えることはやめました。

ここから少し肩の荷が降り、アプリの細かいところの実装が捗るようになりました。

開発の最後の10%は全体の中で1番大変な10%

これは私がたまに見てしまうTechLeadというユーチューバーが言っていた言葉です。
ある意味意識高い系というか、煽るような口調もある人なのですが、自分は開発中この人の動画で精神を保っていたところもありました。笑
結局のところ、エンジニアがフォーカスしないといけないのはデリバリーであり、そこが達成できるかどうかが一番大きな違いになるということ。
これを言うのは簡単だが、やるのは難しく、ほとんどの人が最後までやり切ることができないこと。
やりきろうとした時にいくつも壁があるが、デリバリー最後の10%は全体の中でも一番大変な10%であるということを理解しておかないと、終わらせることが非常に苦痛になってしまうこと。

などです。

ここはまさに今回感じたことです。
大枠できたかな、と感じはじめ、そこから細部をチューニングしたり、
自分でモンキーテストみたいなことをやってバグをできるだけ取り除いたりする作業でもかなり大変な作業でした。
最適化を少しだけ考えたあたりでデータベースの構成を2回くらい変更したり、いろいろな変更が出てきたのは最後の工程のほうでした。
工程が後の方であるが故に、些細な変更でも修正することが多く、バグを1つ修正するのに多大な時間がかかったりしました。
バグのことが気になって眠れないみたいな日があるのもたぶんエンジニアあるあるだとおもいますし、私にとってもこの時期はそう言う時期でしんどかったですが、
こういう時こそあまり無理せずに、ゆっくりとこの最後10%を終わらせることにした方がいいと思います。
そうしないと多分辛くなってしまうと思うので。

他の自分が辛くなった時にみるTechLeadの動画を置いておきます。(この動画やタイトルで私の人間性を判断してほしくはないです、あくまでショック療法がたまに必要なだけなので。。)
もし暇な人がいたらみてみてください。

MapBox 社への来訪

インタビューをMapBoxの方にさせていただいた後、私とチームメンバーのK君で話し、
何かせっかくなので後少し繋げられないかなあと思い、
思い切ってMapBoxジャパンの本社の方に出向いてインタビューのお礼と、プロダクトの内容を今一度説明させていただけないでしょうか?
というような内容をメールしてみました。

少し失礼に当たるかなと思ったのですが、快く承諾していただき、とても二人でテンションが上がっていました。
二週間ほど後に設定された来社のスケジュールでしたが、
私個人としても、最後の10%のセクションで書きましたが、楽しい中でも疲労が溜まっており、
できるだけこの二週間でベータ版を完成させ、一つの区切りにしたいと決めました。

この二週間では、体調が悪い日が数日続き、時間をとても有効に使えたとは言えず、
なかなか精神的にも結構落ちている時がありました。
しかしながら、来社する数日前にほとんどの機能を実装し、Appleに申請を出すことを来社前日にやり終えました。
MapBox来訪の当日はあいにくの雨でしたが、広報の方に出迎えていただき、いろいろなことを学べた1日となり、とても充実した1日でした。
もしリリース作業がきちんと完了した時には、SNSなどを使ったリリース情報の拡散などをお手伝いいただけると言っていただき、とても嬉しかったです。

Apple とのやりとり

申請が済んで終わり、と言うわけではなく、iOSアプリの審査は基準値が高く、一筋縄ではいきませんでした。
ただ、感じたこととしてはどこを直せばいいのか、どこが基準を満たしていないのかがとても明確に記述されたリジェクト文が返ってくるということと、
Appleのエンジニアの申請に対する対応がとても早く、数日かかるのかと思っていたのですが実質10時間(多分時差のため)くらいで何かしらのレスポンスが返ってくるため、とても早い対応に感動し、やはりこういうところがすごいんだろうなあと感じました。

結果的に私は2回リジェクトをもらい、3回目の申請でAppStoreへの申請承諾をいただきました。
1回目のリジェクト時にはログイン時の単純なバグが原因で、完全に私のミスでした。
実機でデバッグを続けていたので、きちんとまっさらな環境で最後にデバッグをしていれば気付けるエラーだったのですが、見落としてしまっていたのが原因でした。
2回目のリジェクトはとても細かく分類されており、SNS機能にユーザ通報機能や、ユーザブロック機能、ポストに対する通報機能など、
ユーザが悪意を持った人に対してアプリ上で被害を受けにくいような機構を追加することや、
ユーザのデータにアクセスする際のパーミッションについての文面を修正してほしいと言われました。
また、アプリ全体でどのような機能があるのかをスクリーンキャプチャでまとめて動画化し、キャプションを添えて提出してほしいというようなレビューもいただきました。
この作業もきちんとやって1日くらいはかかりましたが、自分の作っているプロダクトを丁寧にレビューされていることが伝わってきましたし、ブロック機能などの実装は、ユーザの安全第一を考えた時に必須の機能であり、実装して然るべきものだと学ぶことができました。
Appleのエンジニアの素早い対応等、とてもすごいですし、ディベロッパーに対して丁寧にレビューをしていただけるところなどやはり尊敬できる会社だなあと感じました。

そんなこんながあり、朝起きた時にAppleからのメールで、
おめでとうございます、アプリが申請承諾され、App Storeに公開されました!
というような文面が届き、自身の初めてのアプリが公開されたことを知り、本当に感動しましたし、やってきてよかったなと思えました。
多分この記事を読んでいるAppleの人などいないと思いますが、本当にレビュー等丁寧にご対応していただき、ありがとうございました。

リリース後、そしてこれから

リリースをとりあえず終え、メンバーとも共有し、我々の持つSNSアカウントや、無料のプレスリリースを打てるWebサービスを用い、
宣伝をしたりしています。
ある意味、ハッカソン終了までが一区切り、リリースできたというところも一区切りだと思っています。
ディベロッパーとして、 TechLead の動画を参考にすると、デリバリーまで責任をもて、というか、デリバリーできるようなプロダクトをいくつ持つか、それを楽しんで完遂できるか、と言ったところのゴールというものは一つ達成できたのかなあと思っています。
また、自分を突き動かしてくれたもう一つのものはYahooハッカソンのディレクターをやっていらっしゃる善積さんのブログでした。

ものづくりの機会を最大限に生かすために〜ヤフーのDigital Hack Dayの取り組み

ここに書いてあることで、開発の持続可能性ということ、そして作ることの本質を楽しむというか、そこに意義が必ずあるということ。
についていろいろと考えさせられたこのアプリ開発だったと思います。

確かに、新規事業を作る時、リーンスタートアップ等の言葉が使われ、PMFを測るためにMVPを作り、
仮説検証を回していく、というような説明がなされるかと思います。
そういえばこんな記事をかなり前に書いていました。 

ベンチャーに関わっていてもいなくても知っておきたい ビジネスモデル仮説検証

ベンチャー企業に私自身勤めていますので、このようなことを身をもって体験できていることには非常に感謝していますし、とても楽しんでいる毎日です。
確かに、仮説検証を回すこと自体、それはもちろん間違っていないと思います。
また、そのようなプロセスの中、必ずしもプロダクトアウトしなかったとしても、むしろプロダクトがないほうが、早くサイクルを回し的確にマーケットフィットしていけるのかもしれません。
その中で、善積さんのブログでもあるように、作ることの本質的なところも楽しみつつ、持続可能な開発を続け、ハッカソンで終わらない開発という取り組みも尊いものだなと共感しました。

エンジニアとして、どういう活動をしていきたいか

このアプリ開発を通して、また、ベンチャー企業に3年ほど在籍して開発を進めていく中で、いろいろと考えることがあるのでここにせっかくなので書いてみます。

エンジニアとして活動する中で、私個人の意見として一番有意義なこと、それは

  • 自分が主体的に動いて開発し、自分の魂が入っているプロダクト

に携われるような体験が、何回できたか

というところではないかなあと思っています。
このプロダクト、というところは職種によってプロジェクト、になるかもしれませんし案件、になるのかもしれませんし
いろいろと置き換えることになると思います。

私自身、現在の企業で自分が主体となって作り上げたプロダクトが一つあるな、と自信をもって言えます。
(もし万が一興味を持っていただける人がいるとすれば、EAGLYS株式会社のGateAIを検索よろしくお願いします。https://www.eaglys.co.jp/product/gate-ai)

そこに関しては今の環境を作ってくれた周りの方達に感謝しないといけないなあと思っています。
そして、そのプロダクト(まだまだ未熟なプロダクトですが、)の成長を見守り磨き続けることも正解だし、
環境を変えてこのようなゼロイチ開発を新たに行うことも正解かなと思っています。
そんな中、ハッカソンというイベントを原点として、魂を込めたプロダクト(自分としては人生2つ目のプロダクト)のスタートを経験できたことに対して非常に有難いことを経験できた、いろんな人に感謝しよう、と思っています。

プロダクトで大事だと思う二つの観点

上で書いたような
主体的に開発し、さらに自分の魂が篭るようなプロダクト
において、魂が入るということは自分の時間が投下されることであり、思いが投下されることだと思います。

その上でモチベーションがなにかないとそこまでコミットできないことは確かですが、私はそこに必要な要素が2つあると考えています。

一つ目は思想です。
そのプロダクトがどういう思想に基づいているのか、ということ。つまり、そのプロダクトが目指す世界観のようなものです。
私はまだブロックチェーンの開発を行ったことはないですが、ブロックチェーンがここまで使われていて世の中の人を魅了しているという点では、この思想の部分が魅力的だからだと思います。
中央集権的な管理体制ではなく、改ざんが不可能な分散型のデータ管理、データ管理の理想系とも言えるこの根底思想によって、多くのディベロッパーが主体的に開発を続けているのだと思います。
自分が現在取り組んでいる秘密計算の分野も、データのプライバシーを守ったままデータの利活用を行う、という究極思想はニッチな分野ではありますが、一定数のディベロッパーや研究者が長年磨き続けているだけの熱量を生み出す思想であろう、ということを考えます。
このような思想的なところは、まさに開発の持続可能性、というところの燃料になるはずだと確信しています。

二つ目はコア技術です。
一つ目の思想を実現するための技術、その中でも新しい技術であったり、現状の技術の課題を解決するものがある時、一番モチベーションが湧くのではないかと思います。
その技術が比較的数学寄りというか、理論寄りのものでもいいですし、エンジニアリング寄りの、実装上の難しさでもどちらでもいいと思います。
これに関しては、一番は研究テーマのようなものがあり、そのテーマにブレイクスルーがあったとき、思想に近づく。
というものだと一番わかりやすいし理想な気はしています。
しかしながら、コア技術のようなものが見当たらないとしても、開発時には必ず困難に当たると思いますし、
そこを解決するための技術もある意味コア技術だと感じています。
また、プロダクトを差別化しようとした時にはなにか新しい技術というか、エッジ的な技術を用いることになりますし、
そこをプロダクト開発の途中で学び、その過程でコア技術に触れていくこともあると思います。
次第に、今取り組んでいる技術が好きだとか、面白い技術だからもっと取り組んでみたいというような愛着のようなものが湧いてくるのだと思います。
このコア技術の習得、というところも、持続可能な開発を可能にする動力源の一つとなると確信しています。

ここからアプリ開発はどこに向かっていくのか

とりあえず、ヨリミチに関しては、アンドロイド版も開発する、というところが私が一番にできることかなと思っています。

似たようなサービスが実際にあるなかで、なぜヨリミチなのか、というところを突き詰めてアップデートしていくことも私にできることでしょう。

ユーザをコツコツ増やしていくこと、マーケティングをし、もっといろいろな人に良さを知ってもらうために何ができるか、
そこを考えていくことはアプリ開発と同じくらい、それよりもっと難しいことなのだろうなと感じています。

そのマーケティング的なところから目を背けず、開発と同じくらいの熱量をもってそこもメンバーと頑張って行けたら素晴らしいことだろうな、と思っています。

最後に宣伝

長々とポエムを書いてしまいましたが、本当にたくさんのことを学ばせてくれたアプリ開発でしたし、
これからも無理しないようにしながら、持続可能性を考えた開発を行っていきたいと思います。

もし興味を持っていただける人がいましたら、ぜひ YorimichiApp 使ってみてください!

いろいろ書いたのでなんかスッキリしました。
今回はこの辺で。

@kenmaro

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