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ベンチャーに関わっていてもいなくても知っておきたい ビジネスモデル仮説検証

Last updated at Posted at 2019-11-21

概要

このところいろいろと機会があり、ビジネスモデルについて本を読んだりお話を聞いたりすることが複数ありました。
実際に自分で事業を立ち上げようとしている人は、もちろんビジネス仮説検証やリーンスタートアップなどについての知識があると思います。
また、ベンチャーに努めている方も、BizDevの人たちと近いところにいるため少しは知識がある人も多いかもしれませんし、実際の会社の存続をかけて、このあたりを勉強しておくことは大事です。
大きな企業に勤めている方でも、これらの知識を持っておくことは有益です。なぜなら大きな企業であっても、新規事業の立ち上げの際この仮説検証の知識というのは役に立つからです。

そして、エンジニアだからこそこのあたりの知識もインプットしておくことで、より有益な人材になれるのかなあと考えてます。

つまり、ベンチャーに勤めてるエンジニアも、大企業に勤めてるエンジニアも、ビジネスモデル仮説検証について知っておきましょう!ということです。

今回はビジネスモデル仮説検証や、リーンスタートアップなどの本によく出てくる重要な概念と、いくつかの重要語句についてまとめます。

内容

ジョブ

ベンチャーというのは新規事業に取り組む会社や、会社の組織を指します。それが新たに起業された会社であろうと、もともと存在する会社が新たに事業を開拓する、その際にもベンチャーという言葉が使われます。
では、なぜベンチャー企業はベンチャービジネスを始めるのでしょうか?
それは、ユーザー(事業の対象となる人)が解決したいことや達成したい欲求があり、その助けとなるためです。ここでのユーザーが解決したいこと、達成したい事柄のことをジョブと呼びます。
ベンチャーはこのジョブを解決するために新規事業を立ち上げるわけです。これがすべてのモチベーションであり、ここが一番大事です。つまり、ジョブ無しにベンチャーの成功などあり得ないわけです。

新規事業で何か商品を作るとき、この商品がジョブを実現する度合いによってこの商品がどれだけの価値があるか決まる、と考えるとわかりやすいです。

この解決したいジョブというものが明確になったら、次にリーンスタートアップマップを使って可視化、具体性を加えていきます。

リーンスタートアップマップ (Lean Startup Map)

リーンスタートアップマップとは、ビジネスモデル仮説検証を行う上で重要な要素を定式化、図式化したものです。9つの要素からなっており、これを埋めることで実際に顧客の達成したいジョブを解決するため、どのようなビジネスモデルが考えられるべきか明確になっていきます。

leanstartupmap.png

マップ上部

簡単に説明するために、リーンスタートアップマップの上部について解説します。右上部に位置するのは顧客セグメント(CS)です。この顧客セグメントは、もちろん解決したい共通のジョブを持っています(アーリーアダプターとも呼ばれます)。この顧客セグメントにアプローチするために、どのような関係を作るべきか(CR)、また顧客セグメントに商品を知ってもらうためのチャネルはなにか(CH)も上右部に位置しています。このジョブを解決するために開発する商品が、どのような価値を提供しこのジョブを解決するのか、ということが中央上部に位置します(VP)。左上部には、その価値を提供するために必要な活動(KA)、必要となる経営資源(KR)、また実現するためにパートナーとなるべき人は誰か(KP)が位置しています。

マップ下部

マップの下部を見てみると、実際に左上部で書いたパートナーを集めたり、開発にかかるコストはどのくらいなのか。というのが左部に位置しており(C$), それに対する顧客からの収益はどのくらいになるか(R$)が下右部に位置しています。

この9つのセグメントをきちんと埋めることで、このビジネスモデルの軸を明確にすることができるわけです。

ビルド・メジャー・ラーン ループ: BML(Build Measure Learn)Loop

上で作成したリーンスタートアップマップに基づいて、顧客のジョブを解決する商品のイメージが明確になりました。
それを短いPDCAサイクルで検証し、それが本当にマーケットにフィットするのかを調べるループのことを、ビルド・メジャー・ラーン ループ (BML(Build Measure Learn)Loop)と呼びます。上で作成したマップが本当にワークするかということはまだわからず、このビジネスはまだ仮設に過ぎないわけですが、このループを回すことで本当にこのモデルがうまく行くのかを検証していくわけです。

ビルド

ビルド、というのは仮説を立て、どのようにその仮説が検証できるかを考えるフェーズです。このフェーズの前半は上のマップを作ることであり、後半は検証方法を考えます。実際には、この検証方法は、後に説明するMVPと呼ばれる実際のプロダクト(のデモ)をなるべく最小限のコストで作成し、顧客となりうる人たちにヒアリングを行う方法が多く取られます。

メジャー

メジャー、というのは上で考えた検証方法を実際に行い、データをなるべく多く集めるフェーズのことです。

ラーン

ラーン、というのはメジャーで集めたデータを分析し、実際にアーリーアダプターを探すことができたのか、また、アーリーアダプターの共通特徴は何だったのかを考えるフェーズのことです。その考察より、ビルドで作ったマップをより市場にフィットする形に修正していきます。この修正は、ピボットとよばれる修正の仕方が推奨されています。ピボットとは、片足を軸にしてもう片方の足をずらすことです。ここでは、片方の足は商品のこと、もう片方の足は顧客セグメントのことです。商品もしくは顧客セグメントのどちらかをより良いプロダクトマーケットフィットの為に修正し、その新しい仮説のもとで次のループに入ります。

このループは2週間〜4週間で回すべきで、これを5回程度回し、ビジネスモデル仮説検証を進めます。

MVPプロダクト: MVP (Most Viable Product)

上で少しだけ出てきたMVPと呼ばれるプロダクトですが、これは顧客のジョブを実現するための商品の価値を、実際に見せることのできるプロダクトのことです。このとき大事なのは、リーンな検証、つまりなるべく早く、低コストでBMLループを回す為に必要な価値を見せることのできるミニマムなものがMVPだということです。したがって、もし商品の価値が伝わるのであれば、紙の資料でもいいし、簡易なソフトウェアでもいいわけです。
このMVPが出来次第、顧客となりそうな人たちを数十人周ります。基本的にアーリーアダプターは全体の15%くらいと呼ばれているので、アーリーアダプターが最低複数人見つけることができる、2,30人へのヒアリングが必要になります。

考察とか、思ったこと

短いサイクルの開発手法、流行ってるよね

エンジニアとしては、このBMLループの話を聞いた際、このサイクルみたいな定式化が、
アジャイルでのスクラム開発となんか似ているなあということでした。PDCAサイクルみたいなのをとりあえず早く、安く回して、
その都度フィードバックから学び、次のサイクルに移行する。
ということです。2週間から4週間で1サイクルが構成されるというのも、BMLサイクルの基本的な周期と似ていますね。

お手本

今まではビジネスモデルを考えるときに存在しなかった「お手本」みたいなものが存在しなかったのですが、ここ3,4年くらいでシリコンバレーなどを始めとし、実際にユニコーン企業などができてきた際の知識や経験がこうやって定式化され、それらを学ぶことができるのはありがたいことですね。そして、実際みんなこの様に定式化されたものが好きだということです。勉強でも公式を覚えたりとか、この公式を覚えれば合格する!点数が取れる!というような本がたくさん売れたりするということを考えると、みんな何かしらの「勝ち筋」みたいなのを知りたいわけです。

ただ、定式化されている開発方式が頭にあったとしても、それがきちんと実行できてチームとしてワークするかどうかは別物だということです。もちろん知識があることが大事なのですが、それを実際の現場でどう活かし、そのチームにあったものにカスタマイズしていくところはやはり経験とか、その人の能力や人望だなあと思った次第でした。

否定的な声もあり。

また、このような定式化されるリーンスタートアップに対して素晴らしいと思う反面、ほんとにこれに従うことが大事なの?みたいな意見もたくさんあり、その視点で考えてみるのも面白かったです。
スライドシェアに上がっていた、和波さんという方のビジネスモデル症候群の実態とはなど見てみるとすごく面白かったです。
Screen Shot 2020-01-01 at 11.52.46.png

このスライドの趣旨を簡単にまとめると、(少ないが)一定数存在する本当の起業家素質の人、はこのような定式なんかには関係なくどうせリスクを取って起業するんだから、これに従おうとする時間と労力すら無駄だ、ということです。このような定式的なものをきちんと学び、「勝ち筋」っぽいと思われるものをきちんと杖で一歩先を叩きながら歩くべきなのは、それらの本当の起業家素質の人ではなくマネジメントに長けた人とか、別の種類の人たちである。ということでした。

以上、ベンチャーに関わっていてもいなくても知っておきたい ビジネスモデル仮説検証 でした。

おわり

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