#はじめに
はじめまして。インフォシェア株式会社です。
この度弊社は、経済産業省の**「行政手続PaaS環境の導入実証・調査事業」**に参画し、ローコード・ノーコードのツールを用いてアプリとWebのポータルサイトを構成することでDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するチャンスをいただきました!
クラウド技術を活用したサービスなどが一般化するなかで、2020年9月の菅内閣発足におけるデジタル庁の設置検討の開始など、DXの推進、行政手続きのデジタル化に注目が集まっています。経済産業省では、昨年よりこの課題に取り組んできていますが、今年度事業においては、これら事例やノウハウを、自治体や他省庁の方々にも広く知っていただき、共有していこうと考えています。
おりしも、神戸市役所様においても、同じような趣旨の活動をされているとのこと。
「プロセスをオープンに、みなで共有し議論していくこと」
これが今何よりも大切だと、われわれも考えております。
現在、経済産業省における下記の2つの申請業務について、デジタル化の検討を行っています。
後援名義申請:
各種イベント等で、経済産業省の後援名義を使用するための申請
オープンイノベーション促進税制申請:
オープンイノベーション促進の基準を満たす企業への出資を行った企業が行う税控除申請
使用したツールはMicrosoft社により提供されているPower Platformと呼ばれるローコード・ノーコードによるアプリ開発ツールです。
上記申請に必要な機能と親切なユーザビリティを可能な限りPower Appsの標準機能のみで実現し、コーディングによる開発作業を最小限にとどめました。
**「これならウチにもできそうだ」**と感じていただけるようなDXのソリューションを提供することもこのプロジェクトの目的のひとつです。
一般的に参考になる標準的なDX事例としてぜひ参照してみてください。
今後公開していく記事では、行政におけるDXやPower Platformについて、行政に最適な認証基盤の選定、プロジェクト全体の費用感、実際に完成したアプリとWebページなどをテーマに取り上げながら紹介していきます。
この記事ではトピックについて一部をかいつまんで紹介します。
#行政機関のDX
**DX(デジタルトランスフォーメーション)**は、データやデジタル技術を活用することで、単なる作業の電子化や業務の効率化にとどまらずビジネスモデルやこれまでの就業文化を抜本的に変革し、競争や経済活動を優位に進めるのに最適化された組織、業務プロセス、製品とサービスを実現するという取り組みです。DXの説明に関しては2018年に経済産業省が発表した「DX推進ガイドライン Ver.1.0(平成30年12月)」が詳しいです。目を通してみると、DXが単純な電子化やアプリの導入によるIT化よりもさらに先の変革を想定していることがわかります。DXを実現するメリットとして下記のようなものが考えられます。
- オンラインで遠隔でいつでもどこでも行政サービスを受けることができる。
- 1つの手続で入力したデータが連携され、他の手続では再入力不要になる。
- 住民や事業者の属性情報に基づいて行うべき行政手続がリコメンドされる。
- 申請データの分析を通じてサービスの改善が進むとともに、住民ニーズにあった政策提供が可能となる。
しかし、現実には行政機関におけるDXではIT人材の不足や個人情報保護をはじめとするセキュリティ問題などを解決する必要があり、思うような進展がありません。各自治体におけるDXとなると、規模が大きい自治体では大きなシステムが必要な気がして動きあぐねてしまう・・・反対に規模が小さな自治体ではどのように必要な知識やIT人材を調達すればよいかわからない・・・などといった悩みがあると思います。
また、最も気にかかる部分はDXにかかる費用ではないでしょうか。
このような悩みを解決し、行政におけるDXを推進するきっかけとして今回のプロジェクトは位置づけられています。
下記に紹介する記事にそんな悩みや疑問に対するひとつのソリューションとなる事例を紹介しています!
ぜひ参考にご一読ください。
行政におけるDXに最適な認証基盤
→⑤行政手続きのデジタル化に最適な認証基盤 -GビズIDとは
費用について
→⑦ローコード・ノーコードを使用した行政DXの費用を検討する
#ローコード・ノーコードツールとは
**ローコード・ノーコードツールとは、その名のとおり「コードをほとんど、または全く書かずに開発を行うツール」のことです。**従来の開発ではコーディングが必須でしたが、ローコード・ノーコードツールを最大限活用して開発を行うことで、Excelで関数を使ったり、PowerPointのスライドを編集したりする感覚で、コーディングについての知識や経験がほとんどない人でも簡単にアプリやサービスを作成することができます。
ローコード・ノーコードでの開発では、金銭的・人的なコストが大幅に削減されるだけでなく、業務のニーズに合わせた柔軟な変更や開発と同時並行での機能改善など、アジャイル開発がメインとなるローコード・ノーコードツールならではの利点があります。
よく知られているローコード・ノーコードツールには下記のようなものがあります。
- Power Platform (Microsoft)
- Salesforce Lightning Platform (Salesforce)
- Kintone (サイボウズ株式会社)
今回のプロジェクトではMicrosoft社のPower Platformを使用して、経済産業省に提供する後援名義申請とオープンイノベーション促進税制申請のデジタル化を行いました。
Power Platformは、アプリやWebサイトをローコードで作成するPower Appsや、指定した実行条件を満たしたときにワークフローを自動実行することで業務を自動化するPower Automateなどを中心とする開発基盤です。
これらのツールではカスタムで開発用のコードを埋め込むことで一定の自由度を実現できますが、今回はPower Platformの標準機能にできるだけ寄せる形で開発を行いました。
**「ローコードでここまで実現できる」**という行政におけるDXの一例として参考にしていただければと思います。
→**②ローコード・ノーコードツールPower PlatformでDXを加速させる試みの全体像**
今回使用したPower Platformに関しては下記の記事にまとめています。
→③【行政のDX】ローコード・ノーコードでのシステム構築を実現するPower Platformとは?
#プロジェクトについて
行政機関における手続きでは**「申請→受付→承認→交付」**という流れがつきものです。
従来は申請者となる個人や法人担当者が役所などに来訪し、紙ベースで記入や提出のやり取りが行われていたと思います。Webサイトが一般的になって久しいので、申請書類のダウンロードなどはネットで行えるケースも増えてきましたが、実際の記入は印刷した用紙にペンを使って書き込み、それを窓口に届けたり郵送したりというケースがまだまだ多いです。
紙ベースの手続きには、窓口の混雑に伴う受付担当者の拘束、差戻しなどが発生したときに処理の煩雑化、書類管理やセキュリティの問題、申請で入力された情報の再利用性の低さなど、多くの改善点があります。
そこで今回は、申請者と経済産業省内担当者に間の「書類配布→申請→受付→承認(差し戻し)→交付」といった申請手続きの流れをWeb上のポータルサイトで行い、業務効率と申請者にとっての利便性を向上させるシステムを構築しました。電子化された申請では、申請手続きの過程で入力データを集めて視覚化・分析へのつなげるという新たな有用性も生まれます。
詳しくは下記の記事で紹介する、本プロジェクトにおける実際の開発事例をご一読ください!