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④経済産業省が進める「行政手続きのデジタル化」~ローコードで構築した行政DX事例 Gビズフォームポータル~

Last updated at Posted at 2020-11-06

はじめに

インフォシェア株式会社です。

この度弊社は、経済産業省の「行政手続PaaS環境の導入実証・調査事業」に参画し、ローコード・ノーコードのツールを用いてアプリとWebのポータルサイトを構成することでDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するプロジェクトを進めています。

現在、経済産業省における下記の2つの申請業務について、デジタル化の検討を行っています。

後援名義申請:※現在、検討を進めています
各種イベント等で、経済産業省の後援名義を使用するための申請

オープンイノベーション促進税制申請:※申請の利用を開始しています
オープンイノベーション促進の基準を満たす企業への出資を行った企業が行う税控除申請

プロジェクト全体の概要に関しては下記の記事をご覧ください。
①経済産業省が進める、「行政手続きのデジタル化」とは。~ gBizFORMの展開について~


今回の記事のテーマは、ローコード・ノーコードで構築した行政DXの事例 - Gビズフォームポータルのご紹介です。

ポータルサイトは本プロジェクトで実施したDXの根幹となる技術です。
ポータルサイトを受け皿として今後ほかの業務のDXにも横展開が可能であり、情報の収集や発信のハブとしても活用できます。

ニーズに合ったウェブサイトの作成・公開がローコード・ノーコードでここまでできる、という参考にしていただければ幸いです。

今回紹介するポータルサイトはすでにWeb上で公開されているので、ぜひ実際に訪問してみてください!
gBizFORMポータル

プロジェクト全体におけるポータルの役割

下記の記事に詳しいですが、今回のプロジェクトではPower Appsというノーコードツールの機能を使用してポータルサイトを作成しています。
②ローコード・ノーコードツールPower PlatformでDXを加速させる試みの全体像

本プロジェクトにおいては「Gビズフォーム」というポータルを立ち上げ、経済産業省が実施する様々な申請承認業務の一元的な窓口として位置づけました。

ポータルサイトを中心とする申請業務全体の流れは以下のとおり。

①外部の申請者はポータルサイトにアクセスし認証を行ったら、ポータルサイト内の各ページから必要な申請を行う。
②ポータル上に送信された申請は、経済産業省内で各申請承認業務にふさわしい実装がなされたキャンバスアプリやモデル駆動アプリを使用して処理される。
③処理された申請が経済産業省内の承認プロセスを経て認可または却下されたら、通知文書をポータルサイトに返す。
④申請者は審査の結果をポータル上で確認・ダウンロードする。

以上の流れの中で、申請者はポータルサイト上で自分の申請がいま承認プロセスのどの段階にあるのかをいつでも確認できます。また、プロセスの進行に伴い、ポータルサイトと省内担当者に処理によって申請者にメール通知が送信されます。

ユーザー認証とセキュリティ


ポータルサイトはWeb上に公開されているため、URLを知ってさえいれば誰でも閲覧することができます。
しかし、推進したい電子手続きに関する情報をポータル上に掲載しておくことには、情報広く公開できるというメリットがある一方で、申請者にしか見せたくない情報に誰もがアクセスできてしまうのではないかという懸念があります。

この懸念に対応して、Power Appsポータルでは下記のようにサードパーティのサービスを含む複数の認証基盤がサポートされています。
さらに、認証の種別やWebロールと呼ばれるポータル独自のユーザー管理単位の割り当てによって、ページやデータベース単位でアクセス権を制御することもできます。

認証やユーザー単位のアクセス制御をうまく組み合わせて使用することで、柔軟かつ適切なセキュリティを担保することが可能となります。
下記画像は、今回のプロジェクトにおけるポータルのページ構成と各ページにアクセスできるユーザー種別を図式化したものです。条件付きのセキュリティの線引きや多階層の認証レベルを反映する必要がありましたが、標準機能の組み合わせのみで実現することができました。

ポータル上のページ構成は「認証されていないユーザーを含む誰でも閲覧できるページ」「認証されたユーザーのみが閲覧できるページ」「認証されたユーザー中さらに特定のユーザーしか閲覧できるページ」という3層構造になっています。
さらにアクセスしたページに表示されるデータは、サインインしているユーザーの所属企業が過去に扱ったもののみとなるフィルター処理が実装されています。これにより、自分に関係のないデータは表示されず、自分のデータは関係者にのみ公開されるという縦のセキュリティラインが引かれています。

図式内のプライム、メンバー、エントリーという種別は本プロジェクトで使用した行政向けに特化した認証基盤GビズIDの登録種別です。どの種別もポータルサイトでの認証に使用できますが、種別によってポータル内でアクセスできるページの範囲が異なります。
GビズIDに関しては下記の記事で詳細を書いていますので行政向けの認証基盤を検討の際は確認してみてください。

⑤行政に最適な認証基盤 GビズIDとは

ここまで紹介したセキュリティ設定はすべてポータルの標準機能によってノーコードで実装することが可能です。

ポータル上での申請手続き

申請手続きを行う外部の申請者は適切な認証でサインインした後、ポータル内のメニューをたどって申請を開始します。ここではすでに公開されているオープンイノベーション促進税制の申請手順を確認してみます。

「作成」ボタンから申請を開始すると下記の入力フォームが表示されます。
この入力フォームは、従来のオープンイノベーション促進税制の申請手続きで使用されていたWord形式の申請文書を電子的に再現したものです。

Word文書をメールなどでやり取りする方法でも実際に窓口を訪問したり郵送したりという手間は省けますが、入力を電子的に行うことには以下のようなメリットもあります。

  • 必須項目の制御や選択肢の固定によって情報の不備や表記の揺らぎを防止できる
  • 入力されたデータを集計して分析したりグラフ化して視覚的に概観したりできる
  • 申請された入力情報にフィルターや検索をかけることで管理が楽になる

申請が行われるとポータルは自動で省内担当者に通知メールを送信します。
省内で開始される承認プロセスの進捗は申請ステータスで確認できます。

オープンイノベーション促進税制では申請が承認されたら、証明書が交付されます。
証明書の交付もポータルを通して行われ、申請者は申請レコードに省内担当者によって添付された交付文書をダウンロードすることができます。

今回の証明書のように「在ることに意味がある」という性質の文書の場合など、単純に電子化できないケースもありますが、ポータルサイトでは添付を有効にする標準機能を利用することで対応できます。

以上のように、申請者の一連の手続きがポータルサイトのみで完結するシステムをノーコードで実現することができました。
ノーコードには自由度が制限されるという課題がありますが、わずかなコーディングを行うことで痒い所に手が届いた仕様にカスタマイズして利用することもできるので、Power Appsポータルは多岐に及ぶニーズに対応可能なプラットフォームといえます。

この記事では経済産業省の「行政手続PaaS環境の導入実証・調査事業」で作成したシステムの中心となるGビズフォームポータルについて紹介しました。

確実な安全性が要求されるセキュリティ・認証面と中心機能となる申請業務の流れについて紹介しましたが、すでに公開されているサイトですので、やはり実際に見て触ってみていただくのが一番だと思います。

以下のリンクから飛べますので未認証ユーザーが閲覧できる範囲だけでも是非チェックしてみてください。
今回紹介するポータルサイトはすでにWeb上で公開されているので、ぜひ実際に訪問してみてください!

Gビズフォームポータル

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