はじめに
本記事はSAP Business Technology Platformの基本的なことのまとめの1項目の説明をなります。全体を把握した方はまずはそちらをご確認下さい。
また、本記事は概要把握や個人とトライアル利用の参考として、まとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用して下さい。
また、BTPのアプリケーション領域の分類が2022年末に変更されたため、本記事は旧記事から大きな書き直しを実施しました。
製品領域
SAP Business Technology Platform(BTP)のアプリケーションは2022年12月現在「Application Development and Automation(アプリケーション開発と自動化)」、「Extended Planning and Analysis(拡張計画および分析)」、「Data and Analytics(データおよびアナリティクス)」、「Integration(統合)」、「Artificial Intelligence(人工知能)」に大別されます。本記事では、それぞれの領域にどのようなアプリケーションがあるのかを説明していきます。
Application Development and Automation(アプリケーション開発と自動化)
拡張開発の基盤(PaaS)に当たる領域です。(旧SCPは主にここの領域に包含されています。)2021年頃は「Extension Suite」と呼ばれていたこともある領域です。
S/4HANA導入時に、従来ABAPによるアドオン開発を、SAP社が推奨するSide by Sideで実施する場合は、この機能を用いて実施することになります。
幹となるのは、純粋なスクラッチ開発基盤です。(スクラッチ開発になれた方だと、WEB上のIDEを使って開発して、PaaSのデプロイ環境にデプロイするようなイメージを持って頂くとわかり易いと思います。)また、開発したものをデプロイしたりする一般的にはDevOpsといわれる分類の製品や監視や通知といった運用系の製品もここにカテゴライズされています。
また、それに加え2022年のTechEdで発表された「SAP Build」もこの領域に含まれます。これは、ローコード・ノーコード関係のサービスが「SAP Build」とう名称に統一され、リブランディングされたものです。「SAP Build Apps(旧SAP AppGyver)、「SAP Build Process Automation(旧 SAP Build Process Automation)、「SAP Build Work Zone(旧SAP Work Zone)」により構成されます。
「Extended Planning and Analysis(拡張計画および分析)」
計画系のソリューションに当たる領域です。製品の主軸は**SAP Analytics Cloud(SAC)**ですが、HP等を見る限りは、領域特化した個別の計画ソリューションも準備しているようです。
計画系の領域は、「Anaplan」がかなりの勢いで日本のお客さんに浸透してきていますし、経営管理特化系では「Tagetik」も最近案件の話をよく聞くので、激戦区となっている領域でもあります。
「Data and Analytics(データおよびアナリティクス)」
データを分析に主眼を置いたBI(Business Intelligence)と蓄積に主眼を置いたDWH(Data Warehouse)の領域です。
BI(Business Intelligence)エリアの製品としては、製品登場順に「SAP Crystal ソリューション(SAP Crystal Reports等)」、「SAP BusinessObjects Business Intelligence (BI) 」、「SAP Lumira」、現在の時点で一番新しく検討の第一候補となる「SAP Analytics Cloud(SAC)」となります。競合する製品はMicrosoftのPower BI、Salesforceに買収された「Tableau」、少しは違いますがGoogleに買収された「Looker」あたりになります。(各社買収合戦を行っており、IT製品界では激戦区です。)
下記のようなデータウエアハウス系の製品もここにカテゴライズされます。
S/4HANAでは、処理の高速化により直接データを参照できるようになったため、データウエアハウスを経由しないデータ分析のユースケースも増えてきました。その一方でデータ分析に当たって、過去何年分ものデータを分析したい、S/4HANA外のデータも併せて分析したいなどの用途は依然としてあり、そのような要求に応えるために、データウエアハウスである、「SAP BW/4HANA」等が主要な製品です。(ちなみに、技術的なアーキテクチャとしては、旧SAP BO/BWをベースとした製品となっています。ちなみにBWは「Business Warehouse」の略語です。)
また、もう少し、視野を広げて、S/4HANA外の多くのデータを対象として、データプラットフォームとして様々な分析にニーズに対応が必要な際の製品が「SAP Data Warehouse Cloud」となります。わたしも専門分野でないのであまり詳しくないのですが、AWSが「Redshift」を中心に、Googleが「BigQuery」を中心にしている領域、単独製品でいうと「snowflake」等がカバーしてる領域をイメージして頂ければわかり易いと思います。2022年のTechEDでは「SAP Data Warehouse Cloud」がすごく推されていた印象をうけています。
「Integration(統合)」
拡張開発のうちのデータ連係にあたる領域になります。2021年頃は「Integration Suite」と呼ばれていたこともある領域です。EAI(Enterprise Application Integration)ツールをイメージして頂くとわかり易いと思います。(国産だと、「ASTERIA Warp」、「DataSpider」などが近い製品になると思います。)SAP社として推奨するデータプロトコルであるO-Dataに対応してること、SAP社製品間および他SaaS製品との事前連携定義が準備されているので、開発工数を削減できることなどが売りとなっています。
(O-Data?ってなった方は、この分野の第一人者の@tamiさんが丁寧にまとめて下さっているこちらをご確認下さい。
「Artificial Intelligence(人工知能)」
AIの領域なります。具体的にはチャットボットエンジンである「SAP Conversational AI」、機械学習系のプラットフォームより構成されるようです。
まとめ
単にBTPといっても、非常に広い領域をカバーしていることをご理解頂けたかと思います。
全部の領域を理解したり体験したりすることは広すぎて難しいので、これをインデックスとして、優先順位をつけてキャッチアップして頂けるとよいと思います。次は実際にやってみようと思った際に必要になる「SAP Business Technology Platformサービス提供のイメージ」です。