はじめに
本記事はSAP Business Technology Platformの基本的なことのまとめの1項目の説明をなります。全体を把握した方はまずはそちらをご確認下さい。
また、本記事は概要把握や個人とトライアル利用の参考として、まとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用して下さい。
2022年末にBTPのBTPのアプリケーション領域の分類が変更されています。最新の分類での解説はSAP Business Technology Platformアプリケーション概要(2023年1月版)をご確認ください。
製品領域
SAP Business Technology Platform(BTP)のアプリケーションは2022年3月現在「Database and Data Management」、「Analytics」、「Application Development and Integration」、「Intelligent Technologies」に大別されます。それぞれの領域にどのようなアプリケーションがあるのかを説明していきます。
Database and Data Management
この領域はピュアなデータベースとデータ管理に関する領域です。データの可視化についは「Analytics」の領域として定義されているので区別が必要です。
一般的にはデータウエアハウス製品をイメージして頂くとわかり易いと思います。
S/4HANAでは、処理の高速化により直接データを参照できるようになったため、データウエアハウスを経由しないデータ分析のユースケースも増えてきました。その一方でデータ分析に当たって、過去何年分ものデータを分析したい、S/4HANA外のデータも併せて分析したいなどの用途は依然としてあり、そのような要求に応えるために、データウエアハウスである、「SAP BW/4HANA」等が主要な製品です。(ちなみに、技術的なアーキテクチャとしては、旧SAP BO/BWをベースとした製品となっています。ちなみにBWは「Business Warehouse」の略語です。)
また、もう少し、視野を広げて、S/4HANA外の多くのデータを対象として、データプラットフォームとして様々な分析にニーズに対応が必要な際の製品が「SAP Data Warehouse Cloud」となります。わたしも専門分野でないのであまり詳しくないのですが、AWSが「Redshift」を中心に、Googleが「BigQuery」を中心にしている領域、単独製品でいうと「snowflake」等がカバーしてる領域をイメージして頂ければわかり易いと思います。
Analytics
この領域はデータを分析する領域です。一般的にBI(Business Intelligence)と言われる領域です。
競合する製品はMicrosoftのPower BI、Salesforceに買収された「Tableau」、少しは違いますがGoogleに買収された「Looker」あたりになります。(各社買収合戦を行っており、IT製品界では激戦区です。)
このエリアの製品としては、製品登場順に「SAP Crystal ソリューション(SAP Crystal Reports等)」、「SAP BusinessObjects Business Intelligence (BI) 」、「SAP Lumira」、現在の時点で一番新しく検討の第一候補となる「SAP Analytics Cloud(SAC)」となります。
またデータの可視化領域(BI領域)だけでなく、計画系の領域も包含しており、前述のSACもこの領域の機能を備えていますし、事業計画、予算編成に特化した「SAP Business Planning and Consolidation(BPC)」もこの領域の製品となります。計画系の領域は、「Anaplan」がかなりの勢いで日本のお客さんに浸透してきていますし、経営管理特化系では「Tagetik」も最近案件の話をよく聞くので、こちらも激戦区です。
SAP社サイトを見ると前述の「Database and Data Management」も重複して、この領域の製品として紹介されてたりするのですが、このあたりの区分けの考え方は私も正しく理解しておりません。
Application Development and Integration
拡張開発の基盤(PaaS)に当たる領域です。(旧SCPは主にここの領域に包含されています。)
S/4HANA導入時に、従来ABAPによるアドオン開発を、SAP社が推奨するSide by Sideで実施する場合は、この機能を用いて実施することになります。
大きくわけると「Extension Suite」と「Integration Suite」に大別されます。(この思想はSCPの頃より継続されています。)
「Extension Suite」は純粋なスクラッチ開発基盤です。(スクラッチ開発になれた方だと、WEB上のIDEを使って開発して、PaaSのデプロイ環境にデプロイするようなイメージを持って頂くとわかり易いと思います。)また、開発したもののデプロイしたりする一般的にはDevOpsといわれる分類の製品や監視や通知といった運用系の製品もここにカテゴライズされています。
「Integration Suite」はデータ連係基盤です。EAI(Enterprise Application Integration)ツールをイメージして頂くとわかり易いと思います。(国産だと、「ASTERIA Warp」、「DataSpider」などが近い製品になると思います。)SAP社として推奨するデータプロトコルであるO-Dataに対応してること、SAP社製品間および他SaaS製品との事前連携定義が準備されているので、開発工数を削減できることなどが売りとなっています。
(O-Data?ってなった方は、この分野の第一人者の@tamiさんが丁寧にまとめて下さっているこちらをご確認下さい。)
また、最近SAP社はアプリケーションを作成する際に、プログラミングを実施しないもしくは少量ですますローコード・ノーコードという領域に力を入れており、その代表的なソリューションをもつ「AppGyver」を買収しました。そして、「SAP AppGyver」としてこのカテゴリーのサービスとしてリリースしております。
Intelligent Technologies
前述した製品以外のDXっぽい機能群をイメージして頂くとわかり易いと思います。
主力どころはRPAサービスである「SAP Intelligent Robotic Process Automation」やチャットボットエンジンである「SAP Conversational AI」等になります。
まとめ
単にBTPといっても、非常に広い領域をカバーしていることをご理解頂けたかと思います。
全部の領域を理解したり体験したりすることは広すぎて難しいので、これをインデックスとして、優先順位をつけてキャッチアップして頂けるとよいと思います。次は実際にやってみようと思った際に必要になる「SAP Business Technology Platformサービス提供のイメージ」です。