はじめに
本記事はSAP Business Technology Platformの基本的なことのまとめの1項目の説明となります。全体を把握したい方はまずはそちらをご確認ください。
また、本記事は概要把握や個人のトライアル利用の参考としてまとめたものなので、プロジェクトでの利用の際は、SAP社への問合せの実施や正式情報であるHelp Portalを活用してください。
基本的な考え方
BTPは基本的にプラットフォームの概念を表すものであり、実際の契約やライセンスの形態は各サービスによって異なります。
大きく分けると「旧SCPから継承されたサービス」と「その他のサービス」の2種類があります。前者のサービスは「SAP Discovery Center」で情報が公開され、BTPのユーザーポータルである「BTPCockpit」を通じて提供されます。後者は各サービスごとに契約とライセンスが個別に設定されます。ここでは主に前者について詳しく見ていきます。
SAP Discovery Center
「SAP Discovery Center」はBTP上で展開されるサービスの詳細や料金、開発ロードマップ、各種詳細情報へのリンクなどがまとめられたBTPサービスを調べる上で最も重要なサイトです。
2022年4月現在は「Mission」と「Service」から構成され、前者はBTPを利用して実現できるシナリオが記載され、後者は個別のServiceのカタログのようなものになっています。
後者をBTP上のWEB IDEである「SAP Business Application Studio」を例として内容を確認していきましょう。
ページにアクセスすると、タイトルと各種のタブが存在しています。それぞれのタブの内容について簡単に解説します。
- 「OverView」では、サービスの概要および製品情報へのリンク、関連するTutorialサイトへのリンクなどがまとめられています。
- 「Pricing」では、各料金プラン毎で提供可能なProvider(AWS、Azure等)とRegion(Frankfurt、Tokyo等)、料金の詳細が記載されています。料金プランについては別項目で詳細に記載します。
- 「Related Mission」では関連する「Mission」が一覧されます。
- 「Roadmap」はその名の通りで、2022年4QuarterにXXという機能が追加されますなどの情報が記載されています。
- 「Customer Stories」は事例です。
契約の種類
2025年4月現在、契約の種類は4種類に大別されます。(契約に関しては特に正式な情報はSAP社にお問い合わせ下さい)
概要把握のために、簡単に説明します。
「Subscription-based pricing」
- 使うサービスを事前に決めておき、選択的に契約する方法です。
「Cloud Platform Enterprise Agreement (CPEA)」
- BTPを利用する権利を年契約で一定金額分契約する形態です。契約後、ユーザー側で利用するサービスを選択でき、その利用料金は月々契約金額から差し引かれていきます。
「SAP BTP Enterprise Agreement (BTPEA)」
- 「CPEA」の後継サービスです。SAP社はこちらのサービスへの切り替えを推奨しています。対象となるサービスは異なりますが、基本的な考え方は「CPEA」と同様です。契約の違いやよくある質問については、SAP社のサイトをご確認ください(サイトの下部に説明があります)。
「Pay-As-You-Go(PAYG)」
- 完全後払いの従量課金の契約です。2021年に登場しました。一見便利に思えますが、重要な注意点として、価格が前述の2つの契約と比べて高額となります。(ただし、これは後払い契約が高額というわけではなく、前述の2つの契約が事前契約による割引価格と考えるのが適切です。)
「Trial 」と「Free Tier」
契約する前に無料で使ってみたいという方も多いと思います。そこで利用できる「Trial」と「Free Tier」という2つの選択肢について説明します。
「Trial」は従来からある概念で、お試し用のアカウントを提供するサービスです。機能は制限され、利用期間も設定されていますが、無料でBTPを利用できます。ただし、完全に独立したお試し環境のため、有料版への移行はできません。
2021年までは、正式な契約環境とお試し環境が完全に分離していました。そのため、正式契約している「BTP Cockpit」では機能のお試しができず、新機能を試したい場合は「Trial」環境で行う必要がありました。
この課題を解決するために登場したのが「Free Tier」です。CPEA、BTPEAまたはPayG契約があれば、制限付きながら無料で利用できるサービスです。これにより、実際の契約環境内でトライアルが可能になりました。
ここまで理解した上で、再び、「SAP Discovery Center」に戻ってみましょう。
各サービスのタイル上に「Free Tier」の利用が可能なサービスは「Free Tier」マークがあることがわかります。
また個別のサービスの「Priceing」のタブには、契約タイプ毎の料金が定義されていることがわかります。
「Free Tier」の登場前は、企業レベルで無料で試したい場合も、「Trial 」で試すしか無かったのですが、「Free Tier」登場後は、「Pay-As-You-Go」契約を結び、「Free Tier」を活用するという方法の選択が可能になりました。
Trialの利用方法
トライアルを実施するには、SAP社にメールアドレスを登録する必要があります。トライアルは90日間利用できますが、期間が終了すると環境は削除されます。ただし、何度でも新しい環境を作成することができます。手順はこちらをご確認ください。トライアルへのログインはこちらから可能です。
まとめ
「SAP Discovery Center」はBTPを理解する上で非常に重要なサイトなので、ブックマークして、実際に閲覧してみることをお勧めします。
また、契約に関しては、状況によって日々情報は更新されますので、SAP社のサイトをご確認下さい。