本記事は ふりかえり Advent Calendar 2020 の 7日目の投稿です。
お話しすること
1年間スクラムでふりかえりを実践してみて、手法から得た感想の共有です。
ふりかえり手法を変えていく中で、それぞれの手法で出た効果をあげていきます。
今回、スクラムを初めて行うチームでの体験としてお話ししています。
3項目ふりかえりって?
勝手に命名しました。
KPT, YWT のように、3つの項目でふりかえっていくやり方です。
3項目ある分、深掘りができます。
3項目しかない分、メンバーがすぐに理解し、始めることができます。
何を伝えたいか
以下、2つの話を感じ取っていただければと思います。
- ふりかえり手段を変えていくことで、活発なふりかえりを継続できる。
- それぞれの手法のいいところと、続けた時に出てくる悩みは何か。
お話しするふりかえり
今年メインで活用したふりかえりは、以下の3つです。
- YWT (半年)
- Stop, Start, Continue (3ヶ月)
- Small Starfish (3ヶ月)
合わせて、本記事では以下も共有します。
- KPT (前年までに利用していました)
- Fun, Done, Learn (感覚的なふりかえり用に併用しました)
それぞれの手法
KPT
YWTの前に以前使っていた手法ですが、
以前 Problem 以外の話につながりにくかったことから、採用しませんでした。
ここで起きてた問題については、以下の記事に一つの解があります。
YWT
採用の背景
情報も多く、最近はふりかえりは YWT メインになってました。
レトロスペクティブにも、YWTを採用しました。
やり方
両方試してみましたが、個人的感触では右のタイプが有効かなと思っています。
縦でも横でもいいですが、真っ直ぐ並んでいると Y, W, T を連続したまとまりとして見やすいです。
- Y(やったこと) から W (わかったこと) が生まれる。
- そこから T (次やりたいこと) が出てくる。
やってみた感想
慣れ親しんだ人も多いことから、最初の段階から情報は活発に出てきました。
チーム立ち上げ当初は「Keep」というべきものも見えていないため、「やったこと」という方が出しやすかったりします。
一方で、YWTが慣れてくると以下の問題が出てきました。
- Yが、タスクの羅列になってくる。(取り組みとかが出てき辛い)
- YとWがセットになる。(Y:これやりました、W:便利なのがわかりました、的な)
- Tが少ない。
Stop, Start, Continue
採用の背景
ふりかえり実践会の参加をきっかけに、ふりかえり手法変えてみました。
やり方
miro なら以下のような template で始められます。
Start Stop Continue Retrospective Template
(添付の図は、Stop と Start を入れ替えています。)
これの順番は、諸説あります。チームの雰囲気に合わせて選ぶのがいいでしょう。
- Start, Stop, Continue
- Stop, Start, Continue
- Continue, Start, Stop
記事を見ていると、1つ目が一番多いかもしれません。
前述の miro のように、テンプレートも多いと思います。
2つ目は、「やめること」を出すのに有効といいます。
続けること、始めること と やめること は使う思考が違うので、先に やめることを考える作戦です。
3つ目は、略称がCSSになって覚えやすい。名前が馴染みやすいですね。
最初に Continue (現状) があるのは KPT, YWT と一緒なところも、受け入れやすいと感じる人もいそうです。
やってみた感想
最初の感触としては、満遍なく3つのカテゴリで意見が出るようになり、結果成功でした。
メンバーからも、「STOPがいい」などの意見。
YWT の T が 分解して具体的になることで、次のアクションが想像しやすいのかなと。
一方で、しばらく続けると Stopは出辛くなってきました。
「やめる」まで言うと、ちょっと出辛かったのかもしれないです。
Small Starfish
採用の背景
Stop, Start, Continue で Stop が減ってきたことに合わせての選択です。
ちょうどふりかえり実践会での紹介で「Small Starfish」の紹介を聞いて、試してみました。
やり方
こんな感じに、ボードを3つに分けます。
いずれかに当てはまる内容を、順に付箋で貼り付けていきます。
- Keep : 続けていきたいこと
- More Of : もっとやりたいこと、始めたいこと
- Less Of : 減らしていきたいこと、やめたいこと
More of の例だと 「わかりやすいテスト、もっと増やそう」とか。
Less of の例だと 「レビュー溜め込み減らす。どんどんプルリク出していこう」とか。
やってみた感想
期待通り、「Less of」が増えていきました。
「Stop」よりも広い範囲をカバーできることが、ふりかえりでメッセージを出しやすいようです。
Fun, Done, Learn
ここに書いた背景
前述のふりかえりの学びを定着させるために、
ふりかえりの最後、たびたび Fun, Done, Learn を併用しました。
きっかけは、以下の会で紹介を受けて、「これはいろいろな会の最後に適した手法!」と感じたことでした。
- 会議室予約ドメインモデリング会を開催しました!|jnuank|note
やり方
以下のように、ボードを用意します。
他の手法と異なり、3項目の重なり合う部分があるところが特徴です。
詳細は、考案者の記事がありますのでそちらをご参照ください。
- ファン・ダン・ラーン(FDL)ふりかえりボード
やってみた感想
ふりかえりに「参加者相互に学びを共有し合う」という目的を求めるのであれば、
その成果をみるのに効果的な手段と感じています。
前述 YWT などを行っている時、「なるほどねぇ」と聞いた人が、
自分なりの解釈で言語化する機会になったりします。
特に、リモート会議の多い2020のご時世、
人の喋ってる時に学びをかぶせて喋る、というのがやりにくいと感じています。
最後に言語化する場所を用意するのは効果的ですし、その方法の一つとして有効なのではないでしょうか。
全体を通して
3つの項目でふりかえる手法と、その使ってみた感触をお話ししてきました。
それぞれに 「引き出しやすい情報」 「埋もれやすい情報」 があるので、どれがベストということはないです。
この記事では small starfish で終わっていますが、
「現状をもっと議論したい」という課題があれば、KPT や YWT にまた戻っていくのだと思います。
「ずっとKPTしてます」「YWTばかりです」という方、これを読んで他の手法を試すきっかけにしていただければと思います。
言い回しの違いだけ、みたいに見えても、そこからふりかえり観点が変わって新しい気づきが出るかもしれないです。