導入されている LPP がドキュメントより少ない?
一次言語の変更で何度も導入済みのライセンス・プログラムを眺めて気が付いたことがあります。
あれ、期待したものは全部入ってる?
期待するライセンス・プログラムの一覧
「IBM Cloud 資料」に「IBM i ライセンス・プログラム製品 (LPP) およびオペレーティング・システム (OS) のフィーチャーのバンドル」というページがあります。日本語版の最終更新日は 2020-02-20 です。
以下の LPP および OS のフィーチャーには、Rational Development Studio (5770-WDS) および Infoprint Server (5722-IP1) 以外のすべてのグループ SWMA 製品が含まれています。
「5722-IP1」は入ってないよ...と言いながら、リストには「5722-IP1: InfoPrint Server for i」があるちょっと不思議な記述です。
ICC や WDS など 4 つのライセンス・プログラムが追加で買えるようになったのは、2020 年の 4 月なので、それ以前のページに情報がないのは当然ですね。
最新情報は日本語版にたよらず英文のドキュメント「IBM i License Program Products (LPP) and Operating System (OS) feature bundles」を確認しましょう。
最終更新は 2020-09-22 で日本語版にあった妙な IP1 の記述はなく、追加の 4 つのライセンス・プログラムの情報も記載されています。
このようにあれば、IBM 提供のイメージを利用した場合、ここにリストされているライセンス・プログラムすべてが導入済みであることを期待します。
また、このようにも記載されています。追加オプションのフィーチャーがあれば、すべて含まれるとあります。日本語・英語、どちらも同様の内容になっています。
日本語版
パッケージに含まれている各 LPP (オプションのフィーチャーを持つもの) には、すべてのフィーチャーが含まれています。 例えば、5770-BR1 ソリューションには、ベース製品に加えて、ネットワーク・フィーチャーと拡張フィーチャーが含まれています。
英語版
Each LPP in the package contains all of the features, including the optional features. For example, the 5770-BR1 solution includes the Network Feature and the Advanced Feature in addition to the base product.
IBM から提供されるイメージの一覧
いままで ロンドン 04 を使っていたのですが、今回は ダラス 12 に新規構築します。
ダラス 12 では、このレベルのイメージが提供されていました。
各々からインスタンスを作成します。
期待するライセンス・プログラムの一覧と DSPSFWRSC との比較
「IBM i License Program Products (LPP) and Operating System (OS) feature bundles」に記されている期待するライセンス・プログラムの一覧と導入後の DSPSFWRSC の表示内容を比較してみます。
7.2、7.3、7.4 の 3 つのインスタンスを作成しましたが、結果は同じだったため、状況欄はひとつにまとめました。
見やすいように Web 上のリストを DSPSFWRSC の表示順に直しています。SS1 の無料オプションの様に DSPSFWRSC では表示されるが Web 上のリストに無いものの記載はしていません。
あくまで Web 上のリストの項目が DSPSFWRSC で表示されるかの表です。
ライセンス | 状況 |
---|---|
5770-SS1 IBM i OS processor and includes unlimited users | OK |
5770-SS1 IBM i Option 18 Media & Storage Extensions | OK |
5770-SS1 IBM i Option 23, OptiConnect | OK |
5770-SS1 IBM i Option 26 DB2 Symmetric Multiprocessing | OK |
5770-SS1 IBM i Option 27 DB2 Multisystem | OK |
5770-SS1 IBM i Option 38 PSF for IBM i Any Speed Printer Support | OK |
5770-SS1 IBM i Option 41 HA Switchable Resources | OK |
5770-SS1 IBM i Option 42 HA Journal Performance | OK |
5770-SS1 IBM i Option 44 Encrypted Backup Enablement | OK |
5770-SS1 IBM i Option 45 Encrypted ASP Enablement | OK |
5648-E77: InfoPrint Fonts | 無し |
5722-IP1: InfoPrint Server for i | OK |
5733-ARE: IBM Administration Runtime Expert | OK |
5733-B45: AFP Font Collection for i | 部分 |
5733-SC1: Portable Utilities for i | OK |
5733-XT2: XML Toolkit | OK |
5761-AMT: Rational Application Management Toolset | 5770-AMT |
5761-CM1: Communications Utilities | OK |
5761-DB1: System/38 Utilities | OK |
5761-DS2: Business Graphics Utility | OK |
5769-FN1: AFP DBCS Fonts | 無し |
5769-FNT: AFP Fonts | 無し |
5770-AF1: Advanced Function Printing for i | 無し |
5770-AP1: Advanced DBCS Printer Support | 無し |
5770-BR1: Backup, Recovery and Media Services | OK |
5770-DFH: IBM CICS Transaction Server for i | OK |
5770-DG1: HTTP Server for i | OK |
5770-JS1: Advanced Job Scheduler for i | OK |
5770-JV1: Developer Kit for Java | OK |
5770-MG1: IBM Managed System Services for i | OK |
5770-NAE: Network Authentication Enablement for i | OK |
5770-PT1: Performance Tools | OK |
5770-QU1: Query for i | OK |
5770-SM1: IBM System Manager for i | OK |
5770-ST1: Db2 Query Manager and SQL Dev Kit for i | OK |
5770-TC1: TCP/IP | OK |
5770-TS1: Transform Services for i | OK |
5770-UME: Universal Manageability Enablement for i | OK |
5770-XE1: IBM i Access for Windows | OK |
5798-FAX: IBM Facsimile Support for i | OK |
Zend | 無し |
5648-E77: InfoPrint Fonts
「5648-E77: InfoPrint Fonts」は古いフォント製品です。
「Documentation for the Infoprint Fonts for Multiplatforms Product (5648-E77)」に情報があります。
後継製品は後述する 5733-B45 です。5733-B45 に関する情報「How to Install the AFP Font Collection for IBM i Product (5733B45)」に、こう記されています。
The AFP Font Collection for IBM i product (5733B45) is the replacement for both Infoprint Fonts for Multiplatforms and the old AFP Font Collection. Unlike Infoprint Fonts or the old AFP Font Collection, this is a program product that is installed on an IBM i System, rather than a set of library that is restored using the Restore Library (RSTLIB) command.
つまり、5648-E77 は RSTLIB で導入していたとあります。
RSTLIB で導入するのであれば DSPSFWRSC に表示されないのは当然なのですが、WRKLIBPDM などで確認しても、導入されてる気配は見つかりませんでした。
後継の 5733-B45 がちゃんと導入されていれば、困らないかもしれません。
5733-B45: AFP Font Collection for i
その後継製品の 5733-B45 です。
5733-B45 に関する情報「How to Install the AFP Font Collection for IBM i Product (5733B45)」を確認すると、これだけのオプションがあることになっています。
しかし、導入が確認できるのは、SBCS 用の 1、6、7 だけです。DBCS圏向けである、日本語、韓国語、中国語簡体字、中国語繁体字のフォントはアウトラインもラスターも導入されていませんでした。
5761-AMT: Rational Application Management Toolset
これは、プログラム ID の記載の間違いでしょう。5770-AMT が導入されていました。
5770-AMT は WDS のサブセットです。PDM と SEU が使えます。
使い方は「AMT で WDS に課金せずに PDM を利用する」に書きました。
5770-AMT を使えば「サーバー詳細の編集 - 課金金額の最適化とライセンスの追加購入」の時の様に PDM を使うためだけにに WDS を購入する必要はありません。
(この時は購入手順とライセンスの付与のされ方の確認が目的だったのでいいのですが)
5769-FN1: AFP DBCS Fonts
日本語フォントはライブラリー QFNT61 に導入される DBCS 向けの古くからあるフォントです。TS1 で PDF にする時のフォントとしてもよく使われます。
RSTLICPGM で導入する製品のため、導入されていれば DSPSFWRSC に表示されるはずです。
表示されていないということは、導入されていません。
ライブラリー QFNT61 もありませんでした。
5769-FNT: AFP Fonts
SBCS 用の AFP フォントです。
FN1と同様「ライセンス・プログラムのリリースとサイズ」に記載があります。
オプション番号を持ち、オプション番号で導入するフォントを選択します。つまり RSTLCIPGM で導入するはずであり、導入されていれば DSPSFWRSC に表示されるはずです。
表示されていないということは、導入されていません。
5770-AF1: Advanced Function Printing for i
こちらに記載があるように、7.2 で提供を終了し、7.3 からは提供されなくなった製品です。
IBM® Advanced Function Printing Utilities (5770-AF1) はもはやサポートされていません。
IBM Advanced Function Printing Utilities (5770-AF1) 用の最後のリリースは IBM i 7.2 でした。
サポートがない 7.3 以降なら理解できるのですが、サポートされる 7.2 でも イメージに含まれていないのは意外でした。
5770-AP1: Advanced DBCS Printer Support
5770-AP1 という製品はありません。あるのは 5761-AP1 です。
5761-AP1 用の言語オブジェクトが作成されているのは DBCS 言語だけで、英語の場合 2938 か 2984 になります。2924 向けは存在しません。
一次言語 2924 の導入メディアには 5761-AP1 は提供されていません。
「メディアのラベルと内容」でも、下記のようにアジア向けの導入媒体にしか AP1 が用意されていないことが示されています
IBM Advanced DBCS Printer Support for iSeries (B_GROUP3_04 のみ)
GROUP1、GROUP2 の媒体を使って導入している限り、5761-AP1 は導入できません。
DSPLICKEY で確認すると 5761-AP1 のキーが導入されていました。
そのため、B_GROUP3_04 を用意すれば 5761-AP1 は使える可能性があります。試しましょう。
B_GROUP3_04 のメディアをイメージカタログにセットして、導入します。
一次言語が 2924 の場合は、言語オプションに 2984 など DBCS 言語を指定します。
RSTLICPGM LICPGM(5761AP1) DEV(OPTVRT01) OPTION(*BASE) LNG(2984)
RSTLICPGM LICPGM(5761AP1) DEV(OPTVRT01) OPTION(1) LNG(2984)
二次言語として 2930 や 2962 を使うなら、それ用の言語オブジェクトを導入してもよいでしょう。
RSTLICPGM LICPGM(5761AP1) DEV(OPTVRT01) OPTION(*BASE) RSTOBJ(*LNG) LNG(2930
RSTLICPGM LICPGM(5761AP1) DEV(OPTVRT01) OPTION(1) RSTOBJ(*LNG) LNG(2930)
ライセンスが自動登録され、使えるようになりました。
注意
今回のダラス 12 は 5761-AP1 に対するキーが正しく発行されていたのですが、これまで使ってきたロンドン 04 の S922 では 5761-AP1 ではなく 5770-AP1 に対してキーが発行されていました。
そのため、B_GROUP3_04 から 5761-AP1 を導入してもライセンス認証されませんでした。
また、同じロンドン 04 の E980 では自分のシリアル番号に対するキー情報が登録されていませんでした。
別のシリアル番号のキーが誤ったプログラムID 5770-AP1 に対してキーが発行されていました。
そのため、こちらの IBM i では 5761-AP1 を利用可能にすることはできませんでした。
5761-AP1 を導入してもライセンス認証されない場合はキーが正しいか DSPLICKEY で確認してみてください。
Zend
「Zend Server Basic for IBM i のOSへのバンドル停止と無償利用の終了。有償エディションかCommunity PHPへの移行を」でも書いたように、Zend Server Basic for IBM i のOSへのバンドルは 2020-06-30 で終了しました。無償利用は 2021-06-30 で終了します。
Zend Server は導入されていませんでした。
2020/06/30 まで入手したのであれば 2021-06-30 まで無償で使っていい可能性がありますが、すでに 2020/10 です。
以前、プリロードのIBM i の場合、Zend Server の導入ファイルが QGPL に 保管ファイルの形で用意されていましたが、今回の IBM i には、そのような形跡は見つかりませんでした。
リストの意図は事前導入 ? それとも足りないのは持ち込め ?
AP1 のキーが(正しいにせよ誤りにせよ)登録されていたことで、リストの意味に疑問を持ち始めています。
IBM Cloud 資料の Web サイトのリストは「イメージとして導入済みで提供する」と思っていたのですが、「ライセンス上利用を許可しているだけであり、必ずしもイメージに事前導入しているものではない。必要なら自分で導入すればよい」なのかとも考えています。
ただ後者の場合、導入メディアをどのように用意するのかという疑問がわきます。
フォントにはキーがなく、基本のメディアセットにも含まれません。
現在オンプレで使っている場合は、それを流用してかまわないのか、オンプレで使っておらずメディアは持っていないが Cloud への移行後、追加機能として必要になったらどうすればいいのか...いろいろ疑問がわいてきます。
IBM の Cloud サポートには問合せています。役立つ回答が帰ってきたら追記します。
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