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認定スクラムマスター研修で学んだこと

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認定スクラムマスター研修を受けてきました。

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事前準備

「スクラムは何か」の用語についてはしっかりと学習しておく必要があります。
下記の資料によくまとまっているので覚えてから受講すべきです。
特にスクラムの原理原則となるスクラムガイドとアジャイル宣言、アジャイル原則は必読です。

スクラムガイド2017
スクラム入門
アジャイルソフトウェア開発宣言
アジャイル宣言の背後にある原則
スクラム (ソフトウェア開発) - Wikipedia

認定スクラムマスター研修の内容

受講は3日間でした。その中にあった座学的な内容についてまとめています。

スクラムマスターの認定の種類と団体について

受講するまで知らなかったのですが、スクラムマスターを認定している機関は複数あるとのことでした。

団体名 省略名 対象としている領域
スクラムアライアンス S.A. 営利団体向け
スクラムオーガナイゼーション S.O. 非営利団体向け
Scrum Inc Scrum Inc ライセンス?

今回受けたのはS.A.(スクラムアライアンス)の認定研修でした。

研修とトレーニング

今回のセミナーは「研修」ということでしたが、原文は「Training」。
日本語にすると「研修」になってしまうが、あくまで「トレーニング」として、このセミナーを通じて鍛えていって欲しい、とのことでした。

Responsibility と Accountablity

Responsibility と Accountablityについて。
日本語に訳すと「責任」と一言になるが、英語圏では Responsibility、Accountablityを明確に分けています。

Responsibilityはこれから未来に向かって負うべき責任。任務を遂行するべき責任。
Accountablityは過去に対しての(説明)責任。立場として過去に起こった事柄についての責任。

スクラムマスターはスクラムチームにスクラムを理解させ、適用させるResponsibilityを置い、その結果に対してはAccountabilityを負います。
決して開発チームにAccountabilityを負わせないです。

スクラムマスター研修を通じて、このResponsibilityとAccountabilityを意識して議論が交わされました。

また scrum.orgでは下記の通り説明されています。

The Development Team is accountable for creating releasable Increments.
The Product Owner is accountable for maximizing the value of the work.
The Scrum Master is accountable for the understanding and application of Scrum.
https://www.scrum.org/resources/blog/accountability-quality-agile

開発チームはリリース可能なインクリメントを作成することにAccountabilityを負う。
プロダクトオーナーはその成果物に対して価値を最大化させることにAccountabilityを負う。
スクラムマスターは(スクラムチームに対して)スクラムの理解と適用にAccountablityを負う。

また英語圏に住んでいる日本人はこの言葉の違いに気が付くようで、下記のようにまとまっていました。

responsibility:これから起こる(=未来)事柄や決定に対する責任の所在。
accountability:すでに起きた(=過去)決定や行為の結果に対する責任、またそれを説明する責任。
またこの2つの言葉には、以下のような局面で使用されるという、側面も持つ。
responsibility:「誰の責任であるのか?」という時に使われる。
accountability:「誰が責任を取るのか?」という時に使われる。

時系列の進み方(A時点からB時点)

「スクラム」とは改善させることです。
「改善させる」ということは時間の経過に伴って状況をよりよくさせる、ということです。
「時間の経過」について、「A時点」(A地点)から「B時点」(B地点)に対して時間が経過した場合を想定しています。
このA時点からB時点にたいして何らかの改善を行えていること、が重要となります。

Controll と Manage

チームを管理する種別として、 controlとmanageに大別します。

名称 説明
control チームに行動を命令して管理する方法。マイクロマネジメント。 e.g. 「〇〇を△△までに終わらせるように作業しなさい」
manage チームが自律して行動するように管理する方法。

スクラムマスターは開発チームを管理するために manage します。決して細かく作業内容を指示する control ではありません。
「manageする」とは(開発)チームが自律して行動できるように管理することです。
スクラムマスターはサーバントリーダー(奉仕をするリーダー)でなくてはなりません。チームに対して自律して行動できるよう、奉仕をする、そういったリーダーでなくてはならないのです。

Scrum Slavesになってはいけない、という話【翻訳】 - Qiita

Servant Leader or Slave – a rant about “removing impediments” - Adventures with Agile

スクラムでは(開発)チームの自律性が重要なので、controlではなくmanageということに注意する必要があります。

チームの自律性

スクラムではチームが自律して行動することが必要です。
チームの自律性を確保するために下記の3つが必要です。

名称
ゴール
境界(バウンダリ)
0.1秒以内に行動できる状態

ゴールとは、チームが何をすべきか、タスクに対してどういうことをすれば完了状態(done)なのか、ということです。
このゴールは明確でなくてはなりません。ゴールが明確であるとは、(開発)チームの誰が見ても完了が明らかであることです。

境界(バウンダリ)とは、(開発)チームが行動することができる範囲、改善できる範囲を表しています。

認定スクラムマスター研修に行ってきました - Hack Your Design!

そしてゴールと境界が明確になることで、(開発)チームが0.1秒以内に行動できる状態となります。
この状態になることでチームが自律して動くことができます。

やるべきことが明らかで(ゴール)、やってはいけないことが明らかで(境界)、それをもとに0.1秒以内に行動できる、ということです。

人の行動

「人は本質的に、命令されて行動しない」

人は命令されてその場では行動したとしても表面的なもので、すべての行動をコントロールすることは不可能です。
スクラムマスターはスクラムチームを自律的に行動させる必要があります。
そのためには行動を命令するのではなく、行動を変えるための働きかけが必要です。
そのためには時には心理学や話術を利用することも必要です。

スクラムマスターはチームを守らなければならない

スクラムマスターは(開発)チームを守っていく必要があります。

スクラムを適用させたスクラムチームは改善を行いながら課題に取り組むことになります。
その課題を解決するためには外部からの色々な干渉がある場合がほとんどです。
顧客、関連部署、上長、役員、関連するステークホルダーは多く存在します。
そういった関係者は無為にチームに干渉しようとしますが、チームはあくまで自律していなければなりません。
スクラムマスターはそういった干渉からチームを守らなくてはなりません。

合理性と感情性

スクラムチームは合理的な決断を下していく必要があります。
人とは究極的に感情的な生き物ですが、スクラムチームは成果を上げて改善を繰り返すため、最も合理的な判断をしなければなりません。
ときにはスクラムチームのメンバー間で意見が衝突することもありますが、感情にながされるのではなく、常に合理的に判断を下す必要があります。
特にスクラムマスターはチームが合理的な判断を下すための手助けをしなければなりません。

3大アーティファクト

  • インペディメントリスト
  • スプリントバックログ (あと一つは聞き漏らしました…)

組織論

スクラムチームはフラットでなければならないです。チームメンバーの間に階層は存在せず、自由に意見を言い合えなければならないです。
開発チームが自律的にタスクを決め、計画を行い、合理的な判断を行うための議論をするためには階層があってはいけません。

組織とは階層構造かフラットな構造の2つしかありません。
会社組織とは階層構造です。階層構造は指揮系統を明確にし、組織メンバーをコントロールするために存在します。
対してスクラムチームはフラットな構造です。指揮系統はなく、自律的に行動する自己組織化された状態です。
このフラットな状態を意識する必要があります。

参考、関連サイト

認定スクラムマスター研修のメモ書き - Qiita
認定スクラムマスター研修とは? - Qiita
スクラムマスター研修の参加レポート - Qiita
認定スクラムマスター(CSM)研修について - Qiita
Scrum Inc認定スクラムマスター研修に行き認定スクラムマスター(Licensed Scrum Master)になった - Qiita

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