Postman Agent Mode入門シリーズ
- Agent Modeを使いはじめる (本記事)
- OWASP APIセキュリティ準拠テストの追加
はじめに
クローズドBETA期間を含めると、リリースされてからもう半年以上になるのではないかと思いますが、ここらへんでPostman Agent Mode(以下、Agent Mode)について紹介してみようと思います。
API仕様・テスト・ドキュメント作成など、Postmanをお使いのみなさんがAPIにまつわる作業をする場合、Postmanアプリを直接操作して行っていると思いますが、Agent Modeの登場により、その流れが大きく変わる可能性があります。これまでの人が手で操作するスタイルから、他のAI駆動アプローチと同じく次のような流れで進めることができるようになりました。
<目的 (Intent)> → <自然言語で指示> → <エージェントが実行> → <結果をレビュー>
このAgent Modeの導入目的ですが、PostmanのUXは比較的直感的であるため、操作・設定のためというよりは、LLMの最大の強みである「生成」処理において特に力を発揮すると見込んでます。例えば下記のような場面で特に力を発揮します。
- API仕様(OpenAPI)の作成や最適化の提案
- APIコレクションの初期生成
- テストコード作成
- APIドキュメント生成
- Postman Flowsの各フローの構築
AIエージェントが生成し、利用者がレビューする。これがAgent Modeの基本スタンスです。
Postman Agent Modeとは?
Agent Mode は、チャット形式で自然言語の指示を入力するだけで、Postman内の多くの作業を自動化してくれる機能です。内部では Postman AIエージェントが動作し、Postmanワークスペース内にあるあらゆるコンテキストを理解したうえでタスクを実行します。例えば、コレクション、APIリクエスト、テスト、ワークスペース、環境変数、モックサーバー、モニター、フロー、Spec Hubの仕様データ、など。そして、これらのデータを参照しながら、目的に合わせてタスクを自動で進めてくれます。目的達成のためには、複数タスクもまとめて実行します。
Agent Modeは、単発の命令だけではなく、目的を達成するために必要な一連の処理を自動で組み立てるという点が大きな特徴です。
利用可能なプラン(2025月12月時点)
Agent Modeは、AI利用に同意しているユーザーであればエンタープライズプラン以外のプラン(Free、Basic、Professional)で利用できます。
Agent Modeを使いはじめる
Agent mode利用開始のための設定
Agent Modeを使うには、まず有効化する必要があります。もし、意識せずに既にAgent Modeが利用できるようになっている場合は、Agent Modeが有効化されているためです。
設定は、Postmanアプリの画面の右上にあるSettings (設定)から次の流れで有効化できます。
- Settings > AI を開く
- 最初のトグルをオンにする
また、他にも同設定画面で、Agent Modeの前のレガシーAIアシスタント(Postbot)を利用するであったり、コード関連の挙動もカスタマイズできるオプションがあります。詳しくは下記のページが参考になります。
Agent Modeが有効化されたら、Postmanアプリの右下にAgent Modeアイコンが表示されるようになります。このアイコンをクリックするとAgent Mode用のチャット窓が表示されます。
ざっくりとコレクションを作成
まずは手始めに、Agent Modeのチャット窓に次のプロンプトを入力して簡単なコレクションを作成してみます。
ポケモンAPIのコレクションを作ってください
上記プロンプト入力後、下図のように、Postman AIエージェントが、ポケモンAPIの探索にはじまり、エンドポイントの選定という複数タスクを実行し、最終的にPoke API Collectionという名前のコレクションを作成しました。
ここでは、実際に存在するポケモンAPI( The RESTful Pokémon API v2 doc: https://pokeapi.co/docs/v2 )を探してきてそれを元にコレクションを作成してくれました。
今回のプロンプトでざっくりとした指示を出しましたが、具体的なAPI仕様のアイデアや、それに関連するAPI仕様ドキュメントを提示することで、より具体的なコレクションをつくってくれるはずです。
ざっくりテストを追加
次に、Agent Modeに次のプロンプトを入力して、作成されたコレクションの各APIリクエストにテストスクリプトを追加してみます。
Poke API Collectionの各APIリクエストにレスポンスを検証するためのテストスクリプトを追加してください
プロンプト入力後、下図のように、Postman AIエージェントは、コレクションや各APIリクエストの詳細を確認し、その構造からテストスクリプトの内容を構築します。
今回の指示は「レスポンスを検証するためのテストスクリプト」というざっくりしたものですが、各リクエストに次のようなテストを追加してくれました。
- Get Pokemon by Name: ステータスコード、JSON形式、必須プロパティ(name, id, height, weight, abilities, types, stats)、データ型検証
- Get Pokemon by ID: ステータスコード、JSON形式、基本情報の存在確認、IDの数値検証
- List Pokemon: ステータスコード、JSON形式、ページネーション情報(count, next, previous, results)、各結果のname/url検証
- Get Pokemon Species: ステータスコード、JSON形式、種情報(name, id, evolution_chain, flavor_text_entries)の検証
- Get Type: ステータスコード、JSON形式、タイプ情報(name, id, damage_relations, pokemon)の検証
- Get Ability: ステータスコード、JSON形式、特性情報(name, id, effect_entries, pokemon)の検証
- Get Move: ステータスコード、JSON形式、技情報(name, id, power, accuracy, type, damage_class)の検証
追加されたスクリプトについて例を上げると、Get Pokemon by Name リクエストには次のスクリプトが追加されました。
pm.test("Status code is 200", function () {
pm.response.to.have.status(200);
});
pm.test("Response is JSON format", function () {
pm.response.to.be.json;
});
pm.test("Response has required properties", function () {
var jsonData = pm.response.json();
pm.expect(jsonData).to.have.property('name');
pm.expect(jsonData).to.have.property('id');
pm.expect(jsonData).to.have.property('height');
pm.expect(jsonData).to.have.property('weight');
pm.expect(jsonData).to.have.property('abilities');
pm.expect(jsonData).to.have.property('types');
pm.expect(jsonData).to.have.property('stats');
});
pm.test("Name is a string and ID is a number", function () {
var jsonData = pm.response.json();
pm.expect(jsonData.name).to.be.a('string');
pm.expect(jsonData.id).to.be.a('number');
});
pm.test("Abilities and types are arrays", function () {
var jsonData = pm.response.json();
pm.expect(jsonData.abilities).to.be.an('array');
pm.expect(jsonData.types).to.be.an('array');
});
テストの網羅性は最終的には人がチェックし、追加・修正・削除を行うことになりますが、大まかな指示だけでもこれだけテストケースを追加してくれると、その後の作業負担を大幅に軽減できると思います。
当然ながら、より細かい指示を与えればより具体的なテストを追加してくれます。このあたりは今後の記事で紹介していきます。
Agent Modeの主要設定ポイント
最後に、Agent modeの主要な設定ポイントを紹介します。
AIモデルの選択
Agent Modeでは、使用するAIモデルを選択できます。当然ながらモデルごとに速度・品質が異なるため、タスク内容に応じて適切なものに切り替えてみるとよいでしょう。
MCP Serversの設定
Agent ModeはMCP(Model Context Protocol)に対応しており、外部のMCPサーバーと接続できます。Postman外のツールやドキュメントと連携し、より高度なワークフローを自動化できます。
チャット履歴の管理
過去の会話を振り返ったり、最初からやり直すことが可能です。複数ステップを振り返ったり、改善作業を進めるのに便利です。
コンテキストの選択
Agent Modeでは、コンテキストとして明示的にPostmanの要素を選択したり、直接Agent Modeのチャット窓にドラッグ&ドロップできます。当然ながら、コンテキストを渡すほど、返ってくる結果の精度は上がります。
- リクエスト
- フォルダ
- コレクション
- ワークスペース
- Flow
- Example
など
Approvals と Auto-run
デフォルトでは、Agent Modeはデータ変更が発生する操作の前に必ずApprovalを確認します。もし、ワークフローを高速化したい場合は Auto-run をオンにすると便利です。
おわりに
Agent Mode、とても便利なので使ってみてください。

