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Scrum Fest Osaka 2020にチームで参加した私たちのチームはモブワーク+フラクタルスプリントにTryすることになりました

Last updated at Posted at 2020-07-02

はじめに

この記事は、2020/06/26-27に開催された Scrum Fest Osaka 2020 に参加したチームが、モブワーク+フラクタルスプリントにTryしてみた活動記録です。

ラノベっぽくタイトルを付けてみましたが、それ以上の意図はありません。

まだ始まったばかりなので、どうなるかは分かりません。変化も(気力があれば)この記事で追っていきたいと思います。

背景

NRI asleadのサブチーム。
6月に発足した、3人体制のチームです。

体制は以下の通り。

  • PO 兼 アジャイルコーチ 兼 Dev = 森
  • SM 兼 Dev = Aさん
  • Dev = B さん

兼任しまくりのバッドプラクティス盛り盛りのチームですが、小さいチームなので致し方なし。
Aさん、Bさんはアジャイル・スクラムの経験はなしです。

チームメンバーも若手(Aさん)、中堅(私)、ベテラン(Bさん)と多様性に富んでいます。

全員業務・プロダクトの兼任があり、現状では仕事をはがしきれていないため、週2日間での稼働です。
1週間スプリント(実質2日スプリント)で開発を進めています。

最初の2週間はSprint #00としてキックオフや足回りの整備(チームビルディングやプロダクトバックログの作成など)に使い、そこからSprint #01を開始。現在、Sprint #04まで終わりました。

  • Sprint #00(06/03~06/16):4日
  • Sprint #01(06/17~06/23):2日
  • Sprint #02(06/24~06/30):2日
  • Sprint #03(07/01 -am):3時間
  • Sprint #04(07/01 -pm):3時間
  • …現在(07/02)

変化のきっかけ

チーム全員でコミュニティ・カンファレンスに参加する、というのは、SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】にコラムを書いている太田さんの影響を受けて、です。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2019で太田さんが発表していた「スクラム1年生のチームが全員でRSGT2018に参加してわかったチーム開発、はじめの一歩」を聞いて、私も自分のチームで参加してみたいなぁ、という想いが非常に強くありました(自分のふりかえり記事でもそう記載していました)。

一部のチームメンバーとカンファレンスに参加する、のは何度かチャンスがありましたが、チーム全員で参加するような機会はなかなかなく、年月が経ってしまいましたが、1年半越しにようやく実現できた形となります。

私自身、これまで及部さん(@TAKAKING22)やきょんさん(@kyon_mm)の発表を様々な場所で聞き、影響を受け、自分なりに取り込めるところを活動の中に取り込んできました。

ふりかえりのフラクタルフレームワークや、モブプログラミング・モブワークが当たり前の世界観など、自分の関連するチームで実践してきたのですが、エクストリームな変化はなく、徐々に変化していくのが常でした(それが悪いとは思っていません)。

私たちのチームは、元々フルリモートだったのもあり、採用しやすいモブワークは最初から採用していました。
そして、チームビルディング観点かつ、アジャイル・スクラムをやっている人たちの姿を見て、何かしらのブレイクスルーが起こるのを期待して、Scrum Fest Osaka 2020にチーム3人全員で参加しました。

また、私が影響を受けてきた及部さん・きょんさんの「チームの1つの到達点」の姿を、チームのメンバーと一緒に見ることで、よい変化が起こるのを期待して、ふたりのセッションである「Scrum Fest Osaka 2020 Day 2 Agile Wars − アジャイルチームの夜明け」を視聴しました。

上記のセッションに参加するほか、他の人たちの話を聞きながら、ワークに参加しながら、合間合間でチームで感想戦を行っていました。明日からこうしたいよね、とか、これは試したいね、とか。

一人でイベントに参加するだけでは、「こうしたいなぁ」という願望で終わってしまうことでも、チーム全員で参加することで「こうしよう」「やってみよう」というチャレンジを後押しするきっかけをくれました。

そして早速、Scrum Fest Osaka 2020に参加した次のスプリントから、私たちの実験が始まりました。

ここからは、元々どのような動き方をしていたのか、という部分と、その後の変化について語っていきます。

before:採用していたプラクティス

リズムを合わせる

全員が同じ時間・同じ場所で働けるよう業務を調整しました。
水曜・金曜は、全員09:30-17:00の間、Zoomで繋ぎっぱなしでプロダクト関連業務をしています。

フルリモート

Zoomで顔を合わせながら、画面共有をしつつ作業をします。

モブワーク

全員のWIPは1です。10分~15分単位でドライバを交代してワークを行います。

2日スプリント

以下のようなリズムで行っていました。

水曜

  • 09:30-09:45 デイリースクラム
  • 09:45-17:00 開発

金曜

  • 09:30-09:45 デイリースクラム
  • 09:45-14:00 開発
  • 14:00-15:00 プロダクトバックログリファインメント
  • 15:00-15:30 スプリントレビュー
  • 15:30-16:15 ふりかえり
  • 16:15-17:00 スプリントプランニング

デイリースクラムはほぼほぼ、前日のふりかえりや雑談です。

雑談・休憩

1時間のうち必ず10分程度、休みを全員で取るようにしていました。
その間は仕事から離れ、トイレ休憩したり、みんなで雑談します。

社外イベントへの参加

など、チーム発足当時から各種イベントに聴講者として参加してくれていました。

活動状況をフルオープン

Zoomを部内・関係者に共有し、誰でも見学できるようにしました。
参加した人に感想を貰ったり、各現場での悩み相談に繋げたりしています。

スプリントレビューに社内ステークホルダーを自由参加で呼ぶ

社内のプロダクト利用に関連する人たち(営業・関連プロダクト開発者・マネージャ・関連チーム・想定利用ユーザーなど)を50名弱呼んでいます。Sprint #01-02とインクリメントのデモを出来ており、毎回15~20名程度参加いただき、40近くのフィードバックをいただけています。フィードバックは、プロダクト開発序盤の方向性決めにとても役立たせていただいています。
また、参加者の皆さんも属性が違う人ばかりですが、(今のところ)ポジティブに参加いただいているように感じています。

after:変化

Scrum Fest Osaka 2020に参加してから、以下のような変化が始まりました。(現在進行形で進んでいます)

積極的なアウトプット

これまで社外発信をしたことのないメンバーが、積極的にアウトプットを出そうという気力を見せてくれています。半年に1件くらいは社外アウトプットを頑張ろうね、という程度のグループ目標で、チームメンバーももともとアウトプットに関してはあまり乗り気ではなかったように思います。それが、イベント参加後にすぐレポートを書く、というのを自発的に行っています。

社外イベントへの積極参加

各種イベントで、聞くだけでなく、自分から意見を言うなど、その場にJoinする意識が非常に高まりました。

3hスプリント/フラクタルスプリント

2日スプリントを、以下のようなスプリント構成に変更して実施しました。

水曜日 10:00-14:00 Sprint #03

  • 10:00-10:10 スプリントプランニング
  • 10:10-10:50 開発1
  • 10:50-11:00 休憩
  • 11:00-11:40 開発2
  • 11:40-12:40 休憩
  • 12:40-13:20 開発3
  • 13:20-13:30 スプリントレビュー
  • 13:30-13:45 ふりかえり
  • 13:45-14:00 休憩

上記でやってみて、

  • 時間の切り替えが不規則でやりづらい
  • 30分・1時間のステークホルダーとの打ち合わせに対応しづらい
  • スプリントレビューに10分もいらない

といったことがすぐにわかったので、以下のように変更して実施することにしました。

Sprint #04以降 / Delivery Sprint

  • 15分 スプリントプランニング
  • 15分 開発1
  • 15分 開発2
  • 15分 休憩
  • 15分 開発3
  • 15分 開発4
  • 15分 開発5
  • 15分 休憩
  • 15分 開発6
  • 15分 開発7
  • 15分 スプリントレビュー+ふりかえり
  • 15分 休憩

Discovery Sprint

  • 45分 プロダクトバックログリファインメント
  • 15分 休憩
  • 30分 スプリントレビュー(ステークホルダー向け)
  • 30分 ふりかえり
  • 15分 休憩
  • 45分 プロダクトバックログリファインメント

Delivery Sprint ×3, Discovery Sprint ×1 で1サイクルです。

ポモドーロタイマー

Sprint #04よりMobsterを導入し、15分ごとに動作の切り替えをしやすくするほか、ドライバ・ナビゲータをそのタイミングで切り替えるようになりました。

休憩タイムでの雑談(Sprint #03-06)

1時間に15分、必ず休憩時間を取り、そこで雑談を行っています。
仕事に関する雑談が多いですが、考えの整理や、休憩の中で新たなチャレンジが発生しやすくなっています。

タイムボックスを順守(Sprint #07-10)

15分でのポモドーロや、3時間でのポモドーロは必ず守るようになりました。
あと1行書きたい!というときにも時間厳守で終わらせることで、メリハリも出来ますし、改善のタイミングも出来ます。
また、休憩の時間もしっかりとれることで、疲労の回復や学びの時間が増えるメリットもあります。

雑談によるふりかえり

1スプリントの中でのふりかえりは、雑談でのふりかえりになりました。
(といっても、元々のふりかえりの雑談ベースでしたが)
皆で雑談しながら、Confluenceに箇条書きで書いていき、次もっとうまくやるための方法を話し合います。
アクションは即時実行です。

雑談・問いベースでふりかえりをやっているため、ふりかえりカード(問い)との組み合わせも非常によい効果を発揮してくれそうです。

Learning Sessionを作る(Sprint #07-10)

1日のうち30分(09:30-10:00)、計2日をLearning Sessionのための時間として作成しました。
チームメンバーの考え方の共有ができたり、これまで得てきた学びを共有できたり。
社外のコミュニティで得てきた内容をチーム全員で共有することで、学びとアウトプットのサイクルが出来上がったように思います。
結果的に、次何をやってみよう、という実験をする機会が生まれやすくなりました。

継続的に行うほうが、モチベーションが保てるという意見も出ています。

Treasure Map(Sprint #07-10)

ホワイトボード(Miro)でスプリントバックログやTODO、モブ中の疑問などを全て表現するようになりました。
Jiraと比べると、全量が1ページで見えるため、どこまで進んでいるかが分かりやすく、モチベーションにもつながります。
また、チケットするまでもないけど残しておきたい、という情報を共有しやすくなりました。
Jiraのチケットを作るよりも簡単な操作でタスクの細分化が簡単に出来るため、

みんなでScrum Fest Osakaの動画を見る(Sprint #07-10)

みんなで1週間分のバックログを早めに消化したとき、チームみんなで動画を視聴しました。
同時に見ることで学びもすぐに共有できますし、とても有意義な時間になりました。

みんなでコミュニティのイベントに参加する(Sprint #07-10)

同じイベントにみんなで参加する、というのをやっています。
刺激を受けやすいですし、互いに実況しながら参加することで学びも大きくなります。
直近では「アジャイルチームを支える会」に参加しています。

アジャイルなマインド・動き方への高速な適応

1スプリント3時間のため、1スプリント内に収まるようなサイズでプロダクトバックログを分割する必要が出てきます。
Sized rightかつValuableな単位で分割できていたと思っても、実はリスクを検討しきれていなかったり、という部分がスプリント開始してすぐに露呈します。それもすぐにカイゼン対象となるため、超高速でアジャイルなやり方にチームが適応していっているのが分かります。

私の感覚的には、1か月スプリント・2週間スプリント・1週間スプリント・2日スプリント・3時間スプリントと経験してきた中で、スプリントの時間が短ければ短いほど、アジャイルな動き方になる、一体感が出てくるのが速いと感じています。この変化には、アジャイル経験の有無は関係なさそうです。

Scrum Show Workshopの実施でも同様の効果を感じていますが、短い時間でステークホルダーにデモできるインクリメントを作る繰り返しが、チームのアジャイルマインドの導入に一躍買っていそうです。

メリハリがあり楽しく学びがある

何より楽しいです。濃密な時間をチームと過ごせており、やっているだけでチームの関係の質は高まっていきますし、メリハリもあります。
3hスプリントをやっていない(別の業務をしている)ときでも、いつも以上にメリハリを持って業務を遂行することができた、という風にチームメンバーも言っています。

実験にすごく前向きになった

新しいことに取り組む、ということへの恐怖が取っ払われたように思います。
社外アウトプットもしかり、ですが、「失敗したらどうしよう、やってみるのが怖い」というマインドから、「やってみてダメだったらすぐカイゼンしよう」というマインドにチーム全員のスイッチが切り替わったように思います。

一人いなくてもよしなにできるという安心感

最初からモブをやっているため、かつ3時間という短いスプリントのため、1人いなくても大きな問題は起こらない、という安心感があります。きっと誰かが休んでいても、他のメンバーでよしなにいいインクリメントを作り上げてくれるでしょう。

疲労感が凄い

多分、1日に2スプリント(6時間)以上は続けられません。体力的に・脳みそ的に疲労で動けなくなります。

長期目線がおろそかになりそうという不安と、フラクタルスプリント

現状で2か月先までのマイルストンは見えているのですが、リファインメントの時間はしっかり取らないと、直近のバックログに追われてしまい、先行投資が出来なくなりそうです。
だからこそのフラクタルスプリントなんだなー、と今のところ理解しています。
Delivery SprintとDiscovery Sprintをうまく交互に繰り返して、中長期先のことまで戦略立てていけるようにしていく必要があります。

いろんなものを始めるのが早くなっている(Sprint #07-10)

メンバーの一人がSprintの途中で抜けることが多いのですが、そのメンバーから「新しいプラクティスを取り込むスピードが上がっている」という風に言ってくれました。
抜けて戻ってきたときに、チームの変化が激しく見えるようです。
Learning Sessionや雑談の効果が出ているのだと思います。
雑談の中で「新しいプラクティスを試そう」という会話が生まれるため、一人で頑張らなきゃというのもなくなるし、気軽に新しいプラクティスを試せるようになっています。

今後に向けて(07/02時点)

定期的にこの記事は更新していこうと思うのですが、直近みんなでやりたいなと考えているものです。

チーム名を決める

毎スプリント、少しずつチームビルディングは続けているのですが、私たちのチーム名を付けたいなぁと。
いい感じの名前をみんなで考えてみます。

Scrum Fest Mikawaにみんなでプロポーザルを出す。

SIerの中でもこういう活動は出来るんだよ、っていうところをみんなに伝えたいです。
イベントまでに、単純計算で60スプリント位は出来ているはずなので、もっといろんな変化がありそうだなと。

1時間スプリントをやってみる

モノは試しで1時間、15分を経験してみるのは面白そうだな、と思っています。
きょんさんが見ている世界を私も経験してみたい。どうなるんだろう。ワクワク

これから、実験&実験でどんどんいろんなことをやっていけるチームになりそうです。
私も変化が楽しみです。

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