この記事は、2019/01/09(水)~2019/01/11(金)の3日間にかけて行われた、Regional Scrum Gathering Tokyo 2019(略してRSGT2019)のふりかえり記事です。
RSGT2019は、国内最大級のスクラム実践者が集まるカンファレンスです。3日間で300人の参加者と、30組のセッションが行われます。今回、私はSpeakerとして参加してきました。聞く内容だけでなく、話す内容を作っていく中でも大きな学びや気付きがありましたので、この記事に残しておきたいと思います。
Day1, Day2はこちらをご参照ください。
また、このレポートはカンファレンス・研修などの学びをふりかえるフレームワークの提案:フラクタルに沿ってふりかえった結果(Output Cycle)です。
こちらもあわせてお読みください。
イベント
3日目は午前にOST(Open Space Technology)という自分たちが好きな場所で好きなことを話し合うワークショップがあったあと、ヤッホーブルーイングの社長(しゃちょ)こと井出さんのクロージングキーノートです。
去年のRSGT2018では、午前にワークショップに参加していたためOSTにうまく入り込めず、悲しい思いをしたため、今年はワークショップには出ずにOSTに行きました。
3日間で一番人と喋った日でもあります。
ふりかえってみます。
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参加したセッション
- OST1(ふりかえりがうまくいかない/ふりかえりでの問いかけ)
- OST2(小さな成功体験を集めよう)
- よなよなエール流 熱狂を生むチームづくり ~8年連続赤字から13年連続増収増益までの軌跡~
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その他
- 朝のキーノート開始まで
- ランチタイム
- クロージング&解散+懇親会(y.otaさんとの1on1)
- クロージング&解散+懇親会((これからどう過ごすか / y.otaさん + kyon_mmさん + 及部さん + 木村さん + 森)
- 懇親会(個人のふりかえりの相談 / きもりたさん)
それぞれのイベントごとにふりかえります。
参加したセッションごとのふりかえり
OST1(ふりかえりがうまくいかない&ふりかえりでの問いかけ / とまつさん・水野さん)
去年もいくつか話にあがっていた、ふりかえりの話。
水野さんに呼ばれた気がするので混じってグラフィックファシリテーションをしてきました。
私のセッションで話した内容もちょいちょい混じってきていますが、色々な方面から悩みを聞くことができたと思います。
セッションの内容
ふりかえりでの問いかけ
— びば(森のフレンズ)/技術書典6 ふりかえり読本 学び編 (@viva_tweet_x) 2019年1月11日
#RSGT2019 pic.twitter.com/3ouLp028nN
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問い:KPTってどうなの?
- Sprintの問題をふさぐだけになってしまっている。
- ほかの手法はないものか、知りたい
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Why:なぜふりかえりをしているのか?
- プロセスを改善したいから
- 見える化をしたいから
- これによって状況が見えるようになる
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Why:なぜKPTの話が出てきたのか?
- リリースサイクルのような大きな問題をなんとかしたいが、KPTで解決できない
- ふりかえりの中でしかカイゼンできていないように思う
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Solution:そもそもその問題はふりかえりで解決すべき問題か?
- Problemが大きければ大きいほど、問題の大きさに心が折れる
- ふりかえりの中で解決しようとしても解決せず、落ち込む
- 大きな問題であれば、VSM(Value Stream Map)のように、時間がかかるが効果的なものを別途時間をとってやればよい
- チームにとって/プロダクトにとって必要な問題であれば、プロダクトバックログに入れればいい
- 学びがあればいいんだよ というようにふりかえりのハードルを下げる
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ふりかえりの心理的ハードル(期待値)を下げる
- どのラインをふりかえりに期待するか?
- 問題がすべて解消する
- 問題が1つ解消する
- 問題が共有され、見える化される
- 何がわかったか、わかっていないか、というのを共有する
- 一番下のラインでもいい
- 見える化できたことで「ヤッター」と言ってもいいかもしれない
- 原因がわかった、というだけでもふりかえりは成功している
- どんな理想を描いているか見える化してみよう
- どのラインをふりかえりに期待するか?
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「問題と思う」と言える関係になっているか?
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ふりかえりはゆるいスタートでもよい
- 普段の雑談
- 価値観を知る
- 性格診断
- MBTI
- 価値観ババ抜き
- まずは「人、関係」に着目する。「プロセス、ツール」はその次。
- コミュニケーション・コラボレーションがうまくいく状態に持っていく
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ふりかえりはゆるいスタートでもよい
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問い:問題を小さく切り崩すためにどういう進め方するか?
- ファシリテーターの意見の引き出し方
- 心理的安全性
- 「いいんだよ」という言葉による安心
- 気持ちをリセットする
- リフレッシュする
- ランチで話す
- 問いかけ方
- Keepはこのままでいいの?
- どこが最高の瞬間だった?
- うまくいったところはどこ?
- コミュニケーション、コラボレーションでよかったところは?
- 心理的安全性
- ポジティブにふりかえりをする
- ポジティブふりかえりマッピング
- 「われわれは最高のチームである」
- 「次、よりうまくいくためにはどうすればいいか?」
- ポジティブふりかえりマッピング
- ファシリテーターの意見の引き出し方
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問い:チームでふりかえりの粒度はどういう風にやっているか?
- 1日の中のイベントごと
- デイリースクラム
- Five Fingerでの確認
- 口頭での確認(何か問題はないか)
- 1 on 1などのミーティング
- Sprintごと
- 1ヶ月単位
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問い:Tryが継続できているのを計測できない
- 具体的なアクションにする
- SMARTなど
- 毎週のふりかえりで計測する
- 具体的なアクションにする
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その他
- ふりかえり自体をカイゼンする活動をしよう
- ふりかえりのふりかえり
- KPTの落とし穴
- データの収集をせずにいきなりKPTをすると、「非常に印象に残っているKeep, Problem」のみが出やすく、コアな問題を解決するアイデアが出ないことも
- Timelineでもいいので情報収集してからすべき
- これだけ!KPTには記載されているものの、世の中に出ている大半のweb記事ではいきなりKPTをはじめる
- ふりかえりの参考書籍
- これだけ!KPT
- アジャイルレトロスペクティブズ
- ふりかえり読本
- ふりかえり自体をカイゼンする活動をしよう
ふりかえり
前半は悩みを引き出すことに注力し、後半はいろんな人からアドバイスをしたり、私自身の考えを場に投げてみる、ということをやっていました。
あまり新しい学び、ということはありませんでしたが、悩みのタネをいくつか持って帰れたことと、悩んでいる数人の気持ちを軽くすることが出来たので満足です。
- アドバイザーのときに、ふりかえりのゴールをどこに定めているのか、を皆に聞いてみるのはアリかもしれない
- ふりかえり導入の場合は私の説明でコンテキストを合わせにいくが、そういうことができない場合も稀にあるので、ふりかえりのゴールをどこだと思っているか、のハードルを下げに行くのは今後使える
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ふりかえりでも「ヤッター!」を使ってみる
- わかった!ヤッター!
- 学びがあった!ヤッター!
- 「方法に悩んでいる」と思っている人も、表層を探ると方法ではなかったり
- 組織とか人に行き着くんですよね
- ふりかえり相談会の醍醐味でもある
- Max30人くらいの参加者が。ふりかえりに悩む人は多いんだなぁ
- だからこそ自分がふりかえりに本気で挑む価値がある
OST2(小さな成功体験を集めよう / 田地さん)
「成功体験」はチームファシリテーションのなかで、私がすごく重要にしているファクターの1つ。
なにか成功体験を共有することで生まれるものはないかなぁと考えて、参加。
セッションの内容
写真を撮るのを忘れました…。
覚えていることをふりかえります。
5-6人でそれぞれ成功体験を話して、共有していく形式でした。
ふりかえり
- モブはみんな成功体験が多い
- モブプロ
- モブ設計
- モブ設計いいよね
- モブワーク
- 新メンバーの導入
- スクラムパターン使ってみた話
- Team that Finish Early ... のパターン
- 田地さんファシリ
- なんか新鮮
共有することで何かが生まれたわけではなかったんですが、成功体験を共有しあうことで心の距離が近くなるのを実感できました。
ふりかえりやチームビルディングの一環として、過去の成功体験を共有する、というのはアリですね。
よなよなエール流 熱狂を生むチームづくり ~8年連続赤字から13年連続増収増益までの軌跡~
スライド
2019/01/20現在公開されていません。
グラフィックレコード
よなよなエール流 熱狂を生むチームづくり
— びば(森のフレンズ)/技術書典6 ふりかえり読本 学び編 (@viva_tweet_x) 2019年1月11日
トレードオフと活動間のフィット感が大事
まずはコミュニケーションから。個性を伸ばし続け、知的な変わり者のチームへ!!#RSGT2019 pic.twitter.com/kCd6KwiRMF
ふりかえり
もう納得しかなくて、「今年のキーノートなんなの私を感動させに来てるの」って感じで心の中で頷きすぎてヘッドバンキングしてるような状態で聞いていました。
結局は、チームなんですね。
- 前向き+チームビルドが大事
- トレードオフは普段あまり意識できていなかった
- 両方とってしまいがちだけど、そうはいかないことも多い
- 捨てることも意識しつつエクストリームに攻めよう
- ファンを作っていく意識がすごい
- 私も見習いたい
- 自分が変わっていく。相手を変えようとしない。
- これはエリックバーンの言葉(過去と他人は変えられない。でも未来と自分は変えられる)や、「他者の振る舞い・反応は自分の行動を変えれば変わる」という話に通じるものがある
その他
朝開始まで
今回はのんびり行きました。体力が残ってなかった。
ふりかえり
- Effective RetrospectiveをTogetterまとめした
- TogetterのUIに何度も苦しめられ…
- 編集後の「すべて戻す」ボタンの恐怖
- 2回失敗したので、次からはPCでやる
- TogetterのUIに何度も苦しめられ…
- ふりかえり読本を持っていった
- 朝黄色い服を着ていたら、即効売り切れ。
- 買いに来てくれた人で買えなかった人ゴメンナサイ
ランチタイム
OST2連発で体力切れになっていたので、ランチではフラっと誰かとしゃべりにいきました。
ふりかえり
- 深澤さんとのお話
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フィードバックって難しいよね
- 結局Feedback Wrapが一番自分にとってしっくり来ているしやりやすいなぁと
- 効果的なフィードバックのやりかたって知らない人がおおい
- これは社内でも同じことが言えるはず…
- なにかアプローチできないか?
- みんながいいフィードバックができるようになると幸せになれる
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フィードバックって難しいよね
- ステファンさんとのお話
- Management 3.0 認定ファシリテーターになるためにはどうすればいいか?
- 社内で組織的に広げていきたいと考えているので、何かできないかなー
- Management 3.0 認定ファシリテーターになるためにはどうすればいいか?
- サンドイッチ
- うまし
- ヴァッサーさん(@vasser283 )が「おいしすぎて食べ過ぎちゃうから太る」っていっていたのが印象的
クロージング&解散+懇親会(y.otaさんとの1on1)
スクラム1年生のチームが全員でRSGT2018に参加してわかったチーム開発、はじめの一歩 で発表していただいていたy.otaさんのお話を是非聞かせてくれ!というラブコールを1日目からしており、3日目にしてようやく実現。クロージング後にお話させていただきました。
Day2は自分のセッション以後疲れていて見れていないので、直接お話を聞かせていただきたいなーと思ったしだいです。
快諾していただいたy.otaさんありがとうございます。
グラフィックレコード
ふりかえり
とにかく「共通体験」が大事だということを楽しそうに語ってくれました。
私も過去のチームで、一緒にリゾートホテルに平日泊まりに行って遊んだり、毎週飲んだり、ということをしただけでもチームのコミュニケーションの質がグンとあがったのを覚えています。
それと一緒で、RSGTという強烈な体験があったからこそ、チームの成長のきっかけにもなれたんだなぁと。
ロードマップを作って目標を確認しつつやったという話や、「真似されるチームになりたい」、「チームとしてのゴール像を持つ」など、よいチームになるための条件を自発的にどんどん作っていく姿がとても美しいと感じました。
これまでのkyon_mmさんとの話ともつながった気がしたお話を聞けました。
クロージング&解散+懇親会(これからどう過ごすか / y.otaさん + kyon_mmさん + 及部さん + 木村さん + 森)
グラフィックレコード
ふりかえり
オンザロードの木村さんという多様性の化け物を目の前にして、木村さん以外の我々は来年のRSGTに向けてどう過ごしていくか、という話をしていました。
大学の事務員からオンザロードに就職、かつ基盤チームで日本舞踊の先生、そして死生観が「人って死ぬじゃん?」。#tddyyχにもプログラミングできないけど参加したり…と誰にも真似できない、しようがないこのインパクト。
**「強烈な個性は賛否両論ではなく、賛 or 理解できない」**というのが正しいのではないかという話すら上がりました。自分がやっていることはここまでエクストリームにできているのか?というのを考えさせられ、今後1年の過ごし方を考えさせられた1時間でした。
さらにエクストリームに、今までやったことのないところへのチャレンジをしつづける、というのが必要なのでしょうね。私は私なりに、他の人の役に立てるような道を、かつ自分が楽しく生きていける道を探し続けたいと思います。
この日、この多様性の化け物に出会えてよかった。(貶してませんリスペクトしてます)
懇親会(個人のふりかえりの相談 / きもりたさん)
[経理部がRSGT2019に参加してみた](https://tamochang.hatenablog.com/entry/2019/01/19/012818?_ga=2.101535749.585801548.1547563592-184868574.1547563592] より
森さんにはチームでなく、個人的にする振り返りのマンネリ化を避ける方法を時間があれば是非お聞きしたかった…#RSGT2019
— きもりた (@mori_PYON_miwa) 2019年1月10日
こちらの発言をいただき、是非お話させていただきたいなぁと。
及部さんの後輩だということもあり、簡単にですがつないでいただけました。
きもりたさんはDay3は会社にいたそうですが、退社後お話する時間をいただけました。
グラレコはどっかいきました。
プレゼントしたのだったか…覚えていないです。
結構飲んでいたのもあり記憶が定かではないのですが、個人のふりかえりについて以下のようなお話をしたはずです。
- 個人のふりかえりの考え方
- 楽しく続けられることが第一
- KPTのようにプロセス重視だと、だんだんつらくなる
- YWTのような学び重視のやりかたのほうがいい
- ふりかえりのタイミング
- いつでもいい
- 1日の夜にやると、より多くの出来事を鮮明に思い出せる
- 次の日にやると、寝るときに記憶の統合が行われた後、少し忘れた状態から、「記憶の掘り起こし」をするため、学習の定着という意味では、次の日にやったほうが効果がでる
- とはいえ好きなほうでいいと思う
- 成功を自覚することで地に足が着くようになり、チャレンジしやすくなる
- チームでやるときにも、失敗ばかりに目を向けない
- 自己承認と他己承認
これくらいしか思い出せません。1時間ちょっとお話をしていましたが、記憶のどこかに飛んでいきました。
グラレコプレゼントするときには写真とってから渡したほうがいいですね。
Day3をふりかえって
1日目, 2日目同様、ふりかえりはFun/Done/Learn + Actionでやります。
(緑色=やったこと・できたこと/黄色=学び・思ったこと・感じたこと/赤色=アクション)
アクションは太字
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これからどう生きていくか?
- 次のアウトプットを意識しながら1年過ごす
- こんな経験なかった
- 多様性の化け物
- 次のアウトプットを意識しながら1年過ごす
- 登壇者と1on1で何度も話せた
- 去年はできなかったこと
- 来年は時間が許せばもっとやりたい
- OST最高、でもOST×2が私の限界
- 次回はネタを選んで、しっかり参加しよう
- まずはチームビルド
- チームのロードマップを作ってみよう
- 共通体験をチームファシリテーションのツールの1つに入れる
- Fun/Done/Learnボード
- 来年も何か施策を打ちたい
すばらしい3日目でした。
終電まで飲んでいて熱い話をしていた気がするけどほとんど残ってない。
モッタイナイ!
次回はしっかりノートを持ち歩きましょう。