はじめに
Scrum Fest Osaka 2020は、6/26-27に開催された、オンラインでの大規模カンファレンスです。
この記事では、2日目の10:00~11:30 #scrumosaka.mkw(三河)で行われた「Agile Wars − アジャイルチームの夜明け −」のレポートです。
今回、NRI asleadのチームメンバー3人全員で参加しています!
この公演のスライド・ビデオは非公開です。
公演開始
- いきなり事故。音が出ない
- 訓練された視聴者
- 慌てない
動画ならではの演出
- いきなりスターウォーズ感
- オフラインの考えをオンラインにもっていくのではない
- 動画だから伝わるもの
- オンラインだからできるもの・面白いプレゼンテーションを作りたいという想い
- 自分たちで演奏している、という凄さ
相変わらず、"公演芸"の最高峰を見せつけてくれました。
及部さん21歳の原体験
プロダクト開発の記憶。
- 「分からないことだらけで休日も頑張って覚える、出来るようになるしかない」
- 「先輩たちをぎゃふんと言わせたい」という反骨心
- リリース後のエゴサ。反応が嬉しかった
- 使ってもらって、喜んでもらった
藤原大さんとの出会い。
- それまでとは違う仕事のやりかただった
- 常に会話をしながら進める
- テストコードを書きながら繰り返し進める
- チーム内勉強会・ハンズオンでチームで力を高めていった
- ガントチャートを更新していくスタイルが普通の会社で、ロッカーの前で付箋で会話をするスタイルをやった
- 当時は白い目で見られた
- エンジニアとしても個人としても成長できる実感
- スクラム・アジャイル・カンバン・TDDだということを後から知った
-
もっといい世界があるのかもしれない
- わくわくする世界
- 最&高に楽しい世界
- 必要だと思うものをどんどん学んでいく
- 最高のプロダクトを作るためには最高のチームが必要
- そのために世界を広げ続けていく
- ガントチャートを更新していくスタイルが普通の会社で、ロッカーの前で付箋で会話をするスタイルをやった
私にも、新しいスタイルをやろうとして、周りの目が気になる…というのはありました。実現できなかった現場もあります。そこを乗り越えていって、さらに「いい世界を見つけよう」としていく姿がカッコイイ。
kyon_mmさん19歳からの記憶
2007年/19歳エンジニア未経験。
- とほほから始まり、開発をする企業に入社
- 3年間、見よう見まねで開発
- 色んな人と関わりながらいろんなことを覚えていった
- 「スキルが伸びるってどういう風にわかるものなんだろう」
- 「開発が上手ってどんなことなんだろう?」
- Twitteでデブサミを知った
- 角谷さんが「アジャイル開発」に関する発表(時を超えたプログラミングの道への道)をしていた
- とてもわくわくしそう
- 技術もずっとずっと先に行ってそう
- その話に感動している人もいるみたいだ
- 角谷さんが「アジャイル開発」に関する発表(時を超えたプログラミングの道への道)をしていた
- m_sekiさんにタフクエスチョンを出される日々
- 「アジャイルってすごそうだなー」「どうやって勉強していけばいいんだろう」
- 2010年から勉強し始めた
- そこからの3年間はアジャイル
- XP, TDD, リファクタリング,スクラム,パタンランゲージ
- デザインも勉強した
- アジャイルの要素を勉強した
-
希望を持って歩き始めた。アジャイルへのマスターへの道を
- チーム角谷、チーム関のような、大きな希望を持って。歩き始めた。
デブサミいいよなぁ。人を変えてくれる力があると思います。
私も、タフクエスチョンが出せるようになりたいなとも感じました。心に刺さる、コアでシャープな質問を。
アジャイルマスターへの道
-
Q. コミュニティとのかかわりは?
- (及部)2011 DevLOVEから
- 「新卒がやってみた」の話をした
- 「こんな話で良いのか?」と思ったけど、それでも「よかった」「役に立った」というフィードバックを貰えた
- (きょん)Jenkinsのコミュニティ
- 2011 Jenkins/Groovy 40分くらい話した
- とりあえず自分の現場の工夫を喋ってみよう、というところからだった。
- (及部)2011 DevLOVEから
-
Q. 互いのことはいつから認識していたか?
- (及部)若手が少なく、少しキャリアを持った人がコミュニティに関わるような界隈
- 同世代の人がきょんくんだけだった
- (きょん)楽天の人(及部)が近くにいた。どこかで話す機会が訪れるんだろうな、と思っていた
- なかなか話す機会が訪れなかった…
- (及部)若手が少なく、少しキャリアを持った人がコミュニティに関わるような界隈
-
Q. 当時のアジャイルを取り巻く環境は?
- (きょん)内製チーム立ち上げました!みたいなのもよく聞いた
- 大規模アジャイルみたいなのも2015くらいから広まってきた印象
- 受託・SESだとアジャイル難しいという話はよく聞く
- (きょん)内製チーム立ち上げました!みたいなのもよく聞いた
-
Q. 受託開発だとアジャイル開発は難しいのでしょうか?
- (きょん)ある程度は自分の経験を回答できる…けど
- 「お客さんとどうやってるのか」とか**「それ聞いてどうするんですかね?」**と思ってた
- 「聞いたところで、できるようになるんですかね?」
- 「みなさんに話しても、やらないんじゃないんですかね?」
- 「受託でアジャイル事例がほしいなら、他当たってくれませんかね?」
- (きょん)ある程度は自分の経験を回答できる…けど
-
Q. 内製開発だとアジャイル開発はうまくいくのでしょうか?
- (及部)受託開発の経験がないので、内製開発や受託開発を意識したことがなかった
- 色んな人の話を聞いていると、受託開発はやりたくないなーって思った
- 「内製だからうまくいくんですよね」は言い訳みたいに感じる
- 社内の中で受託開発をやっているのと同じケースもある
- うまくいっているかどうかはプロダクトがユーザーに届いて喜んでくれたか
- 受託・内製を使ってアジャイルを語ることがすごく不毛
- (及部)受託開発の経験がないので、内製開発や受託開発を意識したことがなかった
そこから数年…
- 同じイベントで関西に行く、ということが多かった
-
CEDEC2018
- きょん―及部のセッションで続いていた
- まさか生物が共通点になるとは思わなかった
- 最前列で話を聞いていたおよべさんの顔が白くなっていった
-
(及部)チームの事例を話した
- チームの理想像について話して、生物的組織という単語を出した
- 生物は新しく生まれて死んで、という新陳代謝を繰り返している
- 意識しなくても同じことを繰り返している・同じ目的に向かって動いている
-
(きょん)超個体の話をした
- 複数の生命なのに一つの生命として振る舞う
- 軍隊アリ、ハチ、シロアリ
- シロアリが作るアリ塚の話から超個体の話へ
- チーム=複数の生命がいるのに、一つの意思をもつかのように動けばいいのに、と思っていた
- 複数の生命なのに一つの生命として振る舞う
-
互いにセッションタイトルに生物の単語は入れていないのに、セッションの内容が被った偶然
-
RSGT2019
- (及部)Unlearnの話
- 新人のみんなと登壇した
- 学んでやってみたことをすぐに捨ててもう一度やってみる、実験
- 失敗と成長を繰り返しながらやっていく
- 彼らの成長の加速度に負けないために、自分たちにどうやってunlearnを取り込んでいくか?
- (きょん)フラクタル
- 地球上で美しい形として存在する。それを自分たちのチームに取り入れたい
- フラクタルスプリント
- 1か月・1週間・1日・1時間・15分
- (及部)Unlearnの話
-
RSGT2020
- (及部)TEAM based TEAM
- チーム転職
- チームでもっとわくわくするものを作りたい
- チームのライフサイクルを話したい
- (きょん)進化論
- 超個体を取り入れたい
- アリは出来てるのに。人間をやめたい
- 人間をやめたくても人間はやめられない
- 人間も数十万年の進化の過程を踏まえて、自分たちを活かすほうに考えをシフトしていったほうが、人間としての超個体ができるのでは
- 同盟を作りたがる性質
- 進化の上で獲得してきた性質
- 自分たちの考え方をくみ上げていく
- (及部)TEAM based TEAM
-
そして、同じくらいの時期にチーム解散の危機。歩み方が似ている
-
フラクタルの考えは私のふりかえりにも取り込んで、今でも使い続けています。
カンファレンス・研修などの学びをふりかえるフレームワークの提案:フラクタル
Unlearn/学んだことをすぐに捨てるというのは経験を深めたほうが良さそうです。思考を柔らかくできると思います。
なお、このあとチームで話をしていたら、チームで3時間スプリントをやろう、という話に。
積極的に実験して、Unlearnして。そうして前に進んでいきたいと思います。
受託vs内製
- いつも争いに巻き込まれながらも自分たちの立場でやってきた
- 争いはなくならないけど、いいもの
- 共通の単語があるから互いを認識して尊敬して、競う
内製開発で大切にしていること
- (及部)比較的短い。短いからといってフィードバックをもらえているか、というのは別の話
- 受託のように契約関係がないから甘えが出てくる
- 「適当に進めても大丈夫、どうにかなるよね」
- 色んな人を巻き込んで、同じ方向を向いていくことが大事
-
楽しそうにやるのが重要
- 巻き込んだ人も楽しくする
- それを追い求めてきた
- 受託のように契約関係がないから甘えが出てくる
受託で大切にしていること
-
うまくいく・うまくなること
- 受託開発を求められるのは「組織」
- この人に任せたらうまくいく、というもの
- そのうえでいかになんでもやるか
- 優れた開発力を価値提供していく
- 仕事に対するストイックさ
- それがないと、受託でのアジャイルはうまくいかない
- ここは好き。大切にしている
- 受託開発を求められるのは「組織」
大切なことは重なる
- 楽しく仕事をする・うまく仕事をする
- 二項対立か?
- どちらも相補的な関係
- 内製・受託でポジションが違くても、求めていることは近い
- 生まれ落ちた環境が違くても、大切なことは同じ
チームというものに導かれている
- やっていくうちにどんどんチームを感じていく
- 世界に存在するチーム
- 内に存在するチームに導かれて、今がある
- プレゼンしているおよ・きょんの間にもチームはある
- いたるところにチームはある
- 「チームと共にあらんことを」
- 辛い状況でもチームであることを見失わない
主語は「チーム」
-
Q. チームと感じる瞬間は?
- (及部)
- 常に・すべて一緒にやっているわけではない
- 業務内でも別々にやることはある
- 個人個人で色んな事例を持ってきて、「これ面白そうだからやってみようよ」「これ試してみたけど出来たからやってみようよ」とチームに自然に持ち帰ってくる
- それが、チームだなぁと思う
- (きょん)
- リスクの高い選択をしたとき。
- リスクの高い選択はとりたがらない。
- それをいとわない。リターンのためにリスクを取れる。
- 高いリスクを目の前にしたときに、それを見ないふりにするのではなく、真正面から「ハイリスクをどう受け止めたらいいか」を丁寧に考えていく。それを重いものとして考えるのではなく、議論が進んでいく様を見ていくと、「これはチームだなと思う」
- (及部)
-
Q. どうやってそういうチームになったのか?どうやってチームを感じられるようになったのか?
- (及部)
- 最初から今のチームがあったわけじゃない
- 「生物的組織」
- 一緒に活動していないときにも、一緒に働いているのと同じように、同じ目的を持って動けている
- それをどう作っていけるか?
- モブプログラミングがベース
- 3年間のチームの濃密さ
- 共同作業することがおおい
- 運用も・営業も
- 色々な難しい判断をする体験を共有している
- チームで判断をして、個人個人が判断をして、結果として同じ判断になった
- どこを切り取ってもチームになる、というのに少しずつ近づいていく
- 常にモブではなく、バラバラになることもある
- 育休しても、だれかがいなくてもチームはチームとして動ける
- チーム内での共通の言葉や認識が増えていく
- 最初から今のチームがあったわけじゃない
- (きょん)
- 多様性を活かす
- 進化のうちの「同盟を作りたがる」性質を活かす
- 昔はやり方ベースだった
- 役割や分担はなくすけど、得意分野は伸ばす
- 大切にしていくふるまいをする
- 得意分野が実際に伸びていく
- ポジショントークを大切にする
- 意見の対立は気にしない
- 「私はこうした立場として考えると」というのを強調する
- 得意分野がないとポジション取りが出来ない
- 鶏卵問題。得意分野とポジション
- 得意分野を増やしていくとチーム内にミームが増えていく
- 「脳内きょんさん」
- 「〇〇さんだったら・・・」
- あらゆるところにチームの存在が感じ取れるようになった
- (及部)
2人は同じチームのことを話し続けている
関さんチームへのあこがれもある
同じチームに関わり続ける
なぜ受託vs内製戦争が起きたのか?
- (きょん)できないことへの言い訳では?
- 変わろうとしている人、変わりたい人、変わりたくない人
- どこの分類にいたとしても、壁にぶつかると自分を守るために生贄が欲しくなる人がいる
- 受託・内製を生贄に自分を守っていた
- 壁にぶつかって、自分を守るために生贄を作る
- 生贄としてささげられた結果、戦争が起きた
- (及部)精神の安寧は保たれるかもしれないが、成長していない
- 真の敵はいたのか?
- 違う業界と戦いたかったわけじゃなくて、自分の心の中に敵がいる
- 誰もが持っている普通のこと
- 暗黒面に陥らないために、チームで仕事をしていくことが大事
我々が考える真実のほとんどは自分の見方で変わる
-
敵ではないのに敵のように見えてしまう
- アジャイルというのはもっと違う、いくつかの側面があって、自分の見方で真実が変わってしまう
- チームという主語でやっていくと、今の結果になる
チームと共にあらんことを
- 業界が違くても、チームでいられる
- 身の丈に合わない主語を使ってしまうと暗黒面に陥る
- 身の丈に合った主語が、「チーム」
感想
(森の感想)
私もこの2人に影響受けてるなぁ…と思いました。
いつも、「とあるチームの向かう先」というのを見せてくれます。
2018年から彼らの発表を聞いていましたが、それらの発表がすべて思い起こされる公演でした。
対立構造が起こっているのは、実は背景にあるもののせいで生贄に捧げれたものがあるからかもしれない、というのは面白かったです。
今後もいい「チーム」を作っていこうという想いを得られました。
(チームメンバーの感想)
- 先端を行っている人たちの経験に触れられるのが貴重。
- ふわっと「すごい人たちなんだろうなー」と思ってたのが、より身近に感じられた。
- こういう人たちでも「アジャイルってすごそうだなー」と感じたとか。そう思うと前向きになれた。
- フラクタルスプリントやってみたい
- Unlearnは意識したい。新人にも一つの考え方として教えたい
- きょんさんの話の内容が「どうせできないでしょ?」の部分が刺さった
- たしかに「それ聞いてどうするんだろう。。。」みたいなときはある
- 主語にチーム、というのが印象的
- 主語はチームっていうのは、チームで見積もりをするときも指摘されていた。