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私は職場で**「良いですね」という言葉を使わない**ようにしています。「褒める」という行為は、上から下のものへ送る言葉だと考えているからです。現場での実体験をもとに、上下関係のない言葉の選び方を解説します。
筆者プロフィール: ソフトウェアエンジニア。「知った気にならない。いつまでも学び続ける」を信条に、業務と個人開発の両輪で技術を磨いています。AI 駆動開発で複数の個人開発アプリを構築・運用中。
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結論 ― 私は「良いですね」を使わない
先に結論を書きます。
私は「良いですね」という言葉を使わないようにしています。
「良い」というニュアンスには、上下関係が含まれていると考えるからです。
では、人の意見や考え、アイデアを良いと感じたとき、私はどう表現するのか。
それは、「素敵です」「魅力的です」 と表現します。
なぜなら、どちらも自分自身の純粋な気持ちから湧き出てくる言葉であり、そこには上下関係が存在しないからです。
この結論に至った背景を、私の考え方と現場での実体験から説明していきます。
私が目指す「心理的安全性の高い社会」
まず、私がどんな考えを軸に仕事をしているかを共有させてください。
私は「心理的安全性の高い社会・組織」の構築を目指しています。
言葉にすると、「夢を持ち、夢を語れるような社会の構築」 です。
私は学生時代、夢を持たず、将来に希望を見いだせず、時間を浪費する毎日を過ごしていました。
しかし、読書やパートナーとの出会いから夢(やりたいこと)が見つかり、今では自分の人生を生き生きと過ごせています。
夢を持つことで、自分自身の人生のかじ取りをできるようになった感覚があります。
この経験から、「夢を持つことで人生を生き生きと過ごせるのではないか」と考えるようになりました。
加えて、「日本や世界に希望を見いだせるようになれば、みんな幸せになれるのではないか」とも思っています。
ただ、私一人の力では、世界に希望を見いだせるような大きな転換は到底できません。それには社会という大きな力が必要です。
その力を生み出すために、「夢を持ち、夢を語らい、夢をかなえられる環境」 が必要だと考えています。
この環境を一言で表すなら、「みんなが素直になれる環境」です。
自分の内側にある願いを恐れず表に出せる場所。失敗やズレを許容してもらえる場所。
私はこれを 「心理的安全性の高い社会(組織)」 と表現しています。
では、なぜ「語る」ことが重要なのか。
人(脳)は、頭の中にある抽象的な願望を言葉にした瞬間に、それを現実のものとして認識し始めるからです。
言葉にしなければ夢は幻のままで、行動に繋がりません。語ることは、夢を現実に接続する最初のスイッチです。
ただし、心理的安全性の高い組織は、一人の努力だけでは作れません。意思決定の仕組み、コミュニケーションの文化、失敗への向き合い方など、全員が関わる設計が必要です。
だからこそ、チームとしての力、そしてチームをデザインする立場が必要だと考えています。
そこで私は、PM(プロジェクトマネージャ)としての影響力を駆使して、心理的安全性の高いチームを構築することを、中長期のキャリアの中心に据えています。
技術を理解し、要件を理解し、人を理解する PM でありたい。そしてそのチームから、一人でも多く「夢を語れるようになった人」が生まれてほしいと願っています。
個人開発アプリ「ユメハシ」は、その第一歩として、個人が夢を言葉にし、分解し、行動に変えられる仕組みとして作りました。
横ぐしの組織論 ― 上下関係のないチームづくり
組織構築をする中で、私が根底にしている考えがあります。
私は組織やチームを縦割りではなく、横ぐし で捉えています。
つまり、チームの中で一番偉いマネージャ・リーダーがいて、その指示に従うメンバーがいるという縦割りの組織ではなく、管理・レビュー・フォローという役割を持つマネージャ・リーダーと、タスクの遂行や情報のアップを行うメンバーがいる、横ぐしの組織を理想としています。
横ぐしの組織には「偉い/従う」という上下関係はなく、あくまで「それぞれの役割を全うすること」を主眼としています。
現在の私の役割
私は現在の現場で、2チーム(6名)を統括するリーダーをやりながら、私自身もチームに所属し、チームリーダーとしてそのチームのマネジメント兼作業を行っています。
- 統括リーダーとして: 社内と現場をつなぐブリッジ、お客様との折衝、各チームメンバーの評価・タスク分析・工数管理・売り上げ管理
- チームリーダーとして: お客様とのタスク整理、現場で発生するタスクの割り当て・レビュー対応・進捗管理、自身のタスク着手
現場で感じた「良いですね」の違和感
統括リーダーとしての評価や、チームリーダーとしてのレビューにおいて、メンバーの実績を「褒めること」はしばしばあります。
しかし、「褒める」という言葉には少々違和感を感じています。
ある時、年上メンバーの作業をレビューしていて感じたことがありました。
私が「こんなふうに表の構成を工夫すれば、見る人に何をやっているのか、どこに情報があるのかが伝わりやすいと私は思いますが、どうでしょうか?」と言ったところ、その年上メンバーから「その考えはとても良いですね。」と言われました。
言葉のニュアンスだけの話ですが、どことなく上下関係を意識させるような表現だと、私個人としては感じました。
「良いですね」を「魅力的ですね」に変換する
もし私が目指す横ぐしの組織であれば、この表現は次のように変わるのではないかと考えています。
その考えはとても良いですね。 → その考えはとても魅力的ですね。
縦割りの組織では、上下関係が前提にあるため、「良いですね」というような評価になりがちです。
しかし、私が考える組織では「良い」という表現ではなく、「素敵」「魅力的」という表現を使います。
これは、その人から湧き出てくる感情を言葉で表現しているからです。
もう一つの実践 ―「ありがとう」を積極的に使う
横ぐしの組織を目指すうえで、メンバーと会話・依頼する中で心がけていることがもう一つあります。
それは 「ありがとう」を積極的に使うこと です。
「ありがとう」も「素敵」「魅力的」と同様に、自分自身の純粋な気持ちから湧き出てくる言葉であり、そこには上下関係が存在しません。
具体例
- 私が依頼したタスクをメンバーが実施し、レビュー依頼をしてくれたとき:
「タスクの実施とレビュー依頼をしてくれて、ありがとう」
指示を待たずに自分からレビューお願いしますと言ってくれたら、なおさらです。 - タスクを私がメンバーに依頼するとき:
「いつも依頼したタスクを実施してくれて、ありがとう」という枕詞を必ずつけます。
もちろん、依頼時には必ず「感情」を載せるようにしています。
「ありがとう」の心理学的な裏付け
この実践には、「返報性の原理」と「フレーミング効果」という2つの概念が裏付けになっています。
- 返報性の原理: 好意を受け取った人は、その人にお礼を返すようになるというもの。好意を受け取ると「裏切ってはいけない」という心理が働き、注意や指摘を受け入れやすく、好意を返そうとします。
- フレーミング効果: 相手への提示の仕方によって、相手の印象や意思決定が大きく変わる心理。「〜しろ」と命令されれば反発心が芽生えますが、「〜してくれてありがとう」と感謝されれば好意的に受け止められます。
まとめ
私は「良いですね」という上下関係のニュアンスを持つ言葉を使わず、「素敵です・魅力的です」という上下関係のニュアンスを持たない言葉を使うようにしています。
- 「褒める」という行為には、上から下への評価というニュアンスが含まれやすい
- 「良いですね」の代わりに「素敵・魅力的」を使うことで、感情をフラットに伝えられる
- 「ありがとう」を積極的に使うことも、返報性の原理・フレーミング効果の観点から、横ぐしの関係づくりに有効
おわりに ― これから
私が個人的に実践しているのは、大切で、そして大きな一歩だと思っています。
しかし、組織構築には私一人の力だけでは到底及びません。
そのため、今後はメンバー同士にもこのような考えや風土が根付いてくれると良いと考えています。
具体的な施策はまだまだ検討段階ですが、ゆくゆくは心理的安全性の高い組織の構築のために、この考えを根付かせていきたいです。
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