■前回の記事
■本記事の目的
今回は、Fabric容量の課金についてまとめていきます。
■概要
Microsoft FabricのFabric容量の課金について理解する。
■前提
PowerBIライセンスについては、本記事では取り扱いません。
Onelakeのストレージ料金が、Fabric容量とは別でありますが、本記事では記載しません。
Fabric容量のSKUおよび従量課金/容量予約について、記載します。
■Microsoft Fabric容量の課金方式
大きく分けて二つ存在します。
・従量課金
Fabric容量を作成して、容量予約を購入・割り当てしていない場合は、
すべてこれに該当します。
起動開始後の最低1分以上で、1秒単位での従量課金ですが、
すでに要求された処理のスロットリングの時間当たりCU分は
一時停止しても請求されるのでご注意ください。
SKUサイズによって、時間当たりの料金は異なります。
・容量予約
Capacity Unit(CU)を事前購入します。
容量を専用に作成するわけではなく、CUという計算能力通貨を
年間分購入しておくイメージです。
事前購入したCUは、スコープ内のFabric容量に供給される形となり、
割り当てられた時点で割引が受けられます。
■容量予約の注意点
容量予約を扱う際に、注意点が2点ほどあります。
・Fabric容量を一時停止しても、容量予約の課金が減るわけではない。
・容量予約のCUは、過去の未割り当て分がプールされるわけではなく、
時間とともに消滅していく。(繰り越しできない)
まとめると、
効率的に容量予約の割引を受けるという観点では以下の条件が必要になります。
・起動中のFabric容量に、100%の容量予約CUが常に割り当てられていること。
・Fabric容量が、コンピューティング要求に対して、CUを消費していること。
■容量予約の割り当てケース
容量予約のCUを割り当てられるパターンを設計の参考にいくつか記載します。
※いずれのFabric容量も、CU割り当てのスコープ内である前提です。
・複数のFabric容量への割り当て:同時に起動している場合
・複数のFabric容量への割り当て:時間差で起動している場合
・ハイブリッド利用:容量予約のストックに対して、SKUが大きい場合
ハイブリッドについての使いどころとしては、
常時起動の容量だけど、時間帯によって一時的なスケールアップが
発生するようなパターンになると思われます。
他の方の記事の引用ですが、LogicAppかDatafactoryでSKU変更を自動化することもできるようです。
スケジュールによる制御が前提になると思いますが、構成はできそうです。
参考情報:
https://qiita.com/ryoma-nagata/items/91a5c7229e4f553501d7
https://qiita.com/ryoma-nagata/items/210d5ec61cbb7037bb74
■容量課金の損益計算
料金計算ツールから算出してみました。※Onelake料金は含みません。
この計算は、単純にSKUサイズと起動時間から出していますが、
必ずしもユースケースによっては、容量予約の方が安いとは限らないようです。
24時間365日利用で比較すると、容量予約を購入する方が4割引きくらいになります。
このあたりは、実際の利用状況を鑑みて選びたいところです。
■設計とコスト最適化
ワークスペースの用途やFabric項目の設計の仕方によっては、
Fabric容量のSKUサイズの決定やどれだけの容量予約を購入した方がいいのかを
迷われる方は少なくないです。
基本的には、使用状況のモニタリングを実施していただきながら、
最適化していくことが必要となってきます。
容量のサイズが、少なすぎるとユーザビリティが低下しますが、
逆にオーバースペックでもよろしい状態ではありません。
使用状況監視とメトリクスについては、「Capacity Metrics アプリ」を使用します。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/fabric/enterprise/metrics-app
「Capacity Metrics アプリ」のインストール方法
https://learn.microsoft.com/ja-jp/fabric/enterprise/metrics-app-install?tabs=1st
※アプリと言っても、PowerBIの「アプリ」になります。
インストールすると専用のワークスペース内に
レポート、セマンティックモデル、アプリが作成されます。
■容量予約の購入方法
容量予約をどこで購入するかを参考にはなりますが記載します。
Azureにログイン > 検索欄で「予約」と入力 > 予約をクリック
検索欄で「Fabric」を入力 > Microsoft Fabricをクリック
どの範囲のFabric容量を対象とするかは、スコープで選択する。
スコープによって、リソースグループや管理グループの選択がありますが、
任意で選択してください。
ここで最大の注意点ですが、リージョンのフィルターは必ず作成している
Fabric容量のリージョンに合わせる必要があります。
※Fabricテナントのリージョンではなく、Fabric容量のリージョンです。
合わせないと容量予約の割引を受けることはできません。
またスコープ内で、複数のリージョンでFabric容量を作成している場合は、
リージョンごとで容量予約の購入を検討する必要があります。
前払いと月額の選択ですが、ドル建てのため、日本だと為替の影響を受けます。
支払い月に決定されたレートで支払うことになるため、
会社の決済ルールや為替状況によって、ここは任意で判断してください。
カートに戻ったら、以下を入力または設定します。
・予約名:分かりやすい名前を入力します。
・Auto-renew:容量予約の自動更新の有効/無効です。不要なら無効にする。
・数量:CUの数量になります。例)F64サイズに100%割り当てるなら「64」
今すぐ購入をクリックすると、サブスクリプションでの処理に従って課金決済されます。
購入してしまうと後処理が大変になるため、ここまでの記載となります。
ご了承ください。
一応、払い戻しもできるようですので、間違えて購入された方は以下の
公式ドキュメントを参照ください。※全額払い戻せるとは限りません。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cost-management-billing/reservations/exchange-and-refund-azure-reservations#how-to-exchange-or-refund-an-existing-reservation
今回の内容はここまでとなります。
次回はFabric容量のAutomationでの起動停止を設定してみたいと思います。