47
40

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

HTTPS + Route53フェイルオーバーでsorryページを表示する

Posted at

やりたいこと

https://www.xxxx.com/app/login」のようなURLで動作しているWEBアプリケーションに対して、障害時やサーバー停止時にsorryページをサーバーレスで自動で表示させたい。
今回は、Route53のフェイルオーバーを使用し、独自ドメインでSSL暗号化通信での障害発生時に自動でsorryページを表示する方法を紹介します。

はまったこと

HTTPでのRoute53フェイルオーバーを使用したsorryページの表示は、セカンダリのAliasにS3のエンドポイントを指定することで可能でした。
しかしSSL通信でのHTTPSの場合、S3単体ではSSL証明書を扱うことができないため、フェイルオーバー時にセカンダリとして指定することができません。
この解決方法として、CloudFront経由でHTTPSをS3にリダイレクトする方法を紹介します。
CloudFrontのOriginサーバーにS3のバケットを設定し、CNAMEを設定しSSL証明書を配置します。

実現方法

Route53のフェイルオーバーを使用し、サーバー起動時と停止時のリクエストの振り分けを行います。
Route53では1つのドメインに対してヘルスチェックを実行することができ、その結果に対してフェイルオーバーを設定できます。
今回は「www.xxxx.com」というサブドメインを使用すると想定します。

実現した構成図です。
1.png

通常時の「www.xxxx.com」へのリクエストはELBに送信するため、AliasにELBのDNSを設定し、フェイルオーバーの設定はプライマリとし、ヘルスチェックを設定します。
障害時の「www.xxxx.com」へのリクエストはCloudFrontに送信するため、AliasにCloudFrontのDNSを設定し、フェイルオーバーの設定はセカンダリとします。
こうすることで、通常時のELBのDNSに対してヘルスチェックを実行し、失敗した場合はフェイルオーバーを実行し、自動でセカンダリにリクエストを振り分けることができます。

通常時の設定を正常系、障害時のフェイルオーバーの設定を異常系としそれぞれの設定を順番に紹介していきます。

前提条件

  • ドメインを取得し、Route53にホストゾーンを作成している
    ホストゾーンの作成は以下を参考にしてください。今回は「xxxx.com」を使用します。

    パブリックホストゾーンの作成

  • VPCを構築し、Public・Privateサブネットをそれぞれ2つ作成できていること。

  • Privateサブネット内にWEBサーバーを構築できていること。
    VPCとサブネット、EC2インスタンスの作成は以下のページを参考にしてください。

    AWSでセキュアなWebサーバーを構築する

    WEBサーバーはApachをアプリケーションサーバーはTomcatを使用します。

    ApacheとTomcatを連携させてみた

2.png

正常系の作成

ここでの正常系は、WEBサイトをHTTPSで公開できることとします。
以下にその設定手順を記載します。

  1. Amazon Certification Manager SSL証明書の作成
  2. EC2 ロードバランサーの作成
  3. Route53 ロードバランサーのDNS登録
3.png

既に正常系ができている人は、異常系の作成に進んでください。

Amazon Certification Manager SSL証明書の作成

ACMでパブリック証明書を作成します。ELBの配下にWEBサーバーを配置し、ACMでパブリック証明書を作成します。
Certificate Managerの「証明書のリクエスト」から、作成します。この時使用するリージョンは東京(ap-northeast-1)です。

  • 証明書のリクエスト:パブリック証明書のリクエスト
  • ドメイン名:www.xxxx.com
  • 検証方法の選択:DNSの検証

証明書のリクエストを送信すると、ドメインのDNS設定にCNAMEレコードを追加する必要があります。
Route53でドメインの設定を行っている場合は、リクエストを送信した後にレコードを作成することができます。
「Route53でレコードの作成」ボタンを押すと自動的にRoute53のレコードに登録されます。

4.PNG

検証が完了するまでに30分以上かかる場合があります。完了すると状態が「発行済み」になります。

パブリック証明書のリクエスト

EC2 ロードバランサーの作成

EC2のコンソール画面から「ロードバランサー」を選択し、「ロードバランサーの作成」を選択します。
Application Load Balancer かClassic Load Valancerを選択します。
リスナーのロードバランサーのプロトコル(in)にはHTTPS:443を、インスタンスのプロトコル(out)にはHTTP:80を指定します。
SSL通信を行うために、ロードバランサーに先ほど作成したSSL証明書を配置してください。

  • ロードバランサーの種類:Application Load Balancer か Classic Load Balancer
  • 名前:loadbalancer
  • スキーム:インターネット向け
  • IPアドレスタイプ:ipv4
  • リスナー:HTTPS 443
  • アベイラビリティゾーン:WEBサーバーが構成されているAZのパブリックサブネットを2か所選択(*サーバーがプライベートに配置されていてもパブリックのサブネットを選択すること)
  • 証明書タイプ:ACMから証明書を選択する
  • 証明書の名前:www.xxxx.com
  • セキュリティポリシーの選択:ELBSecurityPolicy-2016-08
  • セキュリティグループの割り当て:新しい(すでに作成していれば既存)
    セキュリティグループ名:sg-elb , タイプ:カスタムTCP , ポート範囲:443 , ソース:0.0.0.0/0,::/0
  • ターゲットグループ:新しいターゲットグループ
  • 名前:alb-target-group
  • プロトコル:HTTP
  • ポート:80
  • ターゲットの種類:instance
  • ヘルスチェック:HTTP
  • パス:/
  • ターゲットの登録:構築したWEBサーバー2台を選択します。

HTTPSリスナーを使用したClassic Load Balancerの作成

Route53 ロードバランサーのDNS登録

ELBを作成するとAレコードが設定されるので、そのAレコードとサブドメインを紐づけます。
Route53のホストゾーンから、使用するドメインを選択します。
「Create Record Set」から、サブドメインを作成します。
ここでフェイルオーバーの設定を行うので、ここではフェイルオーバーの設定をプライマリーに設定しておきます。
またプライマリのドメインに対して、ヘルスチェックの設定をします。

  • Name:www
  • Type:A-IPv4 address
  • Alias:Yes
  • Alias Target:ELBのAレコード
  • Routing Policy:Failover
  • Failover Record Type:Primary
  • Set ID:www-Primary
  • Evaluate Target Health:Yes
  • Associate with Health Check:No

5.PNG

ここまでで、WEBサイトをHTTPSで公開することができます。

異常系の作成

ここでの異常系は、WEBサーバーに障害が発生しRoute53のヘルスチェックに失敗しフェイルオーバーが発生した場合とします。
フェイルオーバー先としてS3の静的ウェブホスティングで公開するsorryページを表示する構成を構築していきます。
CloudFrontにSSL証明書を配置し、HTTPSのリクエストに対するS3バケットへのリダイレクトを行います。

S3バケットの作成

S3にsorryページを配置します。
S3サイトのための静的ウェブサイトホスティング設定を行います。
S3単体では独自ドメインでSSL証明書を使用したHTTPS通信を行うことができないので、CloudFrontで全てのリクエストをリダイレクトする必要があります。

  • バケット名:www.xxxx.com(使用するサブドメインと同じ名前にしてください)
  • リージョン:東京
  • その他の設定はデフォルトのままにします

バケット作成後に、そのバケットの一番上の階層にsorryページのhtmlファイル「maintenance.html」をアップロードします。
バケットポリシーを以下のJSONファイルに変更します。

{
    "Version": "2008-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "AddPerm",
            "Effect": "Allow",
            "Principal": "*",
            "Action": "s3:GetObject",
            "Resource": "arn:aws:s3:::「バケット名」/*"
        }
    ]
}

最後にバケットのプロパティから「Static website hosting」を選択し、S3の静的WEBサイトホスティングの設定を行います。

  • このバケットを使用してウェブサイトをホストする
  • インデックスドキュメント:maintenance.html
  • エラードキュメント:maintenance.html

6.PNG

設定画面の一番上にエンドポイントが表示されています。
CloudFrontの設定で使用するエンドポイントです。クリックしてsorryページが表示されると設定が完了です。

Amazon Certification Manager SSL証明書の作成

正常系の場合と同じ手順で作成しますが、リージョンはバージニア北部で作成します。
東京リージョンで作成した証明書は、CloudFrontのSSL証明書として選択することができませんので注意してください。

  • 証明書のリクエスト:パブリック証明書のリクエスト
  • ドメイン名:www.xxxx.com
  • 検証方法の選択:DNSの検証

CloudFront OriginをS3に設定しSSL証明書を設定する

HTTPSに対応したS3の静的ウェブサイトホスティングの設定を行います。
CloudFrontの「Create Distribution」を選択し、配信方法に「WEB」を選択し、設定画面に移動します。
Origin SettingでオリジンサーバーにS3の静的ウェブサイトホスティングを設定します。
この時、Origin Domain NameにS3のバケットを指定します。

  • Origin Domain Name:S3のバケット名
  • Origin Path:
  • Origin ID:自動的に埋まります
  • Restrict Bucket Access:Yes
  • Origin Access Identity:Create a New Identity
  • Comment:自動的に埋まります
  • Grant Read Perimssions on Bucket:Yes,Update Bucket Policy
  • Origin Custom Headers:任意

7.PNG

Distribution SettingsでサブドメインとCloudFrontの紐づけとSSL証明書の選択をします。
またサブドメインのルートとなるオブジェクトの設定を行います。

  • Alternate Domain Names(CNAMEs):www.xxxx.com
  • SSL Certificate:Custom SSL Certificate (異常系で作成したSSL証明書を選択します。)
  • Default Root Object:maintenance.html

8.PNG

以上を設定後に「Create Distribution」で設定を終了します。
設定後にCloudFront Distributionsの画面から、先ほど設定したDistributionを選択し「Distribution Settings」から設定の変更を行います。
「Error Pages」タグから「Create Custom Error Response」を選択します。

9.PNG

ここでは、アプリケーションのURL「www.xxxx.com/app/login」などにリクエストが送信されてき時もsorryページを表示できるように設定します。
ここまでの設定では、「www.xxxx.com」へのリクエストに対してはsorryページを表示できますが、それ以下のURLにアクセスするとそのパスにsorryページのhtmlファイルが存在しないため、S3が403のエラーコードを返却します。CloudFront側でS3から403のエラーコードが返却されるとエラーページを表示する設定をすれば、「www.xxxx.com/・・・」以下のどのURLのアクセスに対してもsorryページを表示することができます。

  • HTTP Error Code:403:Forbidden
  • Error Caching Minimum TTL (seconds):300
  • Customize Error Response:Yes
  • Response Page Path:/maintenance.html
  • HTTP Response Code:503:Service Unavailable

10.PNG

設定が終わても公開されるまでに時間がかかります。CloudFrontのStatusがDeployedに変わるまで気長に待ちましょう。

Route53 CloudFrontの登録

Route53でCloudFrontのDNSの設定を行います。
www.xxxx.com」に対して、AliasにCloudFrontのドメイン名を指定します。
フェイルオーバーの設定はセカンダリにします。

  • Name:www
  • Type:A-IPv4 address
  • Alias:Yes
  • Alias Target:CloudFrontのドメイン名
  • Routing Policy:Failover
  • Failover Record Type:Secondary
  • Set ID:www-Secondary
  • Evaluate Target Health:No
  • Associate with Health Check:No

11.PNG

以上で異常系の設定が終了です。
CloudFrontの設定は少し時間がかかるので、15分ぐらい放置したほうが良いと思います。

確認

簡単なログインページを作成しサーバーに公開したとします。
まずはWEBサーバーを起動し、正常系の動作確認を行います。
今回はhttps://www.xxxx.com/app/loginにアクセスするとログイン画面が表示するとします。

12.PNG

ログイン画面が表示されたことを確認した後に、サーバーに障害が発生し停止したと想定してApacheを停止させます。

$ sudo systemctl stop httpd

Apacheを停止した後に再度https://www.xxxx.com/app/loginにアクセスすると、sorryページが表示されていれば設定がうまくできています。

13.PNG

まとめ

S3とCloudFrontを用いて、Route53のフェイルオーバーを構築しました。
障害時のフェイルオーバー先がサーバーレスで構成されているため、sorryサーバーをEC2で構築・管理するよりも低コストで運用することができます。
また、S3とCloudFrontのSLAは99.9%以上なので高可用性を実現できます。
障害対策時だけでなく、サーバーメンテナンス時など意図的にサーバーを停止する際にも使用することができます。

47
40
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
47
40

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?