はじめに
話題のMCP(Model Context Protocol)を試すべく、HashiCorp Vault MCP ServerをRHEL 9.7環境でビルドしようとしたところ、初歩的なエラーで躓きました。
後から思えば、リポジトリのREADMEに書いてある「Prerequisites」を完全に読み飛ばしていたのが原因……。今回は、自戒を込めて、IBMのAIエージェント「IBM Bob」にエラー解決を依頼し、無事にビルドを完了させるまでのプロセスを書いておきます。
環境
- OS: RHEL 9.7
- MCP Sever: HashiCorp Vault MCP Server
- AI Agent: IBM Bob
発生したエラー
リポジトリをクローンし、前提条件を確認せずいきなり make build を実行しました。
$ make build
CGO_ENABLED=0 GOARCH=amd64 GOOS=linux go build -ldflags="-s -w -X github.com/hashicorp/vault-mcp-server/version.GitCommit=01c2fc7dfb80de4e95aa01b0c239c5586e4878fb -X github.com/hashicorp/vault-mcp-server/version.BuildDate=2025-12-23T08:40:54Z" -o ./bin/vault-mcp-server ./cmd/vault-mcp-server
bash: line 1: go: command not found
make: *** [Makefile:30: build] Error 127
「あれ?コマンド足りない?」と思いつつ、このログをそのままIBM Bobに投げる。
ターミナルでエラー行を右クリック > IBM Bob > Fix This Command をクリック

IBM Bobによる解析:自らMakefileを読みに行く能動的なステップ
ここで驚いたのは、Bobの解析ステップです。単に「Goが入っていないようです」と回答するだけでなくプロアクティブに環境を調査し始めました。
Bobの解析ログ:
- "I'll analyze the terminal error and help you fix it."(ターミナルエラーを解析し、修正をサポートします)
- エラーメッセージから
go: command not foundを特定。- 「ビルドコマンドをより深く理解するために、Makefileをチェックします」と宣言し、
Makefileを読み取る。- Goのバージョン要求やコンテキストを把握するため、さらに詳細な調査を実行。
一般的に「エディタ内のコード」に集中するのに対し、Bobは 「ターミナルの外側」や「環境設定ファイル」まで自律的に探索 してくれました。この「自らファイルを確認しに行く」挙動は、まさにインフラエンジニアがトラブルシュートで行う思考プロセスそのものです。
Bobからの指摘:
-
Goが未インストール:
goコマンドがパスに存在しない。 - 要件の指摘: ターゲットのビルドには Go 1.24 以降が必要。
- 解決策: OS(RHEL/Fedora系)に合わせたインストール手順の提示。
ここでGitHubのドキュメントを再確認したところ、しっかり以下のように書かれていました。
Prerequisites
Go 1.24 or later (if building from source)
完全に読み飛ばしていました。マニュアル確認、大事
解決:Goのインストールと再ビルド
Bobの提案に従い、RHEL環境にGoをインストールします。
# RHEL 9.7 (Fedora系) なので dnf を使用
sudo dnf install golang
環境が整ったところで、再度 make build を実行。
$ make build
CGO_ENABLED=0 GOARCH=amd64 GOOS=linux go build ...
go: downloading github.com/sirupsen/logrus v1.9.3
go: downloading github.com/spf13/viper v1.21.0
...(中略)...
go: downloading gopkg.in/yaml.v3 v3.0.1
無事にビルドが走り、バイナリ ./bin/vault-mcp-server が生成されました!
インフラ構築における「AI Agent」の価値
今回感じたのは 「ターミナル + AI Agent」がもたらす安心感です。
インフラエンジニアにとって、ビルドエラーや環境構築の失敗は日常茶飯事ですが、その原因の多くは今回のような「前提条件の読み飛ばし」や「環境依存のパス欠如」です。
ログを渡し、AI Agentが設定ファイルを読み、OSのディストリビューションに合わせた解決策(dnfなのかaptなのか)を出してくれる。この 「頼りになる先輩」のような立ち振る舞いこそ、複雑なサーバー構築を自動化・効率化したいインフラエンジニアにこそ刺さるバリューかも知れませんね!