kintone の計算式プラグインの設定を、Claude Desktop のチャットで頼んで AI に作らせる拡張機能「計算式 設定オーサリング(Formula)」を公開しました。初回の準備(拡張機能を入れ、kintone の接続のファイルを書く)を済ませれば、計算式の作成も修正も、既存の計算式の解説も、チャットで頼めます。
計算式プラグインで、アプリ 4330 の旅費明細を分類ごとに集計したい。
分類集計のテーブルに分類と分類金額、合計金額に旅費の合計を出して。
これだけで、AI がアプリの項目定義とレコードの形を確かめ、あいまいな点を聞いてから計算式を組み、検査を通した設定 JSON を作業フォルダーに保存します。続けて、取得したレコードに設定を当てた模擬の計算で、項目ごとの計算前と計算後の値を表にして見せます。値を確かめたら、計算式プラグインの設定画面でアップロードして保存するだけです。
流れは 3 段です。
-
チャットで頼む — 何をどの項目に出したいかを日本語で伝える。あいまいな点は AI が選択肢にして聞いてくる
-
表で確かめる — AI が保存した設定を、取得したレコードに当てて計算し、項目ごとの計算前と計算後の値を表にする
-
設定画面で取り込む — 作業フォルダーの設定のファイルを、計算式プラグインの設定画面でアップロードして保存する
-
チャットで頼む(ツールを初めて使うときは、使ってよいかの確認が出ます)
- 保存した設定をレコードに当てた結果を、AI が表で返す
- 計算式プラグインの設定画面で、作業フォルダーのファイルを取り込む
拡張機能(GitHub): https://github.com/rex0220/formula-authoring-mcp
プラグイン本体の機能と関数の一覧は 製品紹介記事 を参照してください。本記事は Claude Desktop のチャットで設定を作る方法に絞ります。
- Claude Code(ターミナル)でも、本記事と同じ道具をプラグインとして入れられます(
/plugin install formula --marketplace rex0220/formula-authoring-mcp。Claude Code 2.1.275 以降)。作業フォルダーは formula-authoring のテンプレートから作るのがおすすめです(資料と守りの設定がそろいます)- プラグインを入れずに、テンプレートの CLI(
npx @rex0220/formula-authoring-tools)で同じことをする方法は、テンプレートの README にあります
仕組み
計算式プラグイン Ver.101 の設定は、設定画面の設定のダウンロード / アップロードで、JSON のファイルとしてまるごと受け渡しできます。拡張機能(formula MCP)は、AI がこの JSON を書くための道具と資料を、Claude Desktop に足すものです。
ポイントは 3 つです。
- ① AI は拡張機能のツールで、アプリの項目コードと型、選択肢、テーブルの子項目、レコードの形(テーブルの行数など)を確かめてから計算式を組み、要件の言葉と項目コードの対応を示します。kintone には読み取りしか送りません
- ② 保存の前に、手元の計算式プラグインの zip の計算式エンジンで、設定画面と同じ手順の検査をします。エラーが残る設定は保存されません。保存した設定は、取得したレコードに当てて設定画面の「既存レコードを変更」と同じ 3 段の計算(テーブルの外 → テーブルの行 → テーブルの外をもう一度)で計算し、項目ごとの前後の値を返します(kintone のレコードは更新しません)
- ③ できた設定は作業フォルダーにファイルとして残るので、設定画面でアップロードするだけです。保存しても既存のレコードの値は変わりません(必要なら、設定画面の「既存レコードを変更」か一覧の「一括計算」を実行します)
手で作る場合との違い
| 作業 | 設定画面で手で作る | チャットで AI に作らせる |
|---|---|---|
| 項目コードを調べる | フォームの設定で 1 つずつ見る | AI が項目定義を取り、要件の言葉との対応を示す |
| 関数と書き方を選ぶ | 関数一覧や記事を読んで選ぶ | AI が資料(関数一覧・計算パターン集)から選び、迷う書き方はサンプルアプリで実際に計算して確かめる |
| 決め切れていない点 | 書きながら気づく | 書く前に、AI が聞いてくる(該当なしの行、並び順、未選択) |
| 結果を確かめる | 設定画面で保存してレコードを開き、1 件ずつ見る | 作業フォルダーに保存した後、kintone に取り込む前に、取得した複数のレコードの計算前と計算後の値を表で見る |
| 直す | 計算式を書き直して、もう一度確かめる | 「〇〇は△△にして」と頼む。AI が直して、もう一度計算する |
仕様を決めることと、最後に実機で確かめることは、どちらの場合も人が行います。
前提
| 項目 | 本記事の前提 |
|---|---|
| プラグイン | 計算式プラグイン Ver.101 以降(設定のアップロードで取り込み方を選べる版)。アプリに入れたものと同じ版の zip ファイルを手元に置く |
| Claude Desktop | Claude Desktop(Claude のサブスクリプション)。macOS / Windows。拡張機能を動かすための Node.js などを、別に入れる必要はありません |
| 拡張機能 | 計算式 設定オーサリング(Formula)(.mcpb ファイル。0.3.2 以降) |
| kintone | 対象アプリのレコード閲覧だけの API トークン(おすすめ)。またはログイン名とパスワード(2 要素認証なしのアカウント) |
| 対象アプリ | 記事の例は出張管理アプリ(アプリ番号 4330「出張管理ワーク」)。テーブル「旅費明細」(日付、旅費分類(鉄道・バス・飛行機・タクシー・宿泊費・その他)、金額、備考)と、テーブル「分類集計」(分類、分類金額)、合計金額がある。本番のアプリでなく、テスト用アプリとテストデータで作るのがおすすめです(「事前準備」) |
本記事の手順は、macOS の Claude Desktop と拡張機能 0.3.1 で確かめました(2026-10-18)。そのとき見つけた点は 0.3.2 で直しているので、入れるのは 0.3.2 以降にしてください(「AI が止まったところ・直したところ」)。
AI(Claude)が読んだ項目定義と設定は、Claude の処理に使われます。レコードは取るときは形だけを AI に返しますが、模擬の計算の結果には、計算した項目の前後の値が入ります(後述の「AI に渡るもの・渡らないもの」)。
準備(初回だけ)
1. 拡張機能を入れる
GitHub のリリース から拡張機能のファイル formula-authoring-<版>.mcpb(0.3.2 なら formula-authoring-0.3.2.mcpb)をダウンロードして、ダブルクリックします。インストールの画面が出たら、インストール を選びます。
ダブルクリックで Claude Desktop が開かないときは、Claude Desktop の 設定 → 拡張機能 の画面に、ファイルをドラッグして入れます。
拡張機能のインストールの画面
インストールの画面には、「コンピュータ上のすべてのデータへのアクセス権が付与されます」「開発者情報は Anthropic によって検証されていません」という注意が出ます。拡張機能は PC の上でプログラムとして動くので、ファイルから入れる拡張機能には Claude Desktop がこの注意を出します。この拡張機能が読むのは設定で選んだ作業フォルダー・zip・接続のファイルで、書き込むのは作業フォルダーの中だけです(kintone には読み取りしか送りません)。拡張機能のファイルは、配布元(GitHub の rex0220/formula-authoring-mcp のリリース)から入手したものだけを入れてください。
2. 作業フォルダーを決める
設定や項目定義を置くフォルダーを 1 つ決めます(例: ~/kintone_work/formula-work)。無ければ拡張機能が作ります(最後の 1 段だけ)。
おすすめは、formula-authoring のテンプレートから作ったフォルダーです(GitHub の Use this template で自分のリポジトリを作って clone するか、zip でダウンロードして展開)。副作用のある関数の承認(policy/authoring-policy.json。後述の「ボタンを確かめる」)と、Claude Code や CLI で使うときの資料・守りの設定がそろいます。空のフォルダーでも動きます(Desktop の AI は、拡張機能に入っている資料を読みます)。
作業フォルダーには、設定と項目定義のほかに、**模擬の計算に使うレコード(値が入ります)**も保存されます。人と共有するフォルダーではなく、自分だけが使うフォルダーを選んでください。
3. kintone の接続のファイルを書く
kintone の接続先と認証は、接続のファイル(JSON)に書きます。作業フォルダーの外に置きます(例: 作業フォルダーが ~/kintone_work/formula-work なら、その隣の ~/kintone_work/formula-kintone.json)。
API トークンで使う(おすすめ)
対象アプリの API トークンを作ります。
- アプリの設定 →「設定」タブ →「カスタマイズ/サービス連携」の API トークン
- 生成する を押し、アクセス権は レコード閲覧 だけに印を付ける
- 保存 → アプリを更新
{
"defaultProfile": "dev",
"profiles": {
"dev": {
"baseUrl": "https://<自分の環境>.cybozu.com",
"tokenMap": { "APP4330": "<アプリ 4330 の API トークン>" }
}
}
}
-
tokenMapには、アプリごとにトークンを書きます(APP+ アプリ番号)。アプリを足すときは、"APP4331": "…"のように足します - アプリの今の計算式の設定を kintone から取るツール(
fml_pull)は、kintone の API ラボの機能(「アプリに追加されているプラグインの設定情報を取得する」)を cybozu.com 共通管理者が有効にしているときだけ使えます(運用中の設定はレコード閲覧のトークンで取れます)。使えないときは、設定画面の 設定をダウンロード で落としたファイルを使います(「作った後」)
ログイン名とパスワードで使う
{
"defaultProfile": "dev",
"profiles": {
"dev": {
"baseUrl": "https://<自分の環境>.cybozu.com",
"auth": "userpass",
"username": "<ログイン名>",
"password": "<パスワード>"
}
}
}
- そのユーザーが見られるアプリなら、アプリごとの設定は要りません
- 2 要素認証が有効なアカウントは使えません。パスワードが漏れると、そのアカウントで kintone にログインできてしまうので、おすすめは閲覧だけの API トークンです
どちらでも
- ファイルには秘密の値が入るので、ほかの人が読めない場所(自分のユーザーのフォルダーの中)に置き、人と共有するフォルダーには置きません。Mac なら、ターミナルで
chmod 600 ~/kintone_work/formula-kintone.jsonとすると自分だけが読めるようになります - Claude Desktop から起動する拡張機能には、シェルの設定(
~/.zshrcなど)の環境変数は届きません。Desktop では、トークンを接続のファイルに直接書くのが確実です
形は kSQL(kintone の SQL ツール)の
ksql.config.jsonと同じなので、kSQL のファイルをそのまま指すこともできます。ただし、書き込みにも使うトークンは共有せず、計算式用にはレコード閲覧だけのトークンを使ってください。
4. 拡張機能を設定する
Claude Desktop の 設定 → 拡張機能 → 計算式 設定オーサリング(Formula) で、3 つを選びます。
| 設定項目 | 選ぶもの |
|---|---|
| 作業フォルダー | 手順 2 のフォルダー |
| 計算式プラグインの zip | アプリに入れたものと同じ版(Ver.101 以降)の zip |
| kintone の接続のファイル | 手順 3 のファイル(任意。無ければ kintone を使うツールだけが使えません) |
拡張機能の設定 — 作業フォルダー・zip・接続のファイルを選ぶ
選んだら、Claude Desktop を終了して起動し直します(設定を変えたときも同じです)。
5. 疎通確認
新しいチャットで頼みます。
計算式プラグインの準備ができているか確かめて
AI が拡張機能のツールを呼び、拡張機能の版、計算式プラグインの zip の版、作業フォルダー、kintone の接続先(profile)を返して「準備ができている」と言えば、完了です。
ツールを初めて使うときは、使ってよいかの確認が出ます(Claude Desktop の決まりです)。内容を見て 常に許可 を選ぶと、次から聞かれません。
作らせる
事前準備(手作業)
拡張機能は kintone を変更しないので、次は人が済ませておきます。
- テスト用アプリとテストデータを用意する(おすすめ): 本番のアプリを「アプリの再利用」で複製してテスト用アプリを作り(フィールドコードが本番と同じになります)、計算の確かめに要るレコードを架空の値で数件作ります。典型でない値(選択肢の未選択、空の金額、同じ分類の重複、明細が 0 行)を含めると、AI がその扱いも確かめます。接続のファイルにも、テスト用アプリの API トークンを書きます
- 対象アプリ(テスト用アプリ)に計算式プラグイン(Ver.101 以降)を追加する
- 計算式を置く項目(記事の例では「分類集計」の分類・分類金額と、合計金額)をアプリに作っておく
テスト用アプリとテストデータで作ると、AI に渡る値も、作業フォルダーに残る値も、架空のものだけになります。確かめた設定は、最後に本番のアプリへ取り込みます。
頼む
冒頭のように、チャットで頼みます。コツは 3 つです。
- 「計算式プラグインで」と付けて頼む。拡張機能のツールを使ってほしい、という合図になります
-
アプリは番号か URL で伝える(アプリの URL の
/k/番号/の数字)。同じ名前のアプリの取り違えを防ぎます - 何をどの項目に出すかを伝える。細かい決まり(該当の無い分類を出すか、並び順、未選択の扱い)は、AI が聞いてきます
AI は、おおむねこう動きます(ツールの呼び出しは自動です)。
- 手順の資料を読み、準備ができているかを確かめる
- アプリの項目定義を取る(作業フォルダーに
kintone/dev/4330-出張管理ワーク/のような、アプリのフォルダーができます)。要件の言葉と項目コードの対応を示す - 代表のレコードを選んで取る(AI に返るのは形だけ)
- 仕様の確認: 計算式を書く前に、あいまいな点を聞く(Claude Desktop では選択肢で答えられる)
- 計算式を書き、検査を通して保存する
- 取得したレコードに設定を当てて計算し、項目ごとの前後の値を表にする
- 設定画面での反映のしかたを伝える
仕様の確認に答える
出張管理の例では、AI は計算式を書く前に 2 つ聞いてきました。Claude Desktop では、選択肢を選ぶ形で答えられます。
| AI の質問 | 選択肢 |
|---|---|
| 分類集計テーブルに出す行はどちらにしますか? | 1. 該当のある分類だけ(TLTABLE で集計。明細に出てくる分類だけ行ができる。文字順) 2. 全分類を固定で出す(鉄道〜その他の 6 行を定義順で常に出す。0 円の行も出る) |
| 旅費分類が未選択の明細行はどう扱いますか? | 1. 「その他」に含める 2. 集計に含めない(合計金額には入れるが分類集計には出さない) 3. 合計金額からも除く |
仕様の確認 1 — 分類集計に出す行
仕様の確認 2 — 旅費分類が未選択の明細
答えに合わせて、AI がやり方を選びます。「全分類を固定で出す」「集計に含めない」と答えると、次の計算式になりました(分類集計の行数を 6 に固定し、行ごとに分類の名前と、その分類の金額の合計を入れる。未選択の明細はどの分類とも一致しないので、分類集計に入らず、合計金額には入る)。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 分類集計(テーブル自身) |
6(行数の指定) |
| 分類 | ARRAY_GET(ARRAY("鉄道","バス","飛行機","タクシー","宿泊費","その他"), ROWNO(分類集計)) |
| 分類金額 | LET(c, 分類, NVL(SUMIF(旅費分類 = c, 金額), 0)) |
| 合計金額 | SUM(金額) |
「明細にある分類だけ」なら、TDS(テーブルの値を重複なしの配列にする)や TLTABLE(テーブルの集計)を使う形になります。どちらが合うかを、AI が結果の違いを添えて聞いてきます。
AI の返答 — 模擬の計算の表
保存が終わると、AI は取得したレコードに設定を当てた結果を表にします。たとえば、旅費明細が「鉄道 14,000 × 2、タクシー 1,800、宿泊費 9,800、バス 230」のレコードなら:
| 分類 | 分類金額 |
|---|---|
| 鉄道 | 28,000 |
| バス | 230 |
| 飛行機 | 0 |
| タクシー | 1,800 |
| 宿泊費 | 9,800 |
| その他 | 0 |
| 合計金額 | 39,830 |
実際の返答の抜粋です(アプリ 4330、レコード 1 で計算)。
アプリ 4330 の分類集計の設定を作り、レコード 1 で模擬計算して意図どおりの値になることを確かめました。
レコード 1 での模擬結果:鉄道 28,000 / バス 230 / 飛行機 0 / タクシー 1,800 / 宿泊費 9,800 / その他 0、合計金額 39,830 円。分類金額の和と合計金額が一致しています。
旅費分類が未選択の行は、ご指定どおり分類集計には入りませんが、合計金額には含まれます。そのため未選択の行があるレコードでは、分類金額の和が合計金額より小さくなります。
保存結果:status ok、エラー 0 / 警告 3。テーブル2 自身の式は行数の制御になるという注意です。今回は意図どおりです。(ほかの警告 2 件も、意図どおりかを添えて伝えています)
既存のレコードは変わっていません。反映するには、設定画面でこのファイルを取り込み → 保存 → 運用環境に反映してください。
保存と模擬の計算の後の返答
確かめた範囲です。模擬の計算はレコード 1(記事用 大阪出張)で行いました。そのあと設定画面で取り込んで「既存レコードを変更」を実行し、kintone のレコードを 2 件開いて、分類金額と合計金額が手で計算した期待値と同じことを確かめました。
| レコード | 分類金額(鉄道 / バス / 飛行機 / タクシー / 宿泊費 / その他) | 合計金額 |
|---|---|---|
| 記事用 大阪出張(下の画像) | 28,000 / 230 / 0 / 1,800 / 9,800 / 0 | 39,830 |
| 記事用 福岡出張 | 0 / 500 / 28,600 / 0 / 0 / 1,200 | 30,300 |
旅費分類が未選択の明細があると、分類金額の和が合計金額より小さくなります(未選択の金額は合計金額にだけ入る)。AI も返答でそう伝えています。
取り込んで「既存レコードを変更」をした後のレコード(記事用 大阪出張)
- 表は模擬です。kintone のレコードは更新していません
- 検査の警告(テーブル自身の計算式は行数の制御になる、テーブルの集計関数を使っている、など)は、AI が「意図したものか」を添えて伝えます。警告は保存を止めません
- 値が要件と違えば、そのまま「〇〇は△△にして」と頼みます。AI が直して、もう一度計算します
- 検査でエラーになったとき(無い関数、ラベルで書いた項目など)は、AI がエラーの規則名と場所を見て直し、検査し直します。エラーが残る設定は保存されません
検査が通った(エラー 0)は、設定の形と計算式の書き方が計算式プラグインに合っている、という意味です。 業務として正しいか(端数、空のときの値、対象の行、イベントごとの動き)は、表の値で人が確かめます。模擬の計算は「既存レコードを変更」と同じ 3 段の計算で、画面で値を入れたときのイベントの処理(値変更の順など)の完全な再現ではありません。ルックアップやログインユーザーのような kintone の文脈が要る式、ボタン、テーブルの行数を変える式は、テスト用アプリでも動きを確かめてください。
取り込む
- アプリの設定 → プラグイン → 計算式プラグインの 設定
-
設定をアップロード で、作業フォルダーの設定のファイルを選ぶ(例
kintone/dev/4330-出張管理ワーク/APP4330-分類集計.json。場所は AI の返答に出ています) -
取り込み方を選ぶ
- 計算式の設定がまだ無いアプリ → 全置換
- 既にある設定に項目を足す・差し替える → 項目の置換(取り込む項目にチェック)。各種設定などの共通の設定を変えていなければ、「共通の設定」のチェックを外します
- 保存する(「運用環境に反映」にチェックすると、アプリの更新まで行います)
- 以後に追加・編集するレコードは、新しい設定で計算されます。既存のレコードは変わらないので、必要なら設定画面の 既存レコードを変更 か、一覧の 一括計算 を実行します
設定のアップロード — 取り込み方を選ぶ
取り込んで運用環境に反映した後の設定画面
今のアプリに無い項目は、確認画面に出して取り込みません。
本番のアプリに取り込む
テスト用アプリで確かめた同じ設定のファイルを、本番のアプリの計算式プラグインの設定画面で 設定をアップロード します。
- テスト用アプリを本番の「アプリの再利用」で作っていれば、項目(フィールドコード、型、選択肢)は同じなので、同じ計算式が動きます。テスト用アプリを作った後に本番の項目を変えたときは、本番の項目定義でもう一度作らせるか、違いを確かめてから取り込みます。今のアプリに無い項目は、取り込みの確認画面に出て取り込まれません
- 取り込む前に、本番の設定画面の 設定をダウンロード で今の設定を保存しておくと、問題があったときに 全置換 で計算式の設定を戻せます(戻るのは設定だけで、その間に計算されたレコードの値は戻りません)
- 一覧別の設定(一覧の ID)はアプリごとに違うので、本番に取り込んだ後、本番の設定画面で一覧を選び直します
- 既存レコードを変更 と 一括計算 は、kintone のレコードを更新します(元に戻せません)。テスト用アプリで結果を確かめてから、本番では必要なときだけ実行します
作った後 — 変更・解説・確かめもチャットで頼む
変更する
2 回目からは、「どのアプリ・どの項目か + 変更内容」の形で頼みます。
計算式プラグインで、アプリ 4330 の分類集計の行を、分類の名前順でなく分類金額の大きい順にして
AI は、アプリの今の設定を取り(fml_pull。取れないときは、設定画面の 設定をダウンロード で落としたファイルを作業フォルダーの inbox/ に置くよう頼んできます)、写し(…-edit.json)を作って、変える項目だけを差し替えます。ダウンロードしたファイルは書き換えません。
- 変えた後に模擬の計算と、変更前との差を見せます
- 取り込みは 項目の置換 で、変えた項目だけにチェックします(全置換でも、「共通の設定」のチェックを外せば各種設定は変わりません)
実際に頼むと、AI はまず依頼の前提を正しました(「変更前の並びは名前順ではなく、選択肢の定義順でした」)。並べ替えの式を「分類」だけに入れ、同じ金額の分類が並ぶ場合を架空の値で確かめて「同額は定義順」と伝え、「金額は 12 桁までの 0 以上の整数が前提。マイナスや小数があると並びが正しくならない」という制約も書いてきました。
「分類金額の大きい順にして」の返答(前提を正し、制約も書いてくる)
計算式を解説してもらう
AI が作った計算式も、設定画面からダウンロードした既存の設定の計算式も、解説を頼めます。
計算式プラグインで、アプリ 4330 の分類金額の計算式を解説して
何をどの順に計算するか(テーブルの行ごとか、計算の順)、空や未選択のときの値、注意する点を、資料(関数一覧・計算パターン集)に沿って説明します。
関数の使い方を聞く・式を試す
計算式プラグインの DIC 関数について解説して
関数の解説と使用例は、拡張機能に入っている資料(関数一覧、計算パターン集)で答えます。資料に無い値や端の動き(空、範囲の外、0 から数えるか)を確かめたいときは、「実際に計算して確かめて」と頼むと、拡張機能に**同梱のサンプルアプリ(架空の項目とレコード)**で、実際の計算式エンジンに計算させて確かめます(利用者のアプリ・レコード・kintone は使いません)。
ボタン(BUTTON / DIALOG)を確かめる
ボタンを押したときに項目をセットする計算式(BUTTON / DIALOG と FSET / FSET_TADD)は、押したときの動きも模擬で確かめられます。AI は「押すと どの項目が 何になるか」を表にして示します(たとえば DIALOG(ARRAY("クリア", "旅費明細の行をすべて消します", "warning"), FSET(旅費明細, "0")) なら、旅費明細が 0 行になり、押した後の再計算で分類金額と合計金額が 0 になる)。ボタンは、ヘッダーかスペース項目(要素 ID を付けたもの)に置きます。分類集計のように自分の計算式で行を作るテーブルは、空にしても再計算ですぐ戻るので、空にするのは人が入力するテーブルです。
- ボタンの式は、レコードや画面を変える副作用のある関数です。拡張機能は、作業フォルダーの
policy/authoring-policy.jsonで承認した関数だけを評価します。テンプレートから作った作業フォルダーはBUTTON/DIALOG/FSET/FSET_TADDを承認済みです(評価は写しのレコードの上で、kintone には書きません)。空のフォルダーで始めたときは、このファイルを作ります(AI は書きません)
{ "allowFunctions": ["BUTTON", "DIALOG", "FSET", "FSET_TADD"], "allowMiscChanges": false }
- 模擬は押した後の値だけです。ボタンの見た目・位置・ダイアログの表示は、テスト用アプリの編集画面で実際に押して確かめます(保存せずに閉じれば元に戻ります。本番のアプリでは押さないでください)
実際に「分類集計を空にするボタンを作って。確認のダイアログを出して」と頼むと、AI は「分類集計はボタンで空にしても自動計算で 6 行に戻ります。どうしますか?」と聞き返してきました。旅費明細を空にするボタンに変えて、ヘッダーに置いた結果です。編集画面の上にボタン「旅費明細をクリア」が出て、押して OK を選ぶと、合計金額と分類金額がすべて 0 になりました。旅費明細は、kintone の編集画面の決まりで、空の行が 1 行(既定値つき)表示されます。
「分類集計を空にするボタン」と頼むと、自動計算で戻ることを聞き返してくる
ヘッダーのボタン「旅費明細をクリア」を押した後の編集画面(合計金額と分類金額が 0)
AI が止まったところ・直したところ
確かめの中で、AI が推し量らずに止まったところが 2 つありました。どちらも拡張機能の側の抜けで、0.3.2 で直しています。
-
ヘッダーの行の書き方が資料に無かった: ボタンをヘッダーに置くとき、AI は「設定ファイルでヘッダーの行をどのフィールドコードで書くかが資料にも検査の出力にも無い。推測で書くと別の行として扱われるおそれがあるので、まだ保存していない」と止まり、書き方を聞いてきました(答えは
($HEADER1))。0.3.2 からは、項目の一覧の最後にボタンを置ける行(($HEADER1)〜($HEADER3)、スペース項目)を出し、資料にも書いています - 行を足すツールが無かった: 既存の設定にボタンの行を足すツールが無く、AI は設定の全体を新しいファイルに保存し直しました(そのことを返答に書いてきました)。0.3.2 からは、既存の設定に行を足せます
もう 1 つ、0.3.1 の AI は、ボタンを足しただけの変更でも最後に「既存レコードは『既存レコードを変更』か『一括計算』で」と勧めていました。ボタンは押したときに動くので、既存レコードを変更しても値は変わりません。0.3.2 からは、値を計算する項目を変えたときだけ勧めます。
AI に渡るもの・渡らないもの
拡張機能のツールが AI に返すものは、次のとおりです。
| データ | AI に渡るか | 扱い |
|---|---|---|
| 項目定義(項目名、項目コード、型、選択肢、テーブルの子項目) | 渡る | 計算式を書くのに要るので、1 項目 1 行の要約で渡します |
| 計算式の設定(計算式、ランク、各種設定) | 渡る | AI が書いて直す対象です |
| レコード(取るとき) | 値は渡らない | 渡すのは形(テーブルの行数、文字数など)だけです。レコードは作業フォルダーに保存します |
| 模擬の計算の結果 | 渡る | 計算式を当てた項目の、計算前と計算後の値です(結果を確かめるためのもの)。テスト用アプリとテストデータで使うことをおすすめする理由です |
| ユーザー・組織・グループ | 件数だけ | ユーザー情報を使う計算式(UINFO など)は、既定では架空のテストデータ(10 人)で計算します。実データを取るツール(fml_users)も件数だけを返します。ただし、実データで模擬の計算をすると、計算の結果には実データの値が入ります |
| 接続先の URL、profile の名前 | 渡る | どの kintone に接続するかを確かめるためです |
| API トークン、パスワード、接続のファイルの置き場所 | 渡らない | 拡張機能が接続のファイルから読んで使うだけで、AI への応答にもログにも出しません |
気を付ける点です。
-
手元には値が残ります: 作業フォルダーのアプリのフォルダーの
records/には、レコードの値が入ります(本人だけが読める権限で書きます)。要らなくなったら消してください -
ツールの外の経路は守れません: 会話にレコードの値を書いたり、スクリーンショットを貼ったりすると、その分は AI に渡ります。ファイルを扱うほかの拡張機能を同じ Claude Desktop で有効にしていると、その拡張機能を通して
records/の中身や接続のファイルが渡りえます - AI に渡ったデータの扱いは、Anthropic のポリシーとお使いのプランの設定に従います。拡張機能そのものは、作者や第三者のサーバーにデータを送りません(プライバシーポリシー)
安全のしくみ
- kintone は読み取りだけ: 拡張機能が kintone に送るのは、読み取りの API(アプリの情報、項目定義、レイアウト、一覧、レコード、計算式プラグインの設定、ユーザー情報)の GET の要求だけです。レコードや設定を変える API は呼びません。設定の反映と既存レコードの再計算は、人が設定画面で行います
- 書くのは作業フォルダーの中だけ: 保存するのは検査を通した設定だけで、同じ名前のファイルは上書きしません(直すときは、読んだ後に変わっていないかを確かめてから差し替えます)。設定画面からダウンロードしたファイルは書き換えません
- 秘密の値は出さない: API トークンやパスワードは、AI への応答にもログにも出しません
- 計算は手元で、時間の上限つき: 検査と模擬の計算は、手元の計算式プラグインの zip の計算式エンジンで、呼び出しごとに別の作業単位(Worker)で動かし、既定 60 秒で止めます。副作用のある関数は、作業フォルダーの policy で承認したものだけを評価し、評価の中でクリップボードや kintone の API が呼ばれた結果は採りません
- 文脈が足りなければ止まる: ログインユーザー、ルックアップ先、接続先のような kintone の文脈が要る計算式は、文脈が無いときに推し量らず、名指しで止まります
- zip の確認: 拡張機能は、zip のプラグイン ID と版を確かめてから zip のコードを使います。署名までは確かめないので、zip は配布元から入手したものだけを使ってください
サーバー側からも書き込みを防ぐため、レコード閲覧だけの API トークンを使ってください。脆弱性の報告の窓口と受け入れた危険は SECURITY.md に書いています。
つまずいたら
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| AI が「準備ができていない」と言う | 拡張機能の設定の 3 項目(作業フォルダー・zip・接続のファイル)。設定を変えたら Claude Desktop を終了して起動し直す |
| 計算式プラグインの zip のエラー | 拡張機能の設定の zip が、アプリに入れたものと同じ版(Ver.101 以降)の計算式プラグインの zip か |
| AI が拡張機能を使わずに答える | 「計算式プラグインで」と付けて頼む。新しいチャットで頼み直す |
| kintone の情報が取れない | 接続のファイルの baseUrl、tokenMap のアプリ番号(APP4330 の形)、トークンのアクセス権(レコード閲覧)、トークンを作った後に アプリを更新 したか |
| ボタンの式が「副作用のある関数」のエラーで計算されない | 作業フォルダーの policy/authoring-policy.json に、その関数(BUTTON / DIALOG / FSET / FSET_TADD)があるか(「ボタンを確かめる」) |
| Cowork で、同じ名前のツールが 2 組ある | Claude Code の formula プラグインも入れていると、Cowork には両方が見えます。Cowork では拡張機能(.mcpb)の方を使います(プラグインの方は、登録した作業フォルダーの外なので断ります) |
| 取り込んだのに既存のレコードの値が変わらない | 保存しても既存のレコードは変わりません。設定画面の 既存レコードを変更 か、一覧の 一括計算 を実行します |
まとめ
- チャットで頼み、表で値を確かめ、設定画面で取り込む。 AI はアプリの項目とレコードの形を確かめ、あいまいな点を聞いてから計算式を書き、拡張機能が設定画面と同じ検査と模擬の計算をします
- kintone には読み取りだけ。既存のレコードを変えるのは、設定画面の「既存レコードを変更」か一覧の「一括計算」で、人が行います
- 拡張機能: https://github.com/rex0220/formula-authoring-mcp([最新のリリース](https://github.com/rex0220/formula-authoring-mcp/releases/latest))
- テンプレート(作業フォルダー、CLI): https://github.com/rex0220/formula-authoring
- プラグインの機能と関数の一覧: rex0220 計算式プラグイン











