1. はじめに
Arduino UNO R4 MinimaはUNO R3やLeonardoと比べるとROM、RAMとも強化されクロック周波数が上がりHIDもサポートしているためLeonardoの上位互換という感じですが、I/Oピンの許容出力電流が8mAで従来機種よりも大幅に低いという注意書きがあります。
Maximum current draw per pin: the UNO R4 series' maximum current draw per GPIO is 8 mA, which is significantly lower than previous versions. Exceeding this limit may damage your pin / board.
UNO R4 Minima|Arduino Documentation #tech-specs
2. 仕様
「significantly lower than previous versions」とのことでUNO R4 Minimaと従来機種であるUNO R3、Leonardoを比較します。
Name | Arduino UNO R3 | Arduino Leonardo | Arduino UNO R4 Minima |
---|---|---|---|
Microcontroller | Microchip ATmega328P | Microchip ATmega32u4 | Renesas RA4M1 |
Architecture | AVR | AVR | Arm Cortex-M4 |
Circuit Operating Voltage | 5V | 5V | 5V |
Input Voltage(VIN) | 7-12V | 7-12V | 6-24V |
DC Current per I/O Pin | 20 mA※1 | 40 mA | 8 mA |
Clock Speed | 16 MHz | 16 MHz | 48 MHz |
Flash ROM | 32 KB | 32 KB | 256 KB |
EEPROM | 1 KB | 1 KB | 8 KB |
SRAM | 2 KB | 2.5 KB | 32 KB |
HID Support | No | Yes | Yes |
※1:ATmega328Pの絶対最大定格は40mA
各I/Oピンの許容出力電流は、UNO R3に搭載されているATmega328Pの絶対最大定格が40mA、Leonardoも40mAなのに対してUNO R4 Minimaは8mAです。
また、UNO R4 Minimaに搭載されているRA4M1のデータシートによると全出力端子の総和の許容出力電流は60mAです。こちらもATmega328PやATmega32u4が100mA1なのと比べると控えめです。
3. 8mAってどれくらい?
8mAはふつう(?)に使う分には足りるもののUNO R3やLeonardoのつもりで使うには足りない感じです。例えば秋月電子通商のドライバー内蔵リレーモジュールキットのINPUTと5mm LED 12V(5V省電力版)を同一ポートに並列に接続すると約8.5mAの供給が必要となり許容出力電流を超えます。ディレーティングを考慮すると80%、6.4mA以下に抑えたいところです。
3.1 ドライバー内蔵リレーモジュールキット(秋月電子通商)
「雑に作る」の感想+αで紹介したドライバ内蔵リレーモジュールキットの回路図を引用し以下の条件を当てはめると、4.3mAの電流供給がマイコンの汎用I/Oに求められます。
3.2 抵抗内蔵LED
抵抗内蔵LEDのススメで紹介した「5mm LED 12V(5V省電力版)(秋月電子通商)」を5Vで点灯すると、4mA強の電流供給がマイコンの汎用I/Oに求められます。以下に抵抗内蔵5mmLED 12V(5V省電力版) 赤色 640nm OSR6LU5B64A-12VのデータシートのVf-If特性図を示します。
4. おわりに
高機能・高性能なUNO R4 Minimaが登場して選択肢が増えました。UNO R3、Leonardo、UNO R4 Minimaは搭載しているROM・RAMの容量やペリフェラル、許容電流、価格などで使い分けるのがよいでしょう。
例えばドライバー内蔵リレーモジュールキット(秋月電子通商)と抵抗内蔵LEDを併用するなら引き続きUNO R3やLeonardoの出番です。
一方でストップウォッチを使う性能テストを実ステップ300行に満たない自動テストシステムで自動化するではUNO R3を使用していますが、今から製作するならUNO R4 Minimaが候補になります。UNO R4 Minimaで十分供給可能な1mA程度の電流でLEDを点灯していたりUNO R3よりもUNO R4 Minimaの方が安価なためです。
特に今時のLEDはソフトウェアのテストツールの動作インジケータとして使うぶんには1mA程度でも十分明るいため抵抗内蔵LEDではなくふつうのLEDと外付けの電流制限抵抗を組み合わせてUNO R4 Minimaを採用するのがリーズナブルと思います。
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この書き方は厳密ではありません。正確な情報はATmega328PやATmega16u4/ATmega32u4のデータシートのElectrical Characteristicsをご確認ください。 ↩