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シリーズ

  1. 思想編(前回): 答えを出さないAI「Mirror」を作った話
  2. 実装編(前々回): AI時代のフロントエンドは「問い」の設計である
  3. 応用編(本記事): 答えを出さないAIの次:行動が起きる問いのつくり方

前回、こんな予告を書いた。

  • キャリアの壁打ちに使う
  • 学習・成長の振り返りに使う
  • チームの1on1に組み込む

でも、書き始めてから気づいた。

それは使い道の話であって、
本当に書きたかったのは使い方の話だった。

だから今回は、応用編をゼロから組み直す。
行動が起きる問いの設計、その実践編として。


自身の失敗から始める

最初は、問いを丁寧に置けば動くと思っていた。
でも動かなかった。

(ここは具体例を挙げないけど、何度も同じ空回りを見た)

「問いがあるのに、誰も引き受けない」
その空白が、場を止めていた。


何が違ったか?

動くときは、
問いが答えになっていない。

「こうすべき」を置いた瞬間に、場は固まる。
「じゃあ、自分はどう動けばいい?」が残ると、手が伸びる。
問いが「次の一歩の条件」になったとき、
人は引き受ける。


実践(問いの置き方)

解決策は、いったん置いとく。
出すと気持ちいいけど、そこで会話が終わりがちなので。
代わりに、条件だけを置く。

観測: 〜が起きている
痛み: だから〜がつらい
問い: それってなぜ続くんだろう

この問いは、説明ではなく引き受けを生む——たぶん。


具体例(XStructでの観測 → 問い)

XStructは、Xのポスト(公開の会話)を素材に「人が動いた瞬間の構造」を拾うための観測装置だ。

理由は単純で、いちばん速く「反応が起きた瞬間」が見えるから。
毎日、観測ログから断片を抜き、問いに変換している。

採取条件

  • 直近24〜72時間のポストから抽出
  • いいね/リポスト/引用の合計が一定以上
  • 仕事/組織/痛みに関わる語彙が含まれる
  • 説明ではなく体験・観測で書かれている
    など。

たとえばこんなポストである。

新人に教える時間がない
→ 即戦力を求める
→ 即戦力が来ない
→ 現場が疲弊
→ 新人に教える時間がない

「このループを続けているのは誰の都合なんだろう」


「心理的安全性」を掲げる会社で、
心理的安全性について意見したらキレられた

「この言葉は、何を守るために使われてるんだろう」


「誰でもできる簡単な作業」を
誰でもできるようにするのに3ヶ月かかった

「簡単って誰の視点の言葉だったんだろう」


比較表は揃っているのに、決定だけが止まる

「この選択で失うものを、誰が背負うことになっている?」

補足:XStructのメカニズム

問いを置く前に、人が動いた瞬間の材料が必要だった。
思い込みではなく観測から始めたくて、XStructを回している。

目的は「正解探し」ではなく、行動が起きた条件の採集

XStructは「観測 → 対話 → 編集」の3段構成になっている。

1) 観測(daily analyzer)
x_buzz_analyzer.py が1日1本、Codex CLIに
Xのポストから「痛み起点のバズ」分析を生成させ、output/ に保存する。
ここでは結論を出さず、痛みの型・矛盾の構文・表現パターンを集める。

2) 対話(night debate)
x_buzz_debate.py は22時〜5時の間に複数ラウンド議論する。
分析派Aと挑発派Bが交互に発言し、
「なぜ広がったか」を合意ではなく言語化の精度で詰める。

3) 編集(06:00 summary)
朝6時に議論ログからサマリーを編集し、
実践用の“問いの素材”に変換して保存する。

つまり、
観測ログの蓄積 → 立場の違う議論 → 編集で、
「行動が起きる条件」を抽出する装置になっている。


まとめ

問いは答えじゃない。
行動の条件を置くもの。

「答えを出さないAI」から始めた話は、
ここで「問いの置き方」に着地する。

答えは渡さない、条件だけを置く。
それが、場を動かすための設計だった。

最後は、今日中にやることを1つだけ。

いま止まっている議論を1つ選び、
「観測 → 痛み → 問い」の順に置いてみる。

そこに変化が起きたら、次回はその瞬間から書いてみようとおもう。


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