運用設計の価値とメリット ― しないと何が起きるのか?
システム開発では「運用設計」が軽視されがちです。
しかし、ここをおろそかにすると 障害対応の混乱、業務停止、運用コストの増大 など多くの問題を招きます。
この記事では、運用設計の価値とメリットを整理し「なぜ運用設計が欠かせないのか」を解説します。
📖 本記事は「運用設計の基礎知識まとめてみた」シリーズの一部です。
👉 シリーズ全体:運用設計を体系的に学ぶシリーズ|入門から実践まで
◀第1回の記事:運用とは何か?未経験でも理解できる基礎と定義整理
1. 運用設計をしないと起きること
運用設計を省略・後回しにすると、以下のようなリスクが顕在化します。
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障害対応が場当たり的になる
連絡経路やエスカレーションフローが決まっていないため、誰が対応するか曖昧になり復旧が遅れる -
属人化する
手順書がなく、特定の担当者だけがシステムを理解している状態になり、引き継ぎが困難になる -
監視漏れ・業務影響の見落とし
運用要件が定義されていないため、異常が起きても気付かず業務停止に直結する -
利用者からの問い合わせに対応できない
サポート窓口や対応フローが未整備で、問い合わせが現場に直接殺到し、混乱を招く
👉 簡単に言えば「システムは動いているのに、使えない・止まりやすい」という事態が起きやすくなります。
2. 運用設計をするメリット
一方で、適切に運用設計を行うと以下のような効果が得られます。
(1) 安定稼働の実現
監視項目や障害対応フローが明確になることで、トラブル発生時も迅速に復旧できます。
結果としてサービス提供の安定性が高まります。
(2) 運用コストの削減
属人化を防ぎ、手順を標準化することで教育コストや引き継ぎの負担を軽減できます。
長期的に見れば、緊急対応にかかるコスト削減にもつながります。
(3) 利用者満足度の向上
サポート体制や問い合わせフローを整えておけば、利用者からの信頼性も高まります。
社内システムであれば業務効率が上がり、社外サービスなら顧客満足度につながります。
(4) 継続的な改善の基盤づくり
運用設計でルールや仕組みを整えると、運用データの蓄積や改善活動が可能になります。
将来的には自動化・効率化にもつながります。
3. 運用設計の本当の価値
運用設計は「トラブルを避けるための保険」ではなく、
システムの価値を最大化するための投資 です。
- 設計をしなければ「動いているはずのシステム」が止まるリスクを抱えます
- 設計をすれば「止まらないシステム」「改善できる運用」を実現できます
👉 つまり、運用設計は「攻めのIT運用」の第一歩といえるでしょう。
まとめ
- 運用設計をやらないと、障害時の混乱・属人化・監視漏れなどのリスクが増大する
- 運用設計を行うと、安定稼働・コスト削減・利用者満足度向上・改善サイクル構築といったメリットが得られる
- 運用設計は単なる保険ではなく、システムの価値を高める投資
参考
本記事は以下のサイトを参考に要点を整理しました。
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