運用設計を誰が・いつ行うべきか? 実務での注意点
「システム運用設計」は、現場での安定稼働には欠かせない重要な工程です。
この記事では、運用設計を 誰が担当し、どのタイミングで始めるのが適切か を現場の視点から整理します。
📖 本記事は「運用設計の基礎知識まとめてみた」シリーズの一部です。
👉 シリーズ全体:運用設計を体系的に学ぶシリーズ|入門から実践まで
◀第1回の記事:運用とは何か?未経験でも理解できる基礎と定義整理
1. 運用設計の担当は誰か?
運用設計は単に「運用部門の仕事」とは言い切れません。
実際には複数の関係者が関わり、それぞれに異なる責任を担います。
主な関係者と役割
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開発チーム
新システムの仕様を理解している立場。
運用で必要となる監視ポイントや障害対応のシナリオを提供する。 -
運用チーム
実際にシステムを監視・保守する立場。
手順書やエスカレーションフローを整備し、現実的に回せる設計を行う。 -
利用部門(業務側)
システムを実際に利用する立場。
問い合わせ窓口や業務手順との整合性を確認し、利用者目線での要件を提示する。
👉 ポイントは 「誰か一人」ではなく、関係者が連携して設計する ということです。
2. 運用設計を始めるタイミング
開発が完了してからでは遅い
運用設計は システム開発の後工程 と誤解されがちですが、実際にはもっと早い段階で着手する必要があります。
- 開発の設計段階で運用要件を組み込む
- テスト計画と並行して監視・障害対応のシナリオを検討する
- 本番リリース前に手順書やエスカレーションルートを整備する
👉 運用設計を後回しにすると、「監視できない」「問い合わせに対応できない」といった問題が発生し、結果的にコスト増や障害対応の遅延につながります。
3. 実務での注意点
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現場の声を必ず反映する
運用設計が机上の空論にならないよう、実際に作業する担当者のフィードバックを取り入れる。 -
ドキュメントを揃える
手順書・監視項目表・エスカレーションフローなどを標準化しておくと、属人化を防げる。 -
段階的に改善できる仕組みを作る
最初から完璧を目指すのではなく、リリース後の運用を通じて改善できる余地を残しておく。
4. まとめ
- 運用設計は 開発・運用・利用部門が協力して進めるもの
- タイミングは 開発の初期段階から着手するのが理想
- 実務では「現場の声」「ドキュメント整備」「改善サイクル」が成功のカギ
システムはリリースした瞬間から運用が始まります。
運用設計を「誰が・いつ」やるかを意識することで、安定稼働と継続的な改善が可能になります。
参考
本記事は以下のサイトを参考に要点を整理しました。
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