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kintoneクローン? OSSWebDBのExmentをLightsail+Dockerで立ち上げたら結構ハマったのでメモしておく

Last updated at Posted at 2020-09-08

Exment is 何?

2020-09-08_11h46_18.png
Exmentは、Laravel製(ということは、LAMPですね。ということは、レンタルサーバーでも動きますね。)のWeb DBシステムです。リレーショナルなデータベースをGUI管理画面から操作できます。

ExmentはOSSで、GPLライセンスです。開発は株式会社カジトリ​が中心となって行っています。詳細は開発者の方の記事をご覧ください

GUIのWeb DBというと、なんとなくサイボウズ社のkintoneを連想する方もいるのではないでしょうか。

開発元からはキントーンのキの字も聞こえてきませんが、筆者はひそかにkintoneクローンだと思っていて、かなり可能性を秘めているOSSプロダクトだと考えています。

正直、かなりほれ込んでいるのですが、この記事ではお気に入りポイントは解説しません。また別の機会に。

クラウドでなるべくお安くExmentを運用したい!

ローカルでは、Dockerを使ってExmentを試すことができます。作ってくれた人ありがとう!

ローカルで実際やってみたところ(macOS Mojave、Windows 10 Home WSL2で確認)、あっさり出来ました。すごいですね。

そうしたら、クラウドでホスティングして、外出先などからもアクセスしたくなるというのが人情ですよね。

ホスティング先をいろいろ考えてみました。フロントエンドだけなら、NetlifyやVercelといった無料のサービスもあるのですが、残念ながらこれはバックエンドのシステムです…

先述していますが、Exmentはレンタルサーバーでも運用できます。

Exment公式サイトには、さくらやエックスサーバーといったレンサバでのインストール手順が公開されていますが、残念ながら、さくらやエックスサーバーのアカウントを私は持ち合わせておりません。つまり、筆者はレンサバの契約をしていないのですね。(フロント寄りの作りかけ個人プロダクトがNetlifyやVercelにはわんさかあるんですけど)

Exmentのためだけにレンサバ借りるのもなんだかなあ、だったらVPSのほうが良くない? と色々調べた結果、AmazonのLightsailが私の用途にぴったりだと気付きました。

(なお、筆者はこの時点でVPS、AWS童貞です)

ではさっそくLightsailのアカウントを取得して、始めるぞ!

Lightsailにログインしてからインスタンスの作成あたりまでは、下記記事が詳しいです。

今回は、一番安い$3.5/月の512MBRAMのインスタンスにしました。なるべくお安く、というテーマなので。どうしてもスペック足りなかったら、その時にスケールアップなりなんなり対応を考えようというスタンスです。

Lightsailには、WordPressなどのWebアプリケーションがセットになったインスタンスひな形があるのですが、当然知名度まだまだのExmentひな形というのはありません。

そこで、OSのみのインスタンスを選択します。今回は、CentoOS7を選択しました。

CentOSにフツーにインストールする? それとも…?

Exment公式には、CentOS7にインストールする手順も公開されており、またそれを補強する記事もあります。(下記参照)

が、公式を見ていただければわかる通り、結構な手順があります。で、実際1度やりました。何度か環境を捨てたりやり直したりする過程で「この手順毎回やってられんわ!」となり、他の方法を考えることに至ります。

せや、Dockerそのまま載せたったらええやん?

Lightsail+DockerでExmentを動かす(httpsもあるよ!)

ここからは、ハマりポイントを踏まえた回避策も含めて手順を記します。ここを守れば、最短でExment on Lightsail+Dockerが実現できます。

CentOS7でインスタンス作成後、Docker、Docker-composeとgitをインストールする

では、もろもろインストールしていきます。

毎回、sudo つけるの大変なので、rootになります。

Lightsailでrootになるには、こちらの記事を参考にしました。

$ sudo su -

Dockerをインストールします。こちらの記事が詳しいです。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# yum install -y docker          # dockerのインストール
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# service docker start           # dockerの起動
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# groupadd docker                # ユーザー権限で実行できるようにしておく
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# usermod -g docker centos       # 作成したグループにcentosユーザを追加
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# sudo /bin/systemctl restart docker.service
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# docker info        

これでDockerはインストールできました。
続いて、Docker-composeです。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# curl -L https://github.com/docker/compose/releases/download/1.21.0/docker-compose-$(uname -s)-$(uname -m) -o /usr/local/bin/docker-compose
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# chmod +x /usr/local/bin/docker-compose
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# docker-compose --version

最後に、Gitをインストールします。CentOS7のyumで入るGitは、1.8.2と古いバージョンのものです。気になる人は、下記記事を参考に新しいのを入れてみてください。今回は、git cloneしたいだけなので、そのままyumでインストールします。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# yum install -y git

これで、Gitもインストールできました。

スワップ領域を作る

RAM512MBのインスタンスなので、DockerでMySQLまで動かすとメモリ不足になりました。(ハマりポイント1)なので、先んじてスワップ領域を作っておきましょう。

スワップの作り方は下記記事を参考にしました。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=1M count=4096 status=progress

コマンドの書き方をミスってたため、結構ハマりました(ハマりポイント2)

あれこれ試行錯誤した過程で、/dev/zeroが何のファイルかわかっておらず、rm -rfしちゃったのはいい思い出です。

/dev/zeroを復活させるのは、こちらの記事を参考にしました。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# mknod -m 666 /dev/zero c 1 5
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# chown root:mem /dev/zero

status=progressオプションですが、今回はスワップ領域が4Gと大きめなので、しばらくターミナルが沈黙しちゃうと心配です。なので、ddコマンドの進捗をお知らせしてくれるオプションをつけました。下記記事を参考にしています。

ddでスワップ領域が作成されたら、粛々と残りの作業を進めます。

[root@ip-172-xx-xx-x ~]# chmod 600 /swapfile #パーミッションの変更
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# mkswap /swapfile #スワップの作成
Setting up swapspace version 1, size = 1048572 KiB
no label, UUID=d0519bf6-8abf-4c0d-9375-8068c9e5e9a1
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# swapon /swapfile #スワップの有効化
[root@ip-172-xx-xx-x ~]# free -m #スワップの確認

最後に、スワップの永続化をします。
viで/etc/fstabを開き、

/swapfile                                 swap                    swap    defaults        0 0

でおしまいです。

git cloneで、docker-compose.ymlとDockerfileを拾ってくる。

先述ご紹介した、ExmentのDockerを作ってくれた方のGithubから拾います

[root@ip-172-xx-xx-x /home/centos/]# git clone https://github.com/yamada28go/docker-exment.git

場所はどこでもいいと思うんですけど、デフォルトユーザーディレクトリ直下にしました。

httpsは?

Dockerでhttpsというと、https-portalが有名なようです。

結論から先にいうと、https-portalを先に設定した状態でExmentをインストールしたら、上手くいきませんでした!!!(ハマりポイント3)

なので、SSLを設定する前に非SSLの状態でExmentのインストールを進めます。

一応、docker-compose.ymlに目を通しておきますか。

docker-compose.yml
version: '3'
services:
  nginx:
    image: nginx:latest
    ports:
      - 8080:80
    volumes:
      - ./nginx/nginx.conf:/etc/nginx/conf.d/default.conf
      - www-data:/var/www
    depends_on:
      - php

  php:
    build: ./php
    volumes:
      - www-data:/var/www
    depends_on:
      - db

  db:
    image: mysql:5.7
    ports:
      - 13306:3306
    volumes:
      - mysql-data:/var/lib/mysql
    environment:
      MYSQL_DATABASE: exment_database
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: secret
      MYSQL_USER: exment_user
      MYSQL_PASSWORD: secret

  phpmyadmin:
    image: phpmyadmin/phpmyadmin:latest
    ports:
      - 8888:80
    depends_on:
      - db

# volumes を定義する
volumes:
  # volume の名前を指定
  # Exmentのインストールパス
  www-data:
    # Compose の外ですでに作成済みの volume を指定する場合は ture を設定する。
    # そうすると、 docker-compose up 時に Compose は volume を作成しようとしません。
    # かつ、指定した volume が存在しないとエラーを raise します。
    #external: true
  # mysql dbのインストールパス
  mysql-data:

あとでhttps-portalが80番ポートを使うので、nginxが8080になっているのは逆に都合がいいです。特にこのまま何も編集しません。

docker-compose.ymlとDockerfileは何もさわりませんが、php.iniだけは1行だけ追記します。

最後の行に

memory_limit=-1

を追記しておきます(ハマりポイント4、詳細は後述)

ではいよいよ…

[root@ip-172-xx-xx-x /home/centos/]# docker-compose up -d

初回なので、イメージの取得とビルド、ボリュームの作成をやってくれます。

起動が完了したら、docker-comopse psで、全コンテナがUpしていることを確認します。(スワップを作っていなかった時は、ここでMySQLがExitしてました)

無事起動したら、IPアドレスでアクセスしてみよう

Lightsail側で以下の手順を済ませておきます。

  • 静的IPのアタッチ
  • ポート8080番の開放

xx.xx.xx.xx:8080にブラウザでアクセスしてみて、Laravelの初期画面が表示されていれば成功です。

xx.xx.xx.xx:8080/adminにアクセスすると、Exmentの初期設定画面になります。

画面は3部構成になっていて、

  1. 言語とタイムゾーンの指定
  2. DB設定
  3. DB設定開始ボタン

の3画面です。何か入力するのは2画面目のDB設定です。

Dockerを使っていますので「ExmentのDocker環境を作ってみた」の記事を参考に、設定を埋めます。

  • ホスト名 → db
  • データベース名 → exment_database
  • ユーザー名 → exment_user
  • パスワード → secret

この後、無事インストールが完了すれば、Exmentの初期画面となります。

添付ファイルとかはS3に保存したいじゃんね!

今回のLightsailインスタンスは、保存領域が20GBと、まあ何か動かすのはいいけど、バイナリデータ突っ込んでいったらすぐパンパンになるよね、って容量です。

Exmentには、外部のストレージサービスに各種ファイルを保存するオプションがあります。

せっかくですので、AWSでそろえて、S3に保存させるようにしてみましょう。

S3も童貞でしたので、下記記事を参考にバケットを作成してみました。

Exment側でも設定が必要です。既にdocker-compose exec php bashで立ち上がっているコンテナの中に入ります。

[root@ip-172-xx-xx-x /home/centos/]# docker-compose exec php bash

これで、Exmentが動いているphpコンテナの中に入れます。プロンプトの表示がこんな感じに変われば成功です。

root@f54bef27801a:/var/www#

つまり、クラウド上にあるLightsailの中にあるDockerコンテナphpの中にいるという二重構造なわけですね。

引き続き、「(上級者向け)ファイルの保存先変更」を読み解きながら、Exment(Laravel)のファイルを修正していきます。

Exmentルートフォルダにある、.envファイルをvimで修正/追記します。

EXMENT_DRIVER_EXMENT=s3
EXMENT_DRIVER_BACKUP=s3
EXMENT_DRIVER_TEMPLATE=s3
EXMENT_DRIVER_PLUGIN=s3

AWS_ACCESS_KEY_ID=(AWS S3のアクセスキー)
AWS_SECRET_ACCESS_KEY=(AWS S3のシークレットアクセスキー)
AWS_DEFAULT_REGION=(AWS S3のリージョン)

AWS_BUCKET_EXMENT=(添付ファイルで使用するAWS S3のバケット)
AWS_BUCKET_BACKUP=(バックアップで使用するAWS S3のバケット)
AWS_BUCKET_TEMPLATE=(テンプレートで使用するAWS S3のバケット)
AWS_BUCKET_PLUGIN=(プラグインで使用するAWS S3のバケット)

なお、EXMENT_DRIVER_xxxはすべて設定する必要はなく、必要があるものだけ設定します。それに紐づくAWS_BUCKET_xxxも必要なものだけでOKです。

私は添付ファイルとバックアップデータはS3に保存したかったので、

  • EXMENT_DRIVER_EXMENT
  • EXMENT_DRIVER_BACKUP
  • AWS_BUCKET_EXMENT
  • AWS_BUCKET_BACKUP

の4つのみ設定しました。

最後に、composerでライブラリをインストールします。

先ほど、docker-compose up -dの前にphp.iniを編集しましたが、Composerはメモリ食いで、すぐPHPのメモリ利用可能上限に達してしまうので、この上限を解除する設定をしたのでした。

Composerはインストールに時間がかかるので、時間かかった結果失敗した、って辛いですよね…(筆者はとても悲しかったです。)なので、この設定はcomposer requireをする前にもう一度確認しておきましょう。

root@f54bef27801a:/var/www# php -i | grep memory_limit
memory_limit => -1 => -1

-1になっていればOKです。(メモリ上限なし、の意味)

では、いよいよライブラリのインストールです

root@f54bef27801a:/var/www# composer require league/flysystem-aws-s3-v3 ~1.0 -vvv

-vvvオプションは、もっとも粒度細かくログを出す、という意味の指示です。composerはインストールにとても時間がかかるので、長い時間ターミナルが沈黙していると心配になります。

なので、逐次ログを出してくれるようにします。このオプションをして長いこと沈黙があれば、それは本当に何かしらの理由で止まっているか、めちゃくちゃ重い処理をしている、ということになります…

S3に添付ファイルをアップするオプションの設定は以上です。適当な画像でもアップして、バケットの中にファイルがあることを確認しましょう。

最後に呪いのhttpsです…

いや、httpsに何の悪いところもないのですが、かなりハマって悩まされたので…

色々やり方が悪かったのかと思い、Docker環境全捨てからの再インストールを何度も行ったので、かなり時間を食ってしまいました。

さっきも言いましたが、docker-composeにhttps-portalも混ぜて書いてしまうと、初回インストールに失敗します。結局はよくわからんエラーに遭遇して詰みました。

インストールは3画面あるといいましたが、最後の3画面目のインストールボタンを押したら、あのLaravelのグレーみの強いエラー画面で

Use of undefined constant STDIN - assumed 'STDIN' (this will throw an Error in a future version of PHP)

って出てきて、DBにデータが差し込めないことに。PHPやLaravelに明るくない筆者であるため、ここで断念しました。

httpならちゃんとうまくいったので、結局このエラーをつぶすことはあきらめ、httpでインストール完了させ、その後httpsにするという作戦に切り替えた次第です。

https-portalをdocker-compose.ymlに追記する

https-portalの部分だけ書き出します。

docker-compose.yml
https-portal:
  image: steveltn/https-portal:1
  ports:
    - '80:80'
    - '443:443'
  links:
    - nginx
  restart: always
  volumes:
    - ./certs:/var/lib/https-portal
  environment:
    STAGE: 'production'
    DOMAINS: >-
      example.com -> http://nginx:8080
  depends_on:
    - php

特に難しいことはありません。公式のサンプルとそんなに変わりませんし。ポイントとしては、enviroment:STAGE:が、'production''staging'でないと、Let's Encryptの本チャンの証明書はもらえないということです。ここがlocalとか指定なしだと、ローカル開発ってことで、なんちゃって証明書が発行されます。ここも地味にハマりポイントでした(ハマりポイント5)

さて、最後に https://example.com/ にアクセスして、Laravelの初期画面が表示されれば晴れて成功です…

と言いたいのですが、まだあります。

https://example.com/admin にアクセスすると、盛大に画面崩れを起こしているじゃないですか!

ブラウザコンソールを見ると、mixed contentでhttpがソースのCSS/JS類が全部ブロッキングされています。

これの対処が最初全然わからなかったのですが、試行錯誤の結果、LaravelおよびLaravel-adminが犯人と断定されました! asset('/css/hoge.css')みたいな記述のところで、http付のパスを出力しちゃってるようです…

以下、この件についての対策です。またdocker-compose exec php bashして中に入ってください。

/var/www/exment/.env
APP_ENV=production
/var/www/exment/app/Providers/AppProvider.php
class AppServiceProvider extends ServiceProvider
    public function boot()
    {
    if (config('app.env') === 'production') {
       \URL::forceScheme('https'); //Schemaじゃなくて、Scheme!!!(ハマりポイント6)
    }
    }
/var/www/exment/config/admin.php
    /*
    |--------------------------------------------------------------------------
    | Access via `https`
    |--------------------------------------------------------------------------
    |
    | If your page is going to be accessed via https, set it to `true`.
    |
    */
    'https' => env('ADMIN_HTTPS', true), // ←デフォはfalseなので、trueに!

これで、すべてのアセットがhttpsから配信され画面崩れなく表示されるようになりました。

正直、これが本当の意味で正解かどうかわかりません。もしかしたら、AppProvider.phpは不要かもしれません… Laravelのバージョンによってコードの書き方が微妙に違うようでした。これは、本当にたくさんの参考ソースを読みまくって、なんとか動くコードに落ち着いたというのが実情です。

もし、もっと良い方法があるよ、という方はぜひコメント欄で教えてください。

以上、無事動くようになりました!

今のところ、機嫌よく動いてくれています。

セキュリティ等

本記事は検証目的の環境づくりのため、セキュリティ等については触れておりません。詳しい方は補足いただけると助かります。

今後

Exmentの素敵なところをほめまくる記事とか書きたいですね!

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