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NVMe SSDの寿命消費率(Percentage Used)が増えたので調べてみた(その6)

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はじめに

 これまで数回、私が日々の仕事で使用しているノートPCに搭載されたNVMe SSDのPercentage Usedという統計情報が増えた際に、期間中のSSDへの書き込みデータ量などについてご紹介してきました。

 この"Percentage Used"とは、NVMe仕様[1]が定めるSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology (S.M.A.R.T.)情報のひとつで、日本語では「寿命消費率」と言えるような数値です。

 前回この数値が増えたのは2023年7月のこと。それからほぼ4か月を経てまたこの数値が増えました。具体的には18 (%)から19 (%)に増えました。

 そこで今回も、前回数値が変化してから今回数値が変化するまでの状況をまとめ、考察します。

 なお、「寿命消費率」という呼びかたは"Percentage Used"に対して私が勝手に付けたものであり、公式な呼びかた(日本語訳)ではありません。

まとめ

  • Percentage Usedは、NVMe仕様に規定された「メーカー保証寿命に対する消費率(%)」で、計算方法はメーカー依存
  • Percentage Usedが増加する間隔が短縮しているのはSSD内部での書き込みが増えていることが要因と考えられ、この傾向が続くのか注視が必要

おさらい:寿命消費率(Percentage Used)とは

 NVMe仕様のSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology (S.M.A.R.T.)情報における「寿命消費率(Percentage Used)」とは メーカー依存の寿命使用度見積もり(百分率) です。

CrystalDiskInfoで取得した当該NVMe SSDのS.M.A.R.T.情報(赤枠内がPercentage Used)
図1:CrystalDiskInfoで取得した当該NVMe SSDのS.M.A.R.T.情報(赤枠内がPercentage Used)

 この「寿命消費率」は、NVMe仕様で規定された標準項目中で唯一寿命を直接的に表現した数値で、メーカー基準の保証寿命を使い尽くした状態が100 (%)になるように現在の使用状況を正規化した値です。

 なおこの"Percentage Used"は100を超えることもあり得ます(100を超えることを仕様として許容している)。これは、メーカー基準の保証寿命と実際のSSDの寿命に差がある(後者のほうが長い)ためです。

 詳細は以前の記事をご覧ください。

以前からこれまでのホストからの書き込み量推移

 今回、Percentage Usedが18から19に増えました。

 このPC (SSD)の通算使用期間は4年と11か月です。この期間にメーカー保証寿命換算で19%を消費した、ということになります。

 前回(2023年7月)このPercentage Usedが17から18に増えた時から、今回18から19に増えるまでの累積書き込み量の様子は、SSDから取得したS.M.A.R.T.情報によると図2のようになります。

前回Percentage Usedが増えてからのホストからSSDへの累積データ書き込み量
図2:前回Percentage Usedが増えてからのホストからSSDへの累積データ書き込み量

 前回Percentage Usedが17から18に増えるまでは約6.0 TB(約5.5 TiB)書き込んでいました。同様に調べると、今回Percentage Usedが増えるまでにほぼ同じ約6.0 TB(約5.5 TiB)書き込んでいました(図3)。

ホスト書き込みデータサイズ(区間)
図3:ホスト書き込みデータサイズ(区間)

 図3によるとPercentage Usedが増える時間間隔が徐々に短縮しています。ためしに増加間隔の差を調べると、振動しながら落ち着いてきているようにも見えます。ただ、このまま等差数列で増加間隔が短縮し続けることはないはずです。

 Percentage Usedの増加には、ホストからの書き込みサイズ以外にSSDの内部処理によるNANDフラッシュメモリへの書き込みサイズが影響します。もしSSDの内部処理が頻繁に行われると、ホストからの書き込みサイズが少なくてもNANDフラッシュメモリへの書き込みサイズが増加しPercentage Usedが増える可能性があります。

 前回からこれまでこのPCの使いかたやSSD内の空き容量に大きな変化はなく、また各区間でのホストからの書き込みデータサイズがほぼ等しいにもかかわらず、ここまで明確にPercentage Usedの増加間隔が短縮しているということは、SSDの内部処理が以前と比較して頻繁に行われている可能性が高いと言えます。

 なおPercentage Usedが18に変化した時点でのホストからの累積データ書き込み量は約126 TBです。使いかたが異なるので直接の比較はできませんが、このSSDのカタログスペック上のTBWは300 TBです。

 いずれにせよ寿命は経過時間には依存せずあくまで書き込み量に依存しますので、今後も書き込み量について継続的な監視が重要です。特にPercentage Usedの増加間隔が今後どう推移するのか(さらに短縮するのかそれとも落ち着くのか)がポイントになりそうです。

 以上をまとめると、図2と図3およびドライブの状況からわかることと考えられることは以下の通りです。

  • 今の使いかたを続けている限り、当面の間は約6 TB書き込むとPercentage Usedが1増えそう
  • ただし、Percentage Usedの増加間隔が徐々に短縮しており、SSDの内部処理による書き込み量が以前より増えている可能性が高い
  • 今後も継続的な監視が必要

 ちなみに、Percentage Usedの増加間隔が短縮し続けているので、SSDの空き容量を増やすべく不要なファイルの削除を実施しました。Windows10やWindows11であれば、SSDが対応していればファイル削除時にOSがSSDに対象領域が無効である情報(いわゆるTRIM)を通知しますので、SSD側でこの通知を契機に実効的な空き容量を回復してくれるはずです。

まとめ

 今回の記事では、私が実際に使用しているノートPCに搭載されているNVMe SSDの「寿命消費率(Percentage Used)」が増えたことを取り上げて、前回増えた時から今回までのホストからの書き込み量などを調べ、状況を考察しました。

 SSDのS.M.A.R.T.情報をはじめとする統計情報も、他の機器の統計情報と同様に異常値がないか、異常な変化がないか、継続的に監視を続けることが重要です。

Reference

[1] NVM Express, "NVM Express Base Specification," Revision 2.0c, October, 2022

ライセンス表記

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この記事はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

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