はじめに
以前この記事で、私が日々の仕事で使用しているノートPCに搭載されたNVMe SSDのPercentage Usedという統計情報が増えたことをご紹介しました。
この"Percentage Used"とは、NVMe仕様[1]が定めるSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology (S.M.A.R.T.)情報のひとつで、日本語では「寿命消費率」と言えるような数値です(以前の記事参照)。
前回この数値が増えたのは2021年8月のことでしたが、先日またこの数値が増えました!
具体的には14 (%)から15 (%)に増えました。
そこで前回数値が変化してから今回再度数値が変化するまでの状況をまとめ、考察します。
なお、「寿命消費率」という呼びかたは"Percentage Used"に対して私が勝手に付けたものであり、公式な呼びかた(日本語訳)ではありません。
まとめ
- Percentage Usedは、NVMe仕様に規定された「メーカー保証寿命に対する消費率(%)」で、計算方法はメーカー依存
- Percentage Usedの増加(寿命消費の進行度合い)を見る限り、引き続き、TBW算出に用いられた「使いかた」よりも「優しい使いかた」をしている模様
おさらい:寿命消費率(Percentage Used)とは
NVMe仕様のSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology (S.M.A.R.T.)情報における「寿命消費率(Percentage Used)」とは メーカー依存の寿命使用度見積もり(百分率) です。
この「寿命消費率」は、NVMe仕様で規定された標準項目中で唯一寿命を直接的に表現した数値で、メーカー基準の保証寿命を使い尽くした状態が100 (%)になるように現在の使用状況を正規化した値です。
なおこの"Percentage Used"は100を超えることもあり得ます(100を超えることを仕様として許容している)。これは、メーカー基準の保証寿命と実際のSSDの寿命に差がある(後者のほうが長い)ためです。
詳細は以前の記事をご覧ください。
以前からこれまでのホストからの書き込み量推移
今回、Percentage Usedが14から15に増えました。
このPC (SSD)の通算使用期間は3年と約3か月です。つまり約3.25年経過してメーカー保証寿命の15%を消費した、ということになります。
昨年(2021年)13から14に増えた時から、今回14から15に増えるまでの累積書き込み量の様子は、SSDから取得したS.M.A.R.T.情報によると以下のようになります。
図:前回Percentage Usedが増えてからのホストからSSDへの累積データ書き込み量
前回Percentage Usedが13から14に増えるまでは約4.8 TB書き込んでいました。同様に調べると、今回Percentage Usedが増えるまでに約5.9 TB(約5.5 TiB)書き込んでいました。
Percentage Usedが15に変化した時点でのホストからの累積データ書き込み量は約102 TBです。
このSSDのカタログスペック上のTBWは300 TBですので、同じくS.M.A.R.T.情報のData Units Writtenからの単純計算では34%消費したことになりますが、Percentage Usedはそれよりも低い値を示しています。
同様にTBWとホストから書き込んだデータ量が一致した時にPercentage Usedが100になると仮定すると、単純計算ではPercentage Usedの1%は3 TBなので3 TB書き込むとPercentage Usedが1増えるはずですが、今回もPercentage Usedが1増える間にそれより多い量のデータを書き込んでいます。
TBWもこのPercentage Usedも「SSDの使いかた」に依存しますので、この数値の「ずれ」が示すのは「この期間の私のSSDの使いかたがTBW算出の前提となる使いかたよりもやさしい使いかたである」ということです。
逆に言えば、TBWが「SSDの使いかた」に依存することの証拠でもあります。
もちろんこれは測定時点までの過去の話でありPercentage Usedの値が今後も同じペースで増えていくとは限らず、また今後「SSDにやさしくない使いかた」をするとPercentage Usedの増加スピードが上昇する可能性があります。
まとめ
今回の記事では、私が実際に使用しているノートPCに搭載されているNVMe SSDの「寿命消費率(Percentage Used)」が増えたことを取り上げて、前回増えた時から今回までのホストからの書き込み量などを調べ、状況を考察しました。
SSDのS.M.A.R.T.情報をはじめとする統計情報も、他の機器の統計情報と同様に異常値がないか継続的に監視を続けることが重要です。
References
[1] NVM Express, "NVM Express Base Specification," Revision 2.0b, Jan. 2022
ライセンス表記
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