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NVMe SSDの寿命消費率(Percentage Used)が増えたので調べてみた(その3)

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はじめに

 私が日々の仕事で使用しているノートPCに搭載されたNVMe SSDのPercentage Usedが、先日15 (%)から16 (%)に増えました(図1)。

 16つまり16進数で0x10。綺麗な値ですね(うっとり)。

CrystalDiskInfoで取得した当該NVMe SSDのS.M.A.R.T.情報(赤枠内がPercentage Used)
図1:CrystalDiskInfoで取得した当該NVMe SSDのS.M.A.R.T.情報(赤枠内がPercentage Used)

 この場で初めて報告した当該NVMe SSDのPercentage Used増加は2021年8月の出来事で、次に増加したのは2021年3月の出来事です。増加に要した期間で比較すると前回が約8か月で今回は約6か月となります。

 この"Percentage Used"とは、NVMe仕様[1]が定めるSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology (S.M.A.R.T.)属性のひとつで、日本語では「寿命消費率」と言えるような数値です。

 そこで前回数値が変化してから今回数値が変化するまでの状況をまとめ、考察します。

 なお、「寿命消費率」という呼びかたは"Percentage Used"に対して私が勝手に付けたものであり、公式な呼びかた(日本語訳)ではありませんのでご了承ください。

まとめ

  • Percentage Usedは、NVMe仕様に規定された「メーカー保証寿命に対する消費率(%)」で、計算方法はメーカー依存
  • 他のS.M.A.R.T.属性とあわせて見る限り、引き続き、TBW算出に用いられた「使いかた」よりも「優しい使いかた」をしている模様

おさらい:寿命消費率(Percentage Used)とは

 NVMe仕様のS.M.A.R.T.情報における「寿命消費率(Percentage Used)」はメーカー依存の寿命使用度見積もり(百分率)です。

 この「寿命消費率」はNVMe仕様で規定された標準項目中で唯一寿命を直接的に表現した数値で、メーカー基準の保証寿命を使い尽くした状態が100 (%)になるように現在の使用状況を正規化した値です。

 "Percentage Used"は100を超えることもあり得ます(100を超えることを仕様として許容している)。これは、メーカー基準の保証寿命と実際のSSDの寿命に差がある(後者のほうが長い)ためです。

 そのことにつきましては以前の記事をご覧ください。

以前からこれまでのホストからの書き込み量推移

 今回、Percentage Usedが15から16に増えました。

 このPC (SSD)の通算使用期間は3年と約9か月です。つまり約3.75年経過してメーカー保証寿命の16%を消費した、ということになります。

 前回Percentage Usedが14から15に増えた時から、今回15から16に増えるまでの累積書き込み量の様子は、SSDから取得したS.M.A.R.T.情報によると図1のようになります。

前回Percentage Usedが増えてからのホストからSSDへの累積データ書き込み量
図1:前回Percentage Usedが増えてからのホストからSSDへの累積データ書き込み量

 Percentage Usedが13から14に増えるまでは約4.4 TiB、14から15に増えるまでは約5.5 TiB書き込んでいました。同様に調べると、今回Percentage Usedが15から16に増えるまでに約5.5 TiB書き込んでいました(図2)。

区間ホスト書き込みデータサイズ
図2:区間ホスト書き込みデータサイズ

 ドライブ内の有効なデータのサイズは以前から70 GB程度増えていますが、それでも空き容量はまだドライブ容量の半分程度(240 GB程度)ありますので、Garbage Collectionの効率が悪くなるような状況とは考えられません。

 図1と図2およびドライブの状況からわかることと考えられることは以下の通りです。

  1. このサンプルだけで「今の使いかたを続けた場合だいたい5 TiB書き込むとPercentage Usedが1増える」と言い切るのは難しい(要継続監視)
  2. このSSDのカタログスペック上のTBWは300 TB。S.M.A.R.T.情報のData Units Writtenから単純計算するとホストからの累積書き込みデータ量は約108 TB。これはTBWの36%に相当するもののPercentage Usedはそれよりも低い値(16%)を示している。
  3. TBWとホストから書き込んだデータ量が一致した時にPercentage Usedが100になると仮定すると、単純計算ではPercentage Usedの1%は3 TB。しかし今回もPercentage Usedが1増える間に3 TBより多くのデータを書き込んでいる。

 これまでの繰り返しになりますが、TBWもPercentage Usedも「SSDの使いかた」に依存する値です。TBW算出時に想定した使いかた(ワークロード)と全く同じ使いかたになることなどあり得ませんので、「ずれ」があるほうが当たり前です。「ずれていること」こそTBWが「SSDの使いかた」に依存することの証拠です。

 今回のずれは「この期間の私のSSDの使いかたがTBW算出の前提となる使いかたよりもやさしい使いかたである」ことを示していると考えられます。今後もPercentage Usedの値が同じペースで増えていくとは限らず、今後「SSDにやさしくない使いかた」をすればPercentage Usedの増加スピードが上昇するはずです。

まとめ

 今回の記事では、私が実際に使用しているノートPCに搭載されているNVMe SSDの「寿命消費率(Percentage Used)」が増えたことを取り上げて、前回増えた時から今回までのホストからの書き込み量などを調べ、状況を考察しました。

 SSDのS.M.A.R.T.情報をはじめとする統計情報も、他の機器の統計情報と同様に異常値がないか継続的に監視を続けることが重要です。

References

[1] NVM Express, "NVM Express Base Specification," Revision 2.0b, Jan. 2022

ライセンス表記

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この記事はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

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