能書き
自宅サーバー構築譚:基本構想に基づく自宅サーバー構築の続き。
以前の手順では、OpenSSH をインストールせず、ログインユーザーについても root での直接ログインを許可する形になっていました。色々考えまして、ここを Ubuntu の流儀に合わせます。ほとんどの手順は以前と同じですが、それを修正するのではなく、新しい記事を起こす事にしました。
参考文献
- 自宅サーバー構築譚:Ubuntu on ZFS in デスクトップパソコン(BIOS,MBR)
- 自宅サーバー構築譚:Ubuntu 22.04 LTS on ZFS in デスクトップパソコン(BIOS,MBR)
- Ubuntu 22.04 Root on ZFS - OpenZFS Documentation - OpenZFS
インストール環境の整備
ハードウェアの仕様は昔書いた記事の通りです。将来的にはこれをセカンダリサーバにする予定ですが、今回はプライマリサーバとして構築します。
ちなみにストレージの暗号化はしない方針です。家庭用なので。
デスクトップインストーラーを起動しsshの環境整備
サーバーをインストールする場合でもデスクトップ版のisoを使用します。Ubuntuのサイトからダウンロードして、USBメモリに焼きます。
私は普段使いのWin10マシンでRufusというツールを使ってみましたが、ここはお好みでどうぞ。
このUSBメモリをインストール対象マシンに挿入して、ここから起動。
GUI インストーラーが立ち上がって Welcome という画面が表示されたら、 TAB キーを押して Try Ubuntu ボタンにフォーカスを移動して(ボタンにオレンジの枠がつきます) Enter キーを押します。
ウィンドウ環境に切り替わったらターミナルを起動しますが、マウスが繋がっていない場合はショートカットキー Ctrl+Alt+T でどうぞ。
主な作業はsshで接続して行いたいので、そのように準備します。sshで接続するのはコマンドをコピペできるから。私もやってみてわかりました。これ良いですな。
ターミナルで下記のコマンドを実行。
sudo apt update
OpenSSHサーバーと、フルのvimをインストール。
sudo apt install --yes openssh-server vim
ssh接続用にユーザー ubuntu のパスワードを設定。
passwd
ssh接続先のIPアドレスを確認します。
ip a
別のマシンから対象のサーバーに ssh してインストール作業を続行
ssh はほとんどのOSで利用可能でしょう。Windows10でもコマンドプロンプトからsshコマンドを実行できます。
ssh ubuntu@接続先のIPアドレス
インストール作業を同じマシンでやり直してたりすると、ここでエラーが出る事があります。そんな時には .ssh\known_hosts
を削除してから、sshコマンドを実行します。
del %USERPROFILE%\.ssh\known_hosts
rootユーザーになります。
sudo -i
debootstrapとZFSを Live CD 環境にインストールします。
apt install --yes debootstrap zfsutils-linux
systemctl stop zed
ディスクのフォーマット
起動用のUSBメモリを挿します。ここにブートローダを仕込んで常時付けっ放しにしておく予定。
そのUSBメモリを含めたフォーマット対象ディスクを確認します。
lsblk
今回は下記のように表示されます。
root@ubuntu:~# lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
loop0 7:0 0 2.1G 1 loop /rofs
loop1 7:1 0 62M 1 loop /snap/core20/1587
loop2 7:2 0 91.7M 1 loop /snap/gtk-common-themes/1535
loop3 7:3 0 45.9M 1 loop /snap/snap-store/582
loop4 7:4 0 163.3M 1 loop /snap/firefox/1635
loop5 7:5 0 400.8M 1 loop /snap/gnome-3-38-2004/112
loop6 7:6 0 47M 1 loop /snap/snapd/16292
loop7 7:7 0 284K 1 loop /snap/snapd-desktop-integration/14
loop8 7:8 0 4K 1 loop /snap/bare/5
sda 8:0 0 465.8G 0 disk
├─sda1 8:1 0 465.8G 0 part
└─sda9 8:9 0 8M 0 part
sdb 8:16 0 465.8G 0 disk
├─sdb1 8:17 0 465.8G 0 part
└─sdb9 8:25 0 8M 0 part
sdc 8:32 1 58.2G 0 disk
└─sdc1 8:33 1 58.2G 0 part /cdrom
sdd 8:48 1 14.7G 0 disk
├─sdd1 8:49 1 1G 0 part
└─sdd2 8:50 1 13.7G 0 part
sr0 11:0 1 1024M 0 rom
loop0
~loop8
はインストーラによる設定でしょうか。
sda
とsdb
が内蔵HDDで、以前入れたUbuntuが残っています。
sdc
が今回のUbuntuインストーラでしょう。
sdd
はブートローダを仕込む為のUSBメモリです。
sr0
はCR-ROMドライブと思われますが、今回は無関係です。
ディスクの指定にはIDを使います。
ls -l /dev/disk/by-id
これを変数に設定するのがubuntu流らしいですが、ここは私の流儀で取得する事にします。
BOOTDISK=$(cd /dev/disk/by-id; ls ata-* usb-* | while read d; do if [ "$(readlink -f $d)" = "/dev/sdd" ]; then echo "/dev/disk/by-id/$d"; fi; done)
DISK1=$(cd /dev/disk/by-id; ls ata-* usb-* | while read d; do if [ "$(readlink -f $d)" = "/dev/sda" ]; then echo "/dev/disk/by-id/$d"; fi; done)
DISK2=$(cd /dev/disk/by-id; ls ata-* usb-* | while read d; do if [ "$(readlink -f $d)" = "/dev/sdb" ]; then echo "/dev/disk/by-id/$d"; fi; done)
スワップパーティションが使用されていない事を確認します。
swapoff --all
ブート用USBメモリのパーティションを全削除します。
wipefs -a $BOOTDISK
ブート用USBメモリにパーティションを作成。GPTではなくてMBRにします。
※最初のパーティションを1GBに設定したら、後日、LXDインストールの際に領域不足になりました。多目に確保した方が良さそうです。
sfdisk $BOOTDISK <<___
,4G,bf
,
___
設定を確認するコマンドは下記になります。
sfdisk -l $BOOTDISK
$DISK1
と$DISK2
はパーティションに分けません。
wipefs -a $DISK1 $DISK2
スワップについて。
参考文献によると、zvolにスワップを置くとデッドロックの危険性があるので非推奨だそうです。バグレポートが上がっているらしい。と言う訳でスワップは無効にします。本当は有効にした方が、メモリ管理の都合上、良いらしいですが。諦めます。
いよいよzfsフォーマットします。ここが今回最大のコピペポイント!これをコピペする為にssh経由で接続していると言っても過言ではありません。
因みにこのzpool名はbpool
固定らしい。変更したい場合はupdate-grub
後に/etc/grub.d/10_linux_zfs
を修正すればいいらしいのですが、試していません。
※なおインストール2回目以降でエラーが出る際には、コマンドの末尾かどこかに -f
オプションを付加します。
zpool create \
-o ashift=12 \
-o autotrim=on \
-o cachefile=/etc/zfs/zpool.cache \
-o compatibility=grub2 \
-o feature@livelist=enabled \
-o feature@zpool_checkpoint=enabled \
-O devices=off \
-O acltype=posixacl -O xattr=sa \
-O compression=lz4 \
-O normalization=formD \
-O relatime=on \
-O canmount=off -O mountpoint=/boot -R /mnt \
bpool ${BOOTDISK}-part1
エラー「not in specified 'compatibility' feature set.」(指定された「互換性」機能セットにない)は無視します。
そして内蔵HDDもzfsフォーマットします。2つ1組のHDDをミラーリングに設定します。
こちらのzpool名は何でも良いそうです。zfsの伝統に則ってtank
にしてみました。
zpool create \
-o ashift=12 \
-o autotrim=on \
-O acltype=posixacl \
-O xattr=sa -O dnodesize=auto \
-O compression=lz4 \
-O normalization=formD \
-O relatime=on \
-O canmount=off -O mountpoint=/ -R /mnt \
tank mirror ${DISK1} ${DISK2}
作成したプール一覧の確認は下記。このコマンドはコピペではなくて zpool list
zpool status
と手打ちでお願いします。別に良いよねこの位は。
root@ubuntu:~# zpool list
NAME SIZE ALLOC FREE CKPOINT EXPANDSZ FRAG CAP DEDUP HEALTH ALTROOT
bpool 960M 576K 959M - - 0% 0% 1.00x ONLINE /mnt
tank 464G 480K 464G - - 0% 0% 1.00x ONLINE /mnt
root@ubuntu:~# zpool status
pool: bpool
state: ONLINE
status: One or more features are enabled on the pool despite not being
requested by the 'compatibility' property.
action: Consider setting 'compatibility' to an appropriate value, or
adding needed features to the relevant file in
/etc/zfs/compatibility.d or /usr/share/zfs/compativility.d.
config:
NAME STATE READ WRITE CKSUM
bpool ONLINE 0 0 0
usb-SanDisk__Cruzer_Fit_4C530000180129117161-0:0-part1 ONLINE 0 0 0
errors: No known data errors
pool: tank
state: ONLINE
scan: none requested
config:
NAME STATE READ WRITE CKSUM
tank ONLINE 0 0 0
mirror-0 ONLINE 0 0 0
ata-WDC_WD5003ABYX-50WERA1_WD-WMAYP7972470 ONLINE 0 0 0
ata-WDC_WD5003ABYX-50WERA1_WD-WMAYP7949276 ONLINE 0 0 0
errors: No known data errors
システムのインストール
ディレクトリ構造に合わせたデータセット作成
Linuxのディレクトリ構造については、大昔にちょっと調べただけで実はあんまり良く分かっていません。その為なるべく参考文献通りにしています。
コンテナとして機能するファイルシステムデータセットを作成します。
zfs create -o canmount=off -o mountpoint=none tank/ROOT
zfs create -o canmount=off -o mountpoint=none bpool/BOOT
ルートおよびブート ファイル システムのファイル システム データセットを作成します。
参考文献はUUID(っぽいランダムな6文字)を付加したデータセット名にしていますが、これをやると後々とっても扱いづらくなります。ubuntu以外はインストールしないし、複数インストールもしない予定なので、UUIDは無しの方向にしました。
zfs create -o mountpoint=/ \
-o com.ubuntu.zsys:bootfs=yes \
-o com.ubuntu.zsys:last-used=$(date +%s) tank/ROOT/ubuntu
zfs create -o mountpoint=/boot bpool/BOOT/ubuntu
データセットを作成します。
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs=no -o canmount=off tank/ROOT/ubuntu/usr
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs=no -o canmount=off tank/ROOT/ubuntu/var
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/log
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/spool
zfs create -o canmount=off -o mountpoint=/ tank/USERDATA
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs-datasets=tank/ROOT/ubuntu \
-o canmount=on -o mountpoint=/root tank/USERDATA/root
chmod 700 /mnt/root
参考文献から、今回必要なデータセットのオプションを選んで設定します。
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib/apt
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib/dpkg
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs=no tank/ROOT/ubuntu/srv
zfs create tank/ROOT/ubuntu/usr/local
LXDをインストールする為のsnapというパッケージ管理システムは、下記ディレクトリを使用します。
参考文献:snapパッケージの関連ディレクトリ - 第714回 Firefoxを含むsnapパッケージとの付き合い方 - gihyo.jp
zfs create tank/ROOT/ubuntu/snap
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/snap
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib/snapd
Dockerの為には下記ディレクトリを用意します。
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib/docker
zfs create tank/ROOT/ubuntu/var/lib/containerd
このマシンはHDDがミラー構成なので、次のデータセットを作成します。
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs=no bpool/grub
/run
に tmpfs をマウントします。
mkdir /mnt/run
mount -t tmpfs tmpfs /mnt/run
mkdir /mnt/run/lock
なお/home
はユーザー追加時に作成します。
debootstrap
Ubuntu 22.04 LTS 通称 jammy をインストール。
debootstrap jammy /mnt
終わったら以下のコマンドを実行します。
mkdir /mnt/etc/zfs
cp /etc/zfs/zpool.cache /mnt/etc/zfs/
システム構成
マシン名
まずはホスト名を決めます。
hostname ホスト名
hostname >/mnt/etc/hostname
ネットワーク関連
hostsファイルを修正。
sed -i -e"/^127.0.0.1/a 127.0.1.1\t$(hostname)" /mnt/etc/hosts
netplan のネットワーク設定ファイル/mnt/etc/netplan/01-netcfg.yaml
を作成します。今回はIPv6は使わないようにするので下記のようにしてみました。
このマシンはNICを2枚持っています。片方はオンボードで、もう片方はギガビットイーサのPCIネットワークカードです。オンボードの方は遅いのでケーブルを外してあります。
root@ubuntu:~# ip addr show
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
inet 127.0.0.1/8 scope host lo
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 ::1/128 scope host
valid_lft forever preferred_lft forever
2: enp2s1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
link/ether 00:16:01:5c:19:df brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
inet 172.16.2.22/16 brd 172.16.255.255 scope global dynamic noprefixroute enp2s1
valid_lft 79109sec preferred_lft 79109sec
inet6 fe80::d711:2541:6143:727e/64 scope link noprefixroute
valid_lft forever preferred_lft forever
3: enp0s25: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state DOWN group default qlen 1000
link/ether 00:21:9b:1a:5f:94 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
以前の記事の通りにIPアドレスを割り振ります。
参考文献:固定IPアドレスの割当(IPv4、IPv6) - Netplanの使い方 - komeの備忘録
cat > /mnt/etc/netplan/01-netcfg.yaml <<___
network:
version: 2
renderer: networkd
ethernets:
enp2s1:
dhcp4: no
addresses: [172.16.1.3/16]
gateway4: 172.16.2.1
nameservers:
addresses: [172.16.2.1]
enp0s25:
dhcp4: no
addresses: [172.16.1.4/16]
gateway4: 172.16.2.1
nameservers:
addresses: [172.16.2.1]
___
パッケージソース
cat >/mnt/etc/apt/sources.list <<___
deb http://archive.ubuntu.com/ubuntu jammy main restricted universe multiverse
deb http://archive.ubuntu.com/ubuntu jammy-updates main restricted universe multiverse
deb http://archive.ubuntu.com/ubuntu jammy-backports main restricted universe multiverse
deb http://security.ubuntu.com/ubuntu jammy-security main restricted universe multiverse
___
chroot
Live CD 環境の仮想ファイルシステムをバインドマウントして、上記でセットアップした環境に chroot します( --bind ではなく --rbind を使っていることに注意)。
mount --make-private --rbind /dev /mnt/dev
mount --make-private --rbind /proc /mnt/proc
mount --make-private --rbind /sys /mnt/sys
chroot /mnt /usr/bin/env BOOTDISK=$BOOTDISK bash --login
chroot 環境内の apt のインデクスを更新します。
apt update
ロケール
en_US.UTF-8 と ja_JP.UTF-8 と、後は個人的な好みで。私は ja_JP.EUC-JP を入れます。
locale-gen --purge en_US.UTF-8 ja_JP.UTF-8 ja_JP.EUC-JP
エディタ
個人的な好みで vi です。
apt install --yes vim
タイムゾーン
参考文献には書かれていませんが、タイムゾーンを設定します。
日本なら Asia/Tokyo です。
ln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
dpkg-reconfigure -f noninteractive tzdata
カーネルイメージなど
古いマシンなのでEFIは設定しません。
Linux のカーネルイメージと ZFS を chroot 環境にインストールします。
apt install --yes grub-pc linux-image-generic zfs-initramfs zsys
Windowsなど他のOSを入れる予定は無いので、os-proberを削除します。
apt purge --yes os-prober
ここで下記のエラーが出ますが、これは無視して良さそうです。多分。
ERROR couldn't connect to zsys daemon: connection error: desc = "transport: Error while dialing dial unix /run/zsysd.sock: connect: no such file or directory"
rootパスワード
パスワードを設定します。
passwd
スワップ無し
スワップは諦めたので、該当手順は実施しません。
tmpfs
次回起動時に tmpfs を /tmp にマウントするようにします。
cp /usr/share/systemd/tmp.mount /etc/systemd/system/
systemctl enable tmp.mount
システムグループ
無くてもいいかなと思ったけれど、一応Ubuntuなので、念の為に作成しておきます。
addgroup --system lpadmin
addgroup --system lxd
addgroup --system sambashare
SSH
SSH をインストールします。
apt install --yes openssh-server
ここでも下記のエラーが出ますな。無視。
ERROR couldn't connect to zsys daemon: connection error: desc = "transport: Error while dialing dial unix /run/zsysd.sock: connect: no such file or directory"
rootログインできるように設定。
sed -i -e"/^#PermitRootLogin /a PermitRootLogin yes" /etc/ssh/sshd_config
GRUB のインストール
ZFSの認識
ZFS のブートファイルシステムが認識されていることを確認します。zfs
と出力されれば OK です。
grub-probe /boot
initrd更新
initrdファイルを更新します。
update-initramfs -c -k all
設定ファイル
メモリのゼロ化を無効にします。
sed -i -e'/^GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT=/s/"$/ init_on_alloc=0"/' /etc/default/grub
ブート構成を更新します。
update-grub
ブートローダーをインストール
レガシー BIOS 用に GRUB をインストールします。
grub-install $BOOTDISK
ZFS のモジュールがインストールされていることを確認します。
ls /boot/grub/*/zfs.mod
grub-initrd-fallback.service
を無効にします。
systemctl mask grub-initrd-fallback.service
ファイルシステムのマウント順序を修正
zfs-mount-generator
を有効にする必要があります。これによりsystemdは個別のマウントポイントを認識します。これは/var/log
や/var/tmp
などにとって重要です。また、rsyslog.service
はlocal-fs.target
を介してvar-log.mount
に依存し、systemdのPrivateTmp
機能を使用するサービスは自動的にAfter=var-tmp.mount
を使うようになります。
……との事。
mkdir /etc/zfs/zfs-list.cache
touch /etc/zfs/zfs-list.cache/bpool
touch /etc/zfs/zfs-list.cache/tank
zed -F &
これらが空でない事をチェックして、キャッシュが更新された事を確認します。
空だった場合の対応は参考文献を参照。
cat /etc/zfs/zfs-list.cache/bpool
cat /etc/zfs/zfs-list.cache/tank
キャッシュにデータが含まれたらzed
を停止します。
fg
(Ctrl-C)
パス/mnt
を除去するように修正します。
sed -Ei "s|/mnt/?|/|" /etc/zfs/zfs-list.cache/*
chroot終了
chroot環境を終了して LiveCD 環境に戻ります。
exit
初回のブート
LiveCD 環境で次のコマンドを実行して、すべてのファイルシステムをアンマウントします。
mount | grep -v zfs | tac | awk '/\/mnt/ {print $3}' | xargs -n 1 -r umount -lf
zpool export -a
なぜかエラーが出ます。原因不明。仕方が無いので放置します。
root@ubuntu:~# zpool export -a
cannot export 'tank': pool is busy
そのままシャットダウン。
shutdown -h now
その後、インストールメディアを取り出して、それからマシンの電源を入れます。
grub
案の定、grubでエラーが出ます。
ここで慌てず騒がず、grubのプロンプトで普通にzpoolをimportします。
zpool import -f tank
exit
今度はちゃんと起動します。
rootログイン
SSH サーバを入れたのでssh
で接続できます。 root ユーザーでパスワードを入力してログインします。
ssh root@172.16.1.3
日本語キーボード配列
サーバーのコンソールで記号を打ってみるとわかりますが、英語配列になっています。日本語配列に変更する手順は以下の参考文献を参照。バージョンは古いですが、画面キャプチャがあるのでわかりやすいです。
参考文献:Ubuntuでキーボードレイアウト変更 - Ragnite Blue
コマンドは下記。
dpkg-reconfigure keyboard-configuration
設定後、次のコマンドを打つ必要があるようです。
setupcon
ユーザーアカウントの作成
ユーザーを作成します。
username=ユーザー名
zfs create -o com.ubuntu.zsys:bootfs-datasets=tank/ROOT/ubuntu -o canmount=on -o mountpoint=/home/$username tank/USERDATA/$username
adduser $username
cp -a /etc/skel/. /home/$username
chown -R $username:$username /home/$username
usermod -a -G adm,cdrom,dip,lpadmin,lxd,plugdev,sambashare,sudo $username
フルのソフトウェアインストール
ミニマムインストールをアップグレードします。
apt dist-upgrade --yes
サーバ用としてコマンドライン環境のみをインストールします。
apt install --yes ubuntu-standard
再起動して確認
reboot
サーバーコンソールでログインします。
そして色々確認。
- キーボードが日本の配列になっている事。アットマーク @ を打ってみて確認。
- ネットワ-クが有効になっている事。仮想環境など状況によってNICの名称が変わる事があり、その場合は上述の設定
/etc/netplan/01-network.yaml
のNIC名eth0
を変更する必要があります。
ネットワークに関しては、次のようなコマンドを試してみればわかります。
※ example.com はドメインの例示の際に使うべしとRFC2606で定められています。何か適当なサーバーを選んで下さい。
ping -c2 example.com
失敗した場合には、上述のネットワーク設定ファイル/mnt/etc/netplan/01-netcfg.yaml
を修正します。その為のNIC名取得は下記のコマンドで。
参考文献:Linux から認識されている、すべてのネットワークインターフェイス名だけを取得する - Qiita
for d in `find /sys/devices -name net | grep -v virtual`; do ls $d; done
手打ちのコマンドとしてはip a
の方が簡単ですが、上記のコマンドならNIC名だけを取り出せますので自動化が可能です。
root 無効化
引き続きサーバーコンソールで作業するか、あるいは ssh 接続。
そして root パスワードを無効にします。
usermod -p '*' root
root での SSH ログインを無効にします。
sed -i -e"/^PermitRootLogin /s/yes/no/" /etc/ssh/sshd_config
一度ログアウトして、root ではログインできない事を確認します。
スナップショット
初回インストールのスナップショットを作成しておきます。こういう事をしたいが為にZFSを使うのです。
sudo zfs snapshot -r tank@$(date +%Y%m%d_%H%M%S)_install
スナップショットの一覧を表示して確認します。
zfs list -t snapshot
ただ、どうも、自動的にsnapshotを撮られているようです。apt-getのタイミングなんでしょうかね。自分で手動snapshotした分を表示するには下記コマンドが良さそうです。
zfs list -t snapshot | grep -v autozsys
仕舞い
これで最小限のUbuntuサーバをZFSの上にセットアップできました。
この後は下記の記事に従って整備します。
- 自宅サーバー構築譚:Subversionをインストールして /etc をバージョン管理・Ubuntu 22.04
- 自宅サーバー構築譚:NTPクライアント
- 自宅サーバー構築譚:LAN内DNSサーバー Unbound・Ubuntu 22.04
- 自宅サーバー構築譚:dhcpサーバ冗長化・Ubuntu 22.04
そして更なる Ubuntu サーバー構築に進んでいきます。やったね