はじめに
対象読者は、Gemini API を業務や個人開発で使っており、モデル選定やマイグレーション対応の判断が必要な開発者です。前提知識として、Gemini API を REST または各言語 SDK 経由で呼び出した経験があることを想定しています。
Gemini API は2026年に入ってから機能追加のペースが速く、当ブログでも Thought Signatures・Interactions API・Computer Use・Embedding 2 など、個別トピックごとに実装ガイドを13本公開してきました。しかし公式チェンジログ(ai.google.dev/gemini-api/docs/changelog)を確認すると、2026年8月時点で複数の主要モデルが廃止スケジュールに乗っており、単発の実装記事だけを追っていると「今どのモデルが現役で、どれが廃止予定か」が分かりにくくなっています。
この記事では、公式チェンジログで確認できる廃止予定モデルの一覧と、既存13記事を時系列で束ね直した機能マップを1つの表に整理します。個別の実装手順は各元記事に譲り、ここでは「今、何を優先して読むべきか」の地図を提供します。
廃止予定モデルと主要機能の一覧(2026年8月時点)
公式チェンジログによると、以下のモデルに廃止(deprecation)スケジュールが設定されています。
| 区分 | 対象 | 廃止日 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 廃止予定 | gemini-robotics-er-1.6-preview | 2026-08-31 | ロボティクス向けプレビューモデル |
| 廃止予定 | imagen-4.0 系(3モデル) | 2026-08-17 | Imagen 4.0 系プレビュー群 |
| 廃止済み | gemini-3.1-flash-image-preview | 2026-06-25 | 画像生成プレビュー |
| 廃止済み | gemini-3-pro-image-preview | 2026-06-25 | 画像生成プレビュー |
| 廃止済み | veo-2.0 系・veo-3.0 系 | 2026-06-30 | 動画生成モデル |
直近の新機能としては、Built-in Tools(Google 検索・コード実行等の組み込みツール)とカスタム Function Calling を 単一の API 呼び出しで併用できる機能 が2026年3月に追加されています。また、マルチモーダルファイル検索(画像埋め込み・検索)、Webhook 対応の Batch API、Computer Use ツールの公開プレビューが続けて提供されました。
出典: Gemini API Changelog(2026年8月時点で確認)
Imagen・Veo 系の画像/動画生成モデルが廃止対象に集中している一方、テキスト・エージェント系(Gemini 3 / 3.1 Pro / 3.5 Flash)は廃止スケジュールに載っていません。このテキスト・エージェント系の機能追加を時系列で整理したものが次の表とマップです。
Gemini 3.x系の機能追加を時系列で振り返る
既存13記事を公開日順に並べ、3つの軸(推論・エージェント系/API基盤の破壊的変更/周辺ツール)に分けて整理します。各項目の実装手順・コード例は元記事を参照してください。
推論・エージェント系モデルの系譜
- Gemini 3.1 Pro入門(2026-03-06): 推論性能2倍・思考制御を扱った初期の推論強化モデル。
- Gemini 3 Thought Signatures完全ガイド(2026-03-09): 関数呼び出し時の400エラーを防ぐための仕組みを解説。API併用時にハマりやすい箇所です。
- Gemini 3 Deep Think入門(2026-03-29): 科学・推論特化のモード。汎用チャットではなく高難度タスク向けの位置づけです。
- Gemini 3.5 Flash入門(2026-05-20): Google I/O 2026 発表モデル。既存 API からの移行手順を扱っています。
- Gemini 3.5 Flash コーディングエージェント入門(2026-05-23): MCP Atlas 首位・4倍高速化を謳うコーディング特化バリアント。
API基盤の破壊的変更
- Gemini Interactions API 破壊的変更対応ガイド(2026-05-07): stepsスキーマへの移行手順。既存実装が動かなくなる典型的な破壊的変更です。
-
Gemini API Flex/Priority Inference入門(2026-04-05):
service_tierでコストと信頼性を制御する仕組み。バッチ処理とリアルタイム処理でコストが分かれる設計です。 - Gemini API Webhooks入門(2026-06-01): ポーリング不要で長時間ジョブの完了を受け取る Batch API 連携。
周辺ツール・応用機能
- Gemini Deep Research Agent入門(2026-03-04): 自律型リサーチをAPIで実装する仕組み。
- Gemini API Computer Use入門(2026-03-30): ブラウザ操作を自動化するツール。前述の廃止スケジュールには含まれていませんが、公開プレビュー段階の機能である点に注意してください。
- Gemini Embedding 2入門(2026-03-12): テキスト・画像・動画を単一ベクトル空間で扱う埋め込みAPI。
- Gemini が生成するインタラクティブ3Dモデルと Interactions API 入門(2026-04-14)・Geminiインタラクティブ3Dモデル完全ガイド(2026-04-14): 同日に2本公開された、3Dモデル生成とInteractions APIの実装解説。
共通していたパターン
13記事を束ねて振り返ると、Gemini API は「モデル本体(3 / 3.1 Pro / 3.5 Flash)」と「API基盤(Interactions API・service_tier・Webhooks)」の2レイヤーで機能追加が進んでおり、破壊的変更は主にAPI基盤側(Interactions APIのstepsスキーマ移行など)で起きています。一方、廃止スケジュールに載っているのは Imagen・Veo という画像/動画生成系のプレビューモデルに偏っており、テキスト・エージェント系の主力モデルは今のところ廃止対象になっていません。
この非対称性は実務上重要です。Gemini API を使ったマイグレーション対応が必要になるのは「新しいモデルが出たから」ではなく「API基盤のスキーマが変わったから」であるケースが多く、モデルのバージョン表記だけを追っていると基盤側の変更を見落とします。
まとめ
- 2026年8月時点で廃止スケジュールに乗っているのは Imagen 4.0 系・gemini-robotics-er-1.6-preview で、いずれもテキスト・エージェント系ではなく画像/ロボティクス系のプレビューモデルです。
- Gemini 3.x系の機能追加は「モデル本体の推論強化」と「API基盤(Interactions API・service_tier)」の2レイヤーで進んでおり、破壊的変更は主に基盤側で起きています。
- 個別の実装コード・エラー対処は各元記事を参照してください。この記事は13本の位置づけを整理する地図として使えます。
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- Gemini 3 Deep Think入門 — 科学・推論特化AIをAPIで活用する完全ガイド
参考リンク
- Gemini API Changelog(公式)
- 元記事一覧は本文中の各リンクを参照してください。