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Gemini 3.1 Pro入門 — 推論性能2倍・思考制御・APIの全貌

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Last updated at Posted at 2026-03-08

Gemini 3.1 Pro — ARC-AGI-2スコア31.1%から77.1%への飛躍

はじめに

2026年2月19日、GoogleはGemini 3シリーズの最新モデル「Gemini 3.1 Pro Preview」をリリースしました。抽象推論ベンチマークARC-AGI-2で77.1%を記録し、前世代の31.1%から2倍以上のスコア向上を達成しています。

本記事では、Gemini 3.1 Proの主要な新機能・ベンチマーク結果・API仕様・実践的な使い方を、公式ドキュメントと公開情報をもとに解説します。

この記事で学べること

  • Gemini 3.1 Proの思考レベル制御(low / medium / high)の仕組みと使い分け
  • ARC-AGI-2やSWE-benchなど主要ベンチマークでの性能
  • API仕様・料金・カスタムツールエンドポイントの活用方法
  • Gemini 3 Proからの移行手順(3月9日期限)

対象読者

  • Gemini APIを利用している開発者
  • LLMの推論性能に関心があるエンジニア
  • AIエージェント・ツール連携の開発者

TL;DR

  • ARC-AGI-2スコアが31.1% → 77.1%へ2倍以上の改善。Claude Opus 4.6(68.8%)やGPT-5.2(52.9%)を上回る
  • 思考レベル制御(low / medium / high)により、タスクに応じた推論深度とコストの最適化が可能
  • カスタムツール専用エンドポイント gemini-3.1-pro-preview-customtools が追加
  • SWE-bench Verified 80.6%、GPQA Diamond 94.3%など16ベンチマーク中13項目でトップ
  • Gemini 3 Pro Previewは3月9日にシャットダウン。移行が必要

Gemini 3.1 Pro vs Opus 4.6 vs GPT-5.2 ベンチマーク比較

ベンチマーク結果

Googleの公式発表によると、Gemini 3.1 Proは評価対象16ベンチマーク中13項目でトップスコアを記録しています。

主要ベンチマーク比較

ベンチマーク Gemini 3.1 Pro Opus 4.6 GPT-5.2 評価内容
ARC-AGI-2 77.1% 68.8% 52.9% 未知の論理パターンへの汎化能力
SWE-bench Verified 80.6% 80.8% 実世界のソフトウェアバグ修正
GPQA Diamond 94.3% 大学院レベルの科学問題
BrowseComp 85.9% エージェントWeb検索の精度
LiveCodeBench Pro 2887 Elo 競技プログラミング
MCP Atlas 69.2% ツール連携・コーディネーション

ARC-AGI-2(抽象推論)

ARC-AGI-2は、未知の論理パターンを解く能力を測定するベンチマークです。既存の知識の暗記ではなく、新しいパターンへの汎化能力を評価します。

モデル スコア
Gemini 3.1 Pro 77.1%
Opus 4.6 Thinking 68.8%
Sonnet 4.6 Thinking 58.3%
GPT-5.2 Thinking 52.9%
Gemini 3 Pro 31.1%

前世代から約2.5倍の改善を達成し、現時点で最高スコアです。

SWE-bench Verified(ソフトウェアエンジニアリング)

SWE-bench Verifiedは、実際のGitHubイシューを解決する能力を測定します。Gemini 3.1 Proは80.6%を記録しています。Opus 4.6の80.8%とほぼ同等の水準です。

なお、多言語の複雑なタスクを扱うSWE-Bench Proでは、GPT-5.3-Codexが56.8%でリードし、Gemini 3.1 Proは54.2%と報告されています。

thinking_level — low/medium/highの3段階制御

思考レベル制御

Gemini 3.1 Proの注目機能の一つが、推論の深さを制御できる「thinking_level」パラメータです。

各レベルの特徴

レベル 用途 特徴
low 単純な質問応答、テキスト生成、翻訳 処理速度を最優先。推論が不要なタスクに最適
medium コード生成、コンテンツ作成、中程度の分析 速度と推論深度のバランス。日常的な開発タスクの大半をカバー
high(デフォルト) 複雑な数学・論理問題、高度なコード分析 最大の推論深度。ARC-AGI-2で77.1%を記録したモード

公式ドキュメントによると、Gemini 3.1 Proで新たに追加されたMEDIUMは、Gemini 3 ProのHIGHと同等の推論品質を提供するとされています。つまり、3.1 ProのHIGHはそれを上回る推論能力を持つことになります。

thinking_level と旧パラメータ thinking_budget は同一リクエスト内で併用できません。新規開発では thinking_level の使用が推奨されています。

APIでの設定方法

Python SDK(google-genai パッケージ)を使用した実装例です。

from google import genai
from google.genai import types

client = genai.Client()

# lowモード: 高速応答
response = client.models.generate_content(
    model="gemini-3.1-pro-preview",
    contents="Pythonでリストの重複を除去する方法は?",
    config=types.GenerateContentConfig(
        thinking_config=types.ThinkingConfig(thinking_level="low")
    ),
)
print(response.text)

# highモード: 深い推論
response = client.models.generate_content(
    model="gemini-3.1-pro-preview",
    contents="この数学的証明の誤りを指摘してください: ...",
    config=types.GenerateContentConfig(
        thinking_config=types.ThinkingConfig(thinking_level="high")
    ),
)
print(response.text)

使い分けの指針

シナリオ 推奨レベル 理由
チャットボット応答 low 速度重視、推論不要
コードレビュー medium 中程度の分析で十分
バグの根本原因分析 high 複雑な推論が必要
数学・論理パズル high 深い推論が精度に直結
ドキュメント要約 low〜medium 内容の複雑さに応じて
エージェントワークフロー medium〜high ツール選択の精度が重要

API仕様と料金

モデルID

エンドポイント 用途
gemini-3.1-pro-preview 汎用
gemini-3.1-pro-preview-customtools カスタムツール・bash優先

入出力仕様

項目 仕様
入力トークン上限 1,048,576(約100万トークン)
出力トークン上限 65,536
対応入力 テキスト、画像、動画、音声、PDF
出力形式 テキストのみ
知識カットオフ 2025年1月

料金(Gemini Developer API)

条件 入力 出力
200kトークン以下/リクエスト $2.00 / 1Mトークン $12.00 / 1Mトークン
200kトークン超/リクエスト $4.00 / 1Mトークン $18.00 / 1Mトークン
キャッシュ(200k以下) $0.20 / 1Mトークン
キャッシュ(200k超) $0.40 / 1Mトークン

公式ドキュメントによると、出力料金にはモデルが内部で生成する思考トークンのコストも含まれます。thinking_level を下げることで、思考トークンの消費を抑えてコストを削減できます。

Gemini 3シリーズ料金比較

モデル 入力(/1M) 出力(/1M) 特徴
3.1 Pro Preview $2.00 $12.00 最高の推論性能
3 Flash $0.50 $3.00 Pro級の性能をFlash価格で
3.1 Flash-Lite $0.25 $1.50 高ボリューム向け最安

対応機能

以下の機能が利用可能です。

  • Batch API
  • キャッシュ
  • コード実行
  • ファイル検索(AI Studioのみ)
  • Function Calling
  • Search Grounding
  • 構造化出力
  • Thinking(思考制御)
  • URLコンテキスト

画像生成、音声生成、Live APIはGemini 3.1 Proでは非対応です。画像生成にはGemini 3 Pro Image PreviewまたはGemini 3.1 Flash Image Preview(Nano Banana 2)を使用してください。

通常エンドポイントとcustomtoolsエンドポイントの比較

カスタムツールエンドポイント

gemini-3.1-pro-preview-customtools は、エージェント開発者向けの専用エンドポイントです。

解決する課題

通常のGemini 3.1 Proでは、ユーザーが定義したカスタムツール(view_filesearch_code など)が利用可能な場合でも、モデルが汎用的なbashコマンドを優先してしまうことがあります。customtoolsエンドポイントは、カスタムツールの優先度を引き上げることでこの問題を解決します。

使い方

モデルIDを変更するだけで利用できます。APIインターフェース、ツール定義、レスポンス形式は同一です。

from google import genai
from google.genai import types

client = genai.Client()

# ツール定義
tools = [
    types.Tool(
        function_declarations=[
            types.FunctionDeclaration(
                name="search_code",
                description="コードベース内のキーワード検索",
                parameters=types.Schema(
                    type="OBJECT",
                    properties={
                        "query": types.Schema(type="STRING"),
                        "path": types.Schema(type="STRING"),
                    },
                    required=["query"],
                ),
            )
        ]
    )
]

# カスタムツール優先エンドポイント
response = client.models.generate_content(
    model="gemini-3.1-pro-preview-customtools",
    contents="認証処理のコードを探して",
    config=types.GenerateContentConfig(tools=tools),
)

注意点

  • 料金はGemini 3.1 Proと同一
  • Provisioned Throughput(PT)は非対応
  • カスタムツールやbashを使わないユースケースでは品質が変動する可能性がある

Gemini 3 Proからの移行

移行期限

Gemini 3 Pro Preview(gemini-3-pro-preview)は2026年3月9日にシャットダウンされます。 それまでにGemini 3.1 Pro Previewへの移行が必要です。

移行手順

  1. モデルIDの変更: gemini-3-pro-previewgemini-3.1-pro-preview
  2. 思考レベルの確認: 3.1 Proでは新たにmediumレベルが追加。既存のlow/highの挙動も改善されているため、必要に応じて調整
  3. カスタムツール利用時: bashの過剰使用が問題だった場合は gemini-3.1-pro-preview-customtools の採用を検討
  4. テスト実行: 既存のプロンプトとワークフローで回帰テストを実施
# 移行前
model = "gemini-3-pro-preview"

# 移行後
model = "gemini-3.1-pro-preview"

Gemini 2.5からの移行時の注意点

公式のGemini 3 Developer Guideでは、Gemini 2.5シリーズからの移行に関する以下の留意事項が示されています。

  • プロンプト簡略化: 複雑なchain-of-thoughtプロンプトは thinking_level: "high" に置き換え、指示をシンプルにする
  • 温度設定: デフォルトの1.0を維持する。低い温度はループや性能低下を引き起こす可能性がある
  • PDF処理: 密度の高いPDFでは media_resolution_high を指定してテストする
  • 思考シグネチャ: Gemini 3ではAPIコール間で推論コンテキストを保持する暗号化された思考シグネチャが導入されている。公式SDKを使用していれば自動的に処理される

主な変更点

項目 3 Pro 3.1 Pro
ARC-AGI-2 31.1% 77.1%
BrowseComp 59.2% 85.9%
SWE-bench Verified 80.6%
GPQA Diamond 94.3%
思考レベル low / high low / medium / high
カスタムツール専用 なし customtoolsエンドポイント

まとめ

  • Gemini 3.1 Proは推論性能が前世代から2倍以上に向上し、ARC-AGI-2で77.1%を達成。16ベンチマーク中13項目でトップスコアを記録
  • 思考レベル制御(low / medium / high)により、タスクの複雑さに応じたコスト・速度の最適化が可能
  • カスタムツール専用エンドポイントにより、エージェント開発のツール選択精度が改善
  • 料金はGemini 3 Proと同一(入力$2/1M、出力$12/1M)で、性能向上分がコストパフォーマンス改善に直結
  • 3月9日のGemini 3 Proシャットダウンに向けて、早めの移行を推奨

参考リンク

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