気象予報士試験(実技)に合格したったからその記録です。
#受験履歴
第55回 学科(一般・専門)合格
第56回 実技合格
ほぼ独学で2回目の受験で合格することが出来ました。
もう二度と気象予報士試験勉強をしなくていいと思うとスッキリしています。
合格したけど明日の天気はわかりません。
#第56回試験の合格基準とか合格率
全体の合格率は4.2%と例年より少し低いようです。(モネ効果で勉強が不十分な方による分母増もありそうですが)
合格者番号をみてると、筆者のように2科目免除者が大半でした。科目免除なしでの合格者は0.7%くらいでした。
実技の合格基準は例年通り70%より少し低い65%でした。
#第56回実技試験の感想
一言で言うと難問奇問あり
第54回あたりから、過去問に無いような、言い方を変えると、最新技術を利用した問題が出題されるようになったと感じています。特に56回は、実技1の1問目に2020年ごろから一般に広まった線状降水帯が出題されました。また、台風進路予想と、GMSのモデルの違いという、モデルの差もあるていど理解(少なくとも知っている)する必要があるようです。これらは、過去問と気象庁HPしか教材がない一般受験者にとっては、難問奇問の部類です。
この傾向は学科の専門の出題傾向にも見られ、前回(第55回)の合格基準が9問/15問という低さからも伺えます。「過去問で出していない問題」を作成するために、重箱の隅どころか、最新技術という新しい重箱を重ねている印象です。
とはいえ、第40回前後の過去問をやると、近年にはあまり出題されないような奇問があるなぁとも思います。
筆者は全く自己採点をしないので、自分の試験結果がどの程度だったかはわかりません。落ちてたら採点しようと思ってました。
実技1は難しくて時間ギリギリ、実技2は時間が余ったような記憶があるので、例年通りの65%となったのでしょう。
#筆者について
##学歴
高専 機械
大学 工学系
大学院 工業系
取るべき学位はなくなった系おっさん
##職歴
プラントみたいなものを造ってる会社の現業
大手っぽい会社の下請けで、パソコンに座ってマウスをカチカチするだけの仕事
##受験時に取得済関連資格
- エネルギー管理士(熱分野)
- 熱力 流力 伝熱 蒸気
- 基本・応用情報技術者
- IT的さむしんぐ
- G検定
- AI的な知識の基本→ガイダンスの理解に役立つ
- 計算力学技術者2級(熱流体)
- CFDの知識。ナビエ・ストークス方程式をなんとなく理解
- QC検定2級
- 信頼度とかの確率的な話
##まとめると、筆者は、
理系で情報処理も流体現象も熱力もシミュレーションもある程度わかっているヲタクのあらふぉー社壊人
文系の方からすると、圧倒的に有利な立場から勉強を始めてます。
#実技勉強期間
学科については筆者の前記事を参照してください。。
学科勉強中に、実技については過去問を2試験回分だけ、ほとんど答えを見てました。
実質的に真剣に勉強したのは、2021年4月中頃の応用情報試験日から、第56回試験日(2021年8月中頃)までの約4か月間です。期間中はほぼ毎日3時間ネカフェに籠って、過去問を少なくとも1日0.5試験回分やってました。夏休みや、10日間入院するというブースト期間があり、1日1試験回分の過去問をやってました。
合計すると実技に関する勉強時間は、400時間くらいだと思います。
#勉強方法
##ひたすら過去問
いきなり、とにかく、過去問の試験用紙と解答用紙を印刷して繰り返していました。
「めざてん」でいただいた、過去問を約20試験回分(約10年分)を4回繰り返すつもりでやってました。
結果的には、3周半くらいやりました。
2周目からは、難易度の感想、ヤラカした点などを記録してました。これは、独学大全でも紹介されているラーニングログというノウハウです。感想を見直すだけで瞬間的に復習することができると個人的に思っています。
学習した事例数は、後述する模擬試験も含めると、過去問44事例+模擬試験6事例で50事例となります。
実技合格のためには最低20事例くらいは必要と言われてますが、倍はやってますね・・・やりすぎてる説はあります。
##新問を求めて
試験1か月前くらいに、防災気象PROの実技の模擬試験のUを買いました。
試験日が迫ってきて、過去問に飽きてきて、新形式問題を求めたい時期が必ず来ます。
そこで、新しい分類の問題に手をだすと、自信を砕かれてめっちゃ不安になります。そして焦ります。
これは試験勉強の悪手の一つです。
マネしないでください。
なお、模擬試験で、見事に自信が打ち砕かれました。それくらい衝撃的内容でした。
もっとはやく、例えば過去問10年分を一周する頃に購入してやればよかったと後悔してます。
##暗記
天気図記号や、天気欄記事欄の記号など、台風の階級等の暗記事項は、ankiで問題を自作して、主に仕事中に覚えてました。
暗記カードについては、図とか文章とかが著作権に触れまくるので公開はしません。
頑張って自分で作ってください。
##仕事の日は欠かさずに高層天気図と短期予報解説資料を読む。
短期予報解説資料を読んで、実際の図と比較する、というのが最も正統な勉強方法だと思います。
とにかく何度も読み取る訓練をするしかありません。
個人的に意外だなと思ったのは、「波浪 高潮」にかんする記述です。実技過去問でも、まれによく出題されます。
#使用教材
役に立った順に書いてます。
##めざてん(HP)
神
語呂合わせもお世話になりました。
登録すると、公式には公開されなくなった古い過去問が公開されています。
めざてん実技の解説のいいところは、著者(管理者)どうやって正解を導いたか、間違えたかのプロセスが書かれている点です。
とても参考になりました。
ちゃんとお布施しときました。
##気象庁 短期予報解説資料(HP)
おそらく気象予報士問題のネタとして使われています。
特に学習初期では、短期予報解説資料に書かれている内容を実際の図で確認するという訓練がとても役に立ちます。
実技試験独特の言い回しを学ぶにもとてもいい資料だと思います。というか、これしか無いです。
##拝啓予報官X様 (youtube)
美女と美女がYoutubeの動画で、短期予報解説資料を用いて気象現象を解説する動画です。
実技学習初期に見て、とても参考になりました。
100本以上ありますが、40本くらいは見ました。
##防災気象PRO(HP) 模擬試験 実技セット
STUの中から1つを選んだ理由は、出題のバラエティーが一番広そうだったから、だったような気がします。
問題内容は過去問への強烈なアンチテーゼ?でした。
過去問を大量にやると、「この問題の流れは次の設問の答えはこれだ」みたいなのがわかってきます。
例えば、低気圧⇒前線⇒大雨⇒落短突(落雷 短時間強雨 突風) みたいな。
この模擬試験はそこをことごとく砕いていきます。
模擬試験作成者からの強烈な「現象をちゃんと見ろ」というメッセージを感じました。
おかげで、自信を見事に打ち砕かれました。
そして、ちゃんと図表を見るようになりました。
視点が広がったのを感じました。
試験直前にやるより、ある程度過去問をやった初期や中期にやると、以降の過去問回しの視点がひろがり、自信の回復が間に合います。
お値段は安くないですけどね!
解答用紙は3セットくらい付けといてくれてもいいと思います
##気象予報士試験受験支援会著 気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 (らくらく突破)
練習問題部分は過去問のコピペだろうと思って全く見ていません。
実技試験独特の言い回し(というか気象庁が決めてる言い回し)の解説が参考になりました。
あとは、指定文字数からどれくらい逸脱しても良いか、とか、マス目の使い方の自由度が、個人では調べようがないので助かりました。
内容的に実技というより学科専門の時に知っておきたかったのが多かったです。
むしろ、学科専門の参考書といっても過言でもありません。
学科だけでなく実技についても、最新号の「補遺」以外は何の役にも立ちませんでした。
何も書いていないが書いてあります。
受験直前に最新号だけ買えばいいと思います。
##スクール
世の中に溢れる気象予報士試験対策スクールとやらはどんな?ということで、勉強目的というより、社会見学のつもりで受講しました。
学習中期に「はじめての天気図解析」というオンライン講義を受けました。
内容は梅雨前線解析でした。
すでに過去問をある程度こなしていたので、内容は易しかったのですが、初期だととても役に立ったかもしれません。
あと、講師の方が色鉛筆で等値線をなぞる速さにビビりました。さすがプロ(たぶんそこじゃない)
#工夫した点
##紙とインクを惜しげもなく大量消費
自分の応用情報試験失敗の経験から、本番同様の解答用紙を印刷して、使い捨てにしていました。
おかげで、本番解答用紙の升目のプレッシャーはありませんでした。
図表についても、本番同様に印刷して、書き込んだエマグラム等は使い捨てにしてました。
トレーシングペーパーも使い捨てしてました。
会社のプリンターを使わずに自宅の安物インクジェットで印刷していたのですが、インク代だけで2万くらい払った気がします。
##コンパスは使わない
円を書かなければならない作業以外は、全てトレーシングペーパーで代用してました。
ネカフェで勉強してた関係上、針が使えないというのもありますし、問題用紙をできるだけ使いまわしたいという思いもあります。
そもそもコンパスって円を書く以外に使いますか?コンパスで低気圧中心位置をコピーする技法はありますが、トレーシングペーパーでええやんって感じです。
ただし、円を書かなければならない問題って、古い過去問にあったので、試験当日に持っていく必要はあります。
##国語
筆者は、2回目の気象予報士試験の前に2回目の応用情報試験(の午後)の勉強をする過程で、国語の記述訓練をすることができました。
むしろ、受けてなかったら危なかったかもしれません。
##鉛筆で字を書くという訓練
印刷した解答用紙に鉛筆で書く訓練をしましょう。一回目の応用情報で痛い目に合ったので、ずっと手書き訓練してました。
普段から(高級な)ボールペン生活をしてると、抵抗感にビビります。
キーボードやフリック入力は試験では「まだ」認められていません。
##文房具
三角定規は、100円均一品ではなくKOKUYOとか買いましょう。目盛りの見易さ、直線の書きやすさ、安定感が全然違います。
シャーペンも製図に対応できそうなものを使いましょう。作図の0.2mmの差で答えが変わります。
分度器は禁止です。
##チートツール
ここの記事を参考にしてチートツールを作りましたが、役立つ場面はかなり少なかったです。
たぶん合法(2021年現在)
OpenOfficeのImpress(パワーポイントモドキ)で頑張って作りました。
##計算力
チートツールである程度の目安はつけれますが、結局は計算するしかないと悟りました。
手計算を大量に訓練する必要があります。
##暗記事項さがしキーワード
気象庁が天気予報等で用いる予報用語
・×発達した高気圧 〇優勢な高気圧
・×高気圧が発達する 〇 高気圧が勢力を強める など。
地名
・×東海沖 〇東海道沖 など。
・華南 華中 華北 の見分け。
都道府県名
県庁所在地名
#雑感
##気象予報士 実技試験とは?
多くの人が誤解していますが、気象予報士試験の試験内容は予報することではありません。
気象という神に使える神官である気象庁様の御神託が何かを解釈するものです。
(というのをすぐ悟った)
試験解答で求められるのは「私はこう思って予想する」ではなく、神官(気象庁)が神の予言を解釈(シミュレーション)した御神託(結果)を読み取るものです。問われていないことは答えてはいけません。図から読み取れないものも答えてはいけません。
という試験内容だったため、合格した今でも、明日の天気はさっぱりわかりません。
##愚痴
第55回で学科一般しか合格していなかったら、スッキリさっぱりと諦めて老後の楽しみにしようかと思っていました。まさかの合格基準が引き下げられて学科専門まで合格してしまったので、仕方なく実技の勉強をはじめました。気象の本質の理解というより、気象予報士試験合格が目的なので、実はいろいろとよくわかっていません。合格してしまいましたが、とはいえ、明日の天気もわかりません。
使い道が無くて困ってます。実質、合格体験記を書きたいがためだけに勉強していた感すらあります。
あと、AKB48の武藤十夢さんに挨拶しにいかないとなぁ。
仕事にも金にもならん(と気象予報士自身が認めている)ことに、お金と時間を無駄にしたなぁという感じです。
##実技にかかったお金
インクジェットプリンターのインク代 2万円
試験前日の宿代 0.6万円
ネカフェ代 月2万×4か月=8万円
書籍代 1.5万円
模擬試験 1.2万円
受験料 1万円
めざてんにお布施 〇万円
15万くらいかかってる・・・・ネカフェ代が余計やけど。
家じゃ勉強しない問題。