#想定外を想定しろ!
3.11の大津波や近年の台風による水害などのニュースでよく聞く言葉です。
科学者的には、いくらでも大きな災害は想定できます。
3.11による原発のメルトダウンに関しては、東京電力の経営幹部が当時の最大津波想定に対して、適切な対策を取らなかったとして起訴されましたが、無罪となりました。
そりゃそうですよ。
確率×被害想定 が損益分岐点を超えない限り、それは合理的判断とは言わないんです。
科学的・政治的に決められた基準を守ること以外に合理的なものはありません。
ちなみに、筆者は日本で年間3000人殺している自動車が走り続けて、私がその便利さをやめられない限り、安全に電気を作ってくれる原発についてはまったく危険性を感じません。
こういう意見を言うと反対意見が来るんですが、「あなたは人命が地球より重くないんですか?」と言いたいです。
ちなみに筆者は日本人の命は平均3億円としか思っていません。
放射線で奪われる土地は路線価×面積×年数×0.1としか思っていません。
最近は、某無能都知事が「安全と安心は別」とか非科学極まりない発言をするなど、日本って変な国だなぁとつぐづくオモイマス。
某府知事と市長が、科学的に安全ならば大阪湾に原発処理水を流せばいい、といえば漁業組合が猛反発するなど、どんだけ科学者がナメられてるのかと思う次第です。
科学的に安全なものを安心しないなら、それは強迫性の精神疾患なので、ぜひとも精神科に通うことを強くおすすめします。
と前置きが長くなったのですが、想定外を想定してやろうじゃないか!
日本のマスメディアでは、科学的になんとなく合理的な範囲内の被害想定しか放送しません。
ならば、想定の10倍くらいぶっとんだシミュレーション結果とか見たくないですか?
#想定すること
内閣府(このへん)が想定(pdf)した東海・東南海・南海地震津波の海底地形変位のうち、筆者が阪神出身なので大阪湾に一番大きな津波を発生させそうな「基本的な検討ケース】」の「ケース3」の海底地形変位を単純に10倍した津波伝播シミュレーションをやります。
#道具
JagursGitHub
#道具の用意
筆者が過去に書いた記事を参照してください。
JagursをWin10で実行する環境を作る
津波のシミュレーション計算を手軽?にやる方法
内閣府 中央防災会議が作った海底地形データを読めるようにしてGMTで可視化する
津波波源モデルをJagursで使えるようにする
JAGURSの計算のための設定ファイルを作る(福島第一原発編
#10倍の根拠
あ り ま せ ん
ただの私の興味です。
しかも10倍変位がマグニチュードがどれほど変化するかは把握してません。
#JagursのTips
経験上、内閣府が公開している南海トラフ用の海底地形データを使うと、なぜか特異点(波高が激しく上下して10000mとかになる)が発生してしまうので、計算設定に以下を加えます。(この設定を見つけるのに1週間くらい試行錯誤してた。dt変えたり。)
with_abc=1 !x,yの外側境界から20マスを使って強制減衰させる
nxa=20
nya=20
apara=0.055d0
apply_kj_filter=1 !梶浦フィルターを使って波源からの高周波成分を除去する
これをやらないと、私の環境では数値が途中で発散して止まります。
#計算結果
地震が発生してから約1時間20分後の大阪湾
引波後にがっつりと約6mの津波が来襲するらしい。
大阪湾の埋立地(人工島)は完全に水没
関空とか見えなし。
和歌山市は完全に水没
大阪は梅田駅近くまで水没
神戸は三宮が水没
#こんなウルトラ超巨大津波が発生する確率
南海トラフで発生する巨大地震は、歴史的に、最近2000年くらいは約100年から150年周期で発生しているらしいです。
この周期説に従うと、2019年からは、いつ起きてもおかしくないレベルとなります。
ただし、ロバートゲーラ東大名誉教授によると、そもそも周期説なんてものはないらしいそうです。
ガウス分布にしてもレイリー分布にしても、どっかの無限まで積分しなければなりません。なので、どんな規模の津波でも発生する確率は必ずゼロではありません。
安全と安心は別、確率がゼロでなければ安全ではない、 みたいなワケノワカランことを言い出すアホに言わせると、筆者が試計算したこのトンデモな結果ですら起こり得るので、必ず対策をしなければなりません。
私が思いつく対策は、海岸線での生活を止める、しかありません。
日本経済は崩壊するし、平地をほぼ利用不可となるので文明レベルを縄文時代か原始人にまで逆戻りしなければなりません。
こんな対策を受け入れますか?
そもそも、こんな規模の津波は発生しないと正常性バイアス全開なことを考えますか?
現代文明を続けたいならば、ある一定確率で区切らなければなりません。
その中である一定確率のリスクを受け入れなければなりません。
さてその区切りはどこですか?
私はその答えを持ってないし、決めるのは政治なのでQiitaでする話題ではありません。
#想定外を想定したった
筆者ですら、根拠もなく「こんな津波はありえないのでは?」というものを想定してみました。
根拠はありません。大事なことなので2度書きました。
2019年と2020年には、台風による多くの被害が多く発生しました。これらは、一応、想定外ということになっています。
国の公共事業のありかたも考えさせられることが多いです。
民主党政権時代の、公共事業の見直し、「コンクリートから人へ」(コトバンク)による影響だという意見も見られます。
あらゆる被害対策は発生確率×被害金額と防災コストとの比較なので、どこかに損益分岐点を設定します。それは科学的にかつ政治的に考えて合理的に決められるものです。
ですが、最近見られる「想定外を想定しろ」「確率ゼロでなければ安全ではない」「安全と安心は別」といった、「あなたはどうやって生活しているの?」と思わざる得ないようなトンデモ意見がまかり通っています。
ですので、トンデモ想定をして、その予測を行いました。
さて、日本はこんなウルトラ巨大スーパー津波に対する対策を本当にすべきなのでしょうか?
しなくてよい、という結論には必ずなりませんが、もう少し現実的な想定をすべき、というのが本音です。
何度でも書きますが、それを最終的に決めるのは政治です。