watsonx Orchestrateには事前定義されたAgentがついてくる
watsonx OrchestrateはIBMのAIAgent構築のためのプラットフォームですが、6月末の更新で、Agentカタログが公開されました。現時点で、103個のAgent、404個のToolが提供されています。ユーザーはこれらのAgentをテンプレートに自分のAgentを実装することが可能です。この記事ではカタログからJiraに接続可能なAgentを選択して、実際に動作させるまでの手順について説明したいと思います。
Issue Management Agent
今回テンプレートとして使用するのはIssue Management Agentです。カタログに掲載されているものの中でも比較的シンプルなAgentで、7つのToolを利用してJiraに接続し、プロジェクトのリストや、Issueの作成などを行うことが可能です。

テンプレートとして利用するには、右上のUse as templateボタンをクリックします。これだけでAgentが作成されます。

AgentのDescriptionやBehaviorも自分でAgentを作成する際のサンプルとして参考になります。すぐに動かしてみたくなるところですが、実際にJiraに接続するには接続の設定を行うことが必要です。
Connectionsの作成
watsonx Orchestrateでは、Toolがバックエンドのシステムと接続するためにConnectionsという仕組みを提供します。例えば接続先のURLや、認証の方式を設定し、また、ユーザー毎に認証情報を保持させるのか、チームとして固定の認証情報を保持させるかなどを、柔軟に構成することが可能です。これまではADK(Agent Development Kit)を用いてConnectionsを構成する必要がありましたが、6月末のUpdateで画面上から構成することが可能になりました。
事前定義されたJiraのAgentは2つのConnectionsを用いて動作します。以下の2つのConnectionsを構成する必要があります。
- Jira 基本認証型のConnection
- Jira URL key_value型のConnectionで、Jiraのドメインを設定する
Connectionのリストから、jiraに関するものをフィルタリングします。

Jiraの設定
JiraはMember Credentialsで構成します。Member Credentialsは、各ユーザーが最初にアクセスする際にチャット欄から認証情報を入力して接続することが可能です。

Jira URLの設定
Jira URLはTeam Credentialsとして設定します。Team Credentialsはあらかじめ管理者が値を設定しておきます。Jira URLではbase_urlというキーで、接続先のURLを指定します。多くのプリビルドAgentがkey_value型のConnectionsを使用していますが、Agentごとに設定が必要なキーは異なるので、詳細についてはマニュアルを参照してください。

動作確認
設定が完了したら動作確認してみましょう。チャット欄から、「プロジェクトをリストして」と入力してみます。
チャット欄にUser NameとPasswordを入力するフォームが表示されるので、入力しConnectをクリックします。

まとめ
watsonx Orchestrateには、様々なAgentがカタログに登録されており、それらをテンプレートにAgentをクイックに作成することが可能です。また、Connectionsという仕組みを利用することでバックエンドのとの接続情報をwatsonx Orchestrate上で柔軟に構成することが可能です。この仕組みはプリビルドAgentのみではなく、Pythonを使ってToolを実装する際にも利用することが可能で、API-Keyなどをハードコードせずに、ユーザー側で柔軟に変更することができます。

