上記のご質問をいただきました。
当件、発端はACSを1.1.9.xに変更したことでした。ACS 1.1.8.4以降でRFE132374対応で動作が変化しているため、ACS更改以前(ACS1.1.8.3以前)と円マークとバックスラッシュの扱いが変わったことに起因します。
ACS 1.1.8.4で変更された、RFE132374 の概要
良くまとまっている記事がありましたのでご紹介します。
[e-BELLNET.com] ACS 1.1.8.4 以降で円記号の入力が正しく認識されない
All About ACS: IBM i Access Client Solutions 1.1.8.4 の5250で円記号とバックスラッシュを使い分ける
All About ACS: IBM i Access Client Solutions 1.1.8.4 以降の 5250 で円が期待通りに入力できない
個人的にRFE132374対応によるACS 1.1.8.4以降の変化点をサマリーすると、
ACS 5250端末の日本語環境(ホストコードページ930, 939, 1399)のデフォルトでの動作について、キーボードから「¥」キーを入力した際の動作が、
ACS 1.1.8.3以前は端末側で 円記号コード(「U+005C」、英語環境ではバックスラッシュで表示される)が入力されても、円記号のコード(「U+00A5」)に置換されIBM i に送信される。
が、
ACS 1.1.8.4以降では端末側で 円記号コード(「U+005C」)を入力すると、そのままバックスラッシュとしてIBM i に送信されるように変更されました。
ACS 1.1.8.4以降で円記号を意味する(「U+00A5」)をキーボード入力するには、ACSのキーボードマッピングを変更して円マークを入力可能化する必要があります。
また、ACS 1.1.8.3以前では日本語環境でバックスラッシュ(「U+005C」)は入力不可です。
以上がACSの変化点なのですが、さらに考慮点として、日本語のWindowsの標準フォント類(游ゴシック、Meirio UI、MS明朝、MSゴシックなど)では円記号(「U+00A5」)もバックスラッシュ(「U+005C」)もどちらも円記号「¥」で表示されてしまう点があります。
ご質問のユーザー様環境まとめ
従って、たとえば、エクセルなどからACSの5250端末にコピペすると、元のエクセルの文字コードをそのまま反映することになるので、円記号とバックスラッシュが別々な文字としてコピーされる、という事になります。
上記ご質問のお客様においては、ACSから直接、円マークを入力する件はキーボードマッピングを変更して対応ずみでしたが、ユーザー操作としてエクセルからのコピペがありそちらだと、質問のような事象がコピペする毎にACSで円マークのままと、バックスラッシュに変換されてしまう場合が発生してしまう、という事のようです。
対応策1
対応策としてはWindows日本語フォントについて、(入力している文字コードに従って)円マークとバックスラッシュを区別して表示できるフォントに変更する事、が最も正しい解決案だと思いますが、こちらについても分かりやすい記事がありましたのでご紹介します。
All About ACS: IBM i Access Client Solutions 5250で使える円記号とバックスラッシュの区別がつく日本語等倍フォント
https://qiita.com/6onoda/items/02e8e0c1aa8168bf2c83
以下の記事もご参考になるかもしれません。
All About ACS: ACS 5250 - 外字の表示
https://qiita.com/6onoda/items/89356d770e55531c770b
※6onodaさん、e-bellnetさま、いつも良記事をありがとうございます。大変勉強になっております。
対応策2
ACSの変換テーブルの編集をして、円マークのエンコードをACS 1.8.8.3以前と同様に変更する。以下の記事ではACS 1.1.9.9(執筆時点最新)を使用しています。
※こちらは自身で検証できていないのですが、他の方からの情報では問題無く動作するという事なのでご紹介します。(いずれ自身でも検証したいと思います。)
手順は、
ACSのエミュレーター画面のメニューから、 編集 → 設定 → 変換テーブル を選択

変換テーブルのウィンドウで 編集 → 新規項目の追加 を選択

未変更値 : 0x5C : ACS1.1.8.4以降の円マークエンコード
変更値 : 0xB2 : ACS1.1.8.3以前の ”
タイプ : SBCSキーボード
以上で設定は完了です。
編集した変換テーブルは上記の変換テーブルメニューから 別名保管 を選択するとファイルに保管できるのでそのファイルを別なACS端末に配布することもできます。

