ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る~
私の7歳の娘が歌い始めました。
娘:「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る~ 今日は楽しい そりの遊び オー」
私:「オー」ってなんだ?「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る~ そりはゆくゆく 雪の野原を」、じゃないの?
妻: 保育園では「オー」が主流だったみたいよ、いろいろなバージョンがあるのよ。
ジングルベルの歌詞は10何パターン以上ある
ジングルベルの歌は、1857年に牧師であったジェームズ・ロード・ピアポントさんが、作詞作曲されたそうです。その歌詞の翻訳である「訳詞」を手掛けた方々は、両手でも数え切れないくらい、いらっしゃいます。一例(敬称略):宮澤章二、庄野正典、高田三九三、堀内敬三、音羽たかし、小林純一、久野静夫、藤村閑夫、新沢としひこ、安西愛子
ジングルベルの代表的な歌詞2パターン
音羽たかし(本名 牧野剛?1925年 - 2009年)
「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
今日は楽しい そりの遊び オー
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
さあさ行こうよ そりの遊び」
高田三九三(1906年 - 2001年)
「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
そりはゆくゆく 雪の野原を
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
そりはゆくゆく 雪の野原を」
NetSuiteでジングルベルを管理できる?
できるかもしれません。この記事では、NetSuiteの原価計算で必要となる一連のマスターと、それらのマスターを使用して発行するワークオーダー(製造指図)を一通りご紹介し、最後に、「ジングルベル、サンタクロース、原価計算の関係性」について、考察してみたいと思います。事項から、まじめに書きます。
標準原価計算 > ロット別原価計算 > 移動平均原価計算
製造管理のために定義が必要なマスターの数や、オペレーションの難しさは、代表的な原価計算方法で比較すると上記の関係が成り立つと考えられます。なお、「ロット別原価計算」とは、NetSuiteの「Lot Numbered Costing Method」の意訳であり、SAP用語では「生産ロット実際原価計算」に対応します。NetSuite 標準原価計算に必要なマスタを理解できれば、その他の原価計算方法については、自ずと理解できますので、以下では標準原価計算の設定をしたアイテムとワークオーダー(製造指図)に関するスクリーンショットを使用します。
NetSuite製造関連の用語一覧(この記事で取り上げる)
・アイテム
・アセンブリ -- ①
・部品表(BOM) -- ②
・部品表リビジョン(BOM リビジョン)
・在庫アイテム
・製造ルーティング -- ③
・製造ワークセンター
・製造原価テンプレート
・その他の手数料
・ワークオーダー -- ④
・ワークオーダーの完了数入力 -- ⑤
・ワークオーダーの終了
①アセンブリアイテム
NetSuite のアセンブリアイテムとは、製品および半製品のことです。SAPではそれぞれ、FERT、HALB、と区分されます。NetSuiteでよく使用される、在庫アイテムとの主な違いは、以下の通りです。
単純なアセンブリの一例として、以下は、自転車工場で内製される車輪です。
②部品表 & 部品表リビジョン(BOM & BOMリビジョン)
BOMとBOMリビジョンは、オブジェクト指向の用語で言えば、「クラスとオブジェクト」の関係です。BOMはざっくりとした定義のみを持ち、BOMリビジョンが実際に使用されるレベルの詳細な定義を持っています。BOMリビジョンには発効日と失効日のフィールドがあり、どの日程においてどのBOMリビジョンが採用されるかを、厳密に定義することができます。なお、BOMリビジョンは、SAPの「変更管理番号」と「代替BOM」の両方の役割を果たします。
BOMは、複数(または単数)のBOMリビジョンを保持します。
BOMリビジョンに、アセンブリ(製品/半製品)と在庫アイテム(原材料)の具体的な階層構造が定義されます。
③ルーティング、ワークセンター、製造原価テンプレート、手数料アイテム
ルーティングを一言で表せば、「作業手順」のことです。ルーティングについては、BOMとBOMリビジョンのような「クラスとオブジェクト」の関係性を定義する機能はなく、ルーティングに具体的な作業手順が定義されます。作業手順には、製品(半製品)1単位を生産するために、どの作業場所で、どんな作業員が何の作業を何分行うか、どんな機械が何の加工に何分使用されるか、そして人工数と機械工数に対する1分あたりの単価(チャージ)が定義されます。つまり、ルーティングには「オペレーション名」の一覧、それぞれのオペレーションに対する「ワークセンター」、および「製造原価テンプレート」で定義されたリソースの所要工数、が定義されます。なお、NetSuiteでは、リソースもアイテムとして定義し、「その他の手数料」というアイテムの区分を使用するのが一般的です。
ルーティングの例: 1行目の例は、溶接作業、溶接作業区、その作業区の人工数および機械工数の単価の定義
ワークセンターの例: この例は、溶接作業区です。作業区に合わせたカレンダーを割り当て、作業員(メンバー)の割当など行うことができます。
製造原価テンプレートの例: 作業区に対する、直接労務費、間接労務費、直接設備費、関節設備費のそれぞれのチャージ(時間単価)が定義されている。4つのチャージそれぞれに対して、対応する「その他の手数料」アイテムを品目マスタに事前に登録しておく必要があります(チャージの単価はアイテムの単価として登録します。)。
④ワークオーダー
ワークオーダーとは、製造指図のことです。上記の一連のマスターを使用して、「いつ、何を、何個製造するのか」、「原材料は何が何個か」、「どんな作業をどこで、どんな作業員と設備を使用して何分で行うか」を定義した上で発行されます。
アイテムサブタブ: BOMリビジョンに基づいて、各原材料の所要量と、実際の消費結果へのリンクが表示されています。(本スクリーンショットの一番下には、ファントム品目も含まれています。複数階層の部品表アセンブリと複数階層のワークオーダーの発行が可能です。)
オペレーションサブタブ: ルーティングに基づいて、各オペレーションの所要時間と、実際の作業時間が表示されています。
⑤ワークオーダーの完了数入力、ワークオーダーの終了、その仕訳
私は以前の職場にて、SAP PP(生産計画・管理機能)を使用した製造実行システムの開発を担当していたことがありますが、その職場では、製造指図の「完了実績報告」のことを、略して「完報(かんぽう)」と読んでおりました。SAPの製造指図と同様に、NetSuiteのワークオーダーでも、個別のオペレーションに対して完了個数や実際作業時間を登録することも可能ですし、すべてのオペレーションに対して一括で、完了個数や作業時間をバックラッシュで登録することも可能です。
完了数入力: 完成実績報告のことです。「いつ、何個できた」、「何を何個、何分消費した」の実績を、計画と比較して確認することができます。
完了数入力に対する仕訳: 完了数入力の画面から、それに対応して登録された仕訳を確認することができます。直接原材料費、直接作業費、間接作業費、間接設備費、仕掛品、製品の計上が行われています。
ワークオーダー終了の仕訳: ワークオーダー終了画面の総勘定元帳勘定サブタブにて、ワークオーダー終了時に原価差異が認識されていることが分かります。本記事では、詳細な原価差異の認識については割愛します。
まとめ
NetSuiteの製造機能では、一連のマスターを活用した標準原価計算の選択や、ファントム品目を使用した複数階層の部品表の定義と、複数階層のワークオーダーの発行が可能であることを、ご紹介しました。ところで、冒頭に触れました「ジングルベル、サンタクロース、原価計算の関係性」について、ピンときましたでしょうか?そうです、牧師のジェームズさんが作詞作曲されたジングルベルのオリジナルが「部品表」と、そしてその10以上にのぼる日本語の訳詞(歌詞)が「部品表リビジョン」と酷似している、と私は思うのですが。。。さらに、サンタクロースが子供たちへと運んでくれるプレゼントは、もしかしたら、NetSuiteの製造機能を活用して生産された「アセンブリ」かもしれません。メリークリスマス!
参考リンク:
Qiita Oracle NetSuite Advent Calendar 2024
寿司屋は実際原価計算ですね!
源氏物語と原価計算