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源氏物語みたいな経営

むかしむかし、あるところに、若紫(わかむらさき)という、まだ幼いが大変魅力的なベンチャー製薬企業があったそうな。光源氏という、若紫に一目ぼれしてしまった大手製薬企業は、若紫の発行済株式の30%を取得し、その世話役として、若紫の経営に介入するようになりました。

ERPと原価計算の始まり

まだ生産規模の小さい若紫は、原価計算はそれほど重要であると考えていませんでした。また、若紫の業務は、AS400で社内開発された個別アプリケーションを使って、何とか回されている感じでした。経験豊富な光源氏は、「ERPとともに標準原価計算も導入するといいねぇ」と偉そうに語りつつ、若紫へ異様に熱い視線を送っていました。

適した方法

若紫の別の大株主である尼君(あまぎみ)は、「幼い若紫に標準原価計算は早すぎる。まずはロット別原価計算から始めるべきだ。成長し大人になってから、必要に応じて標準原価計算へ切り替えればよい。」と横やりを入れました。これにカチンときた光源氏は、「ERPで一度決めた原価計算方法を後から変更するなんて、できねーよ」と吐き捨てて、その場を去っていきました。尼君は「まったく、油断も隙もありゃしない」、とあきれました。

NetSuiteにおける原価計算方法変更の手順

他のERPと同様に、NetSuiteでも、品目マスタレベルでは、一度登録した原価計算方法を変更することはできません。したがって、光源氏の言い分も必ずしも間違いではないのです。ただし、個別の品目に関してではなく、ERP全体における原価計算方法の変更について言えば、 尼君の提案する「ロット別原価計算で始め、生産規模が大きくなったら標準原価計算へ」という案は、実現可能な選択肢と言えます。また、変更前、変更後の原価計算方法に制限はなく、「後入れ先出し(LIFO)から、先入れ先出し(FIFO)へ」といった変更パターンも想定されます。

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品目マスタデータ移行のステップ

前述の通り、既存の品目マスタレコードを継続使用して原価計算方法を変更することはできないため、以下の移行作業が必要となります。
a. 既存の各アイテムの在庫数量をゼロにする。
b. 各アイテムマスタレコードを非アクティブ化する(接尾辞"-old "を追加するなどして、アイテム名を変更した後に)。
c. 各アイテムに対して、マスタレコードを新しい原価計算方法を指定して再作成し、適切な開始在庫数量を登録する。

全体的な原価計算方法変更のステップ

  1. できる限り多くのトランザクションレコードを完了させる。
  2. 品目マスタデータの移行を行う(a, b, c)。
  3. 未完了のトランザクションレコード調整する(旧品目の既存トランザクション明細行をキャンセルし、新品目を使用した新明細行を追加する)。
  4. 保存検索などのレポートの検索条件に、「品目アクティブ = FALSE」の条件を追加する。その条件を「TRUE」や「空白」に切り替えて、レポートを使用する。

専門家に相談するかどうかの判断基準

原価計算変更のステップが4行に収まってしまうと、簡単な話に聞こえてしまうかもしれません。当然、その4ステップの行間には、まったく小さくないリスクや、専門的知識と経験の必要性が含まれております。2024年12月現在、NetSuiteは世界に4万社を超える顧客を持ち、グローバルに蓄積されたベストプラクティスを、お客様へお届けすることが可能です。以下、より詳細な原価計算方法の変更に関する自作資料と、おまけのイラストです。

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