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冴えないスライドの育て方

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YAPC::Hakodate2024 4部作の1つめです
[その1][その2][その3][その4]

以下、YAPC::Hakodate 2024 のスライドを例にします

YAPC::Hakodate では、「脚注の方が多い」とか「脚注に自我がある」とか「士郎正宗か?」とか、さまざまな反響をいただきました、ありがとうございます(w)

自分の最近のスライドの書き方は、以下のスライド p.48 あたりが典型でしょうか?

いま思いつくすべてを投入する(島本-ism)

これは心意気の話なのでしょうか?たぶん、そうです

語りたいことが、あふれてるから〜

立ち止まってる暇なんてないよね〜 (脚注1)

そういう気持ちが大事。おそらく、北海道の誇る炎の漫画家島本先生の漫画の書き方も同じ

いわゆる(本宮ひろ志の伝説として知られる)

来週の連載の展開など計算せずに、今週の連載分に今おもいつくすべてをぶち込め

という方法(?)というか心意気です。ただし、そういう書き方をしていると、何本かに一本は連載が破綻して終わるわけですが、こじんまりと、まとまったものを書くくらいなら、破綻する危険があっても、そちらを選ぶという心意気や良し

そういうわけで、勝手に島本先生をリスペクトです(注: この手の話で有名なのは、本宮ひろ志の伝説(?)であって、島本先生がオリジナルではないのですが、本宮ひろ志なんて読まないもん:-)やはり、おすすめは「燃えよペン」ですが、あの熱血フォーマットがダメと言われそうですね。それなら「響け!ユーフォニアム」をどうぞ)

ちなみに、「文科系の熱血」「(グランドで汗を流すのではなく)心のセットアップ」という島本マンガの表現は良い例えだと思います(BSマンガ夜話)

絵コンテの時間はタップリとる

プロットを考えてる時間が長いです ;-)木下監督に親近感(#SHIROBAKO)

絵コンテ切ってる ... は、少し言いすぎですが、プロットと、こんな図が、この辺に〜とか書いてるから、プチ絵コンテ感はありますね。さすがに尺の長さを秒単位で計算はしてませんけど ...

結局スライドの8割くらいは最後の一週間で書いていたような(曖昧な)記憶です。プロットは固まってるので、ひたすら書くだけですが、スライドに起こしてみると話しにくかったりするので、微修正は果てしないです

引き算をする

連載で、しかも連載回数を気にしないでよいなら、前述の"島本-ism"で良いのですが、講演の場合は時間制限があります

よって引き算です

次のスライドフォーマットを目標に削っていきます

スライド一枚は、1行40文字で、最大3行が目安

3行に絞れないなら、そのスライドを複数枚に分割することもあります。いずれにせよ、スライド本編の長さは、そうあるべきだと考えています。ここでいうスライド本編の3行とは、話す際の「原稿」兼「聴衆の補助になる情報」相当です

脚注は宿題と言い張る

では、引き算で削除した文章はどこに?というと、それは脚注に移動します。ここは後で興味のある人だけ見てもらえばよいという割り切りです。なお、尺の都合と、文脈の都合で、うまく入りきらないものは、脚注に移動せずに削除しています

脚注には脱線の雑談も入ってます。本来は、本編のところどころにも脱線を入れたいところです。と言うのは、聞く方もフル回転では連続して聞いていられないので、時間に余裕があれば、すこしは脱線して息抜きをしないといけないはずなのです。今回は、余裕がないので、40分LT大会状態でしたけど、本当は良くない

とにかく入りきらない情報と脱線、出典(参考文献)などを、すべて脚注に詰めていくと、こういうスライドになります

たとえばスライド7ページの例(上のスライドp.48は本文が詰まりすぎなので、こちらの方が良い例です。なお、この例では4行めがありますが、ここは情報量0のオマケなのでカウントしない:-)

時間内に終わるのか?これは話芸かな?

あとは時間内に話おわるのか?ですけども、これは、正直、行きあたりばったりです。だいたい直前までスライドを調整しているから練習してる暇がない(<- 本当はダメ)

本番は、時計とスライドページ数を見ながら喋っています。これは、できます(意識的に訓練したことはないのですが、20世紀の終わりくらいには出来るようになっていました)

あとは、本番、on the fly で微調整

話す長さの目安は、1スライドあたり(長くても)2分くらいがよいと思うのです。もっとも2分は、わりと情報量があるページの話です。もっと短いページもあります。それでも、48枚(パートのタイトルページなどもあるので実質40枚強)を40分は ... 時間が足りません。長めに説明するページと、それこそ10秒くらいで通りすぎるページと緩急をつける必要があります

そして、最悪とばしてもいいページの目星もあったほうがいいです。今回のスライドでは、脚注に書いてあります。ちなみに、このスライドは remark.js ベースで、markdown の元原稿がリアルタイムに加工されて画面に表示されています。講演者と聴衆が見ているページは同じです。パワポにある隠しページはありません

こぼれ話「脚注しかないページ(w)」

「脚注しかないページ(w)」というtweetがありましたが、そんなページがありましたっけ?と思って探したら、あ、ありますね、p.28のことですね。これは、コンピュータの価格変遷表をp.27に何とか押しこんだのですが、そうするとp.27には脚注を書く余裕がなくなりました。それでp.28に脚注だけがハミ出しているのですが、結果としては、確かに脚注しかないページになってしまっています(w)

ちなみに、この p.27-28 の解説が3倍くらいになったバージョンが、こちらの記事になります。よかったら、どうぞ->
この60年でコンピュータはどれだけ安くなったのか?

あとがき

「スライドの書き方として良いのか?」と聞かれれば、「(訳注に目を奪われると)認知負荷が高すぎるから良くない」が答えでしょう

「なるたけ脚注は避けてください」は、昔オライリーの編集さんにも言われたし ;-)

でも、脚注なしで技術書を書くのは難しいです。用語の説明も必要だし、出典がない記述は怪しい

妥協案として、日経BPの雑誌(例:日経コンピュータ)の「左右に用語解説があるフォーマット」は好きです。もっとも、ああいうのはデザイナーさんがやってくれてるから何とかなるのであって、素人が、あの画面つくりを真似するのは大変ですけど(一回がんばってTeXのスタイルファイルを書けばいいのか?いやTeXで納品しないだろ、いまどき;-)

そういうわけで「自分の妥協案は、このスタイルです」という話でした

YAPC::Hakodate2024 4部作の[その2]へ続く
[その1][その2][その3][その4]

脚注

original site: https://technotes.fml.org/tech/event/how-to-write-slides-202410/

(qiita版も致命的な間違いやTYPOは修正しますがupdatesはoriginalのほうだけです)

Copyright (C) 2024-2025 Ken’ichi Fukamachi, CC BY-NC-SA 4.0

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