「理科系の作文技術」。以下である。
理科系の作文技術 (中公新書 624) | 木下 是雄 |本 | 通販 | Amazon
初版は1981年に書かれた本。開発や技術者が文章を書く上では「バイブル」などと表現されることもあるが、知っておくべきポイントはそれほど多くはないと思う。
理科系に求められる作文技術とは
- 実用文を書く技術。
- 読む前と読んだ後で読者にどのように変化することを求めるのかを理解させ、行動させる技術。
- 事実と意見を分ける。
- 「ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった」
- 「ジョージ・ワシントンは米国の初代の大統領であった」
- 前者は意見。後者が事実。
チャーチルのメモ
この本の肝であり、要約だと考える。
1940年、潰滅の危機に瀕した英国の宰相の座についたウィンストン・チャーチルは、政府各部局の長に次のようなメモを送った。
われわれの職務を遂行するには大量の書類を読まねばならぬ。その書類のほとんどすべてが長すぎる。時間が無駄だし、要点をみつけるのに手間がかかる。同僚諸兄とその部下の方々に、報告書をもっと短くするようにご配意ねがいたい。
(ⅰ)報告書は、要点をそれぞれ短い、歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。
(ⅱ)複雑な要因の分析にもとづく報告や、統計にもとづく報告では、要因の分析や統計は付録とせよ。
(ⅲ)正式の報告書でなく見出しだけを並べたメモを用意し,必要に応じて口頭でおぎなったほうがいい場合が多い。
(ⅳ)次のような言い方はやめよう
「次の諸点を心に留めておくことも重要である」
「…… を実行する可能性も考慮すべきである」。
この種のもってまわった言い廻しは埋草にすぎない。省くか、一語で言い切れ。
思い切って、短い、パッと意味の通じる言い方を使え。くだけすぎた言い方でもかまわない。
私のいうように書いた報告書は、一見、官庁用語をならべ立てた文書とくらべて荒っぽいかもしれない。しかし、時間はうんと節約できるし、真の要点だけを簡潔に述べる訓練は考えを明確にするにも役立つ。
「もってまわった言い廻し」
「することができる」は有害と考えられる - Qiita
「対応」という言葉を使うのはやめよう - Qiita
「事実」と「意見」を見分けよう - Qiita
Designとデザインと設計 - Qiita
ユーザーなのか、ユーザなのか
など、つい雰囲気で使ってしまう言葉ありますね…。
参考記事
正確に伝わる文章を書くために「理科系の作文技術」を修得する|Dr. Kano|note
チャーチルのメモが言うようにいかに要点だけを簡潔に書くかが開発者としても、社会人としても大事だぞという本。以上です~