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老後資金、あと何年働けば「2000万円」が要らなくなるのか ― 26県は0年だった

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Last updated at Posted at 2026-08-02

シリーズ「その数字、誰の話?」 ― 公的統計を47都道府県で確かめる

47都道府県ランキング(1位が条件次第で37位になった)
★② 何年働けば「2000万円」が要らなくなるのか(本記事)
「地方は安い」は九州だけだった
このシミュレーターの作り方
⑤ 1人なのに2人より高い県(近日公開)
⑥ 持ち家か賃貸か、フェアに比べる(近日公開)
⑦ 倍率1位と金額1位は違う(近日公開)
⑧ 「2000万円」が当てはまるのは7.3%(近日公開)
⑨ 安い県ほど介護費の割合が高い(近日公開)
⑩ 年金の地域差(近日公開)
⑪ 月1万円の固定費削減は、生涯258万円だった(近日公開)

TL;DR

  • 47都道府県で 「あと何年働けば、必要額が2,000万円以下になるか」を逆算しました(月10万円で働く前提)
  • 半数以上の26県は0年。最長でも群馬・石川の7年(72歳まで)でした
  • ところが計算していて一番驚いたのは東京で、持ち家なら5年、賃貸に変えると20年。同じ東京でも15年違います
  • そして実は、月1万円の節約は2年働くのとほぼ同じでした(258万円 対 240万円)。働く年数だけが答えではありません

自分の県で試す 👉 あなたの老後資金、HOW MUCH?

あと何年働けば、「2,000万円」が要らなくなるのか。そう思って計算してみると、実は働くより効くものがありました。月1万円の固定費です。でもその話の前に、県別の年数を見てください。

image.png

何を計算したか

前回、夫婦・持ち家・県平均で47都道府県を計算すると、必要額が2,000万円を上回るのは21県、下回るのは26県でした。足りないなら働けばいい——では何年働けばいいかは県ごとに違うはずです。

アプリの「収入・ローン(任意)」にある就労収入(月額×年数)を、不足から差し引きます。

必要額 = max(不足の累計 + ローン − 就労収入, 0) + 生活の予備費 + 健康・介護の予備費
就労収入 = 月額 × 年数 × 12
項目 設定
就労の月額 10万円(全県共通)
条件 夫婦二人/持ち家/生活スタイルは県平均/男性/年金は地域差反映/標準シナリオ
目標 必要額を2,000万円以下にする
刻み 1年(アプリのスライダーに合わせた)

月額によって年数は変わりますが、県どうしを比べるために全県で同じ10万円に固定しました。この計算では月々の差が258ヶ月(21.5年×12)ぶん積み上がります。そしてこれは精密な生活設計ではなく、条件を変えたときの影響を見るシミュレーターです。

計算していて、一番驚いたのは東京でした

持ち家なら5年。ところが賃貸に変えると20年。同じ東京でも15年違います。

都道府県 持ち家 賃貸
東京都 5年 20年(85歳まで) +15年
石川県 7年 13年 +6年
千葉県 3年 12年 +9年
群馬県 7年 11年 +4年
神奈川県 0年 10年 +10年
愛知県 1年 10年 +9年
大阪府 0年 6年 +6年
高知県 6年 6年 ±0年
鳥取県 5年 5年 ±0年

持ち家前提で「働かなくていい(0年)」だった県は26ありましたが、賃貸にすると8県まで減ります。神奈川と大阪は「働かなくていい」から「6〜10年働く」に変わり、一方で高知と鳥取はまったく動きません(持ち家の住居費と家賃がほぼ同額だからです)。

理由は単純です。東京は持ち家の住居費17,000円に対して家賃が88,000円なので、月71,000円の差 × 21.5年 × 12 = 1,832万円。これを月10万円の就労で埋めると15年ぶんです。

しかも東京・賃貸の20年は、65歳から数えて85歳。65歳時点の平均余命は男性19.5年=84.5歳なので、平均余命を超えて働かないと2,000万円に収まらない。「頑張れば届く」ではなく、計算の前提として成立していません。

自分で切り替える 👉 東京・持ち家・5年で開く東京・賃貸・15年で開く

(後者を15年にしているのは、アプリのスライダー上限が15年だからです。詳細は作者メモへ)

半数以上の26県は0年でした

では持ち家前提に戻ると、どうなるか。

半数以上の26県は、そもそも働く必要がありませんでした。 最長でも群馬・石川の7年(72歳まで)。21県のうち6県は1年で足ります(京都はもともと2,009万円なので、あと9万円だけ)。

記事_qiita_第2弾_就労年数_棒グラフ.png

「2,000万円問題」という言葉の重さに比べると、拍子抜けするくらい短いです。詳細は折りたたみに入れました。

0年だった26県/残る21県の年数一覧

0年(26県):新潟・北海道・岩手・三重・埼玉・福井・徳島・神奈川・宮城・香川・滋賀・大阪・熊本・愛媛・青森・鹿児島・広島・島根・山口・佐賀・福岡・大分・宮崎・長崎・和歌山・沖縄

必要な年数 都道府県 必要額(働く前)
7年(72歳まで) 群馬県 2,793万円
7年 石川県 2,779万円
6年 高知県 2,602万円
5年 東京都 2,488万円
5年 鳥取県 2,483万円
4年 山梨県秋田県栃木県 2,363〜2,440万円
3年 岡山県千葉県 2,269〜2,303万円
2年 岐阜県・福島県・茨城県・長野県・奈良県 2,134〜2,224万円
1年 富山県・静岡県・山形県・愛知県・兵庫県・京都府 2,009〜2,102万円

月1万円の節約は、2年働くのとほぼ同じでした

ここが、冒頭で予告した話です。

就労収入は 月額 × 年数 × 12 として不足から引き算されるだけです。一方、生活費の差は21.5年分に掛け算されます。

やること 生涯での効果
月10万円で1年働く 120万円
生活費を月1万円下げる 258万円

月1万円の節約は、2年働くのとほぼ同じです。簡単だという話ではなく、効き方の構造が違うというだけです。

タイトルは「あと何年働けば」ですが、計算してみると見えてくるのは「何を変えると、いちばん効くのか」のほうでした。住まい(持ち家/賃貸)で東京は15年動き、固定費の月1万円は2年働くのと並びます。何がいちばん効くかは、連載の最終回でまとめます。

正直な注意点

  1. 就労収入を単純に引き算しています。 税・社会保険料は引いていませんし、在職老齢年金の調整も織り込んでいません。実際の手取りはこれより少ないので、必要年数はもう少し長くなる可能性があります。
  2. 「働ける」という前提が要ります。 何年働けるかは健康状態しだいで、この計算はそこを見ていません(第9回で扱います)。
  3. 持ち家の大規模改修は予備費300万円で見ていますが、固定資産税や月次の修繕積立は未計上です。 フェア比較は第6回で扱います。
  4. 単身は世帯総額だとほぼ全県が0年ですが、1人あたりで見ると話が逆転するので第5回に回します。

元データ

📊 この記事の数字は、元データをそのまま公開しています 👉 都道府県別 老後資金ランキング 2026年版

47都道府県 × 4条件(夫婦/単身 × 持ち家/賃貸)の一覧と CSV です。出典を明記いただければ、転載・引用は自由です(CC BY 4.0)。表を Markdown でコピーするボタンも置いてあります。

次回

「地方は老後資金が安い」というイメージを、地方ブロック別に検証します。 ブロックごとに集計すると安いのは九州だけで、東北はむしろ全国平均より高い、という結果です。

よかったら教えてください

  • あなたの県は何年でしたか?(0年だった方も教えてください)
  • 持ち家を賃貸に切り替えると、何年に伸びましたか?

「収入・ローン(任意)」を開いて、就労収入を月10万円・年数を動かすだけです。東京は5年から20年に伸びるのに、高知はまったく変わりません。

あなたの老後資金、HOW MUCH?

47都道府県 × 世帯 × 持ち家/賃貸 × 生活スタイルで必要額を計算して、何を変えると必要額がどれだけ変わるかを並べて表示します。無料・登録不要・金融商品の勧誘は一切ありません。

作者メモ:記事を書くことが、テストになった

  • 逆算機能はアプリに実装されていません。 0年から1年ずつ増やして、目標を最初に下回る年数を探すループを記事側のスクリプトで回しました。
  • 記事を書いて初めて、「20年」が入力できないことに気付きました。 就労年数スライダーの上限が15年だったのです。記事の数字を1年刻みにしたのもスライダーが1年刻みだからで、記事の数字とリンク先の画面が食い違うのが一番まずいので粒度を合わせました。上限の延長と逆算モードは、どちらも直す予定です。

この記事は連載「その数字、誰の話?」の第2回です。全11回で、47都道府県のデータを使って老後にまつわる思い込みを1つずつ検証していきます。次回以降を読み逃したくない方は、フォローしていただけると届きます。

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