0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

「地方は老後資金が安い」は九州だけだった ― 東北は全国平均より高い

0
Last updated at Posted at 2026-08-04

シリーズ「その数字、誰の話?」 ― 公的統計を47都道府県で確かめる

47都道府県ランキング(1位が条件次第で37位になった)
何年働けば「2000万円」が要らなくなるのか(26県は0年だった)
★③ 「地方は安い」は九州だけだった(本記事)
このシミュレーターの作り方
⑤ 1人なのに2人より高い県(近日公開)
⑥ 持ち家か賃貸か、フェアに比べる(近日公開)
⑦ 倍率1位と金額1位は違う(近日公開)
⑧ 「2000万円」が当てはまるのは7.3%(近日公開)
⑨ 安い県ほど介護費の割合が高い(近日公開)
⑩ 年金の地域差(近日公開)
⑪ 月1万円の固定費削減は、生涯258万円だった(近日公開)

TL;DR

  • 「地方は老後資金が安い」をブロック別に集計し直すと、安くくくれるのは九州・沖縄だけでした(8県平均988万円=全国平均の56%)
  • 東北は平均1,887万円で、全国平均(1,768万円)より高い。「地方」と一括りにはできません
  • 中国地方は鳥取2,483万〜山口1,029万で2.4倍に割れます。つまり、ブロック平均を見ても自分の答えは分かりません

先にひとつだけ決めてから開いてください。あなたの県は、全国47位中、何位くらいだと思いますか?

30秒で答え合わせ 👉 あなたの県だけ開く

「地方だから老後は安く済む」——そう思って計算してみると、安いのは九州だけでした。この記事の表はブロック平均です。ランキングより、「あなたは例外だった」が一番役に立ちます

何を計算したか

第1回で出した47県の必要額を、地方ブロックごとに平均しました。条件は連載共通です。

項目 設定
条件 夫婦二人/持ち家/生活スタイルは県平均/男性/年金は地域差反映/標準シナリオ
やったこと 県別の必要額をブロック平均にし、全国平均との差で見る
全国平均(基準) 必要額 1,768万円

これは精密な生活設計ではなく、条件を変えたときの影響を見るシミュレーターです。

「地方は安い」は、九州にしか当てはまらなかった

全国平均(1,768万円)との差で並べます。見たいのは順位ではなく、どこが飛び抜けているかです。

ブロック 平均必要額 全国平均との差
甲信 2,288万円 +520
関東 2,223万円 +455
北陸 2,146万円 +378
東海 2,042万円 +274
東北 1,887万円 +119
北海道 1,881万円 +113
四国 1,786万円 +18
近畿 1,663万円 −105
中国 1,597万円 −171
九州・沖縄 988万円 −780

中国までが「少し安い/少し高い」の範囲なのに、九州・沖縄だけが−780万円。平均988万円は全国平均の56% です。しかも8県すべてが34位以下で、ブロック内の幅も581万円と最小。費目指数(全国=100)でも9費目すべてが100未満——全費目が全国平均を下回る唯一のブロックでした。

つまり「地方は安い」がブロックとして成り立つのは、九州・沖縄だけです。あなたの県は九州型(生活費が低い)でしょうか。それとも、次に見る東北型・中国型でしょうか。

サンプルで見るなら 👉 熊本沖縄福岡(答えは自分の県で)

image.png

東北は、全国平均より高かった

「地方は安い」と聞くと、東北も当然安い側だと思ってしまいます。しかし実際には、東北6県の平均は1,887万円で、全国平均を +119万円上回りました。

北海道も1,881万円。甲信・北陸・関東も全国平均以上です。「都会が高くて、地方は安い」という地図にはなっていません。

東北の中も一枚岩ではありません。秋田2,397万円(7位)から青森1,180万円(36位)まで、同じ東北で幅1,217万円。隣県でも景色が違います。

隣と比べるなら 👉 秋田青森宮城

image.png

中国地方は、平均より「割れ方」が本題だった

ブロック平均だけ見ると、中国は1,597万円(全国平均より−171)で「そこそこ安い」側です。ところが両端だけ見ると、

image.png

同じ中国地方で2.4倍です。ブロック内の幅1,455万円は全ブロック最大で、平均年金は全国最高クラスなのに、必要額はこうして割れます。

「地方」「中国」と言った瞬間に、鳥取も山口も同じ話に見えてしまいます。でも平均では足りない。あなたの隣県、本当に同じくらいでしたか?

30秒で隣と答え合わせ 👉 自分の県だけ開く

九州が安い理由は、「生活費だけが安く、年金がついてこない」から

なぜ九州だけくくれるのか。比較すると単純です。

  • 生活費:全国比で約 −3.2万円
  • 年金:全国比で約 −0.3万円

生活費だけが大きく下がり、年金はほとんど下がらない。だから月の不足が小さく、必要額も軽くなります(だいたい750万円ぶん)。寒さ(光熱費)より、住居・交通・食料・交際費の差のほうが効いています。

北陸は逆で、生活費はブロック平均がいちばん高い一方、年金も高い。富山は必要額2,102万円で、「生活費が高い=そのまま高い」ではありません。

👉 富山県(北陸・生活費は高い側)

年金の地域差そのものは、連載の第10回でまとめて扱います。

正直な注意点

  1. この記事の表はブロック平均です。 中国地方のように、平均と県の実感が食い違うことがあります。数字の本体は県です。
  2. 和歌山・沖縄の800万円は「床」です。 月の不足が0になると、残るのは予備費300万+介護500万だけになります。「800万で足りる」ではありません。
  3. 夫婦・持ち家・県平均・男性という条件の話です。 賃貸や単身にすると景色が変わります(第2回・第5回・第6回)。
  4. 消費支出ベースなので固定資産税は持ち家に入っていません。フェア比較は第6回で扱います。

元データ

📊 この記事の数字は、元データをそのまま公開しています 👉 都道府県別 老後資金ランキング 2026年版

47都道府県 × 4条件(夫婦/単身 × 持ち家/賃貸)の一覧と CSV です。出典を明記いただければ、転載・引用は自由です(CC BY 4.0)。表を Markdown でコピーするボタンも置いてあります。

次回

このシミュレーターを、e-Statの統計からブラウザだけで動く形にするまでの話を書きます。データの落とし穴(京都の「車社会」誤判定など)と、GitHub Pages・GA4までの実装です。

よかったら教えてください

予想は当たりましたか? 県を選んでから、聞かせてください。

  • 何位だと思って、実際は何位でしたか?
  • 型はどれでしたか? 九州型(安い)/東北型(地方でも高い)/中国型(隣と極端に違う)
  • 隣県と比べて、差はありましたか?

中国地方のように、隣でも桁が違うことがあります。

47都道府県全部見なくても大丈夫です。まずは自分の県だけ開いてみてください。

30秒であなたの県を確認 👉 自分の県だけ開く

47都道府県 × 世帯 × 持ち家/賃貸 × 生活スタイルで必要額を計算して、何を変えると必要額がどれだけ変わるかを並べて表示します。無料・登録不要・金融商品の勧誘は一切ありません。

作者メモ

  • ブロック分けは記事用の集約です。アプリ本体は県単位で計算しています。
  • 九州が安い理由の分解(生活費−3.2万/年金−0.3万)は、必要額=月不足×258+800万、という式から機械的に出しています。手打ちの県別表はありません。

この記事は連載「その数字、誰の話?」の第3回です。全11回で、47都道府県のデータを使って老後にまつわる思い込みを1つずつ検証していきます。次回以降を読み逃したくない方は、フォローしていただれると届きます。

0
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?