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【PMP資格所持者が教える】チームマネジメントの基礎

Last updated at Posted at 2025-07-30

こんにちは!
AXLBIT株式会社@yangです。

本記事はプロジェクトマネージャーを目指している方や、PMP(Project Management Professional)資格を取得したい方を対象に、PMI(プロジェクトマネジメント協会)が発行したガイドブックPMBOKに記載するプロジェクトマネージメントに活用できる知識を説明する【PMP資格保持者が教える】シリーズの第6回です。第5回はこちら

ここでは、プロジェクトチームを育成する際の目標や手法、チーム開発の段階、コンフリクトの解消、チーム憲章について説明いたします。

チーム育成の目標

PMBOKにおいて、チーム育成にいくつ重要な目標があります。

  • コストと時間の削減と品質改善に向け、チームの知識とスキルを向上すること。
  • チームの士気の高揚、コンフリクトの減少、チームワークの改善に向けて、チーム内の信頼感を高めること。
  • 個人とチームのパフォーマンスの向上、相互トレーニングやメンタリングの推進に向けて、競合的な文化を構築すること
  • チームが意思決定に参加し、自分が策定したソリューションの責任を担うように、チームに権限を与えること。

これらの目標は基本的に抽象的で定性的なもので、実際にチームのパフォーマンスをプロジェクトのビジョンや目標と比較して評価す際に使用する一連の尺度が必要で、その尺度を重要業績評価指標と呼びます。英語のKey Perfomance Indicatorsを略にして、KPIとなります。

KPIを設定する基準として、以下五つの要求の英語の頭文字で表して、SMARTとなります。

  • Specific:具体的
  • Measurable:測定可能
  • Achievable:達成可能
  • Relevant:関連性
  • Time-bound:期限付き

チームの強みを分析

チームを形成する際には、メンバーが作業を実行し、成果物を作成するのに必要なスキルとコンピテンシーを理解することが重要です。チームの強みと弱みを特定し整理するために、SWOT分析という技法を使います。

figure-swot-analysis1.png

SWOTはチームのパフォーマンスを影響する要因を、その効果によって目的達成に有益な要因と有害の要因に分類し、更に組織の属性に応じて内部の要因と外部の要因に分類しました。それで内部有益な要因をチームの強み、内部有害な要因をチームの弱み、外部有益な要因を機会、外部有害の要因を脅威にまとめ、チームの特性と育成の方針を分析します。

チーム開発の段階

心理学者B.W.Tuckmanはチームが成長する過程を5つの段階に分けて説明しました、それをタックマン・モデルと呼びます。このモデルは、チームビルディングにおいて、各段階でのメンバーの行動やリーダーの対応を理解するのに役立ちます。

  • 成立期(Forming):メンバーが集まり、お互いを知り、チームの目的や目標を理解しようとする段階です。
  • 動乱期(Storming):メンバー間の意見の対立や役割葛藤が生じ、チームとしてのまとまりが不安定になる段階です。
  • 安定期(Norming):チームのルールや規範が形成され、メンバー間の相互理解が深まり、協力体制が築かれる段階です。
  • 遂行期(Performing):チームが成熟し、高いパフォーマンスを発揮する段階です。
  • 解散期(Adjourning):プロジェクトの終了やチームの解散に伴い、メンバーがそれぞれの道に進む段階です。

コンフリクトの解消

チームを育成する中、メンバーの意見の相違は避けられないことになります、この意見の相違をコンフリクトと呼びます。

コンフリクトは競争、目標や価値観の違い、役割や個人アプローチの相違、コミュニケーションの崩壊など様々な原因があります。コンフリクトを解消するため、チームメンバーはまず自分自身で解決する責任があって、プロジェクトマネージャーは満足のいく解決が図れるように助力する責任があります。

コンフリクトが発生したら、初期段階で対処することが重要です、直接的で協力的なアプローチによって非公式に解決を図ることが望ましいです。

PMBOKにはコンフリクトの五つの解決手法があります。

  • 撤退:実際或いは潜在的なコンフリクトから撤退し解決を図ります。この方法は問題を先送りするだけで、最も望ましくない方法になります。PMPの資格試験において「回避」と呼ぶこともあります。
  • 鎮静:意見の異なる部分ではなく、同意できる部分を強調し、相手のニーズに対して立場を認め、調和と関係を維持します。PMPの資格試験において「適応」と呼ぶこともあります。
  • 妥協:関係者全員がある程度は納得できる解決策を探し、一時的あるいは部分的に解決を図ります。穏やかな解決に見えますが、実際に双方に不利な状況に終わることもありますから、最も望ましい方法ではありません。PMPの資格試験において「和解」と呼ぶこともあります。
  • 強制:地位を利用し、他者を犠牲にして自らの見解を押し付ける解決策です。しばしば勝つか負けるかという状況に終わりますが、緊急性がある場合には一番好ましい方法です。PMPの資格試験において「指示」と呼ぶこともあります。
  • 対決:異なる観点からのいくつかの見解や洞察を考慮して解決を図ります。同意と約束に至る協力的な態度と対話が必要です。名前的に危険な感じですが、実際にお互いに利益がある状況をもたらす可能性がありますから、最も望ましい解決です。PMPの資格試験において「協力」「問題解決」と呼ぶこともあります。

チーム憲章

チーム憲章とは、チームの意義、合意、運用指針を記録した文書であり、プロジェクト・チーム・メンバーに受け入れられる振る舞いへの明確な期待を確立するものです。チームがコンフリクトを解決する方法も含まれます。

まとめ

本投稿ではPMBOKが掲載したチーム育成の基礎にしかすぎません。PMBOKではチームマネジメントにおいて、更にバーチャルチームの管理、意思決定スキル、人間関係構築スキル、トレーニングの手法、組織論と動機付け理論など、様々な知識があります。それらについてまた今後別の投稿で徐々に紹介いたします。

プロジェクトはチームで推進するものであり、チームは人間で形成するものです。人間の複雑さによりチームのマネージメントに一貫の手法がないと思います。どうすればより強いチームを育成できるかは、どのプロジェクトマネージャーにとっても、生涯の課題になるでしょう。

本シリーズ集

第1回:【PMP資格所持者が教える】見積手法の解説
第2回:【PMP資格保持者が教える】開発アプローチの比較と選定
第3回:【PMP資格保持者が教える】アジャイル開発フレームワーク・スクラム入門
第4回:【PMP資格保持者が教える】アーンド・バリュー・マネージメントの活用方法の解説
第5回:【PMP資格所持者が教える】PDMによるスケジュール管理の解説

画像の引用元

【図解】SWOT分析とは?事例を交えて分かりやすく解説します

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