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【PMP資格所持者が教える】見積手法の解説

Last updated at Posted at 2024-10-29

こんにちは!
AXLBIT株式会社@yangです。

プロジェクトを計画する際、「完成するまでどれほど時間かかりますか」と質問されることがよくあるでしょう。
今回はプロジェクトマネジメントにおいて、見積を作成する方法についてお話します。

見積とは、PMI(プロジェクトマネジメント協会)が予測型プロセス(ウォーターフォール開発)の十個の知識エリアの一角ーコストマネジメントの重要な一部であり、資格を取るためにも、実際にプロジェクトを管理する日常業務にも、必要不可欠なスキルと言えるでしょう。

見積を作成するとき、主流な方法は以下の四つがあります。今日はそれぞれどんな利点と欠点があるかについて紹介いたします。

1. 類推見積法

概要

類推見積法(Analogous Estimation、別名トップダウン見積)とは、過去の類似プロジェクトのデータを元に見積を行います。経験に基づくため、迅速な見積が可能です。

例:以前に似たようなプロジェクトを対応したことがあって、その時20人日かかりましたで、今回は大体同じで、ただ経験があったからもうちょっと早くなるはずで、おそらく16人日かかることになるでしょう。

類推見積.png

利点

  • 短時間で見積可能
  • 不注意により作業の見積から作業が除外されることを回避できる

欠点

  • 類似プロジェクトが存在しない場合、適用が困難になる
  • 経験に依存し、精度に限界がある
  • 下位レベルのマネージャーが見積を配分するのが困難になる場合がある

2. ボトムアップ見積法

概要

ボトムアップ見積法(Bottom-Up Estimation)とは、プロジェクトを細かい作業単位に分解し、それぞれの作業ごとに見積を行い合算する方法です。

例:プロジェクトを三つの作業A、B、Cに分割して、それぞれさらに2つの作業に分割して、見積的に作業A-1は6人日、A-2は4人日、B-1は6人日、B-2は9人日、C-1は12人日、C-1は8人日、全体の見積は以下で計算します。

6+4+6+9+12+8=45(人日)

利点

  • 精度が非常に高い

欠点

  • 時間と労力がかかる
  • WBSが適切に定義された後でのみ使用できる

3. パラメトリック見積法

概要

パラメトリック見積法(Parametric Estimation)とは、過去データに基づき、特定のパラメータ(例:1単位あたりの工数など)と変数(例:今回の作業単位数など)を使用して見積を行う方法です。

例:過去に10単位当たりの工数が1時間で、今回はその100単位作業する場合、見積は以下で計算します。

1\times\frac{100}{10}=10(人日)

パラメトリック.png

利点

  • 定量的なアプローチで、精度が類推見積法より高い
  • 時間と労力がかからない

欠点

  • 同様の作業が繰り返される場合のみに有効
  • 適切なパラメータが必要
  • データの質に依存する、使用された過去の情報の完全性に応じて、不正確な場合がある

4. 三点式見積法

概要

三点式見積法(Three-Point Estimation)とは、楽観値(すべて順調に進む場合の見積)、悲観値(すべての不順が発生し最もコストが高い場合の見積)、最頻値(通常に進む場合最も適切な見積)をそれぞれ算出し、その加重平均を計算する方法です。分布の形態により計算方法は異なり、三角分布とベータ分布があります

三角分布

\displaylines{
見積結果=\frac{(楽観値+最頻値+悲観値)}{3}
}

例:もしすべて順調に進むなら、10人日で終わる仕事ですが、最悪の場合でも20人日は完了しますよ、発生する可能性が高いリスクをいくつか考量して、一番可能性が高いのは18人日で完成しますが、全体の見積は以下で計算します。

\displaylines{
\frac{(10+18+20)}{3}=16(人日)
}

ベータ分布

\displaylines{
見積結果=\frac{(楽観値+最頻値\times4+悲観値)}{3}
}

例:先と同じ状況で、全体の見積は以下で計算します。

\displaylines{
\frac{(10+18\times4+20)}{3}=17(人日)
}

利点

  • 見積に不確実性を取り入れられる
  • リスクを考慮する見積になる
  • 複数のシナリオを検討できる

欠点

  • 計算に時間がかかる
  • パラメータの選定が難しい
  • 初期段階では不確実性が高く、使いにくい場合もある

まとめ

プロジェクト見積の手法はプロジェクトの特性やフェーズによって使い分ける必要があります。計画の初期段階では迅速な類推見積法が有効ですが、詳細な計画が必要な段階ではボトムアップ見積法や三点式見積法が有効です。また、パラメトリック見積法はデータが豊富にある場合に強力な手法となります。

この記事が、プロジェクトの見積作業を進める上で参考になれば幸いです。各手法を適切に使い分け、プロジェクトの成功に役立ててください。

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