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【長期思考を考える④】未来への貯え

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Last updated at Posted at 2025-12-13

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背景と目的

文化や開拓は、その時代の人々を生き生きとさせる。
長期思考で求められることは、その時代と未来の時代、どちらも生き生きとさせることを狙う。

1. 未来への影響

1.1. よき祖先(グッド・アンセスター)

文化思想家のローマン・クルツナリックは「グッド・アンセスター」で、
時をめぐる綱引きとして、短期思考と長期思考の6つの綱引きを示した。

時をめぐる綱引き

下記表は、グッド・アンセスター P24を一部加工

視点 短期主義に引きずり込む6つの力 長期思考の6つの方法
時間軸 数分〜5年 百年〜数世代~1万年
時計 時計の専制
中世以来の時間の加速
ディープタイムの慎み
宇宙時間における瞬きの存在である自覚を持つ
マインドセット デジタル・ディストラクション
テクノロジーに乗っ取られる注意散漫な意識
レガシー・マインドセット
後世によく語り継がれる
公共性 場当たり的政治
次の選挙ばかり気にかける近視眼
世代間の公正
7世代先まで考える
プロジェクト 投機的資本主義
景気の浮き沈みの大きい金融市場
大聖堂思考
人間の寿命を超えたプロジェクトを計画する
変化 ネットワーク化された不確実性
世界的リスクや汚染の上昇
全体論的な未来予測
文明のための複数の道筋を描く
目標 永遠の進歩
終わりのない経済成長の追求
超目標
かけがえのない地球の繁栄のために努力する

今、みずからに問いかけなければいけない。
"僕らははたして、よき祖先であろうか"と。
ジョナス・ソーク
グッド・アンセスター P9

現在の私たちは、"未来を植民地化しているのではないか"と警鐘をならしている。

1.2. 時間の意識レベル

ここでいう意識とは、自分で管理して行動する時間の長さを指す。
長期思考では、L18以上を指す。
"短期主義に引きずり込む6つの力"は、多くの人の意識レベルを下げる力となっている。
その力に抵抗し、押し上げるために"長期思考の6つの方法"を提案している。

[00] 10秒 赤ちゃん
[01] 15分 子供(4才ぐらい)
[02] 45分 小学生入学時
[03] 90分
[04] 6時間 小学生低学年
[05] 1日 小学生の目標最低レベル
[06] 3日 
[07] 1週 中学生の目標最低レベル
[08] 2週 高校生の最低レベル
[09] 1月 大学生の最低レベル
[10] 3月 社会人の最低レベル、企業の決算期間(四半期)
[11] 6月
[12] 1年 社会人全員に欲しいレベル、企業の決算期間(FY)
[13] 3年
[14] 5年 親が持って欲しいレベル、多く企業の中期計画
[15] 10年
[16] 30年 人生の達人、木を育てるスパン
[17] 50年 文化ができるスパン
[18] 100年 森を作るスパン
[19] 300年 多くの文明が終わるスパン
[20] 1000年 
[21] 1万年
[22] 10万年 遺伝子が進化するスパン
[23] 100万年 種が分かれるスパン
[24] 1000万年 地質学者のスパン
[25] 1億年
[26] 100億年
[27] 未来永劫

1.3. 論語と算盤

2025年現在の1万円札に描かれている渋沢栄一(1840-1931)は、
儒教の"論語"と資本主義"算盤"をバランスが大事だと説いた。

(渋沢栄一が内閣を辞職した経緯)
わたしの辞職の原因はこうだ。当時のわが国は政治でも教育でも、着々と改善していくべき必要があった。しかしなかでもわが日本は、商売がもっとも振るわなかった。これを振興していかないと、日本は豊かになっていくことができない。これは何としても、他の方面と同時に商売を進行させなければならないと、と考えたのだ。
現代語訳 論語と算盤 P22より

"長期思考の6つの方法"での"全体論的な未来予測"をもとに、変化を起こした事例だろう。
論語と算盤は1916年に発行された。栄一が実業家として活動し始めたのは1873年。
日本は経済的には1970年ごろには先進国の仲間入りをした。約100年の期間である。

2. 未来と「ロングナウ(長い今)」

今と未来の分かれ目は、何があるのだろうか。

農業の多くは、1年を周期とする営みである。
稲の実りを翌年のために残すことは、"今"のことであり"未来(あと)"のことである。
全ての実りを食べてしまうと今すぐは困らないが、後で困る。
周期の中に含まれる行為として、”残す”ことが習慣となる。

現代の人類は、世界への強い影響力を持ってしまっている。
"今"の周期の中に含める期間を、より長く持つことが求められる。
簡単に回復周期が長い資源を、枯渇させることができるためである。

「グッド・アンセスター」では、ロングナウ財団の事例が紹介される。
1万年を感じるための工夫だ。

日付を書くたびに、年の前にゼロを置くというものだ。例えば、私はこの文章を「02019年」に書いている、というように。たった一つ数字を増やしただけで、何万年も先の未来を想像し始めることができるのだ。
グッド・アンセスター P78

昔、データのけた数を設計するときに、2桁余裕をもたせることが常にあった。
(例えば、現時点で1000の数値が扱われるなら、100000と2桁を足すことで変化に耐えられるようにする)
現在は、UUID(128bit)のように百年では溢れないようなサイズを用いる。

1000年の単位を"今"の周期に含めることができれば、その範囲で困ることは避けることになるだろう。

9. リンク

URL

論語と算盤オンライン
超長期で見た日本の経済成長の源泉:1885〜2015年
wikipedia:先進国
wikipedia:UUID

書籍

ローマン・クルツナリック, 松本 紹圭 (訳)(2021).グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか.あすなろ書房.
渋沢 栄一, 守屋 淳(訳)(2010).現代語訳 論語と算盤.筑摩書房.

変更履歴

2025/12/13 新規作成
2025/12/20 2.追加

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