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【バイアスを考える④】差分の検出機構

Last updated at Posted at 2025-06-08

0. 背景と目的

バイアス(bias)とは、偏りと日本語では訳される。
"偏り"を認知できるようにする条件をあげてみる。

a) 何かの基準の切り口がある
b) 入力に対する方向性を持ったベクトルのはたらきがある
c) そのはたらきを検知できる
d) 検知したもの(違い)を認識できる

今回は、主にc)d)を考えてみる。
そのうえで、認識した違いの可能性を最大にするための態度を探索する。

1. 工学の差分検出機構

分かりやすい分野から整理してみる。
下記図は、工学の分野のモデルになる。
ある物体の大きさや形などを見て、特定の条件で正常範囲であるかを判定するブロックである。

qiita_differennce1.drawio (1).png

1.1. イチゴの選別機(選果機)

例としてイチゴの選別機で説明する。
a) 入力データは、"イチゴの物体"。
b) 出力データは、"イチゴの物体"と位置情報を示すもの。
c) 特性データは、"イチゴの特性情報"(例えば、大きさ[mm]、形の特徴、重さ[g]、色)
d) 基準データは、"領域1:正常"の特性情報"(上記と同様に大きさなど)。
e) 判定結果は、"正常 or 異常”
(イチゴの場合は、大きさなどによってグレードも分けられる)
f) 基準データ(反映後)は、データベースが固定されていない場合、都度データ反映を行う。

イチゴの選別機は、特定データを検出し、判定結果と物体の位置で、
出荷用サイズ(L,M,S)や、B級品や異常品(変な色の部分がある)などに分別する。

1.2. 差分検出のステップ

差分検出には、大きく2ステップあることがわかる。
step1) 特性検出
step2) 異常検出(差分検出とみなせる)

特性に含まれる情報の目盛り(単位系)は、JIS規格やISO規格で定められたものを採用される場合が多い。
例えば、メートル(m)、グラム(g)など。

上記の図では、入力データの位置は制御可能な前提としている。
動くものを検出する場合、識別できるように入力データにも特定する識別子が必要となるだろう。

2. 検出された差分への態度あるいは可能性

”1.”の図での異常検出における可能性を探る。

Q1. 正常と異常の違いは何か?

正常とは、異常であるものの特徴がないとも言える。
異常であるものの特徴をあげてみる。
1a) 扱いづらい
1b) 価値が見いだされていない(価値が低い状態)
1c) 変わった特徴がある
1d) 欠損や不足がある
1e) 過剰である

Q2. 正常に求められるものは何か?

2a) 扱うためのコストが低い
2b) 過剰や不足がない
2c) 一定の価値が認められている

Q3. 異常なものにどんな可能性があるか?

1b)の見いだされれていない価値がある。
1c)の変わった特徴が、必要になるケースがある。
1d)1e)の欠損や過剰があっても、困らないケースがある。
上記によって、1a)の扱いづらさが解消する。

3. 人の行動の差分検出機構

【バイアスを考える➁】個性の見つけ方での
入出力フィルタに関連した許容判定を前提として、検討をする。

再掲:個性とは?
qiita_個性.drawio (1).png

3.1. 社会の倫理と道徳レイヤーでの許容判定

"倫理(ethics)"とは、所属する組織が"方向性に近づくための条件"とする。
例えば、地域の美観を保つ。そのために外観を統一する。
"道徳(morals)"とは、所属する組織が"守るべき条件(守らないと困る)"とする。
例えば、人を傷つけてはならない。人のものを取ってはいけない。など。

qiita_differennce2.drawio.png

このレイヤの行動は、許容内/許容外の判定がしやすい。
許容内の範囲であることで、その組織内での検討の土台に立てる。
"地動説"を貫いたガリレオは、教会によって異端(=許容外)判定をされた。
おそらく当時の教会倫理での許容外だったのだろう。

組織の方向性を変えよう(変わろう)とするときには、
道徳は許容内であるべき、倫理の許容外であってもある程度は許容したほうがよい。

3.2. 個人の道徳と志向性(≒倫理)レイヤーでの許容判定

基本的には、3.1.と同じと考えてよい。
組織と個人の違いのみと思われる。
個人の道徳がインストールされていないときは、組織の道徳をある程度はインストールが必要で、
組織内での活動が保証できるレベルには許容判定をできる必要がある。

個人の志向性(≒倫理)は、はじめは両親や育ての親がいる環境で見つけていくだろう。
その範囲での許容判定は、多くの場合、3.1.の許容判定と同じには限らない。
例えば、門限を17時とするなど。(おそらく夕食を一緒に食べるなどをするため)
自分の親による倫理と友人の親による倫理の差は、多く存在する。

このレイヤ―の"許容外"は、3.1.が許容であれば、多くの場合、許容外から許容に覆られやすい。
ただし、結婚や同棲など所属する組織の変化があったとき、
許容だったものが、許容外になる場合がある。
(許容の領域が狭い方に、許容領域の広い方が、異端判定をされてしまう。)

表:二人の組織(共同体)での許容判定

--- Aさん:許容 Aさん:許容外
Bさん:許容 組織の許容 Bさん異端
Bさん:許容外 Aさん異端 許容外

行動面では上記表の制約を受けるが、思考などでは制約は受けない。
そういう意味で、行動の制約を受けたしわ寄せが、思考に出てくる可能性はある。

3.3. 感情と身体レイヤーでの許容判定

感情レイヤー

感情が変化に対して守りになっているとき、出来事への許容範囲は狭くなる。
感情が変化に対して攻めになっているとき、出来事への許容範囲は広くなる。

守りになっているときは、違いを見る状態にならない。
違いを見るためには見ることができる状態である必要がある。

身体レイヤー

五感の入力はこの層になる。
好きな声は許容されやすく、嫌いな声は許容されにくい。
色、匂い、手触り、温度、湿度など、好ましいものは許容されやすく。
好ましくないものは、許容されにくい。
好ましさの形成は、過去の蓄積が大きく影響される。

人間の基本的な要因もある。
人間は22度くらいの気温が過ごしやすく、湿度は40~60%が良い。
極限の環境では、適正に差分を判断することは難しい。

3.4. 許容したものの統合

4層レイヤーでの許容判定の行われる図を示す。
個人としての振る舞いには、社会の志向性レイヤーの許容判定は行わないときがある。

qiita_differennce4.drawio.png

イノベーター理論(キャズムの壁)との接続

qiita_differennce3.drawio (2).png

ある技術が生まれたときの反応を5段階の属性として示したイノベーター理論がある。
社会が判断を保留している(未知数)ときにイノベーターは推奨の行動をする。
社会が許容となったときに、アーリーアダプターは推奨の行動をする。
社会が推奨となったときに、アーリーマジョリティは推奨の行動をする。

社会が許容もしくは許容外の判断を下したとき、思想家が反対の位置に現れる。
思想家は、今までにないガードラインの可能性になる差分を見つけたことになる。
さらに社会が推奨もしくは拒否の判断を下したとき、社会運動家が反対の位置に現れる。
思想家が発見したカードラインを逸脱したことを見つけたことになる。

9. リンク

Qiita

【バイアスを考える①】アリストテレスの中庸、孔子の中庸、ブッダの中道の比較
【バイアスを考える➁】個性の見つけ方
【バイアスを考える③】動詞と動態
【一問一答】マヅコの知らない「異常検知」の世界

URL

wikipedia:バイアス
wikipedia:認知バイアス
イチゴ選果機
動画でわかるISO
wikipedia:国際標準化機構(ISO)
wikipedia:日本産業規格(JIS)(旧:日本工業規格)
wikipedia:わけあり商品(B級品)
プロダクトライフサイクルを活用!ステージに合わせたマーケティング戦略とは?
Emotional Map
思わずシェアしたくなる“感情トリガー”、設計できてる?
ロバート・プルチックの感情の輪
【プルチックの感情の輪】二次感情を構成する、一次感情の組み合わせが興味深い。

書籍

変更履歴

2025/06/08 新規作成
2025/06/15 3.3./3.4.追記

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