はじめに
2025年11月24日、AnthropicがClaude Opus 4.5のリリースと同時に発表したClaude Code for Desktopが想像以上に便利だったので共有します。
「え、ターミナルじゃなくてデスクトップアプリでClaude Codeが動くの?」
はい、動きます。しかも複数セッションの並列実行ができます。
何がすごいのか
従来のClaude Codeはターミナルベースでした。それが今回、Claudeデスクトップアプリ内で直接使えるようになりました。
主なメリット
- 並列作業: 複数のコーディングタスクを同時進行できる
- GUI操作: ターミナルに慣れていなくても直感的に使える
- VS Code連携: ワンクリックでエディタと接続
- リアルタイム進捗: タスクの進行状況が視覚的に確認できる
ターミナル版と比べたデメリット
一方で、ターミナル版 Claude Code と比較すると以下の欠点があります:
| 項目 | Desktop版 | ターミナル版 |
|---|---|---|
| コンテキスト残量表示 | ❌ 見えない | ❌ 見えない(同じ) |
| コンテキスト圧縮の影響 | ⚠️ 致命的 | ⚠️ 致命的(同じ) |
| BYOK(自前APIキー) | ❌ 不可 | ✅ 可能 |
| ローカル実行 | ❌ クラウドのみ | ✅ 可能 |
| カスタマイズ | ❌ 限定的 | ✅ 柔軟 |
特にコンテキスト圧縮が始まるとコーディング品質が即アウトになるのは、Desktop版でもターミナル版でも同じです。しかしDesktop版では残量が見えないため、「いつ圧縮が始まるか分からない」という怖さがあります。
⚠️ 重要: 長時間のコーディングセッションではターミナル版の方が安全かもしれません。Desktop版は「短いタスクを並列で投げる」使い方が向いています。
使い方(3ステップ)
Step 1: Claudeデスクトップアプリをダウンロード
公式サイトからダウンロードします。
Mac版、Windows版が用意されています。
Step 2: アプリを起動してログイン
インストール後、アプリを起動してClaudeアカウントでログインします。
💡 対象プラン: Pro、Max、Team(プレミアムシート)、Enterpriseで利用可能です。
Step 3: 左上の「</>」ボタンをクリック
これだけです。
アプリ左上にある </>ボタン をクリックすると、Claude Codeモードに切り替わります。
実際の画面
私の環境で動かしてみた画面がこちらです:
┌─────────────────────────────────────────────────────────┐
│ セッション │ Review legacy UI... │
│ ───────────── │ │
│ ● Review legacy UI and │ ● Phase 9.92 ランブック │
│ bugfix runbooks │ の改善を完了しました │
│ 3m ago │ │
│ │ ● Update Todos │
│ │ □ Phase 9.92 反映 │
│ │ □ Phase 9.93 反映中 │
│ │ │
│ │ ● Edit ... .md │
│ │ + *** パフォーマンス │
│ │ 基準値の記録... │
└─────────────────────────────────────────────────────────┘
左サイドバーにセッション一覧が表示され、各セッションで別々のタスクを実行できます。
並列作業の威力
これが本当に便利です。
例えば、こんな使い方ができます:
| セッション | タスク内容 |
|---|---|
| セッション1 | バグ修正 |
| セッション2 | GitHubリサーチ |
| セッション3 | ドキュメント更新 |
| セッション4 | テストコード作成 |
従来は1つのタスクが終わるまで待つ必要がありましたが、今は複数タスクを投げておいて、終わったものから確認できます。
VS Code連携
画面右下に「VS Code」ボタンがあり、クリックするとVS Codeと連携できます。Claudeが編集したファイルの差分をエディタで直接確認・修正できるのは地味に助かります。
Opus 4.5の実力
今回同時にリリースされたOpus 4.5は、Anthropicいわく「コーディング、エージェント、コンピュータ操作において世界最高のモデル」とのこと。
実際に使ってみると:
- 曖昧な指示でも意図を汲み取る精度が上がっている
- 複数システムにまたがる複雑なバグも自力で原因特定できる
- Sonnet 4.5では難しかったタスクが普通にこなせる
体感として「手取り足取り説明しなくても、いい感じにやってくれる」度合いが上がった印象です。
注意点
- Research Previewの段階です(正式リリースではない)
- クラウドベースのセッションは、他のClaude Code使用量とレート制限を共有します
- 現時点ではPro/Max/Team Premium/Enterpriseプランが必要
- コンテキストウィンドウの残量が表示されない(後述)
まとめ
Claude Code for Desktopは:
✅ ダウンロードして </> クリックするだけで使える
✅ 並列作業で開発効率が爆上がり
✅ Opus 4.5の賢さがフル活用できる
✅ VS Code連携でシームレスな開発体験
ターミナルでのClaude Codeに慣れている方も、ぜひデスクトップ版を試してみてください。並列実行の便利さは一度体験すると戻れなくなります。
【注意】コンテキストウィンドウの残量が見えない問題
Claude Code for Desktopを使う上で知っておくべき重要な注意点があります。
残量が表示されない
現時点では、コンテキストウィンドウの残量(残り何%)を確認する方法がありません。
Claude Opusのコンテキストウィンドウは約200Kトークンですが、長いセッションを続けていると、いつの間にか上限に近づいていることがあります。
「Compacting conversation...」に要注意
コンテキストの上限に近づくと、以下のようなメッセージが表示されます:
Compacting conversation...
このメッセージが表示されたら、コンテキストが圧縮されているサインです。
圧縮が始まると何が起きるか
⚠️ コーディング品質が劣化します
具体的には:
- 以前の会話内容を「忘れる」ことがある
- 複雑なタスクの途中で文脈を見失う
- 同じファイルを何度も読み直す
- 指示を正確に理解できなくなる
対策
現時点での回避策:
| 対策 | 説明 |
|---|---|
| セッションを短く保つ | 1つのタスクが終わったら新しいセッションを開始する |
| CLAUDE.mdを活用 | プロジェクトのコンテキストをファイルに記載しておく |
| 大きなファイルの再読込を避ける | 一度読んだファイルを何度も読み直さない |
| 複数セッションで並列化 | 長いセッション1つより、短いセッション複数で分担 |
今後に期待
この「残量が見えない」問題は、多くのユーザーが不便に感じているポイントです。今後のアップデートで改善されることを期待しています。
💡 Tips: 複雑なタスクを依頼する前に、新しいセッションを開始するのがおすすめです。
Desktop版 vs ターミナル版:使い分けガイド
結局どちらを使うべきか?タスクの性質によって使い分けるのがベストです。
Desktop版が向いているタスク
┌─────────────────────────────────────────────────┐
│ ・短いタスク(バグ1件修正、ドキュメント更新) │
│ ・調査系(「このエラーの原因は?」) │
│ ・並列で複数の小タスクを投げる │
│ ・進捗を視覚的に確認したい時 │
└─────────────────────────────────────────────────┘
ターミナル版が向いているタスク
┌─────────────────────────────────────────────────┐
│ ・大規模な実装タスク(新機能開発、リファクタ) │
│ ・複数ファイルにまたがる変更 │
│ ・「旧UIと1px単位で合わせる」ような精密作業 │
│ ・長時間のセッションが必要な作業 │
│ ・--resume で中断・再開したい時 │
└─────────────────────────────────────────────────┘
実践的な使い分け例
| シナリオ | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| React移行(10タブ分) | ターミナル | 大規模・長時間 |
| 型エラー1件修正 | Desktop | 短いタスク |
| ドキュメント更新 | Desktop | 軽いタスク |
| E2Eテスト作成 | ターミナル | 複数ファイル |
| コードレビュー | Desktop | 調査系 |
| 「このエラー何?」 | Desktop | 調査系 |
私の使い方
Desktop版: 「司令塔」として進捗確認・小タスク投げ
ターミナル版: 「本格実装」として1つのタスクに集中
この使い分けで、コンテキスト圧縮による品質劣化を避けつつ、並列実行の恩恵も受けられます。
【追記】セッション引き継ぎの仕組み
Claude Code for Desktopでは、セッションが長くなると自動的に「会話の要約」が行われます。これはターミナル版の「コンテキスト圧縮」と同様の仕組みです。
要約時に保持される情報
| 保持される | 失われる可能性がある |
|---|---|
| 作業中のファイルパス | 細かい会話のニュアンス |
| 完了したタスク一覧 | 途中の試行錯誤の詳細 |
| 現在の作業状態 | 以前のエラーメッセージ全文 |
| 主要な技術的決定事項 | コードの細かい変更履歴 |
対策:CLAUDE.md を活用する
プロジェクトルートに CLAUDE.md を配置しておくと、セッション開始時に自動で読み込まれます。
# プロジェクト: MyApp
## 技術スタック
- Next.js 15 + React 19
- Supabase PostgreSQL
- Tailwind CSS v4
## 現在の作業(Phase 2)
- [ ] ユーザー認証の実装
- [x] DB設計完了
## 重要な決定事項
- 認証はSupabase Authを使用
- APIはRoute Handlersで実装
これにより、新しいセッションでも文脈を失わずに作業を継続できます。
【追記】git worktree との組み合わせが最強
Desktop版の並列セッションと git worktree を組み合わせると、複数の機能を同時並行で開発できます。
セットアップ例
# メインリポジトリ
cd ~/projects/myapp
# worktree を作成
git worktree add ../myapp-feature-auth feature/auth
git worktree add ../myapp-feature-dashboard feature/dashboard
git worktree add ../myapp-bugfix-login bugfix/login
Desktop版での運用
| セッション | worktree | 作業内容 |
|---|---|---|
| セッション1 | myapp-feature-auth |
認証機能の実装 |
| セッション2 | myapp-feature-dashboard |
ダッシュボード改修 |
| セッション3 | myapp-bugfix-login |
ログインバグ修正 |
各セッションで異なるworktreeを指定することで、ブランチ切り替えなしに並列開発が可能になります。
【追記】失敗ケース:こんな時は新しいセッションを
Desktop版を使っていて、以下の症状が出たら新しいセッションを開始することをおすすめします。
危険信号
❌ 同じファイルを何度も読み直す
❌ 以前伝えた指示を忘れている
❌ 「先ほどの〇〇」と言っても通じない
❌ 作業が堂々巡りになる
実際にあった失敗例
「旧UIと1px単位で合わせて」という指示で作業していたが、セッション後半で急に「UIの改善案」を提案し始めた。コンテキストが圧縮され、「旧UIと完全一致」という制約を忘れていた。
予防策
- 1タスク1セッションを心がける
- 複雑な作業は開始前に
CLAUDE.mdに制約を書いておく - 「Compacting conversation...」が出たら、残りのタスクは新しいセッションで
【追記】レート制限に注意
Desktop版はクラウドベースのため、他のClaude Code使用量とレート制限を共有します。
Pro/Max プランの場合
- 並列セッションを立てすぎると、全体のレート制限に引っかかる可能性
- 特にOpus 4.5は消費トークンが大きいため注意
回避策
- 本当に並列が必要なタスクだけを同時実行
- 調査系(軽い)と実装系(重い)を分けて投げる
- 待機中のセッションは閉じておく
【追記】Opus 4.5 の料金体系
Opus 4.5の料金は以下の通りです:
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 入力トークン | $5 / 1M tokens |
| 出力トークン | $25 / 1M tokens |
Desktop版(Pro/Maxプラン)では定額制ですが、API経由で使う場合はこの料金が適用されます。
💡 Tips: Desktop版でOpus 4.5を使い倒すのが、現時点では最もコスパが良い使い方かもしれません。
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続報:https://qiita.com/Takao-Mochizuki/items/9d42da2fe1a4365d242b
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並列コーディングの実際を細かく解説しています〜
