はじめに
前回の記事では、Claude Code for Desktopを使った4並列開発術を紹介しました。
今回はさらに踏み込んで、9つのバグを並列worktreeで同時修正し、30分でmainにマージ完了した実例をお見せします。
特に注目してほしいのは：
- 実際のプロンプト（私がClaudeに投げた指示そのまま）
- Gitの使い方（worktree、stash、マージ戦略）
- 驚異的なスピード（従来なら1日仕事が30分）
今回のミッション：Phase 9.95 バグ修正
Phase 9.92-9.94でReact移行を行った結果、9つのタブでバグが発生しました。
| # | タブ | 問題 |
|---|---|---|
| 1 | ダッシュボード | スキップリンクが常に表示 |
| 2 | ブランド指針 | API Error: 500 |
| 3 | 既存客管理 | データ取得失敗、終了客UI消失 |
| 4 | 見込み客追加 | 追加失敗、会社名必須誤り |
| 5 | 失注管理 | データ取得失敗 |
| 6 | テンプレート集 | workspace data取得失敗 |
| 7 | レポート | SA権限エラー |
| 8 | 管理者 | メンバー・監査ログ取得失敗 |
| 9 | SA | 表示不具合、試用期間機能なし |
従来の開発なら、1つずつ修正して「1日仕事」。でも今回は違います。
実際のプロンプト公開
プロンプト1：技術負債の分析依頼
9.94の技術負債解消状況を分析して
たった1行。これだけで、Claudeは：
- ESLint警告の件数と内訳
- 4ワークストリームの進捗状況
- 残存課題と推奨アクション
を詳細にレポートしてくれました。
プロンプト2：作業開始
では9.94 進めて
これで型チェック、ESLint修正、ユニットテスト、ビルド確認まで自動実行。
プロンプト3：繰り越し理由の説明依頼
この残務を１０に残す合理的な説明を
Claudeの回答：
「外部境界の型定義は、Phase 10のアーキテクチャ変更（RSCフル導入）と同時に行う方が、二重作業を避けられ効率的」
納得感のある説明を即座に生成。
プロンプト4：ランブック作成
１２の後の１３のランブックとして残務をまとめて メインにもコピーして
Phase 13用のランブック（202行）を自動生成し、worktreeとmain両方にコミット。
プロンプト5：並列作業のドキュメント化
ありがとう 今並列で処理させていることを9.95ランブックとして
これが今回のハイライト。私は別ターミナルで複数のClaude Codeセッションを並列実行していました。その全容を1つのランブック（273行）にまとめる指示です。
プロンプト6：mainへのマージ
まずこれをメインにマージして
プロンプト7：完了後のマージ統合
9.95 完了したよう ランブックを修正し 全てのブランチをメインにマージ コンフリクトも適切に解決して
これ1行で：
- 32個のworktreeを走査
- マージが必要な2ブランチを特定
- 順番にマージ
- 型エラーを発見・修正
- ビルド確認
- 完了コミット
Gitの使い方が秀逸
worktree一覧の把握
$ git worktree list
/Users/5dmgmt/プラグイン/foundersdirect 4c08355 [main]
/Users/5dmgmt/.claude-worktrees/foundersdirect/bold-morse 3803df5 [bold-morse]
/Users/5dmgmt/.claude-worktrees/foundersdirect/condescending-cray 3fd6bcd [condescending-cray]
/Users/5dmgmt/.claude-worktrees/foundersdirect/strange-einstein 8156e70 [strange-einstein]
/Users/5dmgmt/.claude-worktrees/foundersdirect/serene-moore 4ce469d [serene-moore]
... (全32個)
Claudeは自動で形容詞-科学者名のブランチを生成します。strange-einsteinとかserene-mooreとか。
mainとの差分チェック
for branch in bold-morse condescending-cray ...; do
echo "=== $branch ==="
git log $branch -1 --format="%h %s"
ahead=$(git rev-list --count main..$branch)
echo " → main より $ahead コミット先行"
done
結果：
=== strange-einstein ===
8156e70 fix: 3つのUI/APIバグを修正
→ main より 1 コミット先行
=== serene-moore ===
4ce469d fix: レポート/管理者/SAタブの不具合修正と機能追加
→ main より 1 コミット先行
30個以上のworktreeから、マージが必要な2つを自動特定。
stashを使ったコンフリクト回避
mainに未コミットの変更があると：
error: Your local changes to the following files would be overwritten by merge
Claudeは自動で：
git stash push -m "WIP: 9.95 bugfix progress"
git merge strange-einstein -m "Merge message..."
git stash pop
stash → マージ → pop の流れを自動実行。
マージコミットの生成
git merge strange-einstein -m "$(cat <<'EOF'
Merge strange-einstein: UI/APIバグ修正
- ダッシュボード: スキップリンクCSS（フォーカス時のみ表示）
- ブランド指針・既存客管理: API 500エラー修正（JSONB/Base64両対応）
- 既存客管理: 契約満了先セクションUI復活
🤖 Generated with [Claude Code](https://claude.com/claude-code)
Co-Authored-By: Claude <noreply@anthropic.com>
EOF
)"
HEREDOCを使った複数行コミットメッセージ。絵文字とCo-Authored-Byも自動付与。
型エラーの自動修正
マージ後、型チェックでエラー発生：
app/api/audit-logs/route.ts(152,44): error TS2345
Type '{ email: any; name: any; }[]' is missing the following properties
Supabaseのjoin結果が配列で返ってくる問題。Claudeは即座に修正：
// Before
const userEmail = log.users?.email || '';
// After
const user = Array.isArray(log.users) ? log.users[0] : log.users;
const userEmail = user?.email || '';
型エラー2件を発見から修正まで2分。
最終結果
コミット履歴
24297f7 fix: Phase 9.95完了 - 型エラー修正 + ランブック更新
13a5381 Merge serene-moore: レポート/管理者/SAタブ修正
91c5d97 Merge strange-einstein: UI/APIバグ修正
4ce469d fix: レポート/管理者/SAタブの不具合修正と機能追加
4c08355 fix: 見込み客追加・失注管理・テンプレート集タブのバグ修正
8156e70 fix: 3つのUI/APIバグを修正
ビルド結果
Route (app) Size First Load JS
├ ○ /dashboard 33.8 kB 145 kB
├ ○ /clients 4.95 kB 107 kB
├ ƒ /api/audit-logs 153 B 102 kB
├ ƒ /api/workspaces/.../members 153 B 102 kB
Dashboard First Load JS: 145KB（目標達成）
追加されたファイル
app/api/admin/users/account-type/route.ts - アカウント種別変更API
app/api/audit-logs/route.ts - 監査ログAPI
app/api/workspaces/[workspaceId]/members/route.ts - メンバー一覧API
lib/hooks/useSADashboardViewModel.ts - SA管理画面ViewModel
migrations/011-add-account-type.sql - account_type列追加
スピード比較
| 作業 | 従来 | Claude Code |
|---|---|---|
| 9タブのバグ分析 | 2時間 | 3分 |
| 並列修正（9ブランチ） | 不可能 | 同時実行 |
| マージ・コンフリクト解決 | 1時間 | 5分 |
| 型エラー修正 | 30分 | 2分 |
| ドキュメント作成 | 2時間 | 3分 |
| 合計 | 1日（8時間） | 30分 |
16倍の高速化。
なぜこんなに速いのか
1. コンテキストの維持
Claude Codeはセッション中、すべてのファイル変更を記憶しています。「さっき直したあのファイル」と言えば通じる。
2. 並列worktreeの自動管理
git worktreeという機能を知っている開発者は多いですが、実際に30個以上を同時運用している人は少ないでしょう。Claudeは：
- worktreeの作成
- ブランチ名の自動生成
- 変更状況の追跡
- マージ対象の特定
すべてを自動化します。
3. 「ゴールから逆算」する思考
「9.95完了したよう」と言うだけで、Claudeは：
- 全worktreeの状態確認
- mainとの差分チェック
- マージ順序の決定
- コンフリクト回避戦略
- ビルド確認
- ドキュメント更新
を自律的に実行。私が指示したのは「完了したよう」の5文字だけ。
まとめ
Claude Code for Desktopは、もはや「コード補完ツール」ではありません。
「プロジェクトマネージャー + シニアエンジニア + テクニカルライター」が1人で憑依したような存在です。
次回予告：Phase 10（TODO機能 × 4象限 × Elastic Habits）の開発も、きっと神速で終わるでしょう。
追伸 修正のためのプロンプトシェアします
現在 他の並列作業も完了 そもそも 修正が完了しているかの確認も含めて プッシュ マージなどを行って コンフリクトも解消して で ちゃんと 確認するまで完了せずに それぞれのセッションに修正指示を出して解決するまで続けて
使用環境
- Claude Code for Desktop
- Claude Opus 4（claude-opus-4-5-20251101）
- Next.js 15.5.6
- TypeScript 5.x
- Git worktree
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