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MacのJIS配列が真価を発揮する! Karabiner-Elementsを使った最強で無敵の設定《 キーマップ概説 》

Last updated at Posted at 2023-12-07


TL;DR

Karabiner-Elements の公式サイトにある、
 Advanced Keymap for JIS Keyboard:
 Project “UTILITY”

という設定を使いましょう!

→「インストール方法」 までジャンプ

突然ですが質問です。


まず Mac で JIS 配列ユーザーの皆様。
あなたはなぜ、JIS 配列を使っているのでしょうか。

次に Mac で US 配列ユーザーの皆様。
ヤツらはなぜ、JIS 配列を使っているのでしょうか。

その答えはそう、「Space の両隣に『英数・かな』キーが存在するから」です。

え?「US 配列も Karabiner-Elements を使えば左右⌘キーの単押しに『英数・かな』の機能を割り当てられる」って?

はい、私が申しておりますのは、「実はその程度の話ではない」ということなのです。

どういうことか。

まず、前提として JIS 配列には、Space の両隣に「英数・かな」キーが「物理的に」存在します。

そして US 配列で活用されているように、Karabiner-Elements を使うと、1つのキーの「単押しと長押しの両方に」機能を割り当てられます。

これらを組み合わせることにより、JIS 配列では、「英数・かな」キーの長押しに、修飾キーの機能を割り当てられるのです。

え?「だから何」って?

ご心配なく。それを皆様にご説明するのが、まさにこの記事の目的でございます。

「英数・かな」 キーが物理的に存在することの何が嬉しいのか

前述の通り、JIS 配列では、「英数・かな」キーが物理的に存在するため、それらの長押しに修飾キーの機能を割り当てることができます。

では、どの修飾キーの機能を割り当てるのが、最もその恩恵を得られるでしょうか?

試しに、修飾キーの中で最も有用な⌘の機能を割り当ててみましょう。確かにそれも、⌘がめちゃくちゃ近くなるので恩恵は大きそうですね。

もしくは、デフォルトでも⌘キーは押しやすいから、Control(⌃)や Option(⌥)を割り当ててみましょうか。確かにそれも、ショートカットキーがめちゃくちゃ押しやすくなるので恩恵は大きそうですね。

ですが私は、「英数・かな」キーから最大の恩恵を得たいのであれば、「あなたが考えた独自の修飾キー」を新たに創り出し、それを「英数・かな」キーの長押しに割り当てることをオススメします。

理由は、独自の修飾キー(厳密にはレイヤーキーと呼ぶ)を割り当てることで、その修飾キーを用いたショートカットキーにも、独自のものを設定できるからです。

これにより、デフォルトのショートカットキーを一切、上書きすることなく、数多のショートカットキーを好きなように割り当てることができるのです。

では US 配列の場合はどうでしょうか。当然ながら US 配列には、「英数・かな」キーが物理的に存在しません

US 配列において Space の両隣にあるのは⌘キーです。なので、JIS 配列のように、新たに Space の両隣に長押しの機能を割り当てようとすると、左右の⌘キーの⌘の機能を上書きしなければなりません

Mac をお使いの方ならもうお分かりでしょう。⌘キー、めっちゃ使います。それを上書きするだなんてトンでもない。

つまり、大事なのは「英数・かな」の機能ではなく、「Space の両隣に、長押しの機能が空いているキーが物理的に存在すること』」なのです。


以上、なんとなく、「英数・かな」キーが物理的に存在することの重要さが、ご理解いただけましたでしょうか。

いや「ちょっと何言ってんのかわかんない」って?

ご安心ください。そんな方に向けて、ここからは実際に、Karabiner-Elements の公式サイトからインストールできる最強で無敵の設定を1つ、ご紹介しましょう。

Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”

Karabiner-Elements で、複雑な設定(Complex Modifications)を行うには2種類の方法があります。

1つは「自分で JSON ファイルを書く」方法、もう1つは「公式サイトから設定をダウンロード(正確にはインポートと呼ぶ)して有効化する」という方法です。

そこで今回は、より楽に設定できる後者の方法で、Karabiner-Elements の公式サイトからインストール可能な、「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」という設定を解説していきます。

まず、それがどんな設定かご説明します。そしてこの記事の最後に、そのインストール方法を説明します。

Karabiner-Elements のユーザーは、「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」という設定をインストールすることで、以下の「親指キーの単押し/長押しの設定」と、「『英数・かな』キーを押している間のキーマップ」を使えるようになります。

UTILITY_JIS_crop.png

なんだか見てるだけでワクワクしてきませんか?

いや「便利かもしれないけど、わざわざ覚える学習コストが高すぎる」って?

でも大丈夫。そんなときは「学習コストは低いけど効果が高い設定」から覚えて使っていけばいいのです。要は単にコスパと優先順位の問題です。

じゃあそれぞれ、どの機能が便利でどの機能から使って覚えていけばいいのか。ここからはそれを、機能でグループ分けしつつ、解説していきます。

「そーゆーのいらないからインストール方法だけ教えて」という方は、末尾の「インストール方法」の項までジャンプ!

では参りましょう。

単押し/長押し

前述の通り、Karabiner-Elements では単押しと長押しの両方に機能を割り当てられます

  • 左⌘単押し ▶︎ Enter(長押しは⌘のまま)
  • 右⌘単押し ▶︎ Delete(長押しは⌘のまま)

  • Space 長押し ▶︎ Shift(単押しは Space のまま)
  • セミコロン;長押し ▶︎ Control(単押しは ; のまま)

  • 「英数」長押し ▶︎ Fn1(単押しは「英数」のまま)
  • 「かな」長押し ▶︎ Fn2(単押しは「かな」のまま)

0-単押し長押し.png

個人的に、このグループでは「左⌘単押し ▶︎ Enter」が最も便利だと思うので、それだけ有効化するもアリです。

また、完全ホームポジションにありながら滅多に使うことがない「セミコロン」の長押しに、Control の機能を割り当てるのも大変有用です。

カーソル移動

最も覚える価値があるのが、このホームポジションでのカーソル移動です。

  • 英数+HJKL ▶︎ カーソル移動の ←↓↑→

1-カーソル移動.png

正直、「コレができるようになるだけで充分」なくらい作業効率は爆上がりします。

引用符

引用符が、横並びで「合理的」かつ「頭文字を取って覚えやすく」配置されています。

  • 英数+Q ▶︎ クォーテーション(Quotation)の Q で '
  • 英数+W ▶︎ ダブル(W)クォーテーションの W で "

2-引用符.png

あまりにも覚えやすいせいで、つい記憶しちゃう配置ですね。

特殊キー

カーソル移動の次に覚える価値があるのは、この特殊キーたちでしょう。「頭文字」や「意味のある左右配置」によって、比較的覚えやすくなっています。

  • 英数+D ▶︎ Delete の頭文字 D で
  • 英数+F ▶︎ Forward Delete の頭文字 F で
    (しかも ⌫ の右隣)

  • 英数+T ▶︎ Tab の頭文字 T で Tab
  • 英数+R ▶︎ その左隣だから ⇧Tab

  • 英数+E ▶︎ Escape の頭文字 E で
  • 英数+N ▶︎ Enter の語頭と発音が同じ N( /en/ )で

3-特殊キー crop.png

特に、Delete(⌫)と Forward Delete(⌦)を、完全ホームポジションで押せるようになるのが凄まじいですよね。

比較的知名度は低いですが、Tab というキーの有用性については、別記事に書きましたので、そちらもぜひ、ご参考ください。

Enter キー類

英数+N で Enter、を覚えるついでに、その付近の「修飾キー+Enter」も、覚えられると吉です(優先度は低め)。

  • 英数+N ▶︎ Enter の語頭と発音が同じ N( /en/ )で Enter
  • 英数+M ▶︎ その右隣だから ⇧Enter
  • 英数+ , ￰ ▶︎ さらに右隣だから ⌘Enter

4-Enterキー類.png

⇧Enter も ⌘Enter も、色々なアプリで何かとよく使いますよね。

算術記号類

算術記号は、長音としてもよく使う「ハイフン」キーを基点として、右小指ホームポジション周辺にまとまっています。

  • 英数+P ▶︎ 元の位置の真下だから マイナス(-)
  • 英数+@ ▶︎ その右隣だから プラス(+)

  • 英数+ ; ￰ ▶︎ ー の真下だから 正確には ^
  • 英数+ : ￰ ▶︎ コロン( : )と形が似ているから

  • 英数+ / ￰ ▶︎ 元の位置だから /
  • 英数+ . ￰ ▶︎ その左隣だから *
  • 英数+ _ ￰ ▶︎ / の右隣だから \

5-算術記号類.png

チルダもしくは波線(~)を入力する場合は、⇧英数+ ; を打鍵します。アンダースコア( _ )やバーティカルバー(|)も同様です。

数字

デフォルトの数字行はあまりにも遠すぎます。数字がタッチタイピングしづらいのは遠すぎるからです。ホームポジションで打てるなら、数字もタッチタイピングが可能であることに気づきます。

  • かな+A; ▶︎ ホームポジションに数字の 1234567890

6-数字.png

前述の「算術記号類」と合わせて使うと、より効果を発揮します。

記号

記号もまた然り。デフォルトだと Shift も必要で、数字よりさらにタッチタイピングしづらいです。でもホームポジション付近で打てるなら、記号もタッチタイピングが可能であることに気づきます。

  • かな+QO ▶︎ 数字行の上に ⇧数字 の記号 ￰ ! " # $ % & ' ( )

7-記号.png

特に丸括弧の近さは感動モノ。

よく使う記号

「かな」キーとの組み合わせで、⇧数字 の記号の '( ) を配置したのと同じキーに、「英数」キーとの組み合わせで、"[ ] が打てるようになっています。

  • かな+U' だから 英数+U"
  • かな+I O( ) だから 英数+I O[ ]

8-よく使う記号.png

これぞ合理的な配置と言えますね。

感嘆・疑問符

デフォルトでは入力しづらい ! が、まだ比較的押しやすい位置に配置されています。押しやすさが重視されているため「頭文字」などの覚え方がなく、それゆえ優先度は低め。

  • かな+M ▶︎ !
  • かな+ . ￰ ▶︎ その右隣だから ?

8-感嘆・疑問符.png

余談ですが、かな+ZXCVBN には何も割り当てられていないため、好きな機能を割り当てる余地も残されています。

よく使う機能

以下はどれも、とにかくよく使うので押しやすい位置に配置されています。押しやすさが重視されているため「頭文字」などの覚え方がない場合があり、それゆえ優先度は低めですが効果は絶大

  • 英数+A S ▶︎ それぞれ ←→ のタブに移動
    ⌃⇧Tab ￰ ⌃Tab
  • 英数+C V ▶︎ それぞれアプリ切り替えで ←→ のアプリに移動
    ⌘⇧Tab ￰ ⌘Tab

  • 英数+Z ▶︎「履歴を戻る」( ⌘[
    (指使いが「元に戻す」の ⌘Z と同じになる)
  • 英数+X ▶︎ その隣だから「履歴を進む」( ⌘]

9-よく使う機能.png

特に ⌃⇧Tab(⌃⇤)と ⌃Tab(⌃⇥)の押しやすさは異常です。

注意点として、⌘Tab でドラッグする機能を使う場合は、さらに⌘キーを足して、⌘英数+V というショートカットキーを使う必要があります。

また、このグループの存在が、Project “UTILITY” の名前の由来でもあります。

ここまで覚えられたらすごい。


以上が、Karabiner-Elements の公式サイトからインストールできる最強で無敵の設定のご紹介でした。全部を一気に覚える必要はないので、便利なやつから少しずつ、有効化して使っていきましょう。

最後に、この設定のインストール方法をお伝えします。

インストール方法

手順は以下の2ステップです。

  1. Karabiner-Elements をインストールする
  2. Karabiner-Elements アプリの Complex Modifications から「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」をインポートし、必要な設定を有効化する

それぞれについて解説していきます。

1. Karabiner-Elements をインストールする

Karabiner-Elements をインストールする方法は、「【 導入編 】Karabiner-Elementsとは? インストールから基本的な使い方まで」という記事で解説いたしましたので、詳しくはそちらをご覧ください。ここでは手順のみ示します。

  1. Karabiner-Elements 公式サイトにアクセスしてインストーラーをダウンロード
  2. ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行
  3. あとはただ指示に従って操作していけばインストールと初期設定が完了

2. Karabiner-Elements アプリの Complex Modifications から 「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」 をインポートし、 必要な設定を有効化する

Karabiner-Elements のアプリから、「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」という設定をインポートして有効化します。

  1. まず Karabiner-Elements のアプリを開きます。そして「Complex Modifications」と書かれたところをクリックします。

    CleanShot 2023-12-01 at 08.19.50.png
  2. 「Add rule」と書かれたボタンをクリックします。

    CleanShot 2023-12-01 at 08.21.55のコピー.png
  3. 「Import more rules from the Internet (Open a web browser)」というボタンをクリックします。
    ￰￰￰
    CleanShot 2023-12-01 at 09.08.22のコピー.png
  4. ブラウザで Karabiner-Elements の公式サイトが開いた際、検索バーに「Advanced UTILITY」と入力し、Enter します。
    ￰￰
    CleanShot 2023-12-04 at 23.55.00.png
  5. 検索結果に出てきた「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」という設定がある行の「Import」というボタンをクリックします。
    ￰￰
    CleanShot 2023-12-04 at 23.50.39.png
  6. ポップアップの「許可」をクリックしたのち、Karabiner-Elements のアプリが開くので、「Import」をクリックします。※このボタンをクリックしても、設定がインポートされるだけで、すぐさま有効化されるわけではないのでご安心ください
    ￰￰
    CleanShot 2023-12-07 at 03.45.49.png
  7. するとまたポップアップが開くので、全ての設定を一括で有効化する場合は、設定を下までスクロールして「Enable All」をクリックします。特定の設定のみ有効化したい場合は、有効化したい設定の行の「Enable」を個別にクリックします。
    ￰￰
    CleanShot 2023-12-04 at 23.57.51.png


以上で、「Enable」した「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」の設定が使えるようになりました。

おわりに

Karabiner-Elements アドベントカレンダー 2023 の6日目の記事はここまでとなります。

最後に豆知識です。

今回ご紹介したように、新たな修飾キーを創り出して、そのショートカットキーを設定すると、「デフォルトで使えるキーマップの上に、層を重ねるようにしてキーマップを(言うなれば3次元的に)作成」できるので、その重ねたキーマップのことを「レイヤー」 、そのレイヤーを使うための修飾キーを「レイヤーキー」と呼びます。

そう。US 配列ユーザーが見限った「英数・かな」キーというのは、ただの「入力言語の切り替えキー」なのではなく、レイヤーという、「3次元の世界への扉を開くカギ」だったのです。

明日は、今回ご説明したこの設定を、さらに「使いこなす」ために、より詳しく解説します。お楽しみに!

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この記事に書かれた内容の実行および設定の使用は、すべてご自身の判断で行ってください。
万が一、不具合や損害が生じた場合であっても、執筆者は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。

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