この記事は、Karabiner-Elements アドベントカレンダー 2023 の5日目の記事です。
昨日は「Macは本当にUS配列じゃなきゃダメ? 実はJIS配列が反則級に便利なワケ」という記事でした。
はじめに
Mac の JIS 配列には、様々な弱点があります。
中でも、ごちゃつき感あふれるキー刻印と、合理性に欠けたキー配置は、多くの(特に US 配列の)ユーザーから疎まれています。
そこで、そういった JIS 配列の弱点を、できるだけ簡単に克服していこう、というのがこの記事の試みです。
さっそく参りましょう。
Q1. キー刻印が鬱陶しい
JIS 配列と US 配列を見比べたとき、最初に感じるのは、「印字の量が違う!」ですよね。
US 配列ではアルファベットの文字しか刻印されていない一方で、JIS 配列では「かな」の刻印がプラスされているため、「ごちゃついている」という印象を抱きがちです。
A1. 無刻印化しましょう
印字が鬱陶しいなら無刻印すればいいじゃない。
ということで、FAR EAST GADGET さんの「ブラックアウトステッカー」を使って無刻印化しましょう。
私の愛用の MacBook Air。無刻印がミッドナイトに映えます。他人に Mac を見せたとき、US 配列には、気づく人しか気づきませんが、無刻印に気づかない人はいません。よりドヤれてハッピー。
ブラックアウトステッカーで無刻印化した Mac 内蔵キーボード JIS 配列は、US 配列のデフォルトの状態の美しさを遙かに凌ぎます(個人の感想です)。
無刻印化している人からすれば、US 配列の刻印のスッキリさなど、JIS 配列のごちゃごちゃ感とドングリの背比べがいいとこです。「刻印が鬱陶しい」と言うくらいなら、US 配列ユーザーの方もぜひ、無刻印化してみてください。
というか、このブラックアウトステッカー、「シールを貼るだけで ”美しく” 刻印を消せる」というメリットが、「シールを貼らなきゃいけない」というデメリットを軽く超えてくるヤバいシールなので、単純に、ラップトップの Mac になら配列を問わず激推しです。
ちなみに、「無刻印だと、キーがどれがどれなのか分からん」という人もご安心を。このシール、「無刻印でありながら、キーを識別できる」バージョンもあります(というかそっちが主流)。素晴らしい至れり尽くせり…
Q2. コマンド (⌘) キーが遠い
US 配列と比べて JIS 配列は、コマンド(⌘)キー が0.5キー分くらい遠いです。
頻用する機能ですから、近いに越したことはありません。
A2. Karabiner-Elements の 「英かな/⌘ for Japanese」 を使いましょう
Karabiner-Elements の公式サイトから「英かな/⌘ for Japanese」という設定をインポートし、有効化することで、「英数・かな」キーの長押しに⌘の機能を割り当てることができます。めちゃ近っ! US 配列より近くなりましたね。
この設定の素晴らしい点は、もともとデフォルトでは何の機能も割り当てられていなかった「英数・かな」キーの長押しのみに機能を割り当てているので、「依然として『英数・かな』キーの単押しでは『英数・かな』の機能は使えるまま」という点です。つまり、これまでできていたことが、できなくなったりはしません。
この設定「英かな/⌘ for Japanese」のインストール方法は、別記事に書きましたので、そちらもぜひ、ご参考ください。
Q3. Enter や Delete が遠い
US 配列と比べて JIS 配列は、Enter や Delete が、どちらも1キー分くらい遠いです。
頻用する機能ですから、近いに越したことはありません。
A3. Karabiner-Elements の 「Effective Utilization of Bottom Row」 を使いましょう
Karabiner-Elements の公式サイトから「Effective Utilization of Bottom Row」という設定をインポートし、有効化することで、左⌘単押しに Enter、右⌘単押しに Delete を割り当てることができます。
この設定の素晴らしい点は、もともとデフォルトでは何の機能も割り当てられていなかった「⌘の単押し」のみに機能を割り当てているので、「依然として⌘キーの長押しで⌘の機能は使えるまま」という点です。つまり、これまでできていたことが、できなくなったりはしません(同じ設定に同梱されている Space バーの設定に関しては話が別)。
この設定「Effective Utilization of Bottom Row」のインストール方法は、別記事に書きましたので、そちらもぜひ、ご参考ください。
Q4. 記号の配置が非合理的
US 配列と比べて JIS 配列は、比較的、記号の配置が非合理的だと言われます。
カギ括弧は縦並びだし、クォーテーション( ' )とダブルクォーテーション( " )はバラバラだし…
A4. Karabiner-Elements の 「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」 を使いましょう
Karabiner-Elements の公式サイトから「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」という設定をインポートし、有効化することで、あらゆる記号を合理的な配置で、さらにカーソルキーや数字さえもホームポジション付近で打てるようになります。
この設定は、Karabiner-Elements を使用することで、「HHKB Professional や REALFORCE R3 における Fn キー」に該当するような機能を、Mac の内蔵キーボードでも使えるようになることを利用しています。
この設定の素晴らしい点は、Fn1 と Fn2 という、2種類の Fn キーを使える上に、その機能を割り当てている「英数・かな」キーは、「依然として、単押しで『英数・かな』の機能は使えるまま」だということです(Karabiner-Elements では1つのキーに、長押しと単押しの両方の機能が割り当てられる)。
この設定「Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY”」のインストール方法は、別記事に書きましたので、そちらもぜひ、ご参考ください。
Q5. 数字が [ 1 ] キーだけサイズ違うのアリエナイ
JIS 配列は、数字の中で[ 1 ]キーだけが幅広サイズ(他の数字の1.25倍の長さ)です。
なんて言うかもう「美しくない」ですよね。
A5. 無刻印化した上でさらに Karabiner-Elements でリマップしましょう
キーボードにおいて、[ 1 ]キーを[ 1 ]キーたらしめているのは、一体どのような要因でしょうか。
それは、「押すと[ 1 ]が入力できる」というソフトウェア的な要因と、「刻印が[ 1 ]である」というハードウェア的な要因の2つです。
であれば、その[ 1 ]キーから、この2つの要因を、剥奪してしまえばいいのです!
やり方は簡単。まず、「A1. 無刻印化しましょう」のときと同様に、ブラックアウトステッカーで[ 1 ]キーを無刻印化しましょう。
そして、Karabiner-Elements の「Simple Modifications」を使って、例えば数字行のキーを1つずつズラしてみましょう。
数字キーの大きさが全て同じサイズになりました。
刻印が消え、機能すら奪われた時、もはやそのキーは[ 1 ]ではなくなります。これで解決(と個人的には思う)ですね!
ちなみに Mac 立ち上げ後の初回ログイン時には、Karabiner-Elements が起動していないので、元の配置に戻ってしまっています。
それでは困るので、この欠点を解消する方法も、現在模索中です。
以上で、JIS 配列にあるいくつかの弱点を克服できました。いかがでしたでしょうか。
正直、US 配列は超えられてない気がしますが、みなさまの Mac の JIS 配列 が少しでも使いやすくなりましたら幸いです。
おわりに
Karabiner-Elements アドベントカレンダー 2023 の5日目の記事はここまでとなります。
明日はお待ちかね、この記事にも出てきた、Advanced Keymap for JIS Keyboard: Project “UTILITY” の設定を、より詳しく解説していきます。お楽しみに!
この記事に書かれた内容の実行および設定の使用は、すべてご自身の判断で行ってください。
万が一、不具合や損害が生じた場合であっても、執筆者は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。