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問題
以下の手順に従って,式(1)の一般解を求めよ.
\begin{align}\tag{1}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x),
\end{align}
【手順】
STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式の一般解を求めよ.ただし,任意定数を $C$ とする.
STEP2. Step1 で得られた一般解のうち,任意定数 $C$ を $x$ の関数 $C(x)$ として置き換え,両辺を $x$ で微分せよ.
STEP3. 式(1)に,STEP2 で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得よ.
STEP4. $C(x)$ を求め,STEP2 で定義した式に代入することで,式(2)が得られることを確認せよ.
【参考】 一階線形微分方程式の解の公式
\begin{align}\tag{2}
y=e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}\left[ \int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x +C_1\right]~~~(C_1:任意定数).
\end{align}
ポイント
- $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)$ の形式の微分方程式は,一階線形微分方程式と呼ばれます.
- 本問は,定数変化法 と呼ばれます.定数変化法の具体的な計算は,直近3日の問題をご参照ください.
- 一階線形微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.
解説
誘導通り変形していきます.
STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式の一般解を求めよ.ただし,任意定数を $C$ とする.
解くべき微分方程式は次の通りです.
\begin{align}\tag{3}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=0,
\end{align}
変数分離形ですので,サクッと求めてしまいましょう.
一応計算過程は丁寧に書いておきますが,20日目まで全問解いてきたような方は,暗算で $y=Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ としていただいて構いません.
\begin{align}\tag{4}
y^\prime &= -P(x)y,\\
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -P(x)y,\\
\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -P(x),\\
\int\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= -\int P(x)\mathrm{d}x,\\
\int\frac{1}{y}\mathrm{d}y &= -\int P(x)\mathrm{d}x,\\
\log|~y~| &= -\int P(x)\mathrm{d}x + C^{\prime}~~~(C^{\prime}:任意定数),\\
|~y~| &= e^{-\int P(x)\mathrm{d}x + C^{\prime}},\\
|~y~| &= e^{C^{\prime}}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x},\\
y &= \pm e^{C^{\prime}}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x},\\
\therefore y &= Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}~~~(C\neq 0).
\end{align}
式(3)に代入して確認できるように,$y=0$ も解なので,式(3)の結果において $C=0$ とみることで,同次線形方程式の解は,
\begin{align}\tag{5}
\therefore y &= Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}~~~(C:任意定数).
\end{align}
STEP2. Step1 で得られた一般解のうち,任意定数 $C$ を $x$ の関数 $C(x)$ として置き換え,両辺を $x$ で微分せよ.
式(5)において,任意定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換えたものは,
\begin{align}\tag{6}
\therefore y &= C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x},
\end{align}
と書くことができます.両辺を $x$ で微分すると,
\begin{align}\tag{7}
\therefore \frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}-P(x)C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x},
\end{align}
を得ます.ここで,右辺では積の微分公式 $\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ を用いました.
STEP3. 式(1)に,STEP2 で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得よ.
式(6)と式(7)を,式(1)に代入すると,次のようになります.
\begin{align}\tag{7}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}-P(x)C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x} +P(x)C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x} &= Q(x),\\
\therefore \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x} &= Q(x).\\
\end{align}
このように,定数変化法では,代入操作時に $\pm P(x)C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ でキャンセルが発生します.逆に言うと,キャンセルが発生せずに式が複雑になった場合,何か操作を間違えている可能性が高いです.
STEP4. $C(x)$ を求め,STEP2 で定義した式に代入することで,式(2)が得られることを確認せよ.
最終的に得られた微分方程式は,親の顔より見た変数分離形です.これもまたサクッと解いていきましょう.
\begin{align}\tag{8}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{-\int P(x)\mathrm{d}x} &= Q(x)\\
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x} &= Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x},\\
\int \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= \int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x,\\
\int \mathrm{d}C(x) &= \int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x,\\
\therefore C(x) &= \int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x+C_1~~~(C_1:任意定数).
\end{align}
よって,これを式(6)に代入することで式(2)を得ます.
\begin{align}\tag{9}
y&=\left(\int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x+C_1\right)\times e^{-\int P(x)\mathrm{d}x},\\
\therefore y&=e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}\left[\int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x+C_1\right]~~~(C_1:任意定数).\\
\end{align}
やりましたね!式(9)は紛れもなく 一般線形微分方程式の解の公式 ですね!