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問題
定数変化法を使を用いて,以下の微分方程式の一般解を求めよ.
\begin{align}\tag{1}
y^\prime -3y = x^2.
\end{align}
⚠ 本日の微分方程式(15日目)と同じ微分方程式です.解法だけ異なります.
ポイント
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一階線形微分方程式 $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)$ の 定数変化法 での解き方は次のとおりです.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
- 具体的には,任意定数を $C$ として,$y(x) = Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ となる.
- STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
- STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
- STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
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一階線形微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.
解説
ポイントに記載の手順通り進めていきます.
STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(変数分離形)の一般解を求める.
本問において,右辺 $=0$ とおいた微分方程式を解けば良いわけです.つまり,解くべき微分方程式は次の通りです.
\begin{align}\tag{2}
y^\prime -3y = 0.
\end{align}
変数分離形ですので,サクッと求めてしまいましょう.一応計算過程は丁寧に書いておきますが,18日目まで全問解いてきたような方は,暗算で $y=Ce^{3x}$ としていただいて構いません.
\begin{align}\tag{3}
y^\prime &= 3y,\\
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= 3y,\\
\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= 3,\\
\int\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= \int 3\mathrm{d}x,\\
\int\frac{1}{y}\mathrm{d}y &= \int 3\mathrm{d}x,\\
\log|~y~| &= 3x + C_1~~~(C_1:任意定数),\\
|~y~| &= e^{3x + C_1},\\
y &= \pm e^{C_1}e^{3x},\\
\therefore y &= Ce^{3x}~~~(C\neq 0).
\end{align}
式(2)に代入して確認できるように,$y=0$ も解なので,式(3)の結果において $C=0$ とみることで,同次線形方程式の解は,
\begin{align}\tag{4}
\therefore y &= Ce^{3x}~~~(C:任意定数).
\end{align}
STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
式(4)において,定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換えたものは,
\begin{align}\tag{5}
\therefore y &= C(x)e^{3x},
\end{align}
と書くことができます.両辺を $x$ で微分すると,
\begin{align}\tag{6}
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{3x}+3C(x)e^{3x},
\end{align}
を得ます.ここで,右辺では積の微分公式 $\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ を用いました.
STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
式(5)と式(6)を,式(1)に代入すると,次のようになります.
\begin{align}\tag{7}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{3x}+3C(x)e^{3x} -3\times C(x)e^{3x} &= x^2,\\
\therefore \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{3x} &= x^2.\\
\end{align}
このように,定数変化法では,代入操作時にキャンセルが発生します(数日後の証明で確かめましょう).
STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
最終的に得られた微分方程式は,親の顔より見た変数分離形です.これもまたサクッと解いていきましょう.
\begin{align}\tag{8}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}e^{3x} &= x^2.\\
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x} &= x^2 e^{-3x},\\
\int \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= \int x^2 e^{-3x}\mathrm{d}x,\\
\int \mathrm{d}C(x) &= \int x^2 e^{-3x}\mathrm{d}x,\\
C(x) &= -\frac{1}{3}x^2e^{-3x} - \frac{2}{9}xe^{-3x} - \frac{2}{27}e^{-3x} +C_2~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
よって,これを式(5)に代入することで一般解が求まります.
\begin{align}\tag{9}
y&=\left(- \frac{1}{3}x^2e^{-3x} - \frac{2}{9}xe^{-3x} - \frac{2}{27}e^{-3x} +C_2 \right)\times e^{3x},\\
\therefore y&=- \frac{1}{3}x^2 - \frac{2}{9}x - \frac{2}{27}+C_2e^{3x}~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
【補足】 瞬間部分積分
最後の式の部分積分は,俗に言う瞬間部分積分と呼ばれるもので暗算しています.
(まともに計算をしても良いのですが,$\LaTeX$ で書くのが面倒だったのもあります.)
\begin{align}
\int f(x)g(x)\mathrm{d}x &= f^{(0)}g^{(-1)}-f^{(1)}g^{(-2)}+f^{(2)}g^{(-3)}-f^{(4)}g^{(-4)}+\cdots\\
\int x^2\times e^{-3x}\mathrm{d}x &=- \frac{1}{3}x^2e^{-3x} - \frac{2}{9}xe^{-3x} - \frac{2}{27}e^{-3x} +C
\end{align}
詳しくは,ヨビノリさんの動画をご参照ください.
【参考】 Wolframalpha
非常に便利なので皆さん積極的に使っていきましょう.